今日も会社でトラブル続き…。 いつ終わるかわからない家事の山…。 人間関係が上手くいかない…。 恋人にフラれた…。 このような悩みを抱え、 毎日ストレスだらけの生活を送っている現代人。何か良いストレス発散方法はないものかと試行錯誤する人も多いだろう。 そんな人にこそ手にとってもらいたいのが、猫たちの活躍する猫マンガである。 本物以上に本物らしい 猫の姿に癒されたなら、あなたの身体に明日を生きるエネルギーが充填されていくことだろう 。
2015年6月の今、時代は空前の猫ブーム。子どもたちに爆発的な人気を誇る妖怪ウォッチも、じゃらんのCMも主人公は猫。「ねこあつめ」というアプリは400万ダウンロードを突破し、 猫カフェや猫の駅長、猫をモチーフにしたゆるキャラなども活躍して久しい。
ところで、猫がこれほどまでにもてはやされているのはなぜだろうか? その理由が、日本社会のストレスフルな現状にあると聞いたら、少し意外に思うだろうか。
実は、私たちが想像する以上に、猫にはストレス解消効果があると考えられている。ある学者によると、心臓発作や脳卒中といった心臓に関係するトラブルの発生率も下げられるというのだ。また、猫によって血圧が下がったという実験結果も報告されている。
猫独特の「ゴロゴロ」と喉を鳴らす音。気持ちの良い肉球。
確かに、ストレスを癒すに足る何かが猫にはありそうだ。
そうはいっても 、誰もが気軽に猫を飼えるという訳ではない。
そこで、本物の猫よりも猫らしく私たちを癒してくれる猫マンガを紹介しよう。
- 著者
- くるねこ大和
- 出版日
- 2008-01-15
ひたすら繰り返される猫との日常。『くるねこ』を読んだ者は皆、あたかも自分が猫と一緒に暮らしているかのような錯覚に陥ってしまうだろう 。
作者の生活は、まるで最近流行りのゲーム「ねこあつめ」を彷彿とさせる。何か特別なことをする訳ではないのに、たくさんの猫と過ごす毎日は不思議と、笑いと涙なしには語ることができない。
「笑い」、「涙」。
そう、この2つこそが、実はストレス発散に欠かすことのできない大きな要素なのである。
笑いや涙は、単調に続く生活をリセットしてくれる働きがある。ルーチンワークに振り回される私たちにとって、頭をリセットすることはこの上ないストレス解消方法なのだ。
まさに、癒し系猫マンガの元祖と言うに恥じない本である。
猫と聞くと、どんなイメージを持つだろうか?
犬に比べると、気まぐれでワガママ。そんなイメージを持つ人もいるだろう。この気まぐれこそが猫の可愛いところなのだろうが、あえてそのような従来の猫のイメージを覆す一冊を紹介しよう。
- 著者
- ほしの なつみ
- 出版日
- 2008-09-16
猫を一度でも飼ったことがある人は、落ち込んでいるとき、そっと自分のそばに寄り添う猫の姿を見たことがあるだろう。もちろん、なにか言葉を掛けてくれる訳ではない。それでも、ただそっと傍らで見守ってくれるというそれだけのことが、どれだけ私たちを癒してくれることか。
動物の母性は、まさに無償の愛である。見返りを求めての優しさとは、根本的に違っている。だからこそ、その癒し効果は絶大なのである。
猫の母性は、あまり語られることがない。
しかし『キジトラ猫の小梅さん』では、飼い主や他の猫と触れ合っていく中で主人公の猫・小梅さんが見せる驚くまでの母性や優しさが、丁寧に描かれている。
この本を読むと、本来なら猫飼いだけしか味わうことができない底知れぬ猫の優しさに、しばし癒されてみることができる。
「小梅さん」の母性に包まれるだけでは、まだ足りない。もう一歩踏み込んで、この優しい猫たちと、もし会話ができたなら… そんな願いを叶えてくれるマンガが『キミと話しがしたいのだ。』である。
- 著者
- オザキミカ
- 出版日
- 2012-03-16
「猫が喋る」という現実離れしたSF設定にもかかわらず、すんなりと読み進めていけるのが嬉しい。その理由は、猫のセリフにある。一言一言が、なるほど現実の猫もきっとそんなことを考えているだろうと思わせるものばかりなのである。
一人暮らしのサラリーマン男性と猫との会話のやり取りが、何とも言えず絶妙で自然と笑いが込み上がってくる。
私たちは、親しい者との楽しい会話を通して、脳内でベータエンドルフィンという物質を作り、ストレスを緩和している。ベータエンドルフィンは、モルヒネに似た成分で、「脳内麻薬」とも言われている。
そう。猫の癒しは、もはや「麻薬」なのだ。
この本で猫との会話を追体験し、可愛く危険な「麻薬」で免疫機能を高めたいものである。
猫マンガと言うと女性が読むイメージも強いのかもしれない。けれどこの本は、仕事でストレスを抱えている男性にも受け入れられやすい一冊 であろう。
ここまでの三冊は全て、猫と人間の関わりを描いたマンガであった。
次は少し毛色を変えて、猫たちが人間の見ていない所で繰り広げるファンタジーの世界を楽しんでみよう。
- 著者
- yukiusa
- 出版日
- 2011-06-24
とにかく可愛いこの表紙の黒猫、よく見てみると背中にコウモリのような羽がある。
「にゃんぱいあ」とは、猫のヴァンパイア、すなわち吸血猫のことなのだ。
と言っても、特にホラーなことが起きる訳ではない。
これまた可愛い「堕天使」猫や伊達正宗かぶれの「コスプレ武者」猫、さらには毒舌「女装」猫まで。様々な風変り猫が織りなすのは、ちょっぴり黒いほのぼのワールド 。
彼らのキュートな容姿とは裏腹な腹黒さ。そこに、何故か知らぬ間に、私たち読者は魅了されているのである。それはまるで倒錯したフェティシズムの世界。
人は、日常から大きく逸脱した世界でこそ、本当の意味でストレスから自由になれるのかもしれない。テーマパーク然り、ゲームの世界然り。
そういった意味で、この本の猫たちは、私たちに十分現実離れした仮想世界を見せつけてくれる。しかもその仮想世界にはリアリティが感じられる。仮想世界に浸らせておきながら、もしかしたら現実の猫たちの集会も本当にこんなことを話し合っているのでは、と思わせる作者の手腕には驚くばかりである。
一筋縄ではいかない猫の二面性。これこそが、猫の真実、猫の醍醐味。
最後は、猫好きの人もそうでない人も楽しめる長編スペクタクルでストレスを解消しよう 。
紹介するのは、「BASARA」「7SEEDS」などで小学館漫画賞を2度受賞している少女漫画界の大御所、田村由美の作品である。
- 著者
- 田村 由美
- 出版日
- 2008-01-25
田村由美と言えば、大河ドラマ顔負けの壮大なストーリーマンガを描くことで知られている。実生活でも大の猫好きである作者は、擬人化した猫を主人公にしても、これまたスケールの大きな冒険譚を繰り広げてくれる。
しかし、この作品の特徴は壮大さだけではない。その細やかな心情描写にある。
作品を読み進めるうちに私たちは、いつしか主人公「とらじ」やその他の人物たちとともに、アドベンチャーの世界で切なさや感動を共有しているのだ。
誰かと悩みや思いを共有するという体験は、ストレスを無くすために非常に大切なことである。些細なことで悩んでいるのは自分だけではないんだ、つまらない意地を張ってしまうのはみんな一緒だ…。
この本を読んで、そんな風に思うことができれば、しめたものである。
この体験 こそが、大人になるとなかなか実感することができない「成長」というものの証なのかもしれない。
ここまで語ってきたように、猫には、私たちのストレスをはじき飛ばしてくれる数々のパワーがある。そのせいだろうか、リンカーンやニュートンと言った歴史上の偉業を成し遂げた人物の中にも、意外と猫好きは多い。
ただ可愛いだけではない猫の奥深い生き方に気付いたとき、私たちは、この辛い世の中を漂々と乗り越える野生の知恵を手に入れているのだ。