二択問題の多数派を選ぶと死んでしまうという、むちゃくちゃなデスゲームに挑む少年少女たちの姿を描いた『多数欠』。推理、バトル、特殊能力など、さまざまな要素が交わった読みごたえのある漫画が、スマホのマンガアプリ「GANMA!」で無料で読むことができます。 この記事ではキャラクターの魅力を中心に、作品の面白さをご紹介いたしましょう。
「多数派の回答を選らんだ者たちは死ぬ」という過酷なルールのデスゲームを、頭脳と特殊能力を駆使して制していく少年少女の姿を描いた物語『多数欠』。
本作の魅力を語る上で外せないのが、登場人物と「特権利」です。特権利とは、「特権」と「権利」に分類された特殊能力のこと。666個あるという設定が明かされています。操るのが難しい癖のある能力を巧みに使いこなして相手を翻弄する戦闘シーンは圧巻で、手に汗握るものです。
この記事では、そんな特権利についてご紹介していきましょう。どんな人物がどんな能力で戦うのか、ぜひこの記事を読んで覚えていただけたらと思います。
ちなみに本作はスマホのマンガアプリ「GANMA!」で無料で読めるので、スリル満点のデスゲームをぜひご自身の目でもご覧ください。
人々の平穏な生活は、ある日突然はじまった「多数欠」によって崩壊しました。一気に100万人にまで減った人口。廃墟同然となった東京の街。無法地帯と化してしまったその場所で、「特権利」という特殊能力を持った人物たちがぶつかります。
ゲームの黒幕は「皇帝」と名乗る謎の人物。主人公たちは無事生き残り、皇帝を倒すことができるのか、世界の運命を賭けた戦いの始まりです。
【多数欠の基本ルール】
特定の個人を指定した質問はできず、また2度同じ質問が採用されることはありません。もし参加者からの質問が採用されなかった場合は、皇帝がランダムに質問内容を選びます。一夜に消える参加者は少なくとも生存者の51%。最後の一人に残った人物には「皇帝」と面会する権利が与えられます。
さらに皇帝は「頑張りたい人のためのプレゼント」と称し、「特権」と「権利」という特殊能力を設けました。特権・権利とも取得できるのは一人につき一つまで。一度手に入れたら基本的に交換・変更はできません。特権や権利を持っていた方が有利ではありますが、持っていなくても生き残ることは可能です。
癖のある能力を駆使し、参加者たちはどのようにして生き残っていくのでしょうか。ここからは主要キャラクターの紹介と、それぞれが所持している特権・権利について紹介します。
第1部の主人公、1年A組の成田実篤(なりたさねあつ)。勉強の成績はよい方ではありませんが頭の回転がとても速く、多数欠が開始した時も、誰よりも早くゲームの疑問や辻褄が合わない部分に気づき、真相に最も近い推理を展開した人物です。
人間関系は広く浅くを保ち、誰にでも無難な対応をとることができます。また、「誰かを支える人間になりたい」という願いを持っている実篤は細やかな気配りもでき、周囲の異変にも敏感です。そういった一つ一つの優しさや懐の深さが仲間の信頼を勝ち取り、いつしか皆の心の支えとなる中心人物になりました。
彼が知らず知らずのうちに持っていた特権は、この多数欠の鍵といっても過言ではありません。このゲームを終わらせるために実篤が選んだ、切なくも勇敢な選択を、ぜひ見届けてください。
第1部のヒロイン、1年D組の藤代紗綾(ふじしろさあや)。成績優秀で素行優良を絵に描いたような優等生で、人望の厚さから生徒会の役員も務めていました。ゲームの生き残りがどんどん少なくなっているなかでも、常に周囲を励ますことを忘れなかった心の強い少女です。
彼女は主要人物の中ではほとんどいない、特権も権利も持たない人物です。武器のない状態で、超人的な技を繰り出してくる敵に立ち向かっていく姿はまさに勇敢。さらに頭のよさと理解の速さも使って実篤たちの推理を補足し、的確にサポートしていきます。
ゲーム開始当初から実篤とは協力関係にあり、お互いが心の支えになっていました。どこに裏切り者が潜んでいるのかもわからない中、決して途切れる事のなかった二人の信頼関係には感動させられます。
実篤同様、ゲームの最後に彼女はとても切ない結末を選び、仲間たちを勝利へと導きます。まっすぐな少女の勇姿を見届けてください。
1年C組の神臣(じんおみ)は、普段あまり人と付き合うことをせず、学校ではいつも一人でいる生徒です。ケガをしているのか、目の下の絆創膏がトレードマーク。さらにコテコテの岩手訛りも特徴です。
ゲームが開始した時、一人で学校に残って調べ物をしていたり、銃を持って襲撃してきた須藤(後述)と対峙したはずなのにどういう訳か生きていたりと、不可解な行動が見て取れます。その訳は後に語られる神の過去と、彼が所持している特権に関係があり……。
今まで友達というものを持ったことがなかった神は、自分を仲間だと言ってくれた実篤たちのため、持っている力を駆使して仲間を守ります。主要人物の中では、最も早く「多数欠」のルールに順応した人物だといえるでしょう。
一之瀬龍太(いちのせりゅうた)は実篤の幼馴染であり親友。学校ではいつも二人でふざけ合っており、側にいることが当たり前のような関係でしたが、初めての多数欠の質問が発表された時に死んでしまいます。
しかしその後、多数欠のルールの裏をかいた神の質問で生き返ってからは、強力な特権も手に入れ、頼り甲斐のある存在となりました。もともと運動能力が高く、物語が進むにつれて戦力の要として仲間に貢献します。
幼少期に母を亡くし、孤独だった実篤に「一緒に遊ぼう」と手を差し伸べた之瀬は、優しさと思いやりに溢れた少年です。二人の出会いを描いたエピソードは非常に感動できるものとなっておりますので、ぜひチェックしてみてください。
ゲーム開始後、実篤たちが集まっていた学校で危険な動きを見せた人物がいました。それが須藤良平(すどうりょうへい)です。彼は多数欠によって死んだ警官から銃を拝借し、学校内にいた生徒たちを襲ったのです。
しかし、彼の行動はすべて「皇帝を倒すため」のもの。一見須藤が実篤たちを裏切ったように見えますが、実際は実篤たちの背後に潜む裏切り者の存在にいち早く気づいた人物で、最も危険な橋を渡りながら仲間たちを勝利へと導いたと言えます。
全国トップクラスを誇る頭脳は、最終的にはチームのブレインとなって実篤たちを導きました。常に広い視野を失わず、状況を客観視することで冷静に分析し、仲間を統率できた彼の存在は、実篤たちにとって非常に心強かったことでしょう。
実篤たちの高校の生徒会長、八木橋藤十郎(やぎはしとうじゅうろう)。多数欠のせいで人々が混乱に陥れられた中、街の状況とゲームのルールを誰よりも早く理解した人物です。その後学校の連絡簿を頼りに生きている仲間を集め、落ち着きを取り戻させました。
2度目の質問で自分の死を予測した時も冷静さを失わず、藤代に伝言を託すことでゲームに関する推理を仲間たちに残します。一之瀬などと同じく、神の活躍あって生き返った後は、須藤とともにブレインとして仲間たちを導きました。
八木橋が持つ特権「誘導権(ゆうどうけん)」は、続く第2部にも影響する重要な力です。一度は完結したかに見えた多数欠の悪夢が、今度はどんな形で人々を襲うのか。注目の2部へ突入です。
第1部にて「皇帝」が実篤たちに撃たれた後も、世界が元どおりになったわけではありません。失われた人々は還らず、特権・権利も消滅していません。秩序が崩壊し無法地帯となった世界に残された人類が復興に向かうのか、それとも残された特権・権利を巡って争うのか、進む先は未知です。
真相を知る実篤の仲間たちは、いつかまたくるかもしれない戦いの日に備え「仮の皇帝(以下、現皇帝)」となり、壊れかけた世界を治めていこうと決めたのでした。
しかし1ヶ月後、そんな「偽の皇帝」に気づいた人物が現れます。それが第2部の主人公王野頼音(おおのらいおん)。多数欠が終わった後に無法地帯と化した日本で生きていた少年です。彼の特技は「嘘」。言葉や態度でありとあらゆる嘘を使い分け、数々の危険を掻い潜ってきました。
嘘をつくことと見破ることに長けた頼音が仕掛ける心理戦は高度で、さらに嘘と非常に相性のよい彼が特権を使いこなす姿は非常にかっこいい見どころです。新たに始まった戦いで彼がどんな活躍を見せるのか、注目してください。
頼音の他にも「偽の皇帝」に気づき、さらにその皇帝を殺害して、自分が新たな皇帝として君臨しようとする人物がいました。その人物の名前は如月麻里亜(きさらぎまりあ)。彼女を崇める配下たちからは「女王」と呼ばれています。
鋭い推理力と洞察力の持ち主で幾度も皇帝の座を脅かしますが、もっと恐ろしいのは配下の人間たち。100人以上にもなる特権・権利の持ち主から有力者を選んでは自分の駒とし、現皇帝を追い詰めていくのです。
如月の特権・権利は不明ですが、どうやら特権や権利を自在に操る「術者(いたこ)」の力を所持している可能性が浮上しています。誰かから能力を奪うことも、新たなる能力を授けることも可能だと噂される術者。これなら配下たちがもれなく強力な特権・権利の所持者である事も頷けます。
また、如月には皇帝となって果たしたい何かがあるようです。大半の配下たちは知らない、女王の真の目的とはなんなのか。その意外な理由は物語の後半で明かされます。
女王側の戦闘員として現皇帝側に送り込まれた少年平山義明(ひらやまよしあき)。初めて現れた刺客として、現皇帝側の仲間を一瞬で始末する高い戦闘能力を見せつけました。
しかし平山の目的は女王を新たな皇帝にすることではなく、女王も現皇帝も始末することでした。今以上に世界を崩壊へと導こうとする悪の存在を根絶やしにしようとしていたのです。
「物理固定」は文字通り物体の動きを固定することができる能力で、たとえば突進してくる相手の首を固定すれば、突進の勢いで頭と胴が外れ、即死させることができます。一方「法則固定」は、相手が持つ特性を固定させることができる能力で、味方の特権が失われそうになった時には味方と特権を固定することでそれを阻止しました。
目立った特徴がなく、初見では何がおきたか分かりにくい能力で、すぐには強さを測れないというのも厄介なところ。戦闘に長けた平山が使うからこそさらに恐ろしさを発揮する特権に注目です。
街の廃病院をアジトに、多数欠の生存者狩りをして生き延びていた組織「炎兵羅亜(えんぺらー)」のリーダー深見傭平(ふかみようへい)。ある日女王の手下の睦(むつき)の襲撃で組織を壊滅させられて以来、女王に激しい恨みを持つようになります。
ただ、睦月に襲われたにも関わらず彼が生き延びることができたのは、自分が睦月からうけた攻撃を周囲の仲間に受け渡したからです。つまり仲間を身代わりにして自分一人が生き残ったのでした。
罪のない生存者たちを何人も殺してきた残虐性の持ち主で、いざとなれば仲間まで犠牲にできる極悪人。すでに仲間を捨てた彼に失うものはなく、独りでならいくらでも生き残る手段があります。物語にどんな波乱を巻き起こすのか、目が離せません。
女王、如月に付き従う青年霧島コウ(きりしまこう)。「三権者」と呼ばれる実力者で、女王からは絶対的な信頼を得ています。女王以外に深い仲間意識はなく、怪しい動きを見せた味方は徹底的にマークし、尻尾を出そうものならためらわず始末することができる青年です。
深くかぶった帽子と、異様に袖の長い服装が特徴。三権者の中では最も頭がキレるため、女王側の参謀的な役割も担っています。
他の多数欠参加者が一つの特権、一つの権利しか持てないのに対し、「ある特殊な理由」から霧島だけは複数の特権・権利を使用することができます。この霧島以外に能力を複数利用できる人物はおらず、登場人物の中では事実上最も強い存在です。無敵といっても過言ではない存在に、現皇帝側はどのように太刀打ちするのか、白熱するバトルシーンは必見です。
多数欠の物語は「現皇帝」と「女王」の戦いを描いた2部から、新たな舞台の第3部へと移ります。時間の経過、場所、滅亡しかけた人類の状況などは、現段階(2017年12月)では一切不明です。
主人公の津川虎徹(つがわこてつ)は「練馬台高校」に通う1年生。見るからにやんちゃで、高校では無敵の存在などと言われています。ある日の昼休み、幼馴染の奏斗(後述)とともに学校の外のラーメン屋で昼食を取り、店を出ようとしたところで違和感に襲われます。目の前が真っ暗になったかと思うと、次の瞬間には街は閑散とし、人っ子一人見えなくなってしまったのです。
今出てきたばかりのラーメン屋にすら誰もいない状況を不審に思いながらも、突然鳴った携帯に書かれていた「30分以内に某所へ集合してください」という発信元不明のメッセージを見て、区内の避難訓練か何かだと勘違いした虎徹は導かれるままに指定の場所へと向かいます。そしてそこで、集まった5人の人物と生死を賭けた「多数決」に挑むのです。
多数欠のルールは1部・2部とまったく同じ。二択で答えられる質問で、人数の多い方の回答者が命を落とします。ただ、この時点ではまだ特権・権利などは発表されておらず、虎徹たちは純粋な推理戦で戦うこととなりました。しかし、頭を使うことが得意でない虎徹は周囲の意見に流されるまま。さらに突然始まったゲームを冗談か何かだと勘違いしています。
1部や2部と同じ多数欠がくり広げられるなら、高度な推理戦は免れられません。圧倒的に不利であろう虎徹は、どのようにして試練を乗り越えていくのでしょうか?まだまだ始まったばかりの3部、展開が気になります。
犬飼穢土(いぬかいえど)は虎徹と同じく、無人の世界に迷い込んだ少年です。自称厨二病で、突然はじまった多数欠も一種のデスゲームとして楽しみ始めます。また、虎徹のことを善人だと判断し、ゲームに勝てるよう協力を要請しました。
所作の一つ一つが厨二病のそれで、虎徹も若干引き気味です。しかし状況を理解する洞察力や、相手の裏をかく推理力は本物で、自分が多数側に回ることで意図的に虎徹をゲームに勝利させました。
しかし多数派に待つのは死で、ルールにのっとれば穢土はここで死んでしまいます。「虎徹を助けるため」だと本人は言いますが、真意ははっきりとしません。彼は何者で、なぜ自らが負けてまで虎徹を救ったのか。さっそく現れた謎の人物の動向から目が離せません。
虎徹には桜雷奏斗(さくらいかなと)という幼馴染がいます。太いヘアバンドが特徴のおとなしい少年です。虎徹が無人の世界に迷い込んでしまう直前まで、二人は一緒にラーメンを食べていました。どれほど長い付き合いなのかは詳しく明かされていませんが、「虎徹のことならなんでもわかる」と豪語しており、小さな異変にもすぐに気づくことができます。
多数欠から解放されて意識を取り戻した虎徹は奏斗に「バカみたいな質問だけど、別次元の世界って信じる?」と、ダメ元で質問してみると、奏斗は「信じる」という返事しました。バカな虎徹からそんな質問が出るのは何かがあった証拠、別次元に行ったことを確かめるために自分に質問した、と、奏斗には虎徹の意図が手に取るようにわかっていたのです。
普段は自分から何かに興味を持つことの少ない奏斗は、虎徹のこととなれば進んで知ろうとします。これからはじまるであろう多数欠に、間違いなく奏斗も巻き込まれていくことでしょう。その時奏斗はどんな活躍を見せるのか、親友同士の絆の力が試されます。
虎徹や穢土が迷い込んだ世界には、ある気になる人物の姿がありました。林音音(はやしねね)と名乗る、強い意志を感じさせる瞳が特徴の女の子です。
突然始まった多数欠をテレビ番組の収録か何かだと勘違いする人物がいる中、彼女だけは「このゲームは本物」だと言い切ってみせました。なんと、彼女は過去にも一度多数欠を経験したことがあるというのです。
二度目だということは、頼音たちが活躍した頃の多数欠を経験したと考えられますが、林音音などという少女の名前はありませんでした。ではいったいこの少女は誰なのか、多数欠の何を知っているのか、3部のキーパーソンになるかもしれない謎の少女に注目です。
第1部から始まり、第3部までのストーリー、そして666個あるという能力に、新しい登場人物たちと、どんどん広大になっていく本作。読むほどにますます新たな発見のできる内容となっています。
徐々に絵柄も見やすくなっていき、単行本化の際には書き下ろしまで行われるという力の入れようは、作者の思いの強さも伺えます。その気持ちが筆に乗り、荒っぽいところもあれど、読者の心を惹きつける要因となっているのではないでしょうか。
デスバトルということもあり、青年漫画というジャンルになっているのかもしれませんが、どちらかというと内容的には少年漫画らしい雰囲気があります。なのでそのような作品が読みたいという方におすすめです。
ぜひ能力、推理などさまざまな要素が入り混じったデスバトルの様子をご自身でご覧になってみてはいかがでしょうか?
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