「別冊花とゆめ」にて掲載され、2015年に感動の最終回を迎えた『執事様のお気に入り』。相思相愛になった2人のその後を描いた「アンコール」も含めてその魅力を紹介していきます。スマホの漫画アプリで無料で読むことができるので、そちらも。
- 著者
- 伊沢 玲
- 出版日
- 2007-06-19
この物語の主人公は、一般家庭で育った高校1年生の氷村良。両親を事故で失って元名家の祖父母に引き取られたことから、全寮制の超セレブ校「双星館学園」に編入することになります。
双星館には「Lクラス」と「Bクラス」があります。家柄と財力がなくては入学できない紳士・淑女の養成を掲げる「Lord&Ladyクラス(通称:Lクラス)」と、完全な実力主義を貫く超エリート執事養成を掲げる「Butlerクラス(通称:Bクラス)」で、良はLクラスに入りました。
一方で、後に良の「専属執事」兼恋人となる神澤伯王は、Bクラスに在学しています。実は誰もが知る大企業の御曹司ですが、自分の力がどこまで通じるのかを試すためにBクラスに入りました。
本作の要となる「専属」という制度ですが、これは契約を交わしたBクラス生とLクラス生が主従の関係になるというものです。主人に関わることすべてに責任を持つのが執事生の務めになります。
「専属」の契約を交わし、主従の関係になった良と伯王は、互いを想い合いながらさまざまな問題を乗り越えていきます。そのたびに深まる2人の絆が本作の1番の見どころだといえるでしょう。
このほか、伯王の幼馴染で神澤家に代々仕えてきた道家庵と鹿糠隼斗が、年上ながらも伯王に甲斐甲斐しく奉仕するなど、胸キュン要素もたくさんありますよ。
突然の事故で1度に両親を失った良は、元名家の祖父母に引き取られることになります。その関係で、超セレブ高校である双星館学園に編入することになりました。
学園内を探索中に迷子になった良は、伯王と偶然出会います。他のお金持ちの生徒とまったく違う価値観を持った庶民派の良と、それに興味を持った伯王。2人はしだいに仲良くなっていきます。
しかし、それを良く思わない女生徒が良の家族を侮辱して、その言葉を取り消させるために、彼女は「1週間で専属の執事を見つける」ことになってしまいました……。
- 著者
- 伊沢 玲
- 出版日
- 2008-04-18
本作の魅力のひとつとして挙げられるのが、良と伯王それぞれの人柄でしょう。
まず主人公の良は、頑張り屋でしっかりと自分を持っている、芯のとおった女の子です。女生徒と口論になった際も、伯王に迷惑をかけるまいと、自分で解決できるように最後まで努力をしています。周りのことを1番に考えて行動することができ、困ってる人がいると放ってはおけず、隠し事が苦手も彼女の魅力ではないでしょうか。
そして、そんな頑張り過ぎる面もある良を陰ながら支えているのが、伯王です。努力家で負けず嫌いな男の子ですが、かなりの心配性でもあります。
真面目でしっかり者の彼は、クラス委員長の仕事や勉学、家業と多忙な日々ですが、良のことを温かく見守ります。
そんな2人が、仲のよい同級生から執事と主人へ、そして大切な存在へと変わっていくのに時間はかかりませんでした。
良が伯王を大切な存在だと自覚したのは、8話でのこと。いつもお米やみかんなどを送ってくれる祖父母へプレゼントを贈ろうと考えた良。買い物に伯王が付き合う形で、初デートをすることになります。周りの人の視線に「恥ずかしい」と感じた彼女は、伯王を拒絶してしまいますが……。
それでも優しく守ってくれる伯王を見て、「いつも隣にいてくれる大切な人」へと気持ちが変化していくのです。
さらに、恋心を自覚したのは30話です。
「――いつの間にか、気付かないくらい自然に、たぶんもう、ずっと前から――好きだったんだ(『執事様のお気に入り』8巻より引用)」
同級生とともに誘拐されてしまった時、駆けつけた伯王に飛びついた良は、恋心を自覚しました。
一方の伯王はと言うと、当初は庵や隼斗などに仲の良さをからかわれても「執事として」だと言い張っていましたが、34話ではっきりとその気持ちを表します。
双星館学園のライバル校であるキースワーズ執事学校と、親睦合同パーティーをおこなうことになった時のこと。あることをきっかけに両校が勝負をすることになったのですが、良のことを気に入ったキースワーズの乙留という男子が、彼女とのデート権をかけて伯王に個人勝負を挑んできたのです。
すると伯王は、
「――氷村は渡さない」(『執事様のお気に入り』9巻より引用)
と答え、私情かと問われると初めてはっきりと肯定しました。
その後、学校側が「専属」更新を確認する「専属更新審査」の際に良は告白を決意するのですが、伯王は大企業を継ぐ自分の人生に彼女を巻き込みたくないと、気持ちを押し込めてしまいます。
「……卒業するまではせめて1番近くに」(『執事様のお気に入り』10巻より引用)
このように切なげに語る伯王の姿に、キュンキュンくる方も多いのではないでしょうか。
この告白がその後どうなったのかは、ぜひ皆さんの目で確かめてみてください。
- 著者
- 伊沢 玲
- 出版日
- 2011-03-18
本作の魅力のひとつとして、作者である伊沢玲の画力が挙げられます。細部までしっかりと描き込まれていて、ひとつひとつを丁寧に描いているのがよく分かるでしょう。特に注目してほしいのが、建物や料理、洋服のデザイン性です。
双星館学園の校舎は、側面から屋根にいたるまで、小さすぎて見えにくいところまでこだわりが見られ、内装はセレブ校らしく、洋館のような美しくも荘厳な造りになっています。
料理もとても綺麗に描かれていて、良の作るホールケーキなどは思わず食べたくなってしまいます。彼女は一般家庭で育っているので、作る料理はどれも馴染みのあるものですが、絵が綺麗だからこそ、こちらもお腹が空いてしまうものばかりです。
そして、『執事様のお気に入り』で描かれている制服の数々は、清楚でありながらも凛とした雰囲気があり、品の良さを感じることができるでしょう。可愛さや可憐さも取り入れられ、これぞお金持ち!という感じがします。
洋風なつくりが見事に学園の雰囲気とあったものになっていて、その他の私服やスーツ、ドレスなども世界観にマッチしています。
また超セレブ学校なので、舞踏会やパーティーなどドレスを着る機会が多いのも特徴です。同じ学園の生徒同士でも、BクラスとLクラスで描かれ方が違うところもポイントです。
作画も然ることながら、ひとつひとつの設定や洋服のデザインを含め、しっかりと考えられています。絵にこだわって読む作品を選ぶ方に、特におすすめです。
「専属」を解除して離れ離れになってしまっていた2人が、また傍にいられるようになったところから最終回が始まります。
創立100周年記念祭に2人で出ることにした良と伯王が遅刻して会場に着くと、なぜかザワザワ。なんと、「専属」の契約を結んだ執事と主のなかから、100年に相応しいと思われる最高のペアに贈られる賞「MVP―モストバリュアブルペアー」に良と伯王が選ばれたというのです。
全校生徒が投票するこの賞で、「専属」を解除していた2人が選ばれ、彼らの頑張りを周りが見ていてくれたことに心が温かくなるシーンです。
さらに良の友人がダンスを躍ることを提案すると、他の生徒たちもそれに賛同の声を上げました。
庵と隼斗が2人を促すと、跪いた伯王が良に「専属」の誓いの言葉を告げます。
「貴女に、私の持てる全てを捧げましょう、お嬢様」(『執事様のお気に入り』21巻より引用)
その後、みんなが思い思いの相手とダンスを楽しんでいるあいだに2人は会場を抜け出し、時計塔へ。
伯王からドレスが似合っていると囁かれた良は、「ただいま」と呟きます。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「二度と離さないから、覚悟しとけ」(『執事様のお気に入り』21巻より引用)
こう返した伯王と良がキスをするシーンは、読者全員がキュンキュンすることを保証します。
そして卒業式になり、仲間たちがそれぞれ自分の道へと踏み出していくなか、2人はどのような選択をするのでしょうか。皆さんの目で確かめてくださいね。
- 著者
- 伊沢玲
- 出版日
- 2015-09-18
「アンコール」は単身パリへ渡った良のところへ伯王が訪れるところから始まります。双星館学園を卒業後、すぐに婚約をした2人でしたが、良は夢を叶えるためにパリに渡りました。
彼女のフランス語が堪能になっていたり、どんなことにも一生懸命で頑張り屋なところは変わっていなかったりと、成長した面と相変わらずなところを同時に楽しめます。離れていても良のことが大好きで堪らない伯王と良の、ラブラブっぷりもたっぷりと堪能することができますよ。
また良の友人の真琴とその執事の仙堂、良の幼馴染の恕矢と紗英ペアの気になるその後なども収録されています。名家である楠家の令嬢とその召使という身分差を越え進展することができたのか、もしかして本作中で1番注目すべき組み合わせはこの4人かもしれませんね。
さらに伯王の家に仕え、「伯王命」と豪語していた庵と隼斗が、伯王離れができているのかどうかにも大注目です!
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- 著者
- ["伊沢玲", "ストーリー構成"]
- 出版日
- 2017-02-20