極悪非道デスメタルバンドの正体は……実は、超ピュアボーイ!? デスメタルギャグ漫画『デトロイト・メタル・シティ』。ポップでおしゃれな音楽を愛する心優しき青年が、デスメタル界でカリスマ的人気を誇るクラウザーに豹変し暴れまわる!とんでもないギャップから生み出されるギャグは、爆笑まちがいなしの面白さ! スマホのマンガアプリで無料で読むことができるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
『デトロイト・メタル・シティ』は、2005年から「ヤングアニマル」で連載された作品です。デスメタル×ギャグをテーマに親しみやすい絵柄で描かれ、人気を集めています。2008年には実写映画化、アニメ化もされ、一世を風靡しました。
そんな本作の内容は、とにかく下品かつバイオレンス。登場キャラクターが下ネタを連呼したり、過激な歌を熱唱したりします。ヘヴィメタルへの誤解を生みだしそうですが、その秀逸なギャグの連発には大爆笑間違いなし!刺激を求める方に強くおすすめする作品です。
この漫画の1番の見どころは、主人公の根岸崇一(ねぎしそういち)の豹変ぶりと、彼を取り巻く個性的なメンバーです。ポップミュージックを愛するピュアボーイ根岸が、デスメタル界で活躍する極悪非道な「クラウザー」になる極端な二面性は必見。バンドメンバーや事務所の社長もそれぞれキャラが立っていて、物語をより面白くさせます。
今回はそんな名作『デトロイト・メタル・シティ』の魅力を、ネタバレを含みつつ紹介していきます。
若杉公徳が屈強な戦士の恋愛を描いたギャグ漫画『KAPPEI』について紹介した<無料で読める漫画『KAPPEI』(かっぺい)の魅力をネタバレ紹介!>もおすすめです。ぜひご覧ください。
デトロイト・メタル・シティ 1(ジェッツコミックス)
2006年05月29日
本作の主人公である根岸崇一は、ポップミュージシャンとしてデビューする夢を叶えるため、5年前に大学進学とともに上京してきました。しかし卒業後に彼が結成したバンドは、悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」。ギター・ボーカルを務める「ヨハネ・クラウザーⅡ世」として、狂信的なファンからの人気を集めています。
本来の趣旨と正反対であるデスメタルで才能を発揮し、カリスマと化した根岸。ベースボーカルのジャギ(本名:和田真幸)とドラムのカミュ(本名:西田照道)とともに、デスメタル界の頂点へと上り詰めていきます。
そんな彼はある日、レコードショップで相川由利という女性と再会します。彼女は大学時代に同じゼミで知り合い、音楽の趣味が合うことを期に仲を深めた関係でした。音楽雑誌の編集者となっていた彼女とは今でも趣味嗜好が合い、密かに思いを寄せていきます。
しかし根岸がやっているバンドは、彼女がもっとも苦手とするメタル系。彼は、自分の正体がクラウザーだとバレないように、日々苦悩するのです。
- 著者
- 若杉 公徳
- 出版日
- 2006-10-27
DMCのメンバーであるクラウザーⅡ世は、額に「殺」と書かれた派手なメイクとおぞましいコスチュームが特徴。幼い頃に両親を殺し、バンド結成のために刑務所から出てきたと噂されています。
ライブでは高いパフォーマンス性とギターテクニックを披露。言動や行動は非常に極悪で、バイオレンスです。熱狂的なファンから悪魔と囁かれています。
しかしその正体は、家族思いの優しい青年、根岸崇一。ポップミュージシャンとなるために大分県から上京してきた、23歳童貞です。ポップでオシャレな音楽が好きで、カヒミ・カリィの大ファン。見た目はひ弱で気も弱く、クラウザーの姿とは似ても似つきません。
なおポップ志向なため、事務所に内緒で路上ライブをしていますが、そちらの方面ではまったく才能を開花できていない様子です。
この主人公のギャップこそが、本作の最大の魅力でしょう。根岸が作ったポップでスウィートな曲も、豹変すると残虐な歌詞になってしまうのです。
たとえば、根岸のオリジナル曲「甘い恋人」の歌詞の一部である 「朝目が覚めるとキミがいてチーズタルト焼いてたさ」は、クラウザーになると「俺の両親焼いてたさ」と改変されます。
また根岸が関わった人たちに、クラウザーとなって復讐するシーンなどもあります。理想と現実の差に苦しむ根岸の葛藤を描いた物語に、ついついのめりこんでしまうでしょう。
- 著者
- 若杉 公徳
- 出版日
- 2009-02-13
本作の特徴は、なんといってもその下品さ。作中では数え切れないほどの下ネタが発せられます。内容も激しいものばかりです。
たとえばDMCの曲名は、すべてが卑猥でグロテスク。「メス豚交響曲」や「あの娘をレイプ」などがあり、もちろん歌詞も下品な言葉ばかりです。
またクラウザーは、1秒間に10回「レイプ」と発言できる特技を持っています。
ただ、下品な言葉を言うだけでなく、作者独特のセンスのある言い回しが読者の心をひきつけています。なかにはマニアックな表現も数多く出現するので、下ネタが好きな人は間違いなく楽しめるはずです。
本作に登場する強烈なキャラたちは、多くの名言を残しています。いくつか紹介していきましょう。
「踊り狂ってアソコもビショビショよっ!!」(『デトロイト・メタル・シティ』1巻から引用)
DMCが所属する事務所の女社長が、初登場時に発言したセリフ。非常にサディスティックで、「ファック」が口癖の女性です。テンションが上がると股間が濡れてしまう彼女は、作中でも多くの名言を生み出します。こんなに下品な女性キャラは他の作品では見られないでしょう。
「叫ぶこと豚の如し!!」(『デトロイト・メタル・シティ』2巻から引用)
DMCのライブでパフォーマーとして活躍する「資本主義の豚」(本名:梨元圭介)が、クラウザーにスパンキングされるというパフォーマンスで登場した言葉。「スパンキン風林火豚」と名付けられたこのパフォーマンスは、ライブを最高潮に盛り上げます。
「動かざること山の如し」を言い換えた作者の秀逸なセンスが感じられます。
「この顔面クリトリス女」(『デトロイト・メタル・シティ』2巻から引用)
頬にニキビができてしまったヒロインの相川に対し、クラウザーである時と混乱して罵倒してしまった根岸の発言。ニキビをクリトリスと表現する斬新な発想に驚きました。
この他にもまだまだ多くの名言が登場しますが、やはり主人公と社長の珍名言が多いですね。腹筋崩壊間違いなし!ぜひ、好きなセリフを探してみてください。
- 著者
- 若杉 公徳
- 出版日
- 2010-07-29
自分と同じ境遇にいるデスメタルバンドの「ゴッド」と出会い、自らの弱さと向き合った根岸。とうとうDMCを辞める決断をします。社長はそれを聞いて倒れ、昏睡状態になってしまいました。すべてがめちゃくちゃになり、DMCは解散することとなります……。
根岸はフランスに旅立ち、本当に自分のしたい音楽と向き合うことにしました。しかしそこで、DMCの解散を知ったゴッドからの宣戦布告を受けます。
まだフランスでやり残したことがあるため日本に帰らないと言う根岸ことクラウザーと、ゴッドのバトルの行方はどうなるのでしょうか!?
最終巻では、最後まで下品なシーンがありながらも、かっこいい演出の連続です。特にラストのクラウザーの登場シーンは鳥肌が立つほどで、ライブシーンも過去にない盛り上がりを見せています。
あれだけ嫌がっていたデスメタルが、すっかり根岸の一部になってしまっていることが伝わるでしょう。また、社長の生還や新たな伝説の始まりなども、謎の感動を生み出しています。
また相川への好意に気付いた根岸は、自身がクラウザーであることを彼女に明かす決心をします。鈍感でなかなか気づかない相川に、根岸はとうとうクラウザーの姿となって現れるのですが、その想いは伝わるのでしょうか……
最後までどうなるか、読んでみないと分かりません!ラストシーンはぜひ皆さんの目で確かめてみてください。
デスメタルという一見とっつきにくそうな題材ですが、ギャグをメインとしており非常に読みやすい作品です。それぞれのエピソードは1話ごとに完結するので、飽きることなく読めるでしょう。スマホの漫画アプリで無料で読むことができるので、気になった方は試してみてください。