「シンパパ」とは、シングルファーザーのこと。2人のシンパパがルームシェアをして、子育てに悪戦苦闘!好き嫌いの多い子供には、ご飯を食べさせるのすら一苦労で……!? 読んでいると、つい誰かをご飯を食べたくなる『パパと親父のウチご飯』。彼らが作るおいしいご飯は作り方も詳細に解説されており、分量などの一覧は巻末でチェックすることも可能です!そんな本作は、スマホの無料漫画アプリで読むことができるので、ぜひお試しください。
整体師の父と娘、漫画編集者の父と息子。シングルファーザーの家庭2組が同居して、幼稚園に通う互いの子どもを一緒に育てていくことになります。
- 著者
- 豊田 悠
- 出版日
- 2014-12-09
話のメインはタイトルどおり、ウチで作るおいしいご飯。料理のコツは作中で紹介し、分量などは巻末にまとめて掲載。料理本としても大活躍で、登場した料理をつい作ってみたくなりますよ!
シングルファーザーに対する偏見と時に戦いながら、そのなかで心優しい人の協力を受け、4人はしだいに家族としてまとまっていくのです。
千石は、自分の店を持つ整体師。元カノ・マキと会ったときに「あなたの子どもだからちょっと預かって」と引き渡されたのが、4歳の娘・愛梨でした。
店の改装のため資金難だったので、知り合いの晴海を頼ることにします。
晴海は出版社に勤める漫画編集者で、奥さんと離婚してしまったシンパパ。清一郎という、愛梨と同年代の息子がいます。彼はとにかく片付けが苦手で、マンションの部屋はぐちゃぐちゃ……。それを見かねた千石は家事を引き受ける代わりに、親娘で居候をさせてもらうことにするのでした。
そんな彼が作る料理は子どもも食べやすいように工夫がされていて、本当においしそう!各巻末には詳細な分量を含めたレシピが掲載されています。作り方のコツはストーリーを追いながら学ぶことができるので、ぜひ参考にしてみてください。
千石は料理がある程度できるため、初めは自分のご飯を作るついでに子どもたちにも食べさせたらいいか、と軽く考えていました。しかし、子どもたちは好き嫌いをして、なかなか食べてくれません。
どうしたら子どもたちが美味しくご飯を食べてくれるか……試行錯誤しながら料理をしていきます。子どもたちが苦手な野菜はすりつぶしてカレーに入れるなど、工夫を凝らしたレシピを考えていくのです。普段料理している方にとっては、日々の献立に役立つヒントを得ることができるでしょう。
一方の晴海は、まったくの料理初心者。包丁を持つと、あるトラウマを思い出してしまうほど……。ですが、パパ2人で料理教室に通いはじめたことをきっかけに、徐々に料理に慣れていくのでした。
作中で紹介されているレシピはどれもハードルが低く、料理初心者でも作ってみようと思えるもの。たとえば2話では、ふわふわのだし巻き卵の作り方が紹介されています。だしの取り方から焼くときのコツまでイラストとともに説明されているので、とてもわかりやすいです。
また、あまり料理をしたことがない晴海が恐る恐るチャレンジしている姿は、料理初心者にとって共感しやすく、自分でもやってみようと思えるでしょう。
シンパパ2人と一緒になって、料理スキルを成長させることができる本作。ぜひストーリーを追いながら、掲載レシピを参考に料理にチャレンジしてみてくださいね。
整体師の千石と愛梨の父娘は、出会ったばかり。「ちょっとの間この子あずかって」と頼まれてから、元カノとは連絡がとれません。彼は目つきも悪く口調もちょっと乱暴な元ヤンキーですが、子どもには真剣に接します。そして、最近離婚をした漫画編集者の晴海のマンションに居候しているのです。
一方、晴海には清一郎という息子がいます。言葉も表情もおだやかな彼ですが、あまり自分の考えを口にはしません。
料理が得意な千石。子供たちのためにお弁当を作りますが、全部食べてもらえず……。また彼らは普段の食事も好き嫌いが多いうえに、食べもので遊んだり、いつまでも食べていたり……。
どうしたらちゃんと食事をしてくれるのか悩んでいたある日、料理教室を主宰している女性から、苦手な野菜は細かく刻んだりミキサーでドロドロにしたりするといいと教わります。
そのやり方で作ったカレーは大成功!そして彼は、みんなで料理教室に通うことを決めるのでした。
おいしくて簡単、時には子どもも参加できる。そんな料理を講師のゆかりから教えてもらいながら、シンパパたちは共同生活を続けていくのです。
- 著者
- 豊田 悠
- 出版日
- 2014-12-09
ある朝、テレビで見たクリームやフルーツの乗った豪華なパンケーキを食べたいと、愛梨が騒ぎます。しかし千石は相手にしません。
その日、幼稚園でちょっとした事件が起こりました。同じ幼稚園の男の子が、愛梨と清一郎に対して「パパしかいない家は変だ」と言って、ケンカになってしまったのです。
男の子の母親は彼らに謝罪をしますが、男の子は謝らず「パパしかいないのはへんだ」「ママがいないのはかわいそうだ」と言うばかり。
この時の愛梨の傷ついた表情は、どんな台詞よりも心に刺さります。
翌朝、早起きしたパパたちはパンケーキを作ります。細かいレシピは講師のゆかりがメールで教えてくれていました。目を覚ました愛梨は、まだ昨日のことを覚えていたのでしょう。いつものような元気がありません。そんな彼女に、千石はこのように言います。
ウチは変だ
でも変わってるけど よそに負けねーくらい
楽しい家にしてやる
(『パパと親父のウチご飯』1巻より引用)
その言葉に、彼女は「ようちえんいく……」と答えたのでした。この会話は本作にとって、重要な意味を持ちます。これから先も、この時の約束をしたことでシンパパたちは奮起していくことになるのです。
さて、朝食はパンケーキだと聞いて喜ぶ2人の子どもは、好きなものを乗せていいと言われ、さらにテンションアップ!愛梨の機嫌もすっかり直りました。
その後幼稚園で、例の男の子とどのようなやりとりがあったのかは、ぜひ実際に読んで確かめてみてください。シンパパ2人と子ども2人が、自分たちは変だと自覚しながらも家族としてやっていく決意をする1巻でした。
ちなみに、記念すべき最初に登場する料理は、焼き枝豆&ハムカツ。子供が寝静まった後、父親だけで食べています。2人のよい空気感がわかる第1話。家族向けの料理の他に、こういったおつまみ的な品も紹介されているのが嬉しいですね。
巻末に収録されているレシピは次の5つです。
本巻では、愛梨がママに会えない寂しさからワガママが激しくなり、千石に激しく怒られます。彼自身も、自分はママには敵わないのか、と落ち込んでしまいました。
2話にわたる2人のすれ違いと解決をしていく過程は、ぜひじっくり読んでいただきたい話。晴海がいるからこそ、2人の仲も持ち直しました。
自称「変なウチ」ですが、それでもだんだん家族の形ができていくのがわかるでしょう。
- 著者
- 豊田 悠
- 出版日
- 2015-06-09
小さい子どもを持つ親にとって、大きなイベント。それは運動会におけるお弁当作りです。頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
幼稚園の運動会のお弁当に唐揚げをリクエストされた千石は、料理教室のゆかりに相談し、作り方を教えてもらいます。下味をつけて肉をもみこんだら、卵とマヨネーズを隠し味にしました。
料理がうまくできない晴海は言われたとおりのことをするのみですが、できあがりを見ると地味な色合いが気になる様子……これは運動会ならではのポイントかもしれませんね。
早起きをしてシンパパが力を合わせて作り上げたお弁当は、どのように仕上がったのでしょうか。運動会でがんばる子どもたちの姿も必見です。
またこの巻には、千石の孤独な少年時代も描かれているので、見逃さないでください。
巻末に収録されているレシピは次の5つです。
土鍋でのご飯の炊き方がわかる、レシピマンガも収められています。
本巻ではパパ2人の、彼らの親との関係が描かれます。
まずは晴海。故郷の宮崎から、母が観光のついでにマンションにやってきました。実は以前から、清一郎を預かることを彼に提案していたのです。
とはいえその心情は、子どもと孫を思ってのこと。敵対しているわけではありません。彼の母は、千石に向かって「あなた変な人ね」と言いつつ、すっかり仲よくなってしまうのでした。
晴海はこれまで、両親に対して自分の思いをはっきりと言葉にしてこなかったことを反省します。それは、千石たちとの暮らしのなかで学んだことでした。自分が親という立場になったからこそ、親が自分をどう思っているのかがわかるようになったのです。
- 著者
- 豊田 悠
- 出版日
- 2015-11-09
「ハンバーグ」の回では、千石の過去が語られます。
ある日彼はスーツ姿で花束を持ち、幼稚園のお迎えへ行きました。「師匠の命日だから線香をあげに行く」と言うのです。
高校時代ヤンキーだった彼は、ある日、ケンカ寸前のところを整体師の主人に止められました。彼が悪態をつきながら家に帰ると酒の空き缶が転がり、母親は夜の勤めに出るため支度中。食事代として現金を渡されるだけ……手料理などはずいぶん食べていないようです。
そのお金でパチンコをしていると、さきほどの主人に見つかり「そんだけ力ありあまってんならウチで働け」と声をかけられました。
彼はこの主人の自宅で優しそうな奥さんの作ったハンバーグを出されるのですが、「料理も笑顔も居心地が悪い」と拒絶するように出ていってしまいます。しかしアパートに戻ると、母親が客と一緒にいるのです。
家に帰ることもできず、自販機の前に座りこむ彼の横に、いつのまにかその主人がいました。そして、先ほどのハンバーグをパンではさんだハンバーガーを渡してくれたのでした……。
回想を終えた現在の彼は、あの頃より少し年をとった奥さんと一緒にハンバーグを作ります。そして、ハンバーグが師匠の1番の好物で、千石が初めて家に来た日はハンバーグを作ってくれとわざわざ電話で言っていたことを知るのでした。
この後、彼が師匠を思って言う台詞には、しみじみと胸が温かくなります。ウチで作るご飯はいいよね、とあらためて思うことができるでしょう。
ちなみにハンバーグを焼くときのコツは、片面を焼いて返したら中央に氷を押し込むこと、だそうですよ。
巻末に収録されているレシピは次の5つです。
土鍋で作る燻製のレシピマンガもあります。
本巻では料理講師のゆかりの妹である茜や、晴海が担当する漫画家のアシスタントなどにもスポットライトが当たります。彼らにも彼らなりに悩みがあるのです。
一方で子供たちは、着実に成長していました。
また、2人と同じ幼稚園に通う家族との交流も描かれます。誤解されることが多かったシンパパ2人と子ども2人という家族でしたが、だんだんと周囲の理解も進んできたようです。
パパと親父のウチご飯 4 (BUNCH COMICS)
2016年04月09日
子どもの苦手な食べ物のひとつに、魚が挙げられるのではないでしょうか。清一郎も1巻から吐き出す姿を見せていました。
晴海の提案で、魚に興味をもたせようとみんなで水族館に行くことになり、子どもたちは大喜び。しかし家に帰ってから千石がパックに詰められたイワシを見せると、清一郎は「こわい」と泣いてしまったのです。
その理由を聞くと、彼は精一杯答えます。どうやら、命を奪って食べることを怖がっているようなのでした。そこで晴海は子どもたち2人に話します。魚だけでなく肉も野菜も生きていて、その命をいただいて人間が生きているのだと。清一郎は、その言葉に心を動かされたようでした。
お風呂からあがと、清一郎が着るパジャマが小さくなっているのに気づきます。子どもの成長がよくわかるシーンです。
そしてここから、子どもたちも手伝いながら、夕食作りの開始です。できた料理は「いわしの蒲焼き」と「骨まで食べれる梅肉煮」。この後清一郎は、命を食べることにどう向き合ったのでしょうか。
そしてこの巻のラスト、晴海のもとに、離婚した妻から衝撃の電話がかかってきます。
私 再婚することにしたの
清一郎は返してもらうわ
(『パパと親父のウチご飯』4巻より引用)
家族の行方は果たしてどうなってしまうのでしょうか。
巻末に収録されているレシピは次の5つです。
市販の餃子の皮を使った、ミニアップルパイのレシピマンガも収められています。
本巻の1番の見所は、前巻ラストの衝撃のひと言から続く清一郎の親権問題でしょう。
今の暮らしをしながらママとも面会をしているのが、清一郎の現状でした。そんななかで幼い彼が何を感じ、何を考えていたのかがわかる時、きっと読者の胸も痛むでしょう。
パパと親父のウチご飯 5 (BUNCH COMICS)
2016年09月09日
また後半は、4人で晴海の実家がある宮崎へ旅行をします。晴海は今の生活のなかで「家族だから」を言い訳にして妻に何も言わないでいた自分を反省し、両親という自分の家族ともきちんと話し合う機会を持つことにしたのです。
別れた妻からの電話で、再婚するので清一郎を帰してもらうと言われた彼は、千石に相談。彼自身は子供を渡す気はまったくなく、母親がいなくても楽しい家にすると約束したことを忘れてはいませんでした。
そんなある日、4人で外出をしていると元妻が声をかけてきます。晴海が面会を避けていたため、ついに清一郎に会いに来てしまったのです。お弁当を持って、彼女が再婚を考えている相手という男性も一緒でした。
お弁当は豪華な手作りで、千石と晴海は「圧倒的料理力の差」に呆然。もちろん、清一郎の好みもおさえたパーフェクトなものでした。
愛梨と清一郎を元妻がお手洗いに連れていくと、残されたのは男性3人。再婚相手は彼らの家庭を不健全と決めつけ、どちらが子どもにとって幸せかと迫ります。
するとそこへ、彼らと同じ幼稚園に通うママ友2人が登場。「晴海さんも千石さんも立派な父親です」と言い切ってくれました。元妻と子ども2人が帰ってくると、男性はむっとしたまま元妻の手を引いて帰っていきます。
翌週、幼稚園のお迎えのシーンに、清一郎の姿はありません。元妻と清一郎が手をつないで歩く様子でこの話は終わります。彼の親権はどうなってしまうのでしょうか。
彼がいないことに気づき、千石は雨の中を走り回って探します。その結果、風邪を引いてしまうことに……。そこで晴海は、彼にあんかけうどんを作ったのでした。きっとそこには、感謝の想いが込められていたのでしょう。
巻末に収録されているレシピは次の6つです。
余った味噌汁と缶詰を使った、簡単冷や汁レシピマンガもあります。
前の巻から引き続き、4人は宮崎の晴海の実家にいます。そこでようやく、晴海は両親とちゃんと話し合うことができました。
彼らはそれぞれ、少しずつ変わろうとしています。
千石は営業時間を増やそうとし、アルバイトを募集することにしました。そこへやってきた竜也という青年が少しいいかげんで、千石は彼を叱ります。それを見た晴海は、若い頃の千石と師匠のようだと笑いました。
この後竜也は、本作の新しいレギュラーキャラクターとなります。
ゆるいけれどどこか憎めない態度の彼は、どんな風に千石たちと馴染んでいくのでしょうか。新しい登場人物が出てきて、話の広がりを感じられる巻です。
- 著者
- 豊田悠
- 出版日
- 2017-04-08
新年度が始まり、幼稚園には大阪から来た美月という新しい女の子がやってきました。
彼女のしゃべる関西弁が珍しく、愛梨は「もっとほかにもしゃべってみて」と言います。悪気はなかったのですが、男の子たちがそれに便乗してからかったため美月は泣いてしまいました。
家に帰った愛梨は膝を抱えたまま「へんっていわれるの あいりもやだったのに」と、本気で反省している様子。千石はそんな彼女を抱きしめ、なぐさめるのでした。
休日のお昼時、千石は愛梨と清一郎を連れて街を歩きます。そこで路線バスの運転手に、大阪に行きたいとだだをこねている美月に出会いました。そこへ彼女の母親も現れ、全員で彼女の家でお昼ご飯を食べることに。家の中で、美月は懸命に大阪弁をやめようとしている様子がわかりました。
昼食のメニューはお好み焼き。みんなで作っている最中、愛梨は自分の家の話をしました。
へんないえでしょ
でもね ちょーたのしいし あいりはすき!
(『パパと親父のウチご飯』6巻より引用)
こう言ってにっこり笑う愛梨に、美月は「かわってんなあ じぶん」と大阪弁で笑い返します。仲よくお好み焼きを食べる子どもたちを見て、千石は愛梨の成長を感じるのでした。
さて、美月がこの後幼稚園に行ってどうなるのかは、7巻のお楽しみ。こっそりネタバレすると、そこで活躍するのは、なんと清一郎なんです!
ちなみに、お好み焼きのコツは、返した後に叩かないことだそうです。
巻末に収録されているレシピは次の5つです。
本巻は、特に大きな事件は起こりません。4人の日常と彼らの身近な人たちの話で、実にいい笑顔を見せてくれるのです。
本巻の最後で、竜也が「何でわざわざルームシェアすることになったんスか」と聞いてきます。晴海は「話せば長くなっちゃいますよ」と言うのですが、竜也は「いいじゃないスか 教えてくださいよ」と食い下がるのです。
その言葉に重なる絵は、出会った直後の千石と晴海……?巻末の予告によると、次の巻は「過去編」とのこと。期待が高まりますね。
- 著者
- 豊田悠
- 出版日
- 2017-10-07
春のある日、コンビニから肉まんが消えてしまい、愛梨はご機嫌ナナメな様子。清一郎に「おウチで作れないの?」と聞かれた千石は、餃子もパンも作れるようになったのだから肉まんもいけるんじゃねーの、という考えで作り始めます。レシピはスマホで調べて完成させますが、皮が固くて大失敗でした。
翌日、料理講師のゆかりに相談すると、発酵が足りなかったのが原因だとわかります。また、蒸し器の水が肉まんにかかるとしぼんでしまうなど、細かい注意点も教えてもらうのです。
そして今度は、4人での肉まん作りが始まります。
細かいレシピと作る時の注意点が、長いページにわたって描かれます。『パパと親父のウチご飯』は基本的には家で簡単に作ることができる料理を紹介していますが、今回は本格的。それだけに作りがいもありますね。
失敗もあるけど、最後はみんなでおいしいご飯を作って幸せな笑顔になる、これこそが本作の1番の魅力でしょう。何気ない日常の積み重ねが、幸せだということがわかります。
そんな日常で、愛梨と清一郎も着実に成長。シンパパ2人はその姿に感動したり悩んだり……こういうことは、きっとどこの家庭でも同じなのでしょう。
巻末に収録されているレシピは次の5つです。
何もしたくない日の、フライパンひとつでできるスープパスタのレシピマンガも収められています。
本巻では、千石と晴海が出会ったきっかけから始まり、愛梨の母親であり千石の元彼女であるマキとの出会い、そして晴海のトラウマなどが描かれます。
ほぼ千石の過去パートと言っても過言ではない8巻は、彼とマキとの未来を匂わせる内容も入れ込まれていました。
それはマキからのメールを受け、千石がふと彼女の好物を知らないな、と気づいたことがきっかけ。そこから回想へと入ります。
- 著者
- 豊田 悠
- 出版日
- 2018-02-09
高校卒業と同時に家を出て、整体の仕事に慣れてきた頃の千石が付き合い始めたのが、エステティシャンのマキでした。整体の専門学校に通うための学費でカツカツになり、電気を止められたと言っては彼女の家にお邪魔していたのです。
そんなある日、マキはその理由を知って、ウチに住めばいいよと提案し、ふたりは同棲を始めました。
数少ないふたりでの料理の思い出のなかで、千石が思い出したレシピはエビフライ。揚げたての様子ももちろんですが、タルタルソースまで手作りというのが食欲をそそる描き方になっています。
その料理の途中で、彼女は自分の店をハワイに出すのが夢を語っていました。
それを聞いた千石は、貧乏ながらにいつか彼女を幸せにするのだと決意。しかし、ささいなことで喧嘩したふたりは、彼女の転勤をきっかけに別れることになってしまったのです。
かつて思い描いていた夢は叶えられませんでしたが、愛する人との間に子供ができていたことを知らないまま過ごすのと比べると、はるかに幸せではないでしょうか。
愛梨を預かる時に交わした会話は、彼らの絆を感じさせるものがあります。さらに最後のシーンを見ると、マキが帰国した時にはふたりがよりを戻すのではないか、と期待してしまうでしょう。しかし、もしそうなれば、晴海との生活はどうなるのでしょうか……。
また、そのあとに描かれる晴海がトラウマを自分の中で消化している様子も見所。彼にとっての千石の大切さにも、胸が熱くなります。
いつも千石が晴海に助けてもらっているシーンが目立ちますが、やはり持ちつ持たれつなのだな、とほっこり。ぜひ詳しい内容は、作品でご覧ください。
巻末に収録されているレシピは次の5つです。
シンパパ2人と子ども2人、いろんな事件が起きるけど、おいしい料理ととびきりの笑顔があれば、子どもはしっかり成長していくもの。わかりやすいレシピ付きの幸せ料理漫画を、ぜひ読んでみてください。