皆さんは「アクアリウム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。水生生物を飼育するための環境づくりは、実は奥が深いのです。今回は、水槽の作り方や金魚の選び方について解説し、おすすめの入門書もあわせてご紹介します。
アクアリウムとは、熱帯魚や観賞魚などの水生生物の飼育設備のこと。水族館のような大型施設を指すこともありますし、家庭にある水槽で魚を飼育する環境のこともアクアリウムということがあります。魚を飼育する環境をレイアウトしたり、アレンジする趣味そのものを指すことも。
また日本では、愛好者のことを「アクアリスト」と呼ぶそうですよ。
何よりの利点は、インテリア性に富んでいて素敵な空間を作る一助となることと、低価格で始めることができること。さらに犬や猫などの飼育と比べて魚は飼い主の手間が少ないため、人気が高まりつつあります。
この記事では、アクアリウムを始めるために準備するものや水草の配置、金魚の飼育、そしておすすめの関連本をご紹介していきます。
アクアリウムを始めるときに必要なのは、以下のとおりです。
「ソイル」という言葉を聞きなれない方も多いかもしれません。アクアリウム専用の丸い形状に焼き固められた土のことで、水槽の底に敷くものです。微生物やバクテリアの育ちやすい環境を作り、細かい泥が水中に舞うのを防止する効果もあります。これは砂や砂利、セラミックや溶岩石などで代用可能です。
また不可欠ではありませんがあった方がよいものとして、下記のものがあげられます。
水槽マットは、水槽を倒れにくくするために下に敷くマットのこと。水質調整剤はカルキ抜きをする薬品です。水質測定キットは水中のアンモニアなど成分を測り、魚の体調管理に役立てることができます。トリミングバサミは水草のカットに使いましょう。
日本で売られている標準的な四角い水槽は、全部で6種類あります。
基本的には飼育する魚の大きさを考慮しつつ、個人の好みでどの大きさの水槽を使用してもOKです。
大きい水槽であれば魚が悠々と泳ぐところを眺めることができますし、多少水が汚れても魚への影響は少ないです。その一方で、重量があり管理が大変というデメリットがあります。
小さい水槽だと、どこにでも気軽に置くことができる代わりに、大きさによっては魚が泳ぎ回ることができず、ストレスを溜めてしまうことがあります。
大きさだけでなく、フレームのある水槽やフレームレスの水槽、瓶のような形のボトル水槽やクリアガラスでできている水槽など素材やデザインも多種多様です。
初心者でどれを買ったらよいかわからない人は、中型の60センチ規格がおすすめ。もっとも市場に出回っているため価格もお手頃ですし、大きすぎず小さすぎず水質の維持などもそこまで難しくありません。
水草の配置は、流木と、アクアリウム用の小石と一緒におこないます。
使用する水草は、バリスネリア、スピラリス、ツーテンプル、クリプトコリネ、アヌビアス、ミクロソリウムなど。水草と一緒に入れる流木にはブランチウッドやホーンウッドなどがあります。
ここでは3種類の配置を紹介していきましょう。
水槽の左右で高低差を出す
もっともシンプルな方法です。水槽を横から見た際に、西遊で傾斜がつくように水草を配置します。ポイントは、高低差をしっかりつけること。
水草が成長して伸びてきたら、ちょうどいい傾斜になるよう調整しましょう。
山のように配置する
水槽の中央が盛り上がるように配置する方法です。もっとも難しい構図といわれていて、水草が少し伸びるたびに小まめな調整が必要です。
同じ緑色をしている水草でも色の違いがあるので、濃いものや薄いものを混ぜて使用すると見栄えがよくなります。
真ん中にくぼみをつける
水槽を横から見た際に真ん中の部分がへこむように配置する方法です。中央のくぼみは大胆につけていきましょう。左右のバランスは6:4の黄金比で。こちらも細やかなケアが必要になります。
ご紹介した3つのように形を作るのが難しくても、流木を置いてその周りに水草を配置するだけで見栄えがよくなります。
飼育する金魚は好みのものを選んでOKですが、さまざまな種類がいるので、ここでは代表的な金魚を紹介していきます。
朱文金
明治時代、出目金と和金の交配によって作られた金魚で、赤色・藍色・黒色のコントラストが綺麗です。価格は1匹2000円程度と少々高額になっていますが、人気が高いです。
らんちゅう
言わずと知れた高級金魚。「金魚の王様」という異名を持っています。江戸時代から飼育されていました。丸みを帯びた背中が特徴で、価格は高いものだと1匹数十万円もします。
出目金
黒い出目金はよく知られていますが、実は3色の出目金も。好みにあわせて選びましょう。目が大きくて飛び出ているので、傷つけないように注意が必要です。
リュウキン
まん丸い形をした金魚で、成魚になると非常に優雅な泳ぎをすることから、観賞用として人気があります。安いものだと1匹500円程度で買うことができますが、模様の綺麗なものだと1匹5000円にもなることがあります。
ピンポンパール
丸々とした体がなんとも可愛らしい金魚。活発な品種と一緒の水槽に入れると喧嘩して負けてしまうので、注意が必要です。
水槽の設置方法、器具の選び方、おしゃれなレイアウトなどを解説した一冊です。
おすすめの水草や観賞用に向いている魚も紹介されているので、この一冊があれば初心者でもアクアリウムが作れてしまいます。
- 著者
- 出版日
- 2013-04-15
作り方は全工程がカラー写真で紹介されています。初心者でも1度目をとおせば同じように作ることができるはず。
また、作者はアクアリウムのプロなので、上級者にとっても読みごたえたっぷりです。ひとつひとつのレイアウトのクオリティが高く、眺めているだけでも美しい世界に惹きつけられてしまいます。
水草水槽の世界を、豊富な漫画や図形で綴った入門書です。
アクアリウムに必要な基礎知識だけでなく、日々のメンテナンスなど作った後もフォローしてくれる、長期的に役立つ一冊でしょう。
- 著者
- タナカカツキ
- 出版日
- 2013-04-05
特筆すべきは、そのセンスの高さです。基礎的な知識ももちろん載っていますが、写真を眺めているだけで美しいアートの世界に入り込むことができます。
また、作者がアクアリウム作成に夢中になっている日々を綴ったエッセイも。読み物としても十分楽しむことができるでしょう。成功も失敗もありのままに書いてありますし、作者の水草水槽への熱い情熱を感じられるはずです。
雑誌「月刊アクアライフ」の人気連載である「水草レイアウト製作ノート」をまとめた一冊。アクアリウムのプロが、その作り方をこれ以上ないほど詳しく解説します。
- 著者
- 出版日
- 2012-09-28
本書の特徴は、質の高い詳細な情報が詰め込まれているところ。皆さんが持っているさまざまな疑問に、本書なら答えてくれるはずです。
一般的によく使われている60センチ規格の水槽についても、詳しく解説がなされています。
また、セットアップしてから1ヶ月が経過した際の写真も豊富に掲載されているので、水草が伸びるとどのような雰囲気になるのかを知ることができます。
いかがでしたでしょうか?今回はアクアリウムについて解説し、入門書としておすすめの本を3冊ご紹介しました。最後までお読み頂きありがとうございました。