戦う男の子の正統派少年漫画『ブラッククローバー』。ジャンプお約束の友情努力勝利を体現する、剣と魔法のファンタジーです。今回は『ブラッククローバー』好きな方におすすめのファンタジー漫画5作品をご紹介したいと思います。
1000年前、デュデュマという謎の存在によって滅びかけた世界は、魔法(マテリアル・パズル)の力でかろうじて救われました。
辺境のミルホット村に住む御風(ミカゼ)は、村の脅威を取り除くために、現代に生きるという東の絶壁の「不老不死の3人の魔法使い」に助力を求めます。ミカゼが出会った魔法使いはアクアという少女でした。アクア、ティトォ、プリセラら3人の魔法使いは肉体を共有しており、死ぬたびに別の魂に「存在変換」して復活して生き長らえる存在だったのです。
魔法使い達は、大地を滅ぼさんとする「女神」と敵対関係にありました。人里離れて暮らしていた彼らが世の中に出てきたことで、100年前から続く女神との因縁の戦いが激化していくことになります。
- 著者
- 土塚 理弘
- 出版日
- 2002-06-22
本作は2002年から「月刊少年ガンガン」で連載されていた土塚理弘の作品。
話の展開で、3人の主人公が入れ替わりながら進んでいく、という部分に特徴があります。3人はそれぞれ得意な能力が異なっており、それらを駆使するところが魅力。女神の送り込んでくる様々な相手と戦いながら、過去の世界の出来事や彼ら自身についての謎が少しずつ明かされていきます。
本作はその緻密な設定のストーリーが評価されている作品です。作者が中学生時代から暖め続けていたというこの物語。伏線が綿密にちりばめられており、少年漫画らしい熱い展開で魅せながら、読者をどんどん作品世界へ引き込んでいきます。
もう1つ特徴的なのがマテリアル・パズルと呼ばれる魔法能力。タイトルにもなっているマテリアル・パズルとは、自然界のエネルギー(マテリアル・パワーと呼ばれる魔力)を分解し、別なエネルギーに変換する力のことです。例えば炎の魔力を変換して回復や強化を行ったり、飴玉の魔力を破壊力に変化したりといった具合に。
作者によれば、本作は全4章構成の壮大な大河ドラマとのこと。しかし、これまでは第2章までと、第3章の一部「彩光少年」、前日譚に当たるスピンオフ「ゼロクロイツ」が発表されているのみでした。2017年8月、同作者『まんなかのりっくん』にて、第4章「神無き世界の魔法使い」が予告されたことで、10年越しの連載再開に期待がかかっています。
忍者に憧れて日々研鑽を積む高校生、花菱烈火(はなびしれっか)。彼は生まれつき炎を操る特殊な能力を備えていました。
そんな烈火はある日、他人を癒やす能力を持った少女、佐古下柳(さこしたやなぎ)と出会ったのです。異能力を持つ者同士2人は惹かれ、烈火は柳を仕えるべき君主「姫」と思い定めました。
その治癒能力に目を付けられて、裏社会の大物である森光蘭(もりこうらん)に狙われる柳。配下の紅麗(くれい)と暗殺集団に対抗するため、烈火は仲間を集めて戦いを挑んでいきます。
- 著者
- 安西 信行
- 出版日
本作は1995年から「週刊少年サンデー」で連載されていた安西信行の作品。1997年にテレビアニメ化され、サンデー誌上で大好評となった異能バトル漫画です。
異能バトルと言っても、厳密には超常能力を備えているのは主人公とライバル、そしてヒロインだけです。他の者達は「魔導具」と呼ばれるアイテムを使用します。
物語の根底には戦国時代に活動していた忍者集団、火影(ほかげ)忍軍が関わっています。彼らは1世代に1人、炎を操る炎術士を輩出し、頭領に据えていました。そして炎術士でない者達のために生み出されたのが魔導具なのです。
ストーリーは基本的に、王道バトル漫画として烈火をはじめとする主人公達が、森光蘭配下の敵と戦いを繰り広げるというものです。その戦いの中で、魔導具に秘められた意味や、炎術士と烈火の関係、因縁が描かれていきます。
烈火の力は当初こそ、ただ火炎を出すだけの能力でした。しかし、ストーリーが進むと「炎の型」と呼ばれる特殊な形態を身に付けていきます。多種多様な炎の型を自在に使うところが魅力的です。
脇を固める敵味方も個性的。男勝りな風使いの霧沢風子に、力自慢の石島土門(渾名は腐乱犬と書いてフランケン)、クールな激情家の水鏡凍季也(みかがみときや)と主人公を食う勢いの個性派揃いです。ライバルの紅麗も、怪しい魅力で終始物語に関わってきます。
少年漫画の王道を行く痛快アクションがお好きなら、本作がおすすめです。
かつて若き勇者シオン・ブレイダンの活躍によって、人に仇為す悪魔は地獄の門に封印されました。しかし、それから3年後、門の封印は解けて再び悪魔が現れるようになります。
悪魔の魔の手は、主人公トウカ・スコットの住むチェザ村の近くにまでおよんでいました。トウカは自衛のために罠を仕掛けていたのですが、あろうことかその罠にかかったのはシオンでした。哀れ、勇者は死亡してしまいました。
トウカは証拠隠滅を計るも、勇者の仲間で屍術師のアンリ・ヘイズワースに見咎められます。彼女の屍術によって、シオンの死体に精神を憑依させられるトウカ。アンリに脅迫されたトウカは、渋々勇者の体を使って世界を救う旅に出ることに。
- 著者
- スバルイチ
- 出版日
- 2015-05-12
本作は2014年からWebコミックサイト「裏サンデー」およびスマホアプリ「マンガワン」で連載されているスバルイチの作品です。
かつて一度は世界を救った一騎当千の最強勇者……が、あっさり死んでしまうという衝撃の展開で物語は幕を開けます。それも強大な敵の前に屈したなどというものではありません。空腹に耐えかねた挙げ句、罠の匂いに釣られて落とし穴の竹槍で串刺しという、壮絶なのか情けないのかわからない死に様。
原因を作った張本人にして、勇者の代理を務めることになるのがトウカです。悪魔と戦うための魔法の素養もない、しがない農民。おまけにフトモモフェチのムッツリスケベの変態と来ています。というか、本作は敵も味方も変態的なキャラが多く登場します。
トウカのフトモモにかける情熱は尋常ではなく、好みの体型と見るやニーソックスを履かせようとするほど。つまり、そのたびにヒロインのユナなどの際どいカットが描かれるということです。
このようにお色気要素を含んだコメディータッチな作風ですが、単純にギャグ路線が続くわけではありません。敵味方の関係が絡み合っており、その展開には思わず引き込まれるでしょう。当初は情けないトウカも、やがてシオンの肉体を使いこなすようになり、勇者専用武器である聖剣の真価も発揮していきます。
シリアスとコメディーとムッツリが渾然一体となった新感覚ファンタジー。中身がゲスな農民の勇者は世界を救うことが出来るのでしょうか。
魔法が科学の延長線上の産物として体系化されてから1世紀が経過した日本。魔法技能師養成機関である国立魔法大学付属第一高校に、司波達也、深雪の兄妹が入学します。
妹の深雪は将来を嘱望されるエリート「一科生」ですが、兄達也は補欠の扱いの「二科生」でした。達也は座学だけなら新入生でもトップクラスだったのですが、実技重視の学校では彼の才能が認められなかったのです。彼は評価基準外の天性の才能を持ちながら、劣等生の烙印を押されていました。
達也は学校での活動を通して、エリートの象徴である生徒会に認められ、特別な立場へと駆け上っていきます。
- 著者
- きたうみ つな
- 出版日
- 2012-09-10
本作は2012年から「月刊Gファンタジー」で断続的に連載されている佐島勤原作、きたうみつな作画の作品です。元は「小説家になろう」で連載されていたWeb小説でしたが、2011年に電撃文庫レーベルから商業出版されたのを皮切りに、本作を含む複数の小説漫画アニメのメディアミックスが行われました。
漫画化に当たって、本作は大本のイメージを損ねることなく、上手く昇華することに成功しています。原作ではやや難解だった部分が、ビジュアルによってわかりやすく描写されているのです。内容は原作に沿っており、作画のクオリティも高いため、知らない方はもちろん、従来のファンも安心して楽しめる仕上がりとなっています。
本作の魅力は作り込まれた設定にあると言えるでしょう。登場人物それぞれの家柄とその繋がりなど、当初はバラバラに提示される秘密が徐々に明かされていきます。そういった伏線を追いかけるのも楽しみ方の1つです。
そんな設定の中でも、特に謎めいた魅力を持っているのが主人公の達也です。学校での所属こそ下位扱いですが、実際のところその実力は超エリート級。本来の意味での役不足な評価を受けているのは、基準に照らし合わせて評価不能な能力を持っているからなのです。さらに彼には妹の深雪以外知らない秘密があります。
その秘密に根差した力で、達也の驚くべき活躍が本編では描かれていきます。爽快なファンタジーや、ハーレムモノがお好きな方にはうってつけです。
伝承に伝わる竜や人狼などの怪物「異貌のものども」が跋扈する世界。人類は万物の量子を操る術を見つけ、「咒力(じゅりょく)」として操り、化け物と対等に渡り合う方法を手に入れました。
咒力を行使する「咒式士」のガユスと相棒ギギナは、いがみ合いながらも依頼さえあれば竜をも倒す凄腕コンビです。エリダナの街を拠点とする彼らの下へと依頼が舞い込み、事件に発展していきます。そしてその裏側では、大国の陰謀が渦を巻いて、否応なく彼らを飲み込んでいくのでした。
- 著者
- 出版日
- 2017-09-19
本作は2017年からWebコミックサイト「サンデーうぇぶり」で連載されている浅井ラボ原作、ミトガワワタル作画の作品。原作は角川スニーカー文庫、小学館ガガガ文庫等のレーベルで発刊されているライトノベルです。スニーカー文庫版は中断されており、ガガガ文庫でのみ出版が継続されています。
キャッチコピーが「暗黒ライトノベルの始祖にして最終作」となっており、その謳い文句に恥じない強烈なエログロ鬱展開が本作最大の特徴です。青少年を対象としたラノベとは思えないようなストレートな性描写や、人死には当然として、死んでしまう人物と残されたキャラクターの胸を抉るような関係性がありありと描写されます。
他にも目を覆いたくなるような食人などもあり、日本が誇るダークファンタジーの最高峰『ベルセルク』に勝るとも劣らない壮絶な内容となっています。
そして世界観も単なるファンタジーではなく、科学的な要素を交えたSFともファンタジーともつかない独特なものです。攻撃的な咒式を扱う者を特に「攻性咒式士」と呼び、作中ではガユスやギギナ、あるいは敵対する咒式士が多彩な能力の戦闘を繰り広げます。「異貌のものども」が使うのも、基本的には同じ理屈の技術という部分もポイント。
2017年中のテレビアニメ化が告知されていましたが、放送は2018年4月へと延期になりました。この機会に本作を読んで予習をしておくのはいかがでしょうか。
いかがでしたか? 王道からギャグ、そして王道の正反対である邪道のダークファンタジーまで幅広い作品を選びました。きっとあなたの次のお気に入りになる作品がこの中にあることと思います。