漫画『アルボスアニマ』の見所を全巻ネタバレ紹介!

更新:2021.12.2

植物と対話できる異端の能力を持つ、へなちょこ植物採集家の冒険を描いた『アルボスアニマ』。植物への愛と仲間との絆を描いた本作の見どころをご紹介しましょう。

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漫画『アルボスアニマ』の見所を全巻ネタバレ紹介!

もしも植物と話すことができたり、植物が持つ記憶や経験を追体験できたりする力があったとしたら、皆さんはどう思いますか?実生活では不要な能力かもしれませんが、この力を最大限に活用できる職業が「植物採集家」です。

『アルボスアニマ』は、「植物が大好き」という情熱だけで過酷なジャングルにも立ち向かう植物採集家、ノア・レスコットが主人公。彼はこの異能の力を持って生まれたため、15年もの間温室に閉じ込められていたという暗い過去を持っています。

そんなノアと一緒に冒険をしているのが、元海賊で彼の父親の護衛を務めていたラジャード。文字どおり温室育ちのノアは、植物に関する知識は誰にも引けを取りませんが、体力が無いもやしっ子なため、ラジャードが何かにつけて彼のことを守っているのです。

過去に囚われて素直になれないもどかしさや、自分の弱さを自覚しながらも最善を尽くそうとするキャラクターたちの言動が、読者の胸をアツくしてくれますよ!

この記事ではそんな本作の見どころを、各巻の印象的なエピソードとともに紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
 

著者
橋本花鳥
出版日
2015-07-13

 

『アルボスアニマ』で少年は植物と対話し、冒険する!【あらすじ】

『アルボスアニマ』で少年は植物と対話し、冒険する!【あらすじ】
出典:『アルボスアニマ』1巻

19世紀の東南アジアを舞台に、植物採集で名を馳せるレスコット家に生まれた異端の植物採集家、ノアの冒険を描いた本作。

なぜ彼が異端なのかというと、植物の根から記憶を読み取り、経験を共有して対話することができる能力「起源追想」を持っているから。しかし彼はこの力を有していたためにレスコット家から外出を禁じられ、15年間も温室に閉じ込められていました。

そんなノアが、おなじく植物採集を生業にしていた父の死後、その護衛をしていたラジャードと出会うことで、ずっと夢見ていた世界各地の植物を最終する旅に出かけることになるのです。

さらに2人は、故郷の森を「とある植物採集家」に焼かれその復讐を企てている少女、イヴと出会います。彼女との出会いによって、ノアの一族レスコット家とアスカム家の因縁の存在が明らかになるのです。アスカム家はノアの持つ異能の力を欲いていて、ノアたちはその身を狙われることになるのでした……。

温室育ちの植物採集家とロビンフッド少女の出会い【1巻ネタバレ注意】

温室育ちの植物採集家とロビンフッド少女の出会い【1巻ネタバレ注意】
出典:『アルボスアニマ』1巻

舞台は19世紀の東南アジア。ノアたちが乗る船がいきなり海賊に襲われるところから物語が始まります。海賊に採集した植物を捨てられそうになり、いてもたってもいられず隠れていた場所から飛び出してしまったノア。植物を守るためとはいえ、冒頭からさっそく命の危機に瀕してしまいます。

そこに彼の護衛を務めているラジャードが颯爽と登場し、ノアに切りかかろうとしていた海賊たちを瞬く間に片づけてしまいました。

ここまでほんの数ページですが、ノアの植物に対するあふれんばかりの愛情と、同時に彼の貧弱さがうかがえます。その一方ラジャードの人波はずれた身体能力の高さと、ノアを支える護衛としての苦労がうまく表されているのです。

これだけだとノアが非常にヘタレな主人公に見えますが、彼は稀有な能力を授かっています。

「起源追想」と呼ばれる異端の能力は、ノアの一族であるレスコット家の人間にごく稀に有する人間が生まれるもので、彼は有能すぎるため一族の掟に従って15年間も温室に閉じ込められていました。

しかし作中での彼はそんな暗い過去を持っているとは思えないほど明るくふるまうため、魅力的に映ります。そして彼を外敵から守りつつ世話を焼いてくれるラジャードとのコンビは、見ていて少しあぶなかっしいですが、読者をほのぼのとさせてくれるのです。

この2人は「ディーバ商会」から依頼を受けて、植物採集のために世界各地を巡る旅をしています。そんななか、可憐な少女イヴと出会いました。

一見育ちの良さそうなお嬢さまの彼女は、実は弓矢の名手。「ロビンフッド」と渾名されるお尋ね者でした。さらに彼女は故郷を「ある植物採集家」に焼き払われた辛い過去を持っていて、植物採集家に対して強い復讐心を持っていたのです。 

イヴの復讐の相手とは一体誰なのか?復讐は成功するのか?そして植物採集家に敵意を剥き出しにする彼女とノアはどのように関わっていくのか?気になる続きは1巻で確認してみましょう。

 

イヴの復讐は成功するのか?宿敵アスカム登場!【2巻ネタバレ注意】

1巻でノアに助けられたことから、イヴは復讐相手の情報を掴むという名目で彼らの旅に同行することになりました。やっぱりかわいい女の子がレギュラー化したことで、ページが華やかになりますね。

イヴの故郷を火の海にした植物採集家の名は、リンドリー・アスカム。ノアの一族レスコット家と同じく、アスカム家も植物採集家の一族で、レスコットとアスカムは昔から対立してきた因縁の相手であることも明かされました。

さらに、アスカムの名はイヴだけでなくラジャードの過去にも何か関係があるようで、そこにノアの父の死が絡んでいることを匂わせる描写があるだけに、今後の展開が気になります。 
 

リンドリー一行も3人で、ノアたちとそれぞれライバルになるようなキャラクターが存在しているので、彼らの動向から目が離せません。
 

著者
橋本花鳥
出版日
2015-12-12

2巻で最大の見せ場となるのは、リンドリーの急襲を受けてから妙に神経をとがらせているラジャードが、ノアにその理由を聞かれるシーン。

彼らが背中合わせで語りあう姿は、男同士ならではのカッコいい演出で痺れます。

さらに、ラジャードが誰にも言わずにひとりで背負いこんでいる、ノアの父を救えなかった後悔の念も描かれているので注目です。

元海賊ラジャードとノアの本音がぶつかる!【3巻ネタバレ注意】

アスカム家の一行と出会ってから様子がおかしかったラジャードと、彼を気にしつつも何もしてやれなかったノアが、ついに互いの本音をぶちまけて仲たがいしてしまいます。そのきっかけとなる事件を仕掛けたのは、リンドリーの護衛をしている元処刑人のロレンスという人物でした。

彼はアスカムの名を出すことでラジャードをおびき寄せて処理しようとしていて、その狡猾さが悪役としてクールに描かれています。

リンドリ―の護衛を務めるだけあって、ロレンスの戦いの腕も一級品。ラジャードと1対1でやりあう戦闘シーンは緊張感抜群です。

ラジャードがノアにも内緒でひとり戦地に赴く姿は、非常にカッコいいですよ。

著者
橋本花鳥
出版日
2016-12-13

一方のノアも、ラジャードがロレンスを殺すことでまた海賊に戻ってしまうことを止めるため、必死に彼を探します。

お互いが相手のことを思っているのに真逆の行動をとってしまう点が、2人の不器用さを表しているといえるでしょう。

この事件がきっかけとなって、ノア一行は最悪の雰囲気になってしまいました。しかしそんな時に限って大きな案件が舞い込んでくるもので、ディーバ商会からの依頼はノアの父ですら見つけることができなかった幻の花「ロードデンドロン」の捜索という難題だったのです。

果たして彼らは、ノアの父が達成できなかったお題をクリアすることができるのか。そしてノアとラジャードは再び信頼しあうパートナーに戻ることができるのか、見どころです。
 

怒涛の展開!宿敵アスカムとの直接対決【4巻ネタバレ注意】

前巻で、敵からノアを逃がすために囮として捕まってしまったラジャード。さらにノアとイヴは逃げた先に、宿敵リンドリーが接近しているという緊迫の展開です。

運悪くリンドリ―に見つかってしまったノアとイヴの2人。しかしリンドリ―は危害を加えてくることはなく、自分が「起源追想」を持たずに生まれてきたために一族からひどい仕打ちを受けてきた過去を語りました。そして彼は、ノアへの嫉妬や憎悪など劣等感をぶちまけるのです。

「起源追想」を持って生まれたことで15年間温室に閉じ込められていたノアと、「起源追想」を持たなかったことで虐げられてきたリンドリ―。対照的だけど共通している彼らの不幸な過去が印象的なシーンです。
 

著者
橋本花鳥
出版日
2017-06-13

一方、捕まっていたラジャードは、死を覚悟しながらも必死に抵抗してピンチを切り抜けるというアツい展開です。右腕が折れてしまい使えない状態でも、敵をバッタバッタとなぎ倒すその姿は、まさに悪鬼羅刹。

そのまま怒りに任せて敵を殺めようとするも、ノアの「君を海賊に戻したくないんだ」という言葉を思い出し、最後のトドメを刺さないところに2人の絆の強さを感じます。

3人がそれぞれにピンチに陥りつつも必至に抵抗するその姿からは、諦めないことの大切さをあらためて学ぶことができるでしょう。

そして、宿敵リンドリー・アスカムとの直接対決も佳境を迎えます。果たして彼らは決着をつけることができるのでしょうか。

植物採集家という珍しい職業を扱った冒険漫画『アルボスアニマ』。残念ながら世間の認知度はまだ低いですが、魅力的なキャラクターと人間模様に読めば読むほど引き込まれます。植物が好きな人はもちろん、王道の冒険ものが好きな人にもおすすめできる作品なので、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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