わかんなくてもOK? 視覚で楽しむ本

わかんなくてもOK? 視覚で楽しむ本

更新:2021.11.11

大学生の頃、学芸員資格取得の一環で(基本的にはマイノリティに属しがちな私としては珍しく学生のご多分に漏れず怠惰だったため結局資格は取れなかったが)、博物館でのグッズを考えてみようという授業があった。

2013年夏、西千葉駅前整骨院でバンド結成。Dinosaur Jr.とThe Strokesが恋人同士になったような、そこから紆余曲折を経てThe LibertinesとHappy Mondaysが飲み友になってしまったかのような、まるで、ビバリーヒルズ青春白書的な、なんでもありなニューオルタナティブサウンドを特徴とする。 シャンプーをしながら無意識で口ずさむぐらい、曲がポップ。そして、正統派ソングライターの橋本の歌詞はぐっとくるばかりか、歌詞内のさりげない小ネタにも知的センスを感じてしまう。 2014年上旬から数々のオーディションに入賞し、UK.PROJECT主催のオーディションにて、応募総数約1000組の中から見事最優秀アーティストに選出され、同年12月10日にUK.PROJECTから2曲入り8cmシングルをリリース。2015年3月18日にファーストミニアルバム『olutta』をリリースし、FX2015、VIVA LA ROCK2015、MUSIC CITY TENJIN2015への出演を果たす。同年12月18日にはシングル『TVHBD/メリールウ』をライブ会場と通販のみ限定500枚でリリースしたが、3ヶ月ですべて完売。2016年6月8日にファーストマキシシングル『友達にもどろう』をリリース。同年10月26日にファーストアルバム『ME to ME』をリリースする。 Helsinki Lambda Club HP http://www.helsinkilambdaclub.com
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学術や芸術に関わるものがアカデミックで高尚なものばかりでは……

周りの生徒は少なからずウィットに富んだグッズを考案している中、私はというと5分程度考えた結果“石棒レーザーポインター”なるものを答案用紙にその図解と共に記入して提出した。

男子諸君は一度でも授業で聞いたことがあれば記憶の奥底に眠っているかもしれないが、石棒とは縄文時代に呪術や祭に用いられた磨製石器で、男根を模した形状をしているものである。

私はそのシンプルな図を用紙にでかでかと描き、下手くそな字で「中高生男子に大人気」「先端からレーザーが出る」等と矢印を添えて書いて威厳ある大学教授に提出してさっさと教室を後にした。

後日答案が返却され、評価を見てみるとC評価だった。ツボにフィットしてA-とかの好評価か、ふざけるなと怒ってEの不合格かどちらかと踏んでいたら、まさかのC。そう、クソスベったのである。

なんでこんな話を冒頭にしたのかというと、学術や芸術に関わるものがアカデミックで高尚なものばかりでは疲れるし衰退してしまうのではないかと思うからだ。

勿論すべて根底にはそういった真っ当なものが流れていて然るべきだが、知識の無い者、まだ関心が無い者にも開かれていて、時を経てからでも興味を持つきっかけみたいなものがもっとあればいいなと思う。それは音楽でも本でも同じこと。今回は専門的な話はわからなくても、目で見てすげー! とかやべー! とか楽しめる本を紹介する。小難しい話は全部後回しにしよう。

「でかい」はロマン、「見えない」はセクシー

著者
尼岡 邦夫
出版日
2009-04-01

実は深海魚が大好きだ。魚自体ちっちゃい頃からすごく好きで、家にあった釣り人向けの割りとコアな図鑑を読み込んでいたため、魚の名前は今でもかなり詳しいし、その魚の美味しさランクや「カワハギ、皮はなめして使う」などの特徴も言えたりする。

そんな中でも深海魚って、すごくドキドキする。わかっているだけでもめちゃくちゃ奇妙な生き物とかばかでかい魚とかが存在しているのに、深海のまだ90%以上とかが未探索とか可能性の宝庫過ぎて考えるだけでゾクゾクが止まらない。

誰も知らない海の底で全長1kmの魚が泳いでいたらどうしようとか、別の文明があったらどうしようとか、大人になった今でも時々考える。

この図鑑では深海の構造や深海魚の変わった体の仕組みなど、素人にもわかりやすいところから専門的なところまで深く説明されているが、深海魚のビジュアルを前にして文字を追うのはもどかしい! 名前だけで十分! ということで私自身まだちゃんと読み込んだことがない。

何度ページをめくっても全然博士にはなれていないけれど、情熱だけは絶えず静かに燃えているのである。ただ、深海魚は基本的に地上へ引き上げる時に圧で形が変形してしまうので、元々の形をとどめている写真は少ないのがちょっと残念。

綺麗なままのデメニギスとか、泳いでいるリュウグウノツカイとか、生きているうちに見ることができるようになりますように。

時を旅する写真集

著者
ニック ヤップ(文)
出版日
2007-11-22

優れた写真というのは、今のところ一番のタイムトラベルの方法かもしれない。以前ロバート・キャパの写真展に行った時にも感じたけれど、優れた写真をじっと見ていると、その固定されたはずの風景のその前後の時が動いて見える。抽象的な言い方だけれど。

この写真集は、1960年代の政治、カルチャー、人々の生活などにおける世界の重要な出来事の写真と解説がまとめられたものである。

百聞は一見にしかずとは、実際に見たことに用いられる言葉ではあるが、知らない時代のことをいくら文章で説明されるよりも、その瞬間を切り取った写真を見る方が感覚として知り得る情報は多い気がする。

目を覆いたくなる悲惨な戦争の歴史もあるが、華やかなファッションや人類が初めて宇宙へ行った様子なども同時に楽しめる。加えてこの本は不思議な作りで、英語と日本語と中国語で解説が綴られているので、日本語を確かめながら読めば英語や中国語の勉強もできちゃう優れもの。昔イギリスで買ったものなので、日本で手に入るのかは謎だけれど……。

注:リンクは日本語版


たまには脳みそ溶かしましょう

著者
おほしんたろう
出版日
2015-11-20

おほしんたろうさん、昨年私のバンドのCDのジャケットのイラストを描いて頂いたこともあるのだが、まだ実際にはお会いしたことがないのです。

ただ、メールでのやり取りも律儀だし、仕事が終わったあとでも気にかけてくださって本当に素敵な方なのです。既に大人気なので今更私が紹介するまでもないのだが、そもそもファンだし良い本なので紹介させて頂く。

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  • 本と音楽

    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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