こんにちは。今月はBURNOUT SYNDROMESの熊谷(Gt&Vo)がアルバム制作中につきお休みということで、メンバーの石川(Ba&Cho) 、廣瀬(Dr&Cho)がオススメの一冊を紹介させていただきます!
- 著者
- 甲斐谷 忍
- 出版日
ドラマや映画にもなり一世を風靡した『LIAR GAME』の作者である甲斐谷さんが描く野球漫画です。主人公である渡久地東亜は投手でコントロールはピカイチなのですが、なんと変化球は一切投げられず、ストレートも120~130km/hほどでしかありません。彼の武器は頭脳と天才的な勝負師の才能なのです。兎に角、対戦相手を観察し考えていることを見抜き裏をかき勝利する。その姿には従来の野球漫画では得ることができなかった痛快なカッコよさがあります。
僕は中学高校と奈良のお勉強学校で青春を過ごしたため“頭のよいやつがカッコよい"とどこかで思うようになりました。そんな僕がこの主人公に憧れないわけがなかったのです。
また渡久地は優しい人ではなく、むしろ嫌な奴として描かれておりチームメートや彼に関わる人物に対して冷たいセリフを吐きます。しかしそれらは厳しい言葉に思えても物事の核心をついたものばかりです。「言いづらい言葉ほど言う価値のある言葉だ」ともいいますし、ズバッと言い切ってくれる渡久地の言葉は金言が多くハッとさせられます。
たとえばチームワークについて渡久地はこのように語っています。
「みんなで」なんかじゃねーんだよ。
「俺が」なんだよ。
「俺が」チームを勝たせるんだよ。
他人なんかアテにしちゃダメなのさ。
自分しかいねーんだよ、チームを勝たせられるのは。
他人が失敗したって関係ねーよ。
自分のパワーひとつでチームは勝利するんだから。
「俺がやる」ってもしメンバー全員が思ったら、もの凄いパワーになると思わねーか?
それが真のチームワークじゃねーのかな。
かっこいいですね……きっとこれは野球だけでなく様々な場面で輝く言葉だと思います。
野球が好きな貴方も、野球をまったく知らない貴方もきっと楽しむことのできる、超イレギュラー野球漫画『ONE OUTS』、オススメです。
- 著者
- 雫井 脩介
- 出版日
- 2017-02-10
僕がこの小説に出会ったのは新幹線の構内にある書店でした。新幹線に乗車する直前に階段でツルッと滑り転げ、ポケットに入れていたスマートフォンはカクッと曲がってしまいました。現代っ子にとって一番の暇潰しアイテムを失った僕は憂鬱な気分で書店に入りました。その時に購入した本が、スマートフォンを眺めて過ごす時間よりもワクワク、ハラハラ、ドキドキしたので今回ご紹介させて頂きます。
若手検事である沖野とその上司にあたるベテラン検事の最上。2人は蒲田で発生したとある殺人事件を担当する事になりました。捜査の初動段階から2人は加わり、事件について現場の状況、遺留物、検事ならではの勘を頼りに容疑者を絞っていきます。するとその容疑者リストに松倉という男が浮上してきました。その人物は、最上が23年前に担当した殺人事件の容疑者であり、証拠不十分で立件出来なかった男でした。最上は「今度こそは!」と意気込みながらも周囲には悟られぬよう、松倉を何度も任意聴取して追い詰めていきます。
松倉は時効となった23年前の事件については自分が行ったことを認めましたが、今回の事件についてはなかなか認めようとしません。最上は松倉を聴取で精神的に追い詰めて行く一方、沖野は最上の異常な執着心とそれに屈しない松倉が犯人であることに疑念を抱き始めます。最上が証拠を何とか作り出そうとする中、容疑者として新たな男が浮上してきました。しかもその男は犯人でしか知り得ない情報を飲み屋で語っていたのです。真犯人として有力な情報が見つかっていく一方で最上はある決意を固めていました。ここから小説のタイトルにもある「検察側の罪人」が誕生していきます……。
車内で法を遵守する立場である検察の人間が、自らの正義に従い法を犯し、最後には仲間と対立する怒涛の展開に引き込まれてしまいました。この小説は来年、木村拓哉さんが最上役、二宮和也さんが沖野役という豪華なキャスティングで映画化も決定しています。
続きが気になった方はぜひ、実際に読んでみて下ください!
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。