お家でワンちゃんを飼っていらっしゃる飼い主の方。もしそのワンちゃんの前世が「織田信長」だったらどうしますか?ここでご紹介する『織田シナモン信長』は、なぜか犬に生まれ変わってしまった信長によるほのぼのペットライフを描いた漫画です。 この記事では、4巻までの魅力と見どころについてご紹介しましょう。ちなみにスマホアプリで無料で読むこともできるので、かっこよくて?可愛い彼らの日常を覗いてみてください。
織田信長に武田信玄、上杉謙信に黒田官兵衛など、歴史にその名を轟かせた偉人たちが現世で生まれ変わったのは、可愛い「犬」。『織田シナモン信長』は、そんなハチャメチャなペットライフを描いた漫画です。
かつては日本の頂点を賭けて争った男たちの、犬になってしまったことによる苦悩と、ちょっとした幸せとは何なのか。この記事では既刊4巻(2017年12月)までの見どころと魅力についてご紹介しましょう。
- 著者
- 目黒川うな
- 出版日
- 2015-12-19
なんと本作が2020年1月よりテレビアニメ化されることが決定しました。2019年9月現在にはキャストも順次発表されており、声優陣たちからのコメントも公開されています。
燃える本能寺の中で、自身の運命を潔く受け入れようとしていた織田信長は、志のために手段を選ばなかった自身のこれまでを振り返り「おそらく来世は犬畜生だ」と自嘲していると、本当に犬に生まれ変わってしまいました。
「天下の織田信長が犬になるだなんて」「来世は犬畜生……、なんてカッコつけて言うんじゃなかった」と、「シナモン」という名前の飼い犬になってしまった信長は後悔の日々を過ごしています。しかし、どうやら犬に生まれ変わったのは彼だけではなかったようで……?
シナモンもとい信長は前世の記憶と、人間と同じ思考能力を持って生まれ変わりましたが、体の機能は完全に犬。話すことも二足歩行もできません。現状への不満を体で表現しようとしても、ただ背中が痒くて転げ回っている犬になってしまいます。
実際犬として生活している信長も、これがもし前世の姿だったならばと想像することがありますが、それはもう悲惨の一言。たとえば散歩風景を「シナモン」から「織田信長」に置き換えるとこうです。
ただの変態ですが、信長はまんざらではない様子。他にも、少女の手から水を飲んだり体を洗われたりなど、犬であれば当たり前の光景がいくつも描かれますが、彼の前世が強面のおじさんだと思うとクスッときてしまうシーンが満載です。
ある日信長は生まれて初めて「ドッグラン」を訪れました。もっとイケている場所を期待していたのに、蓋を開ければ犬の放牧場だったそこにガッカリした信長でしたが、せっかく連れてこられたからには犬らしく振舞っておこうと、こう吠えてみます。
「ワシは信長ぞーーー!」(『織田シナモン信長』1巻から引用)
人間たちには「アオーン」という遠吠えに聞こえていますが、この名前を聞き逃さなかった犬たちがいました。一匹の真っ白でふわふわのポメラニアンが駆け寄ると「その声、信長か⁉」「久しいのう!」と声をかけてきます。誰かと思えば、なんと「武田信玄」だというのです。
さらにそのドッグランには信玄だけでなく、「伊達政宗」「上杉謙信」「今川義元」「黒田官兵衛」など、錚々たる面子が揃っています。思わず信長の口から出た言葉は「まじか」です。
確かに、政宗の右目には眼帯を思わせる黒いブチ模様があり、義元は前世の丸い眉毛を受け継いでいます。ただ正直、信玄、謙信、官兵衛に関してはかなり苦し紛れな部分がありますが、本人たちはこぞって「面影があるだろ!」と主張してきそうです。
日本の歴史に名を刻んだ偉人たちが揃いも揃って犬に生まれ変わってしまったのはなぜなのか、その理由は物語が進む先で明かされるかもしれません。
本作の見どころの一つであるギャグは、ただ面白おかしいだけのものではなく、史実で言い伝えられている豆知識に沿った内容となっています。
たとえば、信長は散歩中にあるものを見つけます。それはシャンプーハット。本来髪を洗う際に泡が目に入らないように被るものですが、その用途を知らない信長から見ればオシャレな「襞襟」です。天草四郎が着ていた服の襟元が想像しやすいかもしれません。
信長は南蛮文化に強い関心を持っており、珍しいものはすぐに欲しがったと言われています。犬になった後もその性格は変わらず、すぐさまシャンプーハットを欲しがり、運良く買ってもらえることになりました。その後、実際に使ってみた信長の切ない表情はぜひお見逃しなく。
また、信長には唯一「現代で犬になってよかった」と思える時がありました。それはおやつの時間です。実際に甘党だったといわれる信長は現代の「すうぃ〜つ」に目がなく、おやつの時間になるとソワソワと落ち着きをなくしてしまいます。ただ、その日出されたおやつはお目当ての甘いものではなく……。そのおやつを渋々食べる信長のしょんぼり具合が可愛いので、ぜひ見てみてください。
春が近づいて外の空気も暖かくなってきました。犬としてはまだ数年しか生きていませんが、前世の記憶から言えば初老を過ぎたおじさんである信長たちは日向ぼっこに夢中です。隙あらば命を狙いあっていたような男たちが、仲良く並んであくびをする風景を見ると、心がほっこりします。
そこへ勢いよく走ってきた一匹の犬は、コーギーに生まれ変わった真田幸村です。久しぶりに姿を見せた彼は、しばらくの間元気がなかったと言います。それは大河ドラマ「真田丸」が最終回を迎えてしまったからで……。
- 著者
- 目黒川うな
- 出版日
- 2017-10-20
信長たちからすれば、毎年誰かしらの偉人がテーマとして取り上げられる「大河ドラマ」は注目のテレビ番組です。ましてや自分が主人公となっている間は、毎週決まった時間にテレビに釘付けになってしまうことでしょう。そして幸村は、自分が主役だった「真田丸」が終わってしまったことにショックを受けてしばらく塞ぎ込んでいたのでした。
「次は西郷隆盛だね」とか「井伊直虎もなかなかよかったね」とか、乱世を生き抜いた本人を知っている彼らがドラマの話をする様子はシュールです。さらに、ドラマと現実を比較して「戦国あるある」のような会話に花を咲かせるところも、和やかで笑えてきます。
さらにそのドッグランに「井伊直虎」が来ているという噂を聞きつけた一向は、さっそくその犬を探しに走ります。そこに待っていた犬とは……?なんだかんだ言いながら犬としての生活を謳歌している姿が微笑ましくなるエピソードです。
- 著者
- 目黒川うな
- 出版日
- 2017-10-20
中身は勇ましく、見た目は可愛い犬たちのほのぼのライフを描いた『織田シナモン信長』。他にはどんな偉人がどんな姿で現世に現れ、愉快な戦国トークを繰り広げてくれるのか、気になる方はぜひ読んでみてください。
いかがでしたか?ペットあるある、歴史あるある満載の楽しい作品となっています。気になる方はぜひ読んでみてください。