シーラカンスの謎に迫る!なぜ生きた化石と呼ばれているのか

更新:2021.11.11

生きた化石とも呼ばれるシーラカンスという魚の名前を聞いたことがありますか?今回はその珍しい魚の謎に迫っていきたいと思います。

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生きた化石と呼ばれる魚シーラカンスとは?

シーラカンスとはおよそ4億年前に出現した魚類です。4億年前に出現したものの6500万年前を境に絶滅したと思われていました。しかし1938年南アフリカで生きているシーラカンスが発見されます。3億年以上の時を経て発見されたことは20世紀最大の生物的発見と呼ばれるほど世界中の人たちを驚かせました。

その後シーラカンスはインド洋やスラウェシ島近海でも発見されます。さらに人々を驚かせたのは化石種と現存種の形態がほとんど変わっていなかったことです。白亜紀で絶滅したと思われていたシーラカンスが再び20世紀に人々の前に姿を現したことから、「生きた化石」と呼ばれるようになりました。

そんなシーラカンスは現在ではどこに生息しているのでしょうか?また、なぜ長い年月もの間ほとんど姿を変えずに生き残ることが出来たのでしょうか?

シーラカンスの生息地とは

古代と中生代、シーラカンスは世界中の淡水域、あるいは川に生息していたと考えられており、現在では南アフリカのコロモ諸島、タンザニア沖、インドネシアのスラウェシ島周辺などの世界中の深海に生息しています。

およそ水深200メートル〜700メートルの深海にいると考えられており、深海に棲む魚やイカを食べて暮らしています。また、シーラカンスは海底の生物を食べることもあり、その際は逆立ちをして口で海底をつついて生き物を捕獲します。現在日本の海域でのシーラカンスの存在は確認されていませんが、深海は世界中同じような環境なので日本の深海にもシーラカンスがいる可能性が十分あるのです。

シーラカンスが暮らすコモロ諸島ではシーラカンスはポピュラーな魚。コモロの人々はシーラカンスを「ゴンベッサ」(食えない魚)と呼んでいましたが、のちにシーラカンスが釣ると高く買ってもらえる魚という印象を持たれるようになると「ゴンベッサ」が(幸せを呼ぶ魚)という意味に変化していきました。

シーラカンスはなぜ現代まで生き残れたのか

何億年という時を越えて生き残ることが出来た理由として考えられるのは「安定した環境下で進化の必要がなかったこと」が挙げられます。2013年ネイチャー誌には「地球上には生物が進化する必要がない場所が少ないながらもあり、シーラカンスはそういった環境で生存してきた」という理由が述べられています。また、寿命は103年ほどと非常に長く、生まれた時の姿と103歳の時の姿はほとんど変わらないそうです。

シーラカンスはまるで歩くことができるようなしっかりとした胸ビレと腹ビレを持っています。また他の魚類には見られないような立派な骨と関節を持ち合わせており、魚類から両生類へと進化する過程のままの姿を保っている、とする学者もいます。さらに不思議なのはシーラカンスは魚なのに肺を持っているのです。数百年前は肺を使って生活していたとする学者もいるほど。シーラカンスは世界中の学者を夢中にさせる不思議な生態をしているのです。

ちなみに美味ではありません。日本の魚類学者である末広恭雄が食べたという記録がありますが感想は「味がない。歯ブラシを食べているみたいで水っぽくてまずい」だったそうです。

シーラカンスについてもっと知るためにおすすめの本

ここではシーラカンスについてもっと知るための本を3冊ご紹介します。

基本を押さえるならこの本!

シーラカンスの体の基礎知識から最新の研究結果までを網羅した1冊。最新科学技術を使って明らかにされつつある謎をカラー写真やイラストとともにまとめた初心者にぴったりの本です。

著者
["安部 義孝", "岩田 雅光"]
出版日
2014-07-11

漢字には振り仮名がふってあり、文字も大きくて文章もシンプル。小学生ぐらいの子どもから1人で読み進めることが出来ます。初心者の人がつまずきそうなポイントにはイラストなどか配置されていますので、途中で挫折することなく最後まで興味を持って読み終えることが出来るでしょう。

魚なのに足のような構造のヒレを持つ謎。4億年間ほとんど姿を変えないその不思議な生態。世界で初めてシーラカンスの稚魚の撮影に成功した研究チームの一員である作者、阿部義孝だからこそ伝えることのできる秘話も盛りだくさんです。

シーラカンスを追い求めた人々の物語!

絶滅したと思われていたシーラカンスを追い求めた科学者たちの60年間の記録をドラマッチックに描いたフィクションストーリーです。

著者
サマンサ・ワインバーグ
出版日

本書は実話を描いた本ですが、実にそれがダイナミックに面白おかしく描かれているため、映画を観ているような気持ちでスラスラと読めてしまいます。物語の始まりはイースト・ロンドン博物館の若き女性学芸員であるマージョリーがシーラカンスに出会う章から。臨場感あふれる描写についマージョリーに感情移入して夢中になって読んでしまいます。

さらに物語を魅力的にしているのが、シーラカンスの淡々と生きる姿。4億年の歴史を持ち、さらに魚類から両生類へと進化する途中の形のまま生きている……そんなことは何処吹く風とでも言うように飄々と生きている姿。この姿とシーラカンス研究に夢中になる人々の熱き思いとのコントラストが何とも滑稽で魅力的なのです。

物語の中には日本人も少し登場します。どんな風に日本人が描かれているのか気になる人は、ぜひ本書で確かめてみてください。

深海魚好きにはたまらない一冊!

沼津港深海水族館ーーこの水族館は「深海生物」と「シーラカンス」がテーマの日本でも珍しい水族館です。この水族館で暮らす駿河湾に生息する約100種の深海魚たちを1冊にまとめたのがこの『世界に一つだけの深海水族館』なのです。

著者
出版日
2016-06-15

シーラカンスだけでなく他の深海魚についても詳しく述べられているのが嬉しい1冊。沼津深海水族館では深海魚定食が食べられるというエピソードや、試行錯誤を繰り返して深海魚を世話するエピソードなど貴重なエピソードが集められています。

日本に現存するシーラカンスの全てが展示されている珍しい水族館。そんな水族館に暮らす深海魚たちの写真を見ているだけでも興味が次から次へと湧いてきてページをめくる手が止まらなくなりそうです。本書を読めば沼津深海水族館に行きたくなること間違いなしの1冊です。

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