ビオトープーーあなたはこの言葉を聞いたことがありますか?実はメダカは水槽で飼う以外の方法で飼育することが出来るのです。今回はこのビオトープでメダカを飼う方法についてご紹介していきます。
ビオトープとはメダカに限らず生物が暮らす自然の環境を人工的に作ること。ドイツ語の生物(ビオ)と場所(トープ)を組み合わせてできた造語です。メダカの場合は本来の生息環境である川がビオトープであり、その環境を作ってあげることでメダカが暮らしやすく健康的な生活を与えてあげることができます。基本的に容器に土と水と植物を入れればビオトープの環境を作ることができるのです。
またビオトープはメダカを飼う人にとってもメリットが大きいです。ビオトープは基本的に水換えの必要がなく、餌も週に1階程度で事足ります。メダカが自然の環境で暮らす姿を身近で観察できるので、メダカにとっても飼い主にとってもメリットの大きい飼育方法だと言えるでしょう。
ビオトープを作るときに必要なのは容器と水と水草などの植物それから土です。容器に土を入れ水で容器を満たし、植物を入れましょう。土と一緒に砂利などを入れてあげるとさらにビオトープに近づきますが、メダカの赤ちゃんがいる場合は赤ちゃんが砂利の間に挟まり死んでしまうことがありますので注意が必要です。
ではそれぞれのビオトープに必要なものについて詳しく説明していきます。
ビオトープ環境を作るには基本的にどんな容器でも問題ありません。栓付きのプランター、火鉢や臼など、メダカが泳ぎ回れるスペースがあれば様々な容器でビオトープを作ることができます。ちなみに1匹のメダカに対して1リットルの水が入る容器がメダカが元気に泳ぎ回れる容量だと言われています。
オススメなのは睡蓮鉢。睡蓮鉢は陶器でできているため保湿性が高く、一定の水温を保つのに適しています。また耐久性も高いため壊れにくく安全です。インターネットでも様々な種類のものが売られており、ファッション性が高いのも特徴です。
ビオトープでメダカを飼うときに容器に入れる代表的な植物に蓮(はす)があります。蓮を睡蓮鉢に植えるときには2種類の方法があります。1つは睡蓮鉢に敷いた土に直接蓮の根を埋める方法です。2つめは別の鉢に蓮を植え、その鉢ごと睡蓮鉢に沈める方法です。この方法は睡蓮鉢の掃除がしやすくビオトープのレイアウトも考えやすいのが特徴。ただ蓮の土のせいでメダカの遊泳環境が狭められてしまうので注意が必要です。
水道水にはカルキという消毒液が入っているため、メダカの飼育に使用する場合はカルキを抜かなければいけません。カルキは日光に2、3日当てると抜くことができます。夏は比較的カルキが多く含まれているので長めに日光に当てた方が良いです。また、日光消毒のように長い時間をかけたくない人はカルキ抜き用の中和剤もあります。中和剤は水道水に入れてまんべんなくかき混ぜることで瞬時にメダカに無害な水を作ることができます。
カルキ抜きの水は3日に1回ぐらい新しいカルキ抜きの水と交換してあげましょう。メダカは水質が大きく頻繁に変わってしまうのを好みませんので、頻繁に変えすぎるのはオススメできません。
土や水草を入れて生息環境と同じような働きを成すまでに2週間ぐらい時間がかかります。ビオトープを作ったばかりの頃は、土にまだ土壌バクテリアが生息していませんのでメダカのフンを分解することができません。ビオトープを作りたての頃は、水替えを忘れないようにするなど注意が必要です。
また、水草には水の浄化作用やメダカのために酸素を作り出す働きがありますが蓮にはあまり浄化作用がありません。蓮の茎は土に埋まっているためそれらの作用があまり期待できないのです。ビオトープには蓮だけでなく浮き草やマツモなどの水草も入れるようにしてください。
最後にメダカを外で飼う場合には天気の変化にも注意が必要です。急な雨が降ってきたり、強風が吹いたりするとメダカが外に流されてしまうことがあります。メダカは水温の変化に弱いので急激に外の気温が変わりそうな時は屋内に入れてあげるなど工夫が必要でしょう。
ここではビオトープを作るときに参考になる本を3冊ご紹介します。
本書は作者がベランダでビオトープを作る様子をわかりやすく伝えた生き物エッセイ漫画です。都会のど真ん中、ベランダという環境で作者がビオトープ作りに奮闘する様子は読んでいてクスッと笑ってしまうようなほのぼのとした面白さに満ちています。
- 著者
- 馬場民雄
- 出版日
- 2017-03-29
作者が育てるのはメダカだけではありません。バラタナゴ、スジシマドジョウ、ヒメダカなど……ありとあらゆる生物のビオトープ飼育に挑戦します。特筆すべきは、様子を淡々と伝えるだけでなく失敗談も正直に綴っているところです。その失敗談から読者は同じ間違いをしないように気をつけることができますし、その失敗を作者がどのように乗り越えたのかも読みどころです。
ビオトープをこれから作ってみようと考えている人は参考になること間違いなしです。作者のディープな趣味の世界を覗きながら楽しくビオトープの作り方を学ぶことができるでしょう。
メダカの飼い方の基本、種類など基礎知識から素敵なビオトープの作り方まで1冊でメダカの飼い方が基礎から応用まで学べる一冊です。しっかり一冊にまとめられているので初心者でも抵抗なく取り組むことができるでしょう。
- 著者
- 出版日
- 2010-04-01
本書は中の絵がなんとも言えず魅力的です。水に浮かぶ水草とソヨソヨと泳ぐメダカ。水の中でキラキラ光るビー玉やガラス玉。まるでそれだけで1枚の絵を見ているようで豊かな気持ちになります。
水槽のレイアウトがきちんとレクチャーされているのは読者には嬉しいポイントでしょう。ビオトープでの飼育に実質的な機能だけでなく見た目のお洒落さも重視する人なら、絶対に役立つこと間違いなしです。メダカを飼っている人は一度は読んでおきたい一冊でしょう。
本書の作者は小林道信。熱帯魚専門の水槽写真家です。本書に掲載されている写真もスタジオに50個以上の水槽を用意して様々な水棲生物を飼育し、ベストな一瞬を写真で捉えた写真の数々。これらの写真を眺めるだけでもこの本を手にいれた価値を実感することができるでしょう。
- 著者
- 小林 道信
- 出版日
- 2009-04-01
日本産のメダカを取り上げ、小規模なビオトープを作るコツを豊富な写真とともに紹介しています。この小規模なビオトープならベランダでの飼育にも屋内の狭いスペースの飼育にも対応できます。色々と応用の効くビオトープの作り方。これは知っておいて損はしないと思います。
値段もお手頃なので手に取りやすいでしょう。作者の職業である水槽写真家は世界でもその数が少なく非常に珍しい職業です。そんな水槽写真家の彼が撮った写真と小規模ビオトープの作り方の数々。一度開けば何度でも楽しめる良書です。
いかがでしたでしょうか?今回はビオトープの作り方やそれに関連する3冊の本をご紹介しました。最後までお読みいただきありがとうございました。