ロボットによる宇宙戦争を描いたSF漫画『マジェスティックプリンス』。2013年にアニメ化されましたが、漫画版とは違う内容が放送されました。しかしそこにはある仕掛けが施されていたのです。この記事ではそんな本作の魅力をご紹介していきます。
ロボットを駆使した戦いを描いた、王道SF漫画の『マジェスティックプリンス』。原作は「ガンダム」シリーズなど数々のロボットアニメの制作に携わっている株式会社創通です。
2011年から「月刊ヒーローズ」で漫画連載をはじめるにあたり、構成を綾峰欄人、作画を新島光が担当しています。2013年にはアニメも放送されました。
本作の魅力は、ひと昔前のスポコン漫画のように、とにかくアツいとこと!戦闘シーンももちろん、仲間との強い絆にはいくつになっても心打たれます。さらにストーリー自体はやや複雑な構成をしているので、知らず知らずのうちにしっかりと読み込んでしまうはず。
この記事では、そんな本作の魅力を解説していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 新島 光
- 出版日
- 2012-10-05
グランツェーレ都市学園、そこは人為的な遺伝子操作によって「S(サラブレット)級遺伝子」と呼ばれる優れた遺伝子を持って生まれた者を育成する、特別な学校です。彼らは「ハイモブ」と呼ばれるロボットを用いて、日々戦闘訓練を重ねていました。
機械いじりがと漫画が大好きな少年、ヒタチ・O・イズルも補欠ながら学園へ入学し、さまざまな人物に出会います。
かけがえのない仲間、尊敬すべき教官たちとともに過ごしながら、エースパイロットとなるべく奮闘するのです。
本作は「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」というタイトルでアニメ化されています。しかしこの2つの内容は異なっているのです。アニメ版のあらすじをご紹介しましょう。
地球暦2110年、人類は宇宙への進出を果たしましたが、そこに「ウルガル」と呼ばれる謎の勢力が出現。攻撃を仕掛けられ、地球は滅亡の危機にさらされてしまいます。
そこで地球防衛軍「GDF」は、遺伝子操作によって生み出された戦闘に特化した少年少女5人を、戦いの最前線である木星圏へと送り出しました。彼らは「チームラビッツ」と呼ばれ、「アッシュ」という最新鋭のロボットに乗ってウルガルと戦うのです……。
- 著者
- 新島 光
- 出版日
- 2013-03-05
アニメ版の主な舞台は「宇宙」です。対して漫画の主な舞台は「地球」。敵はどちらも「ウルガル」です。
主人公の名前は、アニメ版がヒタチ・イズルで、漫画版はヒタチ・O・イズルという少年。両者は同一人物ではなく、れっきとした別人なのですが、ここで見える繋がりが本作の重要なカギとなっていきます。
同姓同名のキャラクターは彼だけではありません。イズルの仲間4人も別人物ながら同じ名前をしています。
その一方で、同一人物としてアニメ版と漫画版の双方に出演しているキャラクターもおり、このことから2つは同じ時間軸の同じ世界を舞台にしていることがわかるのです。
はたして、ここに秘められた謎とはなんなのでしょうか。これは漫画版を読むと徐々に明かされていくので、ぜひ皆さんで確認してみてください。
- 著者
- ["綾峰 欄人", "新島 光"]
- 出版日
- 2016-10-05
本作の魅力として第一に挙げられるのが、ロボットのかっこよさです。学園での訓練は基本的に「ハイモブ」と呼ばれる量産機でおこなわれるのですが、実戦は違います。
物語が進むにつれてイズルたちには各人専用機が与えられますが、その専用機のビジュアルやスペックがたまらなくかっこいいのです。
イズルが乗っているのは、「ファヌエル」と呼ばれる戦闘機。まるで天使のような形状をしています。4枚の翼を背中から生やしており、俊敏な動きが可能。また特殊なプラズマコーティングが施されていて、砲撃や爆撃などの影響を受けません。
作中では敵の自爆攻撃を受けたことがあったのですが、立ち上っていた煙が晴れると、ファヌエルはまったくの無傷。その防御力の高さに、「開発者が相当クレイジー」と言われています。
もちろんファヌエル以外の専用機もかっこいいですし、さらには機体だけでなく彼らを用いた戦闘シーンもかっこいいのです!男性読者は確実に心をくすぐられるはず。
こんなロボットたちを制作しているのは、アッシュフォード・クロウという人物です。彼は自らを「天才」と呼び、常人には理解することのできない思惑を抱いていました。
彼が、一介の訓練生でしかないイズルらに専用機を与えた理由とは、いったい何なのでしょうか。
- 著者
- ["綾峰 欄人", "新島 光"]
- 出版日
- 2017-04-05
本作の魅力としてもうひとつ欠かせないのが、主人公のイズルと仲間たちのアツい絆です。彼は学園でケイ、アタル、タマキ、シュメリアという4人とチームを組み、共同生活を義務付けられるのですが、当初はまるで息があいません。
入学試験をトップの成績で通過したもののプライドが高すぎるケイ、ムードメーカーでお調子者のアタル、俊敏な動きをするもののかなりマイペースで天然のタマキ、感情を表に出さず常識に疎いシュメリア……非常に個性豊かな面々です。
またイズル自身も、学園のエースパイロットであるアサギ・K・トシカズと同一の遺伝子から創られているにも関わらず、試験は最下位の補欠通過という落ちこぼれなのです。
5人のリーダーを務めるのは、成績トップのケイ。彼女は自身の理想とはほど遠い現状に不満を抱き、また妙な責任感から、学園トップのアサギに単独で決闘を申し込みます。
しかしアサギの力は凄まじく、ケイは手も足も出せずに敗北。これをきっかけに彼女は自身をなくし、学園を去ろうと寮を飛び出してしまいました。
そんな彼女を、チームの4人は必死に探し、なんとか説得するのです。そこへ野生の熊が現れて……。
いくら特殊な「S級遺伝子」を持つ彼らも、素手で熊に対抗することはできません。絶体絶命のピンチに陥りますが、ここで彼らは今までバラバラだった手をひとつに合わせ、なんとか撃退に成功するのです。
以来5人は「チーム」というものを強く意識するようになり、互いの心の距離を縮めていきました。
ゴーストが放った学習機能を持つ敵機「キューブ」を前に苦戦するイズルとアサギ。そこにケイの「ラツィエル」、そして同じく新型機「ジェレミエル」と「ガブリエル」に搭乗したアタルとシュメリアが加勢に来ました。
さらにはアサギにも新型機「アザゼル」が到着し、防戦から一転し、次々とキューブを破壊していきます。
しかし、ゴーストの真の目的は地球にあり、宇宙での攻防は囮にすぎなかったのです。ステルス機能によって、ハウン伯爵率いるゴーストの要塞は、イズルたちを置き去りにして地球へと向かいます。
そして、ゴーストの砲撃を見舞われた地球では緊急警報が発令。そんななか、ひとり地球に残っていたタマキが動き出すのでした。
- 著者
- 新島光 綾峰欄人
- 出版日
- 2017-12-29
ついに新型機「アッシュ」が勢揃いしました。どれもがイズルのファヌエルに劣らないカッコよさで、非常に男心がくすぐられるフォルムをしています。天使の名を冠した機体だけはあり、神々しさを秘めているのです。
また、今回は仲間との絆が強く描かれており、本作の醍醐味がこれでもかと詰め込まれたお話となっています。今までひとりで戦おうとしていたアサギを輪に加え、一層心強いチームとなったのです。
しかし、ここにはまだタマキがいません。ひとり地球に残った彼女は何を思っているのか。新型機のみならず、パイロットの心情にも注目していきましょう。
- 著者
- 新島光 綾峰欄人
- 出版日
- 2017-12-29
漫画版とアニメ版で異なる物語が描かれる『マジェスティックプリンス』。興味をもっていただけましたか?かっこいいロボットを用いた戦闘と仲間の絆に、きっと夢中になってしまうはずです。
あわせてアニメ版の「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」を見れば、さらに面白さが増すのではないでしょうか。