西原理恵子に学ぶおすすめ漫画・エッセイ5作品!

更新:2017.3.21

高須帝国シリーズで話題の、西原理恵子のエッセイ。アルコール依存症の夫からのDV被害や離婚、実家の莫大な借金など、その人生はまさに過酷です。しかしそんな経験をを乗り越えてきたからこそ、私たち読者を笑わせ、優しく慰め、時には人生そのものを教えてくれます。思わず「姐さーーん!!!」と呼びたくなる肝っ玉の座り具合!今回はそんな彼女の極彩色な世界と、ハートフルさがおり混ざった作品をご紹介します。

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借金、DV被害、離婚…。そんな経験も、西原理恵子にとっては全部ネタ!

西原理恵子は1964年生まれ高知県出身の漫画家です。高須クリニック院長の高須克弥とは2016年現在、事実婚関係にあります。アルコール依存症の実父とギャンブル狂いの義父に育てられ、可愛がられ幸せではあったけれど苦労することが多かったそう。作品もハチャメチャな世界の「無頼派」と優しく語りかけてくる「叙情派」に分かれます。

無頼派漫画家としては1989年『まあじゃんほうろうき』で脚光を浴び、1993年『恨ミシュラン』、1995年『鳥頭紀行』でその世界観を確立しました。ギャンブルや危険な旅行に力いっぱい体当たりする彼女の姿は疑似ジェットコースター。どんどん画面いっぱいになっていく絵や言葉もその危ない中毒性を掻き立てます。

叙情派は映像化作品が多く、2002年『毎日かあさん』、2005年『女の子ものがたり』など代表作が映画・アニメ化されています。これらの作品は画面の使い方が大きく変わり、広々とした風景に心情を表します。だれでも書けそうに見えて西原理恵子にしか出せない郷愁があり、湿度やにおい、光の記憶を共有してくれます。

どちらも彼女の顔であり、そのふり幅に思わず頼りたくなる人間としての厚みを感じるのが彼女の作品です。

原価5000万円の西原理恵子麻雀漫画『まあじゃんほうろうき』

麻雀を全く知らない西原理恵子が麻雀漫画を依頼され、どんどんのめりこんでいく様子を描いた4コマ漫画です。最初はスローにスタートしますがどんどんギャンブルの魔力にとりつかれていきます。癖のありすぎるモンスターたちと高レートの勝負を白熱させ、ほぼ一方的に負け続ける彼女の姿はあっぱれなもの。結局印税も使い、10年間の損失金額を5000万円に膨らませます。そう、これは原価5000万の漫画なのです。
 

著者
西原 理恵子
出版日


この作品でギャンブル熱がヒートアップするように、この後彼女の作品はどんどん自分の持てるものを振り絞り、大安売りで見せつけてくれます。この後に主流になる画面いっぱいの文字も絵も内容も、画力を補ってウリを作るための彼女のサービス精神。この作品は初期のものなので絵もまだ可愛らしく、画面も見やすいもの。初めて彼女の無頼派、サービス精神を読んでみたい方におすすめです。

西原理恵子の叙情派代表作『毎日かあさん』

晩酌しながら絵本を読み聞かせるかあさん、アルコール依存症のとうさん、バカすぎる兄ぶんじと、計算高い妹ぴよ子。そんな背油こってりな家族が炸裂する家族漫画です。物語は実際の西原家をもとにしており、すでに10年以上彼らの様子を描いています。1巻から最新刊まで読むとなんだかおとなりの家族を見ているような愛着がわいてきます。
 

著者
西原 理恵子
出版日
2015-04-10


2008年にダ・ウ゛ィンチ「泣けた本」第1位、2011年に第40回日本漫画家協会賞議院議長賞を受賞していながら、長男の通う小学校がある武蔵野市の市立小学校からは「学校を作品のネタにしないでほしい」とクレームが入っているのだとか。そんな賛否が別れるのもとても彼女らしいと言えます。

しかしこれは家族という普遍的なものを描いた作品で、読めば下品さよりも温かさが本質だと分かるはず。まだギャグ漫画くらいしか分からない子どもにも、生活に疲れ気味のお母さんにも、家族のために頑張るお父さんにも、みんなに読んでほしい作品です。

『毎日かあさん』については<『毎日かあさん』の名言を14巻までネタバレ紹介!母と子と人生に絡む真実!>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。

介護もドロ沼も嫁姑紛争も!『スナックさいばら』

女が3人そろえば姦しい!悩みも愚痴も話せばすっきりできるのが女性ですよね。それでも人には言えないようなディープな話題や口に出すのははばかるような感情はあるもの。そんな処分に困ったご不用品をお持ちの方はスナックさいばらにお越しください!
 

著者
西原 理恵子
出版日
2016-09-22


おせっかいで図々しいんだけど、明るい強気なパワーがある人。面倒くさいと思いながらも笑ってしまう、そんなおばさんがあなたのまわりにも1人はいませんか?現実ではやっぱり面倒くさいとなるものですが、この本はそんなBBA力のいいとこどりをしたものなのです。

貫禄のあるママが「あ~そういうのあるよねぇ」と共感しながら西原節をつけてちょちょいっと気持ちのいい切れ味でまとめてくれます。人生いろいろ女道を歩く女性も、ついてこれる?男性の方も今日はここで飲んで吐きましょう!

どうしてお金を稼ぐの?『この世でいちばん大事な「カネ」の話』

「中学生以上すべての人へ」の人生入門である「よりみちパン!セ」シリーズの西原理恵子編、自伝エッセイです。対象は「中学生以上」とされていますが、お金に困っていたり、最近働く意味を模索し始めたり、はたまた人に言えないお金の稼ぎ方をしてたり、そういう大人になってしまった人たちに染みてくる作品です。
 

著者
西原 理恵子
出版日
2011-06-23


「生まれて初めて触ったお金には、魚のウロコや血がついていたのを覚えている」という西原の原体験から始まり、お金のせいで味わった家族を取り囲む苦労や心労、お金を稼いでから得た自由についてつづっています。

彼女が描く幼少期の記憶はいつも底辺の社会に漂う切なさを伴っています。ネグレクトという言葉もなかった時代の家や子供たちの荒廃感、暴力や借金など同じような病から抜け出せない家族…そんな荒れた田舎町の様子に西原は子供のころから孤独感や怒りを感じています。皮肉ですがそこに彼女の生きる原動力を感じます。自分の力で生きていくということをお金という切り口で描いた、ためになる人生サンプルです。

西原理恵子による高齢ラブコメ『ダーリンは70歳』

これは50歳と70歳のラブラブバカップルのお話です。お相手はご存知高須クリニックの医院長高須克也です。この2人の最強タッグが組まれた作品。もちろん西原流過激下ネタも出てきて、ジジイババアのそんなの見たくない!という人もいるかもしれませんが、そんな考えを圧倒するくらいの面白さがあります。
 

著者
西原 理恵子
出版日
2016-01-20


2人が意識しあうようになったのは西原がホテルで鬱状態の高須を見舞いに行った時のこと。服を脱いでベッドに寝そべる高須の手を西原がそっととります。

「そんなつもりはないっ」と手を振り払われた西原は、「やらせろ 殺すぞゴラァ!!」と本気の蹴りをお見舞いし、逃げ惑う高須を追い回します…。面白すぎます。

行き違うことの多い2人ですが、そこは大人の恋愛。相手を思いやり、理解しあおうとコミュニケーションをとります。「私たちは70歳と50歳で、時間がないから手をつなぐ」そんな過激ででも愛に溢れた高齢ラブコメ。スケールの大きすぎる2人のデートにも注目です。

いかがでしたか?ハチャメチャな常識はずれで下品、そして最高の西原理恵子の作品をご紹介しました。その表層でとどまらず、ぜひ本質である人としての温かさ、可愛さも作品で味わってみてください。やみつきになること間違いなしです!

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