「くまのプーさん」に新しい仲間が登場。伝統を継ぐ「完璧な新キャラ」の正体

更新:2021.12.13

くまのプーさん生誕90周年を記念して、100エーカーの森を舞台にした、春夏秋冬の4つの物語からなる公式続編『クマのプー 世界一のクマのお話』が出版された。新キャラクター登場のきっかけは作者が残した写真だった。

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クマのプー 世界一のクマのお話

A・A・ミルンの児童小説『くまのプーさん』出版90年周年を祝い、プーさんの世界に新キャラクターが登場する。クリストファー・ロビン少年と仲間たち――プー、ピグレット、イーヨー、オウル、ラビット、カンガ、ルー、ティガー――の新しい友だちは、なんと、ペンギン。著者と息子のクリストファー・ロビン・ミルンがペンギンのぬいぐるみで遊ぶ姿を捉えた写真が、新キャラ誕生のきっかけになったという。

ペンギンが登場するのは、ブライアン・シブリー作の短編「Winter:in Which Penguin Arrives in the Forest(原題)」。10月に出版された公式続編『クマのプー 世界一のクマのお話』の冬篇となる物語だ。ミルンとクリストファーが子ども部屋の床で、プーさんのモデルになったテディベアと一緒にペンギンのぬいぐるみで遊んでいる写真を見て、シブリーはひらめいたという。

 

著者
["ポール・ブライト", "ブライアン・シブリー", "ジーン・ウィリス", "ケイト・ソーンダズ", "E.H.シェパード"]
出版日
2016-11-02

新たな友だちが加わって始まる、新しい物語。

「くまのプーさんと仲間たちを幼い頃から愛する者として、新しい物語を探しに100エーカーの森を訪れるのは、考えるだけでわくわくしました」とシブリーは言う。「ですが、A・A・ミルン作品を研究し、彼の作品について書いてきた者としては、相当な重圧でもありました。ただ、ミルン劇場でミルン役を演じるだけでは終わりたくなかった。オリジナルの世界観を活かしながら、新キャラクターをごく自然なかたちで登場させる方法を見つけたかったんです。プーさんはサセックスの森でカンガルーやトラと出会っている、だからペンギンと遭遇してもおかしくはないだろう、と。そこから、もしも大雪の日にペンギンがプー横丁にふらりとやって来たら、と想像を広げていきました」

プーさんの知的所有権管理団体、プー・プロパティーズのルパート・ヒルは言う。「ペンギンのキャラクターは、クリストファー・ロビンが実際に子ども部屋で遊んでいたおもちゃが元になっている。新キャラとして完璧です。オリジナル2作の伝統に沿っていますし、A・A・ミルンの巧みなキャラクター作りへのオマージュにもなっている」

プー、イーヨー、カンガ、ルー、ティガーなど、ミルンの物語を彩る他のキャラクターの場合と同じく、ペンギンのモデルとなったぬいぐるみもハロッズ(ロンドン中心部にある老舗百貨店)で買い求められたもののようだ

「ミルン夫人がかの有名なくまを買ったおもちゃ売り場は、当時、ぬいぐるみの膨大な品揃えを誇っていた」とハロッズのアーキビスト、セバンスチャン・ウォーメルは言う。「20世紀前半、アーネスト・シャクルトンやロバート・スコットによる南極探検が巷の話題をさらうなか、ペンギンのおもちゃの人気が急上昇した。写真のぬいぐるみは間違いなくスクィーク(Squeak)でしょう。初めて弊社のカタログに載ったのは1922年。当時人気の新聞漫画『Pip, Squeak, and Wilfred』に登場するキャラクターです」

『クマのプー 世界一のクマのお話』はミルンのオリジナル2作『くまのプーさん』(1926年)と『プー横丁にたった家』(1928年)を受けて登場したデヴィッド・ベネディクタス著『プーさんの森にかえる』(2009年)に続く、2つめの公式続編となる。くまのプーさんは先ごろ、過去150年で英国民に最も愛されている児童文学キャラクターおよび児童書に選ばれた。

Photo:(C)WENN / Zeta Image
Text:(C)The Independent / Zeta Image
Translation:Takatsugu Arai

著者
A.A.ミルン
出版日
2000-06-16
著者
A.A. ミルン
出版日
2000-11-17
著者
デイヴィッド ベネディクタス
出版日
2010-10-06
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