カワウソを「飼ってみたい!」と思った経験はありませんか?実はとても人懐っこく、条件さえ揃えばペットとして飼うことができるんです。今回はカワウソの飼育方法やおすすめ本を紹介していきます。
カワウソはネコ目イタチ科カワウソ亜科に属する哺乳類です。かつては日本でも、北海道から九州まで「ニホンカワウソ」が生息していましたが、生きた姿が目撃されたのは1979年が最後。2012年に絶滅種に指定されました。世界では南極・オーストラリア・ニュージーランドを除く、世界全域の水辺や海上で生息しています。
誕生したのは今から200万年以上前の新生代第三期末。その長い歴史は「生きる化石」と呼ばれるほどです。
体長は40センチ~65センチ。体重は3キロ~6キロほどです。野生の場合は陸の木の下に穴を掘って巣をつくり、泳ぎが得意なので水中にも長時間滞在しています。
2歳ごろから繁殖ができるようになり、1年に1回、子どもを2、3頭生みます。赤ちゃんは1年ほど親と生活をともにし、生きていくためのスキルを学んでいくのです。
体の特徴は、細長い胴体に、平べったく長い尻尾。耳・目・鼻が一直線に並んでいるため、水に潜りながら顔だけ水面に出して、外の様子を観察することができるのです。
体を覆う毛は硬く、水をはじきやすくなっているので、長い時間水中にいても体温を奪われることなく体を守ることができます。
カワウソは自宅で飼うことも可能です。その場合は次の物を用意しましょう。
●ケージ
室内で放し飼いをすることも可能ですが、飼い主の外出中などに事故が起きることを防ぐために、ケージは必要です。ペットショップで売っている猫や小型犬用のもので対応でき、大きければ大きいほど、カワウソが感じるストレスは少なくなります。
また、ケージの中に高さ30センチほどの巣箱も用意してあげるとよいでしょう。外の環境から隠れることができ、ストレス対策になります。
●水浴び用の容器
多くの時間を水中ですごす動物なので、水浴びは毎日しないとストレスが溜まり、病気にかかりやすくなってしまいます。水遊びができる容器は必需品です。
●トイレ
他の動物と共通のペット用のトイレで代用できます。トイレの場所をきちんと覚えることができるので、ケージの中に設置しても部屋の隅に設置してもかまいません。
彼らは体が大きいため、食べる量も多く、排泄量も多いです。トイレはしっかり覚えさせるようにしましょう。
●おもちゃ
活発な性格の動物なので、おもちゃがあるとストレス対策になります。ペットショップに売っている動物用のおもちゃを与えてあげましょう。
野生のカワウソは、岩を滑り台に見立てて遊ぶこともあります。知能が高い動物なので、おもちゃを与えてあげれば自分なりに楽しく遊ぶことができるはずです。
カワウソは非常に人懐っこい性格です。好奇心旺盛で甘えん坊、社交性が非常に高いことでも知られています。
●値段
ただ、非常に高価な動物です。ワシントン条約で保護されているため、輸入の手続きなどに長い時間がかかり、日本のペットショップでの取り扱いはほとんどありません。そのため値段は、1頭60万円から100万円と高額になっています。
●餌
野生のカワウソは肉食で、エビや魚などの魚介類を捕まえて食べることもあれば、時には鳥を食べることもあります。自宅で飼う場合には、これらの生き物に加えてキャットフードやフェレットフードを餌として与えることも可能です。
体重の15%程度の量が必要ですが、固体差もあるので、様子を見ながらあげてください。
習性として、餌をわざと少し残して縄張りに残しておくことがあります。歯はとても丈夫で発達しているので、堅い甲殻類などもかみ砕くことができるでしょう。
●病気
健康のために気を付けなければいけないのは、ストレスと寄生虫です。ストレスは水浴びをこまめにさせてあげたり、おもちゃを与えてあげたりすることで防げます。
生きた魚介類を餌としてあげる時に寄生虫への注意が必要です。心配な時は、餌を1度冷凍すると寄生虫を死滅させることができます。
カワウソを診てくれる動物病院は限られているので、何かあった時のために、飼う前に病院の情報もチェックしておきましょう。
本書は、動物園では見ることのできない姿を写真で紹介した一冊です。つぶらな瞳に可愛らしい動き……とっておきの瞬間がぎゅっと詰め込まれています。
- 著者
- 佐藤 淳一
- 出版日
- 2010-03-24
写真のほとんどはユーモアたっぷりのコメント付き。そのコメントと写真が何とも言えずマッチしていて、ついつい笑みがこぼれてしまいます。癒されるだけでなく、カワウソ独特のチャーミングな姿が読者に新鮮な楽しさを与えてくれるでしょう。
貴重なビジュアルブックとしての要素に加え、生態を詳しく解説した参考書としての要素も申し分ない内容です。この一冊でかなりの知識を得ることができるでしょう。
日本全国の、カワウソを見ることができる動物園も紹介されています。本書で可愛らしい様子を堪能したら、実際に足を運んでみるのはいかがでしょうか。
本書は、イギリス人作家ヘンリー・ウィリアムスンが、イギリスの美しい自然とそこに暮らすカワウソのタルカの様子を描いた作品です。
その詳細な記録は多くの生物学者などから完璧さを絶賛されており、「傑作」と呼ばれています。
- 著者
- ヘンリー ウィリアムスン
- 出版日
本書の特徴は、なんといっても非常に詳細な描写です。一瞬の間に目に入る風景をあますことなく文章で表現し、風や香りまでも感じることのできるような細やかさで綴られています。
たとえばカワウソのタルカが魚をとらえようとする場面。
「タルカは興奮をおぼえた。一尾の魚を見かけ。あとを追って泳ぎ、捕えようと水にもぐった。速度をあげるために四つの水かきをすべて広げた。そし見よ。タルカは一人前のカワウソのごとく魚にせまっている。それは彼が見た最大の魚であった。タルカは1分間に二百回近く脚を蹴って追ったけれども、1ヤードのところで逃した。彼は怒りの叫び声をあげた。」(『かわうそタルカ』より引用)
淡々と語られる情緒的な文章のなかに、タルカがその命を生き抜く様子がひしひしと感じられる作品です。
2015年3月、三重県伊勢シーパラダイスで「ツメナシカワウソ」の双子の赤ちゃんが誕生しました。
お母さんに育てられ、順調に育っていたかのように思われましたが、3ヶ月後、双子は体長を崩し動けなくなってしまいました。そこで飼育員たちは、日本初の、カワウソの人工哺育を実施することに。
本書には、当時の記録が記されています。
- 著者
- 横山 亜未
- 出版日
- 2017-06-27
小学校3、4年生向けに書かれた児童書です。絵も素朴で可愛らしく、親しみやすいでしょう。文章もシンプルで簡潔に書かれているので、大人の助けがあれば1、2年生でも読むことができます。
日本初の人口哺育は、決して簡単なことではありませんでした。当時双子がどんな困難に直面していたのか、飼育員たちはどんな気持ちで尊い命を守ろうとしていたのかが丁寧に描写されているため、子どもでもその状況をしっかりと理解することができるでしょう。
何しろ日本初の試みなので、本書でしか知ることのできない姿が満載です。読後はほんのり優しい気持ちが読者の心を満たしてくれますよ。
いかがでしたか?今回はカワウソの生態や飼い方について紹介し、参考になる本を3冊ピックアップしてみました。最後までお読みいただきありがとうございました。