『よつばと!』好きにおすすめの漫画5選!

更新:2021.11.11

いつまでも終わって欲しくない宝石のような日々。新鮮で楽しかった毎日、皆さんにも覚えがあるのではないでしょうか。今回はそんな素敵な日常を追体験出来るおすすめ漫画5作品をご紹介したいと思います。

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ほんわか原色の日常

明河原(あけがわら)家の家族や、友人達の送るほのぼのとした日々。

自宅で、学校で、お店で。色褪せて見える日常も、彼らがいれば色鮮やかに輝きます。なんでもない場所の出来事が、いつでも楽しい一時なのです。

著者
セイ
出版日
2015-10-10

本作は2013年からWeb漫画サイト「comico」および同スマホアプリで連載されているセイの作品。マイペースな天然女子高生、明河原家長女マヨを中心とした日常コメディです。

明河原家は、過保護な父ごろはちとお茶目な母ゆりえ、しっかり者のオタク兄のタクオに無口な弟ほのめ。そこにマヨを加えた愉快な5人家族となっています。それぞれが個性的で、基本的に明るいボケ気質。その性格ゆえに兄がツッコミ役になりがちですが、彼もまた妙なところで抜けています。

ご飯を作ったり、食卓を囲んだり、ゲームをしたり、友達と出かけたり。あるいは友達が泊まりに来ることもあります。当たり前の日常をおかしく過ごすスパイスのように、そこで頻繁に愉快なトラブルが起こるのです。

日常コメディでくすりとしつつ、癒やしや感動が挟まれてきます。受け手と作り手が交互に描かれる「福引きの回」は感動必至。笑いあり、涙ありの日常家族コメディです。

少女とリクガメが「てつがく」する日常

リクガメのプラトンは飼い主の元絵本作家の青年と共に、彼の故郷に引っ越してきました。1番近い隣家に住む倉手空(くらてそら)は、なぜかプラトンと意思疎通が出来る女の子。プラトンはこの少女を敬愛する哲学者ソクラテスと勘違いして、彼女を「先生」と呼び慕います。

ソクラテスこと空と過ごすプラトンの理想郷、田舎の「ギリシャ」には毎日が哲学でいっぱいです。

著者
たなかのか
出版日
2011-09-10

本作は2011年から「月刊コミックブレイド」およびWebコミックサイト「MAGCOMI」などで連載されていたたなかのかの作品。なぜか言葉が通じる少女とリクガメの、ちょっと哲学的な日常ファンタジーです。

物語の発端は、空の自己紹介「そ・ら・で・す」をソクラテスと聞き違えたプラトンの勘違いなのですが、そのくだりが哲学的なのがお見事。

ギリシャリクガメという種のプラトンは、ギリシャに強い憧れを抱いていました。狭苦しい都会と違って、開放的で自然溢れる田舎は彼にとって夢に描いた理想郷。さらに尊敬するソクラテス(=空)がいるのなら、そこは間違いなくギリシャである! ……と、冷静に見れば破綻していますが、一応は哲学的思考法「帰納法」が成立しているのです。

ともあれ、こうして少女とリクガメの哲学の日々が始まりました。世界の小さな片隅で、小さな発見、小さな哲学をする彼らの姿は微笑ましくもあり、眩しくもあります。ありふれた日常から、新しい発見をする視点は彼らが真に純粋だからこそなのです。

哲学というと思わず身構えてしまいますが、小難しい理屈はありません。少女と小動物が得る哲学は柔らかくて優しいものばかりです。空の言葉や、作品中に引用される哲学者の名言がその柔らかいものに形を与えます。

毎日の生活が凝り固まった人にこそおすすめしたい作品です。自然体の哲学に触れてみませんか?

子ども達の自然探訪in東京近郊!

東京の西の端、都心から電車で90分ほどの場所に、都内でありながら豊かな自然のあきる野市はありました。そこに住む売れない漫画家「とうたん」の一家は、長女の紬(つむぎ)、次女の百葉(ももは)、三女の凜、そしてマイペースな母「かあたん」の5人家族です。

ほぼ実話で綴られる、東京近郊の田舎暮らし。遊びたい盛りの娘にせがまれて、今日も一家は自然の中へ繰り出していきます。

著者
関口太郎
出版日
2016-12-03

本作は2016年から「ヤングエース」で連載されていた関口太郎の作品。

タイトルの「のらぼう」とは作品の舞台となっている土地の春の名産品、のらぼう菜のこと。漢字では「野良坊」と書き、自然に親しむ子どもが出てくる本作には、ぴったりのイメージではないでしょうか。

とうたん家の子どもは全員が女の子で、みんなそれぞれが個性的です。

紬は中学1年生で、昭和漫画を愛するマイペースなメガネ女子。小学4年生の百葉は腕白なのに甘えん坊というアグレッシブなキャラ。末っ子の凜は保育園生とあって一番目が離せません。幼児特有の学習能力の高さで、上のお姉ちゃんに出来ないPCやスマホの操作をすることも。

一家は何かと口実を見つけては、田舎の立地を活かした楽しみを見つけていきます。川釣りやバーベキュー、山登りに山菜採り。紬はお年頃のせいか出不精なのか、いつも外出には消極的ですが、いったん出てしまえばちゃんと妹達の面倒を見るお姉ちゃん。腕白な百葉と何を見ても新鮮な凜は、いつも何かに挑戦して感動を与えてくれます。

そんな日々大きくなっていく子ども達の姿は、とうたんにとって一瞬一瞬がかけがえのない大事な思い出。父親心に心情を重ねると、思わず感激のもらい涙をしてしまうかも知れません。

他にもとうたんが披露してくれる田舎ならではの手料理や、かあたんの安心出来る腕前。時々訪れる猟師見習いの青年がくれる獣肉のジビエなど、美味しい見所も満載です。Webコミックサイト「ComicWalker」にも掲載されていますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。

五島の自然が孤高の天才青年を変人へと変えていく……!?

新進気鋭の書道家半田清舟は、ある受賞パーティで暴行事件を起こしてしまいます。それは自作を酷評されたことに腹を立てたためでした。半田は謹慎処分の名目で長崎の五島へ送り出されて、自己を見つめ直す機会を与えられました。

五島は何もない不便な田舎でしたが、自然だけは溢れていました。そこで琴石なるという少女が半田に懐いたことをきっかけに、彼は大らかで親身な島民達と交流していきます。

最初は戸惑うばかりでしたが、次第に順応していき、半田はたくましく変貌していくのです。

著者
ヨシノ サツキ
出版日
2009-07-22

本作は2008年から「ガンガンパワード」で連載されているヨシノサツキの作品。荒んだ青年と純真な少女の島生活を描いたハートフルな漫画です。スピンオフに『はんだくん』という作品があり、そちらは半田の高校時代に注目したギャグコメディとなっています。

主人公の半田清舟は、他人と距離を置きたがる孤高の天才書道家です。肉体的には大人ですが、精神的には未熟。若くして期待がかけられてきたせいか、型にはまってしまって柔軟性にかけた人物です。

そこで人間的にも展開的にも、半田をぐいぐい牽引するのがもう1人の主人公である琴石なる。元気が服を着て駆け回っているような7歳です。この自由奔放な野生児が、半田の生活をしっちゃかめっちゃかに引っかき回して、彼の内面に大きな変化をもたらしていきます。

東京とは違って、田舎暮らしでは人付き合いが肝心。支え合いの精神がなければ立ち行きません。なるを介した島民との付き合いを経て、半田は温かな人間性に触れます。本当の人間の生活がそこにはあったのです。

なるの奇行や半田の失敗を笑う、田舎暮らしの日常コメディ。自然に囲まれた人々の交流に、こちらまで心が温まられる物語です。

サイレント・ハイスクールガール・コメディ!

気分屋で天然の富戸もも子、真面目なメガネっ子の渋沢しぶ美、方言に特徴のある大人しい古井まゆみは仲良しの女子高生です。3人の過ごす日常はとても普通で、それでいてちょっとしたハプニングの起こる、ささやかな幸せに満ちています。

天下の女子高生の喜怒哀楽に言葉は不要。見ているだけで全て伝わる、掟破りのサイレント・コメディ!

著者
若井 ケン
出版日
2014-04-10

本作は2013年からWebコミックサイト「Webコミックアクション」で連載されている岩井ケンの作品。

サイレントを謳うだけあって、本作には明確な台詞が一切出てきません。しかし、感情表現豊かな女の子達のおかげで、彼女らが何を考え、何を思っているのかは一目瞭然です。表情以外にも身振り手振りや、背景に映った小道具を捉えることで、何をしたいのかが言葉以上に如実に語られます。

登場するのは現代の女子高生で見た目もそうなのですが、その行動はどこか古めかしく、年齢より幼く見える素朴さを感じるでしょう。台詞を一切排除したコンセプトから、読者に対して幅広く共感を得られるようにしているのだと思われます。しかしそれがわざとらしくありません。

思い付いたら即行動の残念女子もも子や、彼女を窘める委員長気質のしぶ美、振り回されるまゆみの関係はとても自然です。無防備な微笑ましさが目立つ反面、彼女達が時折見せる女らしさには思わずハッとさせられます。

女子高生の純粋さが抽出された、極限までの雰囲気重視漫画。見かけの台詞はありませんが、きっと読み手の数だけ無限に言葉が詰まっている名作です。

いかがでしたか? 今回ご紹介した作品を読んだ後は、見慣れた風景もどこか違った風に感じるようになるでしょう。疲れた日々の一服の清涼剤にぜひ。

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