週刊少年ジャンプで連載されていた人気漫画『家庭教師ヒットマンREBORN!』。最強の赤ん坊で家庭教師のリボーンと、何をやってもダメダメな生徒・綱吉が繰り広げるバトルコメディー漫画の魅力を紹介します。
何をやってもダメダメな中学生・ツナこと沢田綱吉のもとにある日現れたのは、「家庭教師」を名乗る最強の赤ん坊・リボーン。リボーンの目的は、ツナを「イタリアンマフィア・ボンゴレファミリーの10代目として相応しい人間に育て上げること」です。
運動音痴で勉強もできず、恋愛にも奥手で皆に馬鹿にされていたツナの「平凡な人生」は、突如現れたリボーンの無茶苦茶な「教育」によって終わりを迎えます。
- 著者
- 天野 明
- 出版日
- 2004-10-04
常識外れの非日常に放り込まれたツナのもとには、リボーンのスパルタ教育を始めとしたマフィア関連の厄介事がたくさん舞い込んできます。
ツナに異常なまでの忠誠を見せる獄寺、野球好きでリボーンに「生まれながらの殺し屋」と言われる程の才能を秘めた山本、5歳児でありながらマフィアに属するも中身はてんで生意気な子どものランボ、熱血で極限バカな了平、最強孤高の風紀委員長・雲雀といった個性的な面々がツナの日常に関わってくることになるのです。
リボーンのせいでマフィア関連の抗争に巻き込まれたり、度々命の危機に瀕したりすることに辟易とするツナですが、その一方でツナは、リボーンのおかげで「仲間」という、ダメダメな彼のときには得ることのできなかったものを得て成長していきます。
「家庭教師」のリボーンと「生徒」のツナのふたりを中心とした、ドタバタなコメディーバトル漫画『家庭教師ヒットマンREBORN!』の魅力を、各長編ごとに紹介していきましょう!
リボーンと出会ってからドタバタとしたバイオレンスな非日常を送っていたツナたちに、ある日不穏な影が忍び寄ります。ツナの通う並盛中学校の生徒が次々と襲われる事件が発生したのです。
犯人は隣町の黒曜中学校の制服を身にまとった、マフィアを追放された脱獄囚たち。六道骸という青年を筆頭とする彼らは、ボンゴレ10代目候補であるツナを狙っていました。
リボーンはツナに骸を倒すように指示し、ツナは嫌々ながらも友人である山本や獄寺、獄寺の姉であるビアンキとともに、黒曜へと乗り込んでいきます。
- 著者
- 天野 明
- 出版日
- 2006-02-03
「VS黒曜編」の見所は、ツナやツナの大切な人たちを守るため、多くの仲間がツナを助けてくれるというところです。この時点でのツナはまだ弱く、友人や先輩が傷つけられてさえ、骸たちに腹を立てながらも自分ひとりでは黒曜に殴りこむことすら決心できません。
しかし、命懸けの戦いの中で、ツナは彼のもとに集った仲間たちに勇気づけられ、守られ、助けられることで、成長していきます。もちろんそこにはツナとその仲間たちとを結びつけ、最終的にツナの背中を押すリボーンの存在も欠かせません。
そして何より一番の見所は、今まで「死ぬ気弾」を撃たれパンイチの荒々しい姿となることで窮地を脱してきたツナの戦闘スタイルに、新たに「超(ハイパー)死ぬ気モード」というのが加わったことです。
「VS黒曜編」から本格的にバトル漫画に移行したということもあり、ツナ固有の武器・Xグローブも誕生します。グローブを使う超死ぬ気モードのツナは、普段のダメツナとも死ぬ気モードの猛々しい姿とも違い、冷静に状況を判断し見極める、所謂「イケメン」です。
以降、ツナの主な戦闘スタイルはこの「超死ぬ気モード」にグローブを使用するものとなります。「VS黒曜編」は、ツナの成長の原点ともいうべき長編です。
骸との戦いに勝利したあと、比較的平和な生活を送っていたツナのもとに、ある日死ぬ気の炎を帯びた青年が現れます。彼が持ってきたのは、ボンゴレリングと呼ばれるボンゴレファミリーの至宝でした。
ボンゴレリングを持つ資格を有するのは、ボンゴレのボスとボスを守護する7人の守護者たちです。強大な力を持つそのリングを巡って、ツナではないボンゴレ10代目候補・XANXUSを筆頭とする暗殺部隊・ヴァリアーvsツナが率いるファミリーとのリング争奪戦がスタートします。
- 著者
- 天野 明
- 出版日
- 2006-08-04
「VSヴァリアー編」では、ツナを守護する7人の守護者たちが正式に決定します。これから先の展開ではそのことが重要な意味を持ってくるので、そういった意味でもこの長編は見逃せません。
「VSヴァリアー編」の見所は、ツナやその仲間の目まぐるしい成長です。
もともと日常編や黒曜編で戦闘の才能の片鱗を覗かせていた了平や山本は、修行の成果でその才能を飛躍的に伸ばしました。「最強」の名を冠していた雲雀にいたっては、底無しの強さを見せています。
また、精神面での成長は、特に獄寺に顕著に見られました。今まで自分の命を顧みず無茶ばかりしていた獄寺は、師であるシャマルと敬愛するツナの言葉で、自分の命を大事に扱うようになるのです。
ツナは戦闘面・精神面ともに大きく成長を遂げました。リボーンのスパルタ指導とバジルとの特訓によって、「死ぬ気の炎」を自在に操れるようになり、そのパワーも上がっています。
また、黒曜での戦いでは流されるまま戦いに挑んだところもあるツナですが、「VSヴァリアー編」では、自分の目的の為躊躇なく人を傷つけるXANXUSを止めるべく戦いに臨むのです。
ツナとXANXUSとの戦いで、ツナは初めて仲間の命を背負うことになります。もちろんそこでも守護者たちの力に助けられていますが、守られる一方だったツナが仲間を守る「ボス」として本格的に成長し始めていることがわかる長編です。
現在の自分と10年後の未来の自分を入れ替えることのできる「10年バズーカ」という武器のせいで、ある日リボーンが行方不明になってしまいました。
リボーンを探すツナも10年バズーカによって10年後の世界へと飛ばされ、そこで10年後の未来がとんでもなく危機的状況にあることを知ります。
白蘭という男が率いるミルフィオーレファミリーによってほぼ壊滅状態のボンゴレファミリー。ミルフィオーレの魔の手は、ボンゴレファミリーの関係者であれば一般人にもおよぶのです。
次々と仲間が10年前から危険な未来へとやってきてしまう中、ツナたちはそんな絶望的状況を打破すべく、未来での戦い方を学んでいきます。
- 著者
- 天野 明
- 出版日
- 2007-08-03
「未来編」では、キャラクターの10年後の姿を見ることができます。
見た目ももちろん大人になっていますが、それぞれどこか丸くなっていたり余裕があったり、戦いに慣れていたりと、10年の月日を感じさせる言動が多く見られるのです。
キャラクターの変わったところ、変わっていないところを探しながら読むことで「未来編」をさらに楽しむことができるでしょう。
また、「未来編」でツナたちはリングと匣(ボックス)を使って戦う新たな戦闘スタイルを身につけます。匣兵器は使う人間の個性によって異なり、刀だったりトンファーだったりと固有の武器を匣に収納しているといったイメージです。
武器はカッコ良いデザインで、キャラクターたちの魅力をいっそう引き立てます。動物型の匣兵器にはかわいいものもあり、そういった動物たちとキャラクターとの関係を見てみるのも面白いです。
「未来編」の戦いには、今までマフィアの戦いに巻き込むことを避けていたヒロインの京子やハルといった、ツナたちが守るべき存在があります。
ツナたちは彼女たちと共に無事に平和な過去に帰るべく、白蘭を倒さなければなりません。仲間と支えあいながら共に戦うだけではなく、守りたいもののために戦うツナが見所です。
未来での激闘を経て、ツナが正式に9代目から10代目ボスの座を引き継ぐ継承式が迫ります。そんな中並中に至門中学から集団転校してきた面々は、実はボンゴレと親交のあったシモンファミリーのボスとその守護者でした。
次第に仲良くなるツナたちとシモンファミリーでしたが、継承式当日にシモンはその正体を現します。彼らは迫害の原因となったボンゴレファミリーに復讐すべくやってきたのです。
山本を傷つけられ、クロームをさらわれたツナたちは、シモンファミリーと戦うことを決意します。
- 著者
- 天野 明
- 出版日
- 2010-10-04
「継承式編」の見所は、今までの戦いとは違い、「友人」がツナたちの敵になるというところです。ツナたちはシモンファミリーの面々と、一筋縄ではいかないものの決して悪い関係ではありませんでした。
ツナとシモンのボス・炎真にいたっては気の合う友人とも呼べる間柄にまで進展していました。そんな友人たちと戦わなければならないという状況は、ツナたちにとって初めてのことです。
さらにはシモンも一枚岩ではなく、ある黒幕の存在が炎真たちとツナたちの心をすれ違わせてしまいます。亀裂が入っていく友情に対する、ツナたちの葛藤や苦しさが注目どころです。
シモンとの戦いに臨む際、武器もリニューアルされます。今までのようなリングの形ではなく、守護者それぞれに合ったアクセサリーとなりました。やはりデザインがカッコ良く、心踊るものとなっています。
また、ボンゴレとシモンには初代ボスの頃からの因縁があるため、初代ボンゴレファミリーについて多く言及されるのも「継承式編」の特徴です。今まであまり描かれてこなかった貴重な初代ボンゴレの姿を見ることができます。
リボーンを含めて7人いる最強の赤ん坊・アルコバレーノ。彼らは「鉄の帽子の男」にアルコバレーノにされたのです。
時を経て「鉄の帽子の男」は再びアルコバレーノの前に現れます。彼はアルコバレーノの各々が自分の代わりに戦う代理を立て、戦いを行い、その代理戦争の勝者のみアルコバレーノの呪いを解くことを提案してきました。
リボーンが選んだ代理は、ディーノやツナをはじめとする次期10代目ファミリーでした。他にも、ツナに因縁のある者の多くがアルコバレーノの代理に選ばれ、オールスターの代理戦争が幕を開けます。
- 著者
- 天野 明
- 出版日
- 2011-10-04
「虹の呪い編」の見所は、今までツナたちが戦ってきたほぼすべてのキャラクターたちが集うところです。最強の守護者・雲雀や、骸を筆頭とした黒曜、XANXUS率いるヴァリアー、白蘭とγをリーダーとするミルフィオーレ、シモンファミリー……とにかく本当にすべての人たちが代理戦争に参加しています。
ツナがかつての敵である骸や白蘭と共闘したり、雲雀vsヴァリアーの戦いがあったりとレアで熱い展開が見所です。また、「虹の呪い編」を語る上で欠かせないのは、リボーンとツナの関係の変化です。リボーンは今までの戦いにおいて、どんなに無茶に見えてもツナを送り出してきました。
しかし代理戦争にマフィア界の掟の番人・復讐者が参加することになると、リボーンはツナが戦うことを止めます。今までの戦いは、他の誰に見えなくともリボーンにだけはツナの勝利が見えていましたのです。対復讐者ではツナが勝利するビジョンが見えないと、リボーンはツナに厳しい言葉をかけます。
今までリボーンに言われて渋々命懸けの戦いに身を投じることも少なくなかったツナは、しかしリボーンの反対を押し切って代理戦争で戦うことを宣言しました。リボーンの命がかかった代理戦争に、ツナは自ら参戦する意志を持ったのです。
アルコバレーノとしてろくでもない最期を迎えることを覚悟していたリボーン。しかしぐんと成長したツナを見て、「もっと生きてツナの成長を見たい」という欲が生まれます。
それは家庭教師と生徒というふたりの関係が生み出した信頼の形でした。「虹の呪い編」で、ツナは「リボーンの予想を覆す」というもっとも大きい成長を見せたのです。
「週刊少年ジャンプ」の作品の中でも特におすすめの作品を集めた<歴代ジャンプで本当に面白い漫画おすすめ15選!【完結済みの人気作品】>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
『家庭教師ヒットマンREBORN!』の面白さを各長編ごとに紹介しました。読み進めるごとにツナをはじめとしたキャラクターたちの成長を感じられるので、ぜひ最初から最後まで読んでほしいです!