教養

ボノボの生態をご紹介!セックスが平和をもたらす?人間に一番近い類人猿

更新:2017.11.9 作成:2017.11.9

ボノボとは、動物とは思えないほど高い知能を持ち、人間以上に平和と秩序を重んじる類人猿です。今回はそんな彼らの生態などをとりあげるとともに、彼らに関するおすすめ本を紹介していきます。

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ボノボとは

ボノボはヒト科チンパンジー属に分類される霊長類。1928年に、生息地であるアフリカでなくヨーロッパで初めて発見されました。主にアフリカのコンゴ民主共和国中西部に生息しており、ワンバ地区などの保護区を除いては、食用として食べられることもあります。

地区開発やたび重なる内戦により生息地が脅かされ、生息数は減少の一途をたどっています。

体は痩せ型。オスの身長は73〜83cmほどで体重は39kg程度です。メスも身長70〜76cmほどで体重も31kg程度。

チンパンジーと一見似ているため比較されることも多いのですが、彼らはチンパンジーに比べて上半身が小さく脳容量も小さいです。赤ちゃんはチンパンジーの赤ちゃんよりもか弱く、長い期間、周囲の助けが必要になります。

小学校低学年の子ども程度の知能を持つといわれている彼らは、長年研究者の間でも注目を集めていて、日本では霊長類学者でボノボ研究が専門の加納隆至のチームが、20年以上にわたりコンゴの赤道州ワンバ地区で直接観察による調査を続けています。

ボノボの生態について

彼らは平和を好む生き物です。チンパンジーと同様餌を取るために道具を使う知能は持ち合わせていますが、周りと争って道具を使うチンパンジーに対して、ボノボは争いを避けるためにあまり道具を使いません。

雑食性で、植物の葉や芽、昆虫や小動物など色々な物を食べますが、仲間同士で争って食べ物を奪い合うことはなく、闘争を好まない動物だと考えられています。仲間を思いやる面も多く見られ、木のツルにからまってしまったボノボを周りの数頭が助けてあげている写真が撮られたこともありました。

野生のボノボは、低地にある熱帯雨林に生息しています。基本的に樹上棲で、寝るときも樹上に寝床を作って休んでいます。四足歩行をすることもありますが、直立二足歩行も得意で、食物を持ちながら数十メートル歩くこともあるそうです。昼行性なので、昼間活動して夜になると休みます。

寿命は野生だとだいたい40年ぐらいです。生後8〜11年には思春期が訪れ、ボノボのメスは14歳ごろ出産をします。授乳期間は4年と比較的長めです。

性的活動が活発なことでも知られており、受精以外の目的で性行為をすることが分かっています。これは、チンパンジーのオスの性交可能期間が月に5日程度なのに対し、ボノボのオスの性交可能期間はその5倍であることに起因しています。

受精以外の目的で性行為をすることは動物のなかでは極めて珍しく、ボノボの高い知能をうかがい知ることができるでしょう。

またストレスに弱く、特に動物園で飼育されているボノボは野生に比べストレスを感じやすいため、毛が抜けてしまう個体が多くみられます。

ボノボは頭がいい?

知能は人間の子どもほどあるといわれています。枝を使ってシロアリをとったり、雨が降れば葉を傘にして逃れたりと、道具を使ってより良い生活環境をつくり上げることもできるのです。チンパンジー同様、積み木で遊んだり、カップを重ねたりする知能遊びも得意としています。

アメリカの研究チームがボノボに言葉を理解させる実験をおこなったところ、実験対象となった2匹は複雑なルールを理解してテレビゲームで遊んだり、人間の声による指示で焚き火でマシュマロを焼いたりしたそうです。

人間の話す言語を理解するだけでなく、特殊なキーボードを使って人間とコミュニケーションをとることも可能で、その結果は研究チームのメンバーを非常に驚かせたといいます。

なぜこんなにも知能が高いのかはまだ研究段階ですが、研究者のなかにはボノボの高い知能と直立二足歩行が関係しているのではないかと考える者もいます。

さらに、直立二足歩行と母親依存のボノボの生態についても関係があるのではないかという意見もあり、これからの研究が注目されるでしょう。

ページをめくる手が止まらなくなりそう!

本書の作者はドゥ・ヴァール。彼は霊長類の社会的知能研究の第一人者で、長年膨大なフィールドワークや実験を積み重ねてきた学者です。

本書はそんな彼が、道徳性の起源についての知見をボノボの生態と重ねながら、興味深くまとめあげた一冊です。

著者
フランス ドゥ・ヴァール
出版日
2014-11-28

一見まったく関係性を持たない「人間の道徳性」と「ボノボの生態」というふたつの事柄。しかし本書では、人間だけが持っていると考えられていた道徳性を彼らの生態にも当てはめています。そして、見事にそのふたつを関連付けて、読者を理解へと導いているのです。

彼らの世界に存在する秩序と道徳性。これを知ることによって、ボノボについての興味が増すだけでなく、人間社会のヒントにも成り得るかもしれません。彼らの社会的行動は、時に人間社会よりも平和と思いやりに満ちていて、私たちが学ばなければいけないことがたくさんあるのです。

作者の知識と経験が惜しげもなく詰め込まれた一冊。ボノボの魅力が文章の端々から漏れ出してくるような、大満足の内容です。

ボノボとチンパンジー、彼らの生態は一体何が違う?

本書はボノボの情報を、よく似ているといわれるチンパンジーと比較しながら分かりやすく解説した一冊です。興味があるけれど、どんな本を手に取ったらよいか分からない人におすすめ。知識ゼロからでも安心の、やさしい解説書です。

著者
江口 絵理
出版日
2008-12-01

とにかくスラスラ読める一冊。チンパンジーとボノボの対比は読者にとって意外な事実も多く、納得したり驚いたりしているうちに、どんどんページが進んでいきます。

たとえばチンパンジーの社会はオス優位で、問題解決は暴力でおこなわれるのだとか。一方で、ボノボの社会はメス優位で、問題は抱擁することで解消しています。平和なボノボの社会が多数の例とともに提示されているので、誰が読んでも納得できる内容だといえるでしょう。

平易な文章で書かれているので、中学生くらいから気軽に読むことができます。小学生でも大人が一緒に読んであげれば内容を問題なく理解することができるでしょう。

ヒトのDNAとほとんど同じであるボノボ。そんな彼らの社会のあり方は、私たちに新しい平和の築き方のヒントを教えてくれるかもしれません。

人間とボノボのハートフルストーリー

本書は、アメリカ人作家エリオット・シュレーファーによる児童書です。シュレーファーはもともと大人向けの小説を書いていましたが、後に児童書作家へ転身。彼の描く臨場感あふれる描写の作品は、子どもだけでなく多くの大人も魅了しています。

著者
エリオット・シュレーファー
出版日
2016-05-20

主人公は14歳の女の子、ソフィーです。父親の住むアメリカから母の住むコンゴへ行き、ボノボの保護センターを経営する母親と一緒に、孤児であるオットーを世話する物語です。コンゴでの内戦は幼いソフィーと母親を引き裂き、ソフィーはオットーとともに懸命に生き延びようとしますが……。

ソフィーと母親の愛情に満ち溢れた関係、一方で親の行方が分からない孤児のボノボ・オットー。本作の面白さは、まさにこの「対比」にあります。

さらに、平和と秩序を好む動物ボノボの世界と、人々が殺しあう無秩序の国コンゴの世界が描かれます。対極に位置する設定をところどころにちりばめることによって、2人が一緒にいることがいかに奇跡的なのかを強調しているようにも感じとれます。

フィクションですが、ボノボ保護の実態やコンゴの内戦の様子などを限りなくリアルに描いた社会派ストーリー。主人公との純粋な絆が琴線に触れること間違いなしです。

いかがでしたでしょうか?今回はボノボについてご紹介し、おすすめ本を3冊ご紹介しました。知れば知るほど引き込まれていくような魅力を持つ生き物です。あなたもぜひこの機会に、彼らの平和な世界に親しんでみてはいかがでしょうか?