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つのだじろう作『恐怖新聞』が面白い!名作ホラー漫画の魅力をナナメから読む!

更新:2017.10.27 作成:2017.10.27

つのだじろうの普及の名作『恐怖新聞』。オカルト漫画の原点とも言うべき本作は、いろいろな視点で魅力がいっぱい!思わずツッコミたくなるようなシーンや考えさせられる台詞まで、その内容は多岐に渡ります。

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『恐怖新聞』が面白い!オカルトブームの一端となった名作をネタバレ紹介!

『恐怖新聞』の作者つのだじろうは、『うしろの百太郎』『空手バカ一代』『忍者あわて丸』など、オカルト漫画からギャグ漫画まで、幅広い分野を手掛けてきた日本を代表する漫画家です。

本作は、1973年から1975年まで「週刊少年チャンピオン」にて連載されました。日本のオカルトブームを牽引した恐怖漫画であり、オカルト好きならば誰しもが知っている作品。たとえ読んだことが無い人でも、タイトルだけならきっと聞いたことがあるのではないでしょうか。

ある日を境に「恐怖新聞」なる新聞を読むハメになってしまった中学生が主人公ですが、彼の周りで起こる超常現象の数々を単純な怪談話などで終わらせず、科学的な見識から読みとるという斬新な展開も魅力的です。 

さらに、思わずツッコミたくなるような設定も……!今回は、単純に恐怖のポイントを紹介するのではなく、一風変わった部分にも注目しながらナナメ読み視点で『恐怖新聞』を紹介していきます。


著者
つのだ じろう
出版日

漫画『恐怖新聞』あらすじ

漫画『恐怖新聞』あらすじ
出典:『恐怖新聞』1巻

主人公は中学生の鬼形礼。心霊現象をはじめとする超常現象は一切信じないという現実主義でしたが、ある夜、彼の部屋の窓から突如新聞が入ってきたことから、その生活は一変します。

「恐怖新聞」と題されたその新聞には、常に明日の出来事が記されていて、鬼形は誰にどんなことが起こるのかあらかじめ知ることができてしまうようになったのです。しかもその内容は、誰かが死ぬことや超常現象について……。

しかし「恐怖新聞」は、1回読むごとに100日分寿命が縮まるとされており、どれだけ読むのを拒もうとしても、新聞は彼の元に必ず届くようになっているのでした。

鬼形少年の運命はいかに……。

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ナナメ読みネタバレ1:そもそも設定から逃げようがない……

著者
つのだ じろう
出版日
1974-10-01

新聞が届く時間は、いつも決まって夜中の12時。そこに書いてある内容は、「翌朝学校の先生が交通事故にあって亡くなる」「同級生が吸血鬼に噛まれる」などさまざまですが、必ず新聞に書かれていたとおりの出来事が起こります。

これだけでも恐ろしいのですが、何よりも恐怖を感じるのが、新聞をどれだけ拒否しても必ず鬼形少年の元に届いてしまうという設定です。

最初は窓からふわりと入ってきた恐怖新聞でしたが、これを拒否しようと窓や雨戸を閉めると、それを突き破ってでも部屋に入ってきます。新聞を読まないように目を背けても、なぜか記事に目が吸い寄せられてしまい、どうしても逃れられません。

さらに新聞には「ポルターガイスト」と称する霊が憑りついており、彼にさまざまな超常現象の真意について吹き込んでいくのです。

たとえ修学旅行で別の場所に泊まっていたり、屋外に居たりしても、新聞はどこでも関係なく鬼形少年の元へ届きます。

超常現象の存在を否定していただけの鬼形少年。彼の態度が、霊たちを刺激してしまったのでしょうか……。

またその新聞に書いてある内容は、翌日必ず鬼形少年の近くで起こるので、いつしか彼自身が超常現象の申し子のようになっていくのです。まさに霊の押し売り商売といったところでしょうか。 

ナナメ読みネタバレ2:主人公が恐怖新聞のせいでいろいろ大変

著者
つのだ じろう
出版日

鬼形少年のまわりでは、恐怖新聞を読むようになって以降さまざまな超常現象が起こります。

引っ越したばかりの風呂場に異変を感じるという同級生の藤森君に霊視を頼まれ、仕方なく風呂に入りに行く少年。湯船に浸かっていると、ちょうど恐怖新聞の配達時間と重なり、例のごとく新聞が窓から突き刺さる形で届けられるのです。

霊視どころか、彼は友達の家すらも壊してしまうというハプニングを巻き起こしてしまいました……。

さらに、サイクリングに出掛けると悪霊に取りつかれた自転車で事故に遭ったり、同級生の放火現場に巻き込まれたり、宇宙人にさらわれそうになったり……。

しかも、何度も過酷な除霊をしても、彼に憑りついた悪霊を除霊することはできないのです。しまいには霊媒師から

「正直…わたしも死にたくはありませんからな!」(『恐怖新聞』1巻より引用)

と言われてしまう始末。不憫です。

ナナメ読みネタバレ3:最終回が悲惨すぎる……

著者
つのだ じろう
出版日
1975-08-01

悪霊に憑りつかれて以降、さまざまな困難に直面してきた鬼形少年。最終章では、有名な除霊者のもとで悪霊を払うために凄まじい除霊をおこなうのですが、なんと彼は除霊中に悪霊の祟りによって命を落としてしまうのです。

思いがけないこの展開は、あまりにもショッキング。

しかしその後、彼は当たり前のように中学校に登校します。行方不明となっていた鬼形がやってきたことで、訝しがるクラスメイトたち。

実は1度死んでしまった鬼形少年に対し、悪霊たちがある条件を突きつけ、その条件を満たせば再び生き返らせる約束をしていたのでした。そのため彼は、一時的に元の肉体と精神を現生に蘇らせてもらっていたのです。

鬼形少年は、悪霊たちの条件をなんとか実行しようと試みるのですが、失敗が続きます。それは、クラスメイトを全員殺すこと……最終回になって、怒涛の展開が待ち受けているのでした。

ラストはあまりにも衝撃的かつ悲惨なものです。鬼形が逃げ場も無く追い詰められていくさまは、恐怖というよりも悲しみの方が強いかもしれません。

クラスメイトを殺すという悪霊からの指示に悩み苦しむ鬼形少年。悪霊は、「今の人間の世の中はそれぞれが自分勝手で、他人のことなど考えてくれるやつはいない、だから自分を救うために人を殺してもいいではないか」と少年を諭しますが、鬼形はこれに反発していくのです。

他者の不幸と自己の不幸の関連性を必至に見出そうとし、悩み苦しむ少年の様子は、非常に考えさせられるでしょう。

そして、悩んでいるだけで実行に移せないでいる彼の身体は、元々死体だったものを生き返らせているため、しだいに腐りはじめます。髪は抜け落ち、頭で腐っていくその姿はあまりにも悲惨すぎます。

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ナナメ読みネタバレ4:続編『恐怖新聞Ⅱ』もすごい!

著者
つのだ じろう
出版日
1991-03-01

本堂幽子が主人公の続編、『恐怖新聞Ⅱ』。もちろん彼女のもとにも新聞が届きます。前作同様、得体の知れない怖さが漂うのですが、これまたストーリーがぶっ飛んでいます。

恐怖新聞から幽子を守るために鬼形礼の魂が転生した人物が助けようとしてくれるのですが……。そこからの展開に救いがない。

かいつまみまくって説明すると、助けようとして失敗し、最終的に結婚してハッピー?エンディングです。詳しい内容はぜひご自身で。

これが幸せな終わり方なのかは、やはり考えさせられるものがあります。この続編は誰をターゲットにしたものなのかを考えると、おそらくかつて『恐怖新聞』を読んでいた大人だと思うので、彼らを満足させるために、安易な終わり方にしなかったという風にも捉えることができます。

ちなみにこの続編のもうひとつの見所は、脇役キャラたちの濃さ。激しい仕上がりになっているので、そらもぜひチェックしてみてください。

ナナメ読みしたけど今読んでも面白い『恐怖新聞』で読んでみよう!

著者
つのだ じろう
出版日
1975-10-01

ツッコミを入れてしまうような箇所もありましたが、『恐怖新聞』が傑作であることは間違いありません。発表から何十年を経ても、オカルト漫画の代表作として読み継がれていることがその証拠でしょう。

たとえば丑の刻参りやタロットカード、エクソシスト、UFOなどがまだよく知られていない当時において、オカルト現象や超常現象を鮮やかに面白く、そして恐ろしく描き切っている作品は他にありません。

そのうえラストは、内容もさることながら人間心理にも追求してくるという、当時の漫画ではかなり異色の展開でした。ハッピーエンドでは終わらない、寂しさすら感じるそのオチが、現在の読者にも変わらず作品の余韻を与えているのかもしれません。


『恐怖新聞』読んでみたくなりましたか?怖い漫画はちょっと……と感じている人でも、きっといろいろな視点で楽しめることは間違いありません。少し笑ってしまうような展開もあって、おすすめの作品です。ぜひ1度読んでみてください。