ヤギの目ってどうなってるの?生態から飼い方まで分かる本を紹介

更新:2021.11.12

愛くるしい見た目と意外なほど発達した運動神経。そんなヤギの魅力に取り憑かれる人が最近急増中です。今回は生態から飼い方まで、思う存分紹介してみたいと思います。

ブックカルテ リンク

目が不思議!ヤギの生態の秘密をご紹介

ヤギは世界中に生息しており、種類は数百種類と言われています。乾燥にも強く、粗食にも耐えられ、険しい地形でも生きていけるので世界中の山岳地帯などの厳しい環境に暮らす人々の家畜として重宝されています。

さて、そんなヤギですが目をじっくりとみたことはありますか?

ヤギの目は長方形。普段は地面と平行になるように横を向いています。しかし草を食べるために下を向くと、なんと目が縦向きになるのです。ヤギの長方形の目は広い視野で天敵の肉食動物を発見するのに適しています。目を50度近く回転させることができ、これは人間の目の約10倍の角度です。草を食べるときに目が縦向きに回転するのは、頭を下げても立っている時と同じように広い視野を保てるため。

鹿、ラクダ、羊などの他の草食動物も同じような広い視野を捉えるのに適した目をしています。

また、長方形の目は上から降り注ぐ太陽の光をあまり吸収しないため、日差しの強い環境にも耐えることができます。太陽によって目がくらむことがないので、どんな状況でも天敵を見つけやすくなるのです。

実はヤギには他にも優れた生態があります。続いて、崖を登ってしまう身体能力についてご紹介していきます。

崖を登ってしまう身体能力

野生のヤギには崖を登ってしまうような発達した身体能力が備わっています。蹄は2つに分かれており、外側が固く成長も早く、真ん中は柔らかく柔軟性に優れています。そのため崖や岩場などの足場の悪いところでも蹄が引っかかりやすく登ることができるのです。草食動物であるヤギは崖に登ることで岩に付着した塩分を舐めてミネラルを摂取しています。

特にアフリカに暮らすヌビア・アイベックス、アルプス山脈に暮らすアイベックスは崖に登る姿が多く目撃されており、山岳地帯の厳しい自然環境にも耐えられる優れた身体能力を持ち合わせています。ヤギは一般的に高いところが好きな習性がありますので、塩分の摂取のために崖だけでなく高い木に登ることもあるそうです。

ヤギって飼えるの?

環境適応能力が高いので、雨をしのげる小屋さえあれば家畜やペットとして飼うことができます。

ペットとしてのヤギの魅力は何と言ってもその人懐っこくて甘えん坊な性格。飼い主の後を追いかけて離れないこともあります。価格は8万円〜10万円で健康な体なら寿命は15年ほど。かなり長い時間ペットとして一緒に過ごすことができます。また、犬や猫などの他のペットとの共存も可能。トイレの場所を覚えることができるくらい賢いですので、一般的に持たれているイメージよりも買いやすいと言えるかもしれません。小型なら室内で飼うこともできます。

ペットとして飼われているのは小型のシバヤギやトカラヤギなど。北アフリカ原産のミグミーゴートはミルクの絞れるペットヤギとして日本だけでなく世界中で人気のある種類です。

ヤギのレンタルがあるって本当!?

実はヤギは除草目的のためにレンタルすることもできます。草刈機を使うよりも、雑草をヤギに餌として与えることで燃料の節約をすることができるのです。草刈機を使わないので二酸化炭素の削減もでき、地球に優しいサービスとして利用されています。

ヤギは固めの植物でも食べることができますし、草刈機を利用するには労力を要する急斜面なども問題なく登ることができます。ちなみにレンタル料はヤギ1匹1ヶ月で2万円程。ヤギが1日に食べる草の量は10キロ程です。

ヤギの飼い方が分かる本

ここではヤギの飼い方が分かる本を3冊紹介します。

ヤギに癒されるならコレ!

本書は飼い方を多くの写真を交えて紹介した一冊。ヤギと暮らす毎日とはどんな毎日なのか、飼うときはどんな小屋を用意したら良いのかなど、飼い方のイロハがしっかり網羅されている内容となっています。

著者
平林 美紀
出版日
2017-10-10

内容的な充実度は言うまでもありませんが、とにかく掲載されているヤギの写真が何とも愛くるしいです。カメラをじっと見つめる瞳や、小屋の中で暮らしている様子。「他の家で飼われているヤギがどんな生活をしているのかいてみたい」という願いを叶えてくれるのが本書なのです。写真が豊富で、さらにとても綺麗なので、飼う予定のない人も写真集として眺めているだけで癒しを感じることができること間違いなしでしょう。

高齢ヤギのケアの仕方、世話をする時の注意点、除草作業の際のポイントなど読者の知りたいという思いにしっかり答えてくれる内容です。ヤギの魅力を知ってみたい人や、まだ知らない魅力を探ってみたい人などはぜひ本書を読んでみてください。

人間がヤギになるには?

人間をお休みしてヤギになる、という奇想天外なことに挑戦したのはイギリスのデザイナーであるトウェイツ・トーマス。あまりの斬新なアイデアに彼はふざけているのかと思いきや、彼はいたって真剣。本書はヤギになるにはどうしたら良いのか思考と実験を繰り返したれっきとしたサイエンス・ドキュメントなのです。

著者
トーマス トウェイツ
出版日
2017-10-28

草を食べて生活するために草から栄養を抽出する機械を開発したり、思考を体感するためにドクターストップを振り切り自分の脳で刺激実験を行ったり、ヤギになるための科学的アプローチの記録がユーモラスに描かれています。

誰もが不可能だと決めつけるような企画に挑戦し続けるバカバカしさと、論理的思考により繰り返される化学実験の学問性の対比が非常に面白いです。「馬鹿と天才は紙一重」という言葉はあながち嘘ではないと思わせるような、作者と彼に真剣に協力する科学者たち。本書が2016年にイグネーベル賞を受賞したことからも質の高さを知ることができるでしょう。

果たして彼はヤギになることができたのか。人間の欲求と化学的技術を絶妙に絡め合わせた一読に値する傑作です。

子どもと一緒に読むならコレ!

手紙を食べてしまう黒ヤギ、ハイジに登場する可愛いお友達のヤギ。様々なヤギを取り上げながらヤギとの暮らしや意外な一面を紹介した一冊です。ヤギ汁やヤギのチーズなど日本ではあまり一般的ではないヤギ料理も登場します。

著者
出版日
2000-04-01

優しいタッチの絵が魅力的な絵本ですが、飼育に関する情報は解説書並みに充実しています。子供にヤギについて教えたいときに本書を使うと、物語風の内容に子供の興味もそそられることでしょう。

乳の絞り方や、本当に紙を食べるのか?など大人の素朴な疑問にも答えてくれる一冊。ヤギの絵を眺めながら視覚的に情報を得ることができるので、リラックスした気持ちで子どもと一緒に楽しむことができます。1つ1つの言葉が優しく染み渡る、豊かな世界観の絵本です。

いかがでしたでしょうか?今回はヤギの生態をご紹介し、飼い方が分かる3冊の本をご紹介しました。最後までお読み頂きありがとうございました。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る