250万乙女のバイブル『星の瞳のシルエット』! 80年代の小学生から高校生までを夢中にさせた、恋と友情のバイブルです。本記事では本編の見どころを余すところなくお伝えし、番外編と続編についてもご紹介します。
『星の瞳のシルエット』は月刊『りぼん』誌上で1985年12月号から3年半にわたって連載された柊あおいの代表作です。女の子同士の友情と、幼い頃出会った恋の種が身を結ぶまでの物語は、「250万乙女のバイブル」のキャッチフレーズで一世を風靡し、昭和末期の少女たちの心を揺さぶったものでした。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
- 1999-01-01
この記事では本編全10巻、そして番外編「エンゲージ」、続編「青春フィナーレ」の魅力を、各巻の見どころを踏まえてご紹介します!
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
- 2008-01-11
沢渡香澄は中学2年生の女の子。幼い頃、すすき野原で出会った男の子にもらった「星のかけら」を大切な宝物にしながら、仲良し同級生の沙樹や真理子と楽しく過ごしています。ある日、幼馴染の司に用事がある沙樹に付き合って弓道部の道場を訪れた香澄は、雑巾に足を取られて鞄を放り投げ、同学年の男子にぶつけてしまいます。その彼が真理子の想い人・久住智史と知り、香澄はときめいた気持ちに蓋をしようとしますが……。
主人公の沢渡香澄はちょっぴりおっちょこちょいの中学2年生。しっかり者の泉沙樹、スイーツ大好きガールの森下真理子といつも一緒に過ごしています。
ある日のこと、真理子に好きな人ができたと打ち明けられ、香澄はいつもポケットに忍ばせている水晶のかけらに思いを馳せます。幼い夏の夜、すすき野原で出会った男の子は、目を輝かせながら星の話をする印象的な少年でした。彼が拾って香澄にくれた「星のかけら」は、名前も知らない彼との思い出を偲ぶ宝物なのです。
放課後、白石司に貸している虎の巻(教科書の副読本)を回収しに行く沙樹に付き合って弓道場を訪れた香澄は、雑巾に足を滑らせて、鞄を放り出してしまいます。鞄を拾ってくれた男子の笑顔にどきっとしたものの、なんとその彼が真理子の片思いの相手・久住智史であるとわかり、ちょっとがっかり。ところが、智史の方は香澄に好印象を抱いたらしく、しっかり名前を覚えてたびたび話しかけてくるようになったのです。嬉しく思う反面、真理子の気持ちを知っている香澄は、自分の気持ちにブレーキをかけますが、彼を知れば知るほど、気持ちが傾いていくのを感じて戸惑うのでした。
ある晩、勉強も手につかず、ラジオを聞きながらぼんやり星のかけらを弄んでいると、「すすき野原の男の子」から「シリウスの星のかけらの女の子」へ宛てたメッセージが読み上げられたのです。「星がたり」という曲へのリクエストとともに、一言謝りたいと。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
実はすすき野原の男の子とはその年の冬に同じ場所で再会していました。しかし、その時の出来事はいい思い出にならず、時折後悔に似た思いで夢に見るほどでした。彼に会いたい気持ちが募る香澄は、ラジオ局に連絡し、DJの菅野に相談しました。彼女はリクエストハガキを探してくれたのですが、なんと差出人の名前も住所も書かれていなかったのです。
なんとか彼に今でも星のかけらを大切にしていることを伝えたい香澄に、沙樹は的確なアドバイスをしてくれました。「彼と同じようにラジオでメッセージを流せば良い」と。そのアイディアに飛びつき、DJ菅野にメッセージを託したのですが、なんと放送当日の朝、アクシデント発生! 寝坊した香澄は人にぶつかりながらもなんとか教室に駆け込んだのですが、星のかけらを落としてしまったようなのです……!
友達の好きな人と知りつつ惹かれてしまうのは、相手が魅力的な人ならば仕方がないことかもしれません。思うだけなら自由、と心に秘めておけるものならばドラマは生まれません。また、自分は隠しておくつもりでも、相手がまっすぐ自分に好意を向けてきた場合は……? 中学生という多感な時期に始まる彼らの恋模様は純粋で、今読んでも色褪せることなく、読者の共感を呼びます。宝物をなくしてしまった香澄ですが、次巻ではどうなるのでしょう?
香澄の様子がおかしいことに気づいた沙樹と真理子は、事情を聞いて唖然。放送を止めようとラジオ局に電話をしますが、DJ菅野は不在で、今日の放送は録音されているものを流す予定とのこと。放送が止められないなら、とにかく星のかけらを見つけようと3人でどぶさらいまでして探しますが、日が暮れても見つかりません。
結局DJ菅野の番組の放送は止められず、「なくしてしまったものを持っている」と心ならずも本当のことではなくなってしまったメッセージが読み上げられるのを聞いていられず、ラジオのスイッチを切る香澄でした。
そんな彼女の宝物は、意外な人物の手にありました。あの日、香澄とぶつかったヒゲの男性が拾っていたのです。そして、彼はなんと、智史のお父さんだったのです。持ち主は自分と同じ学校のボブカットの元気で明るい女子生徒だと言われたものの、父のイメージする香澄と智史の中の香澄のイメージが重なりません。
一方、落ち込んで外にも出ない香澄を呼び出した沙樹と真理子は、沙樹の家でささやかなお茶会を開きました。親友たちの温かい励ましに、ショックが薄らいできたところへ、隣に住む司が智史を連れて乱入!急遽5人前の食事を作る羽目になったクッキングクラブの女子3人ですが、手際の悪いことこの上なし。もたもたしている彼女たちを見ていられなくなった智史は、ささっとパスタを作り上げ、意外な一面を見せることに。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
春休み最終日、まだ落ち込みから回復できない香澄は、散歩に出た先で智史にばったり。つくしを摘みに来たという彼につきあい、のどかな時間を楽しみます。ふとした話の流れから、智史が5年前に母を亡くし、父子家庭であることを知った香澄は、現状を受け入れて、明るく前を向いている彼に強く惹かれる自分を自覚するのでした。
一夜明けて新学期。無邪気に浮かれる真理子から、彼女と智史が同じクラスで、自分は司・沙樹と同じクラスであると知らされ、軽く落ち込む香澄でしたが、智史のひたむきさに影響され、自分も前向きに頑張ろうと思うのでした。
修学旅行、中間テストと1学期の行事が進んでいく中、ふとしたきっかけで香澄の髪型がボブカットだと知った智史は、父が拾った水晶の持ち主は香澄だと確信。何度か渡そうと切り出しかねている様子に、香澄の方が落ち着きません。ようやく、早朝の弓道場で2人きりで話せるチャンスがあり、智史は黙って星のかけらの入った水晶を香澄に渡します。思いがけず自分の手に戻った宝物に、涙を隠さない彼女。そんな香澄を見つめる智史の眼差しは優しくて……。
そんな出来事の後、香澄にラブレターが届きました。二階堂という男子生徒から告白された香澄ですが、その告白の現場となった図書室に智史も居合わせていることに気づきプチパニック。頭に血が上ったせいか、立ちくらみをおこして倒れてしまいます。そんな彼女を智史がお姫様抱っこして保健室へ連れて行こうとする顛末には、250万乙女もヒートアップ! 告白の行方はいかに?
告白騒ぎがひと段落するのもつかの間、受験生の夏がやってきました。補習や模試で勉強三昧の日々ですが、成績優秀な智史は洗濯の合間に手紙の返事を書くという余裕っぷり。成績優秀スポーツ万能、すっきりした容姿に優しく明るい性格の持ち主。非の打ち所のないヒーローなのに嫌味がないのは、父親と仲良しで所帯じみた一面が微笑ましいからでしょうか。
そんな彼に恋する真理子と香澄のことを見守る司と沙樹。傍観者としての均衡を破り、香澄に積極的に力を貸そうとする司に釘を刺した沙樹は、どちらも大切な友人だからこそ、下手な横やりを入れたくないのだと司を非難します。沙樹は、「智史に恋していることを知られたくない」という香澄の思いを察しているのです。ところが司は「香澄ちゃんのために手を出すわけじゃない」と苦笑い。幼馴染の司に密かに想いを寄せる沙樹は、いつものようにおちゃらけた様子のない彼に不安を感じてしまいます。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
2学期が始まると、最初のイベントは体育祭です。中学生活最後の体育祭なのに、香澄と智史は奇数クラスと偶数クラスでざっくり紅白に分かれた組分けのせいで、敵同士になってしまいました。表立って応援できないのは辛いけど、結局智史の活躍に歓声を上げてしまうのでした。
そして恋する乙女のメインイベントは、フォークダンス。好きな人の手をとって踊れるチャンスが巡ってくるかこないか、それはとても重要なことなのです。智史と踊るチャンスはあるのか? 曲の長さから言って望み薄……と落ち込みかけた香澄に、司が「久住まで回るぜ」と囁きます。なぜ司がそれを自分に言うのか、戸惑っていると、アンコールがかかってダンスが延長されました!二人のダンスに、思わず司と沙樹も笑顔になるのが印象的です。
体育祭が終われば、3年生は受験一色の生活に。5人の間にも、微妙な変化が生まれます。なんと、司がガールフレンドとの付き合いを断り、受験勉強に勤しみ始めたのです。智史・香澄とともに、進学校・青陵高校を受けるつもりなのです。3年の2学期から始めて間に合うのか……他人事ながらドキドキしてしまいます。
一方、エプロンと包丁の似合う智史は、家では家事に追われていて勉強している様子も見えないのに学年3位。大したものです。そんな彼の放課後の悩みは苦手科目の克服ではなく晩御飯の献立という余裕ぶり。それを嘆きつつ自転車のペダルをこぐ足に力を入れて角を曲がった途端、なんと香澄にぶつかりそうになって……?!
ヒロインを撥ねそうになった智史ですが、かろうじて避けることに成功しました。しかし、ひどく腰を打ち付けて学校を休んでしまいます。そんな彼を心配した香澄は、司に住所を教えてもらい、お見舞いに出かけたのですが、彼の自宅へ向かう途中に、あの思い出深いすすき野原があったのです。秋風に揺れるすすきは、すすき野原の男の子との2度目の邂逅を思い起こさせます。
久住家を訪れると、出迎えてくれた父はとぼけた調子で智史に取り継いでくれました。智史の部屋を訪れた香澄が耳にしたのは、「星がたり」。それは智史がすすき野原の男の子であるという状況証拠のひとつです。確信を持って静かに問いただす香澄に、智史はしっかりと頷きました。1年前に弓道場で再会した時、すぐわかったのに名乗れなかったこと。6年前に邪険にして泣かした負い目があったこと。あれは母親が亡くなった直後で混乱していたこと。ひどい言葉で冷たくしたけど、そばにいてくれたことが嬉しかったこと……。
6年の時を経て、2人が不思議な縁によって再開し、絆の深まりを感じていたころ、沙樹と司はマンションの廊下で大げんか。喧嘩の理由はお互いのことではなく、司が香澄をけしかけて会いに行かせたことです。それを真理子が知ったらどう思うかと詰め寄る沙樹に、司はへらへらと「俺って後先考えない性格だから」とうそぶき、平手を食らいます。この時の沙樹の苛立ちは、自分の大事にしているものをかき乱す司への反発と、また、一見親切そうに振舞っているものの、香澄に執着しているように見える彼の態度に不安を覚えていたのかと思います。彼女は一途に司を思っているのに、距離感が近すぎてもう素直に伝えられないのです。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
2月、いよいよ受験本番。入試を控えて5人は合格祈願のお参りに出かけますが、真理子の心中は複雑です。香澄は智史と同じ高校に行ける可能性がある。でも自分は到底青陵を受ける実力はない。はなから高校は別々になるものと諦めていたものの、彼と同じ高校に行くかもしれない親友のことは、手放しで応援できないのです。
また、恋する乙女の勘が研ぎ澄まされているからか、ついに真理子は香澄の気持ちに疑問を抱くようになったのです。卒業式の前日、沙樹の家を訪ねてきた真理子は、「香澄は智史のことが好きなのでは」との疑惑について、沙樹に意見を求めます。「知らない」と突っぱねた沙樹ですが……。
卒業式当日、制服のボタンを下級生から同級生までたかられて逃げ回る智史に近づくことができず、自分も彼のボタンが欲しいとベソをかく真理子。そんな彼女を励まして、もらいに行こう!と引き立てる香澄に、真理子は直球で疑問をぶつけます。
「久住くんのことをどう思っているのか、正直に答えて欲しい」
友人の真摯な問いに、正直に答えるなら今だと震える香澄。けれど、そう伝えたら今の関係がどうなるのか……。悩んだ香澄はごまかすことにしますが、少し間を開けて「友達以上に考えられない」と言い放った瞬間、智史が聞いていたことに気づきます。
間が空いたことを不審に思い、さらに問い詰める真理子。でも、香澄はもう取り繕える余裕なんかありませんでした。智史に「あんたなんか興味ない」と言ってしまったも同然です。逆上してその場を逃げ出した香澄は、沙樹と鉢合わせます。そして、香澄のそのただならぬ様子に思わず沙樹が「真理子に言っちゃったのか」とつぶやいたのを聞き咎め、自分の気持ちを悟られていたことを知ってしまいます。
本当の気持ちを伝えたい相手には伝わらず、知られたくない人々にはバレていた……15歳の少女にとってはなんとも辛い試練です。この先、救いはあるのでしょうか。
心機一転、高校生編です。
髪を顎のラインでバッサリと切り、智史を思ってきた分の時間を切り捨てた香澄ですが、同じクラスになった司はもったいないと天を仰ぎます。美人の同級生・おケイこと吉祥寺啓子と仲良くなりますが、派手な司よりも、智史に好感を抱いた様子。
香澄はクラスが分かれた智史を避けていましたが、積極的なおケイが智史を追って天文部に入ると言い出し、それに巻き込まれる形で智史と再会させられたのでした。また友情と恋の間で香澄が苦労するのを助けるため、司も天文部へ。主におケイと智史の間に割り込みをかけるため、おケイにはとことん嫌われてしまう司なのでした……。
智史は智史で、卒業式に「友達以上には思えない」と自分を評されたことを気にしています。自分と香澄の間にある特別な絆を大切に思っている、彼の気持ちは報われるのでしょうか。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
香澄はおケイから智史のことが気になっていると打ち明けられ、大いに困ります。またはっきり断れず、協力を求められる始末。邪魔したくなる司の気持ちもわかります。
青陵高校チームが混乱気味の新学期をスタートさせている頃、智史を諦めきれない真理子は、青陵の最寄り駅まで時々くるようになっていました。一目でも見られたら……。
そんな真理子を見初めた青陵の1年生・日野誠は、智史の同級生で天文部員でもあります。時々見かける真理子を気にかけるようになった誠は、真理子の様子を見ているうちに、薄々、香澄と何かあったのではと察し始めます。
ある日、彼は真理子が車内に傘を忘れたことをきっかけに話しかけ、親しくなろうと頑張りますが……?
一方、香澄は沙樹の家を訪ね、ギクシャクした関係に終止符を打ちます。なんとか真理子と和解できるチャンスはないかと沙樹にも相談しますが、真理子は香澄が羨ましすぎて素直になれる状態ではありません。そんな悩みを抱いたまま、沙樹と香澄は映画を見に行こうと街へ出ます。
映画の時間までの時間つぶしに入った評判の喫茶店では、智史がウエイターとして働いていました。そこへ買い出しから帰ってきた女の子のアルバイトは……なんとおケイだったのです! 波乱含みの高校1年の夏、どうなる?!
おケイとのやりとりから、沙樹に「また同じようなことして」とお説教された香澄。香澄自身、このままじゃいけないと思い、自分からおケイに気持ちを打ち明けなければと何度も機会を伺うものの、その都度タイミングを逃してしまいます。
天文部の夏合宿、いつものように智史に絡んでくるおケイを司がブロックしてる間、智史はふいっと1人でみんなの輪から外れてどこかへ。そんな彼を探しに出た香澄は、2人きりになってしまったことにうろたえ、その場を去ろうとしますが、智史の言葉が香澄を捉えます。
「…君が好きだ」
ついに言われてしまった。言わせてしまった。まだその気持ちに向かう準備ができていないのに。
恋しい人から告白されても素直に喜べず、片思いの恋に苦しんでいる真理子の顔を思い浮かべてしまう香澄。
思わず「ごめんなさい」と呟く彼女に、「好きな人がいるの?」と尋ねる智史。無理もない質問ですが、その質問への答えは「YES」で、しかも自分が思われてると知ったらどんな気分になるでしょうか。
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- 柊 あおい
- 出版日
気まずい合宿が終わり、学園祭の準備が進む中、ようやく香澄はおケイに智史への気持ちを伝えることができました。「今更」とあしらいながらも、ちゃんと自分から打ち明けたことを喜んでくれるおケイにホッとする香澄。
一方、いつものように青陵の最寄り駅までやってきた彼女は、駅の伝言板に智史への告白メッセージを残して想いを断ち切ろうとしますが、間が悪く誠に見られてしまいます。自分の思いを打ち明ける前に玉砕してしまった誠ですが、なんとか真理子を助けてあげようと、学祭に招待するのでした。
当日、なんとか香澄と鉢合わせさせずに真理子と智史を引き合わせようとスケジュールとにらめっこする誠。なんとかすれ違わずに智史を捕まえ、真理子を託すことに成功しますが、そんな2人をおケイが見つけてヒートアップ! 2人の前に香澄を引っ張ってきて……?!
香澄の姿を見かけるなり踵を返した真理子。そんな彼女に追いすがった香澄は、話を聞いてもらおうと真理子を振り向かせます。激昂した真理子は、「青陵の制服を着ている人にはわからない!」とヒステリックに叫びました。自分は「こんにちは」の一言でもありがたいのに、と。
真理子の気持ちを聞き、ショックを受けた香澄。解決の糸口が見えず、途方に暮れてしまいます。
どうやったら仲直りできるか……恋か、友情か。考え抜いた香澄は、真理子を訪ねて「失恋しちゃった」と伝えたのです。
それを聞いた真理子は、わずかな希望の光を見出して、告白することを決めたのでした。
智史は相変わらず愉快な父に翻弄されながらも、失恋のショックを引きずっています。香澄が司に恋しているのでは……と思うあまり、学校で司に絡むような真似をしたところを女子に見つかり、「禁断の恋」と大騒ぎに。その結果、ちょっと天文部員が減ってしまったのでした。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
一方、真理子の学校まで訪ねて行った誠は、正門で待たれていたのが恥ずかしかった真理子に逃げられて「嫌われた」と落ち込んでいたのですが、当の真理子に呼び止められ、真相を聞いて元気を取り戻したのもつかの間、彼女が智史に告白する決心をしたと聞かされ、ショックを受けます。
そしてついに真理子は智史に告白し、智史は真理子の想いを受け止めて付き合うことにしたのでした。香澄は訪ねてきた真理子からその話を聞き、笑っておめでとうと伝えます。まだ智史を思う気持ちを胸に秘めたまま、2人を祝福しようと決めているといいますが、話を聞いて沙樹はあきれ返ってしまいました。
その頃、青陵の校舎の屋上では、司と智史が殴り合いのケンカです。ほぼ一方的に司が智史に対して怒りをぶちまけているのですが「香澄ちゃんがあんまりだ!」と叫ぶ司に、反論できない智史。
そんな彼を学校帰りに呼び止めたのは、沙樹でした。彼女の話とは一体……?
沙樹は智史に真理子の告白を受け止めた理由を問いただしに来たのでした。もし成り行きでOKしたのならやめてほしいと。
まだ香澄のことを思う気持ちがあるのに、そのまま真理子と付き合うなんて残酷だ……と。
しかしどこか投げやりな智史は、「いずれ香澄も司と付き合うだろうし、真理子の気持ちに答えられると思う」とつぶやきます。沙樹は「香澄が好きなのは司じゃないわよ!」と失言。どういうことかと詰め寄る智史を振り切り、沙樹は「真理子を泣かさないで」と区切りをつけました。
一方、自室に引きこもった香澄は、司の告白を受け止めきれずに混乱していました。
「このいい加減なオレが死に物狂いで勉強して星陵受けたのはなんでだと思う?」
本気で思われていることがひしひしと伝わってきて、どう答えていいのかわからなくなった香澄は逃げ帰ってきてしまったのです。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
そんな香澄に、司は映画のチケットを渡してデートを申し込みました。また智史も、真理子と映画の約束をしています。
香澄はギリギリまで迷っていましたが、断るつもりで家を出ました。
待ち合わせ場所で司と合流したところで、真理子と智史とばったり鉢合わせ。気まずい空気が流れ、司は香澄の手をとって強引に駆け出します。
公園で足を止めた香澄は、司の思いには応えられないこと、まだ智史への気持ちがあることを伝えます。司は、香澄が智史の気持ちを知った上で、自分の気持ちを抑えたまま彼を振ったことを知り、「そんなに真理子が大事か」と詰め寄ります。友人として、智史の想いが踏みにじられることに我慢がならなかったのでしょう。
司は体当たりで香澄に気持ちをぶつけますが、香澄は振り切ってしまいます。
一方、真理子との楽しくもないデートの後、智史はすすき野原でしゃがみこんでいる香澄を見つけました。声をかけられた彼女は逃げようとしましたが、腕を取られ、高ぶった気持ちを抑えられずに、智史の胸にすがって泣いてしまいます。そんな彼女を抱きしめ、髪を撫でてやりながら、まだ思い切れない気持ちを自覚する智史でした。
また、香澄と分かれて帰ってきた司が大ボリュームで音楽を聞き始めたので、沙樹は窓から乗り込もうとしてベランダに落ちてしまいます。そんな彼女を「色気ねー」と評したものの元気のない司に、「初恋は実らないもんだって」と慰めます。しかし、司から「初恋は香澄じゃない」と聞かされて沙樹はびっくり。知る限りの名前を並べる沙樹を見つめて、司は「お前だよ」と一言。「今だから言える笑い話さ」と言われますが、沙樹にとっては笑いごとではありません。なぜって、沙樹の気持ちは現在進行形ですから……。
ゴタゴタの多かった年が明け、沙樹と初詣に出かけた香澄は、喫茶店で真理子を見かけ、久しぶりに3人でテーブルを囲みます。どこかぎこちなさがあるものの、中学時代に戻ったような空気感に、嬉し涙がこみ上げてくる香澄。でも、真理子は智史の心が読めず不安に感じていることを打ち明けます。
そんなある夜、DJ菅野の番組で、すすき野原の男の子からシリウスの星のかけらの女の子宛のメッセージが読まれたのです。駅前の喫茶店に呼び出されたメッセージの真意は?!
放送を聞いてぎょっとした智史。自分はそんなメッセージを送っていません。呼び出しの日時は翌朝10時。すでに時計は夜10時近く、相手が起きていることは考えられても、よそのお宅に電話をかけてよい時間ではありません。
メッセージを送った張本人を翌朝に捕まえようと焦る智史。一方、沙樹のところには真理子から興奮した電話がかかってきました。放送を聞いていた真理子からすすきの原の男の子から呼び出しのメッセージがあったと聞かされ、翌朝こっそり見に行ってみることにしたのです。
翌朝、智史は電話で香澄を捕まえることができず、現場へ走る羽目に。
また、沙樹と真理子は早めに呼び出し場所の喫茶店に潜み、香澄と相手がくるのを待っていました。
先に来たのは香澄です。指定の座席に所在無げに座り、約束の10時を待っていましたが、時間になる前、喫茶店に駆け込んできたのは沙樹と真理子にとって意外な人物だったのです。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
「やっぱり久住くんだったのね!」「あのメッセージは僕じゃない!」
香澄と智史のやり取りに、真理子は血の気が引く思いがしました。まさか、なんで、どうして。震えが止まらない真理子の耳に、困惑気味の香澄の一言が突き刺さります。「久住くんがすすき野原の男の子だってことは誰にも言ってないし」
なんとか2人に見つからないように外へ出たものの、ショックの大きい真理子。このメッセージ、実は真理子が仕掛けたことだったのです。まさか、自分の彼氏になったはずの人が、香澄にとって運命の人だったと知らされるなんて……。
1枚のハガキに翻弄された香澄と智史は、いたずらだったのだろうと喫茶店を出ることにしました。ただひとつ、智史は香澄の顔を見て決意したことがあります。もう、自分の気持ちに嘘はつかないと。
その夜、真理子が家に帰っていないと騒ぎになりました。幸い、久住家の近くで見つかったのですが、夜遅くまで出歩いて冷えた体で熱を出し、病院に搬送される羽目に。
体を休めながらも、智史との破局の予感に胸を押しつぶされそうな真理子でしたが、誠が持ってきたお見舞いの花束に癒されます。好きな人の気持ちは得られませんが、自分を想ってくれる優しさが身にしみます。智史もまた、自分の気持ちを貫こうという意志と、想いを寄せてくれる健気な存在を傷つけた罪の意識の間で頭を悩ませていました。
そしてバレンタインの日、真理子は自分の恋に決着をつけようと、智史を呼び出します。3年越しの真理子の想いは、着地点を見つけられるのでしょうか。そして、おケイにかき回され気味の司と沙樹の意地の張り合いはどうなるのでしょう?
4月、香澄たちは2年に進級します。
知り合った時は中学2年生、それ以来ずっと別々のクラスでしたが、初めて香澄は智史と同じクラスになりました。幸先いいとほころぶ香澄。でも、真理子のことを考えると自分の恋に素直に向き合うことができずにいます。
真理子は先だって、失恋したての自分を親身に慰めてくれた誠に甘えすぎて、取り返しのつかないことをしてしまいました。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
沙樹は近すぎて伝えられなかった司への想いを、素直に伝えることができるのでしょうか。
智史や司、誠の気持ちは、彼女たちに届くのでしょうか。
250万乙女が追い続けた恋のバイブル、最終話まで目が離せません!
また、個人的な感想ですが、10巻の絵柄が安定していて一番好みです。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
- 2007-01-11
本編終了後から1年半。また桜の季節が巡ってきました。香澄は大学の心理学科へ進学し、カウンセラーへの道を歩み始めています。
キャンパスの桜並木を愛おしそうな眼差しで見上げる彼女に惹きつけられたのは同級生の遠野行。香澄の左手の薬指に輝く金色のリングに気付きながらも、彼女の持つふんわりとした佇まいに惹かれていきます。
それを妨害するかのように絡んでくるのはおケイこと吉祥寺啓子。彼女は、彼が長く伸ばしている前髪を切ろうと、ハサミを持って追いかけてくるのです。そして、自分の想いを率直に話す啓子に対して、彼は徐々に心を開いていきます。
本作は1994年・1997年にそれぞれ他の読み切り作品とともにコミックスにまとめられました。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
- 2017-06-23
『星の瞳のシルエット―青春フィナーレ―』は『りぼん』創刊60周年のスペシャル企画として書き下ろされた2作品に加え、書き下ろし3作品を追加して2017年6月に発行されました。智史と香澄、司と沙樹、誠と真理子の3カップルのその後を追ったエピソードに、おケイと行のショートストーリーも加えた豪華版です。
ヒロインたちそれぞれに思い入れのある指輪を絡めた物語が、幸せオーラいっぱいです。読んでいるこちらにも幸せをおすそ分けしてもらえるような作品です。
- 著者
- 柊 あおい
- 出版日
『星の瞳のシルエット』は、連載中、「りぼん」誌上トップの人気を誇った作品です。連載当時、毎号胸をときめかせて読んだ250万乙女の1人だった方はもちろん、今、まさにヒロインたちと同世代の方にもおすすめの作品です。
どの子のような恋をしたいか、あるいはどの子と友達になりたいか、誰と恋に落ちたいか……そんな風に考えながら読むのもいいですね。全乙女必読の名作漫画です!
『星の瞳のシルエット』の20年後を描いた『星屑セレナーデ』について紹介した<『星屑セレナーデ』ネタバレ紹介!『星の瞳のシルエット』ファン必見【無料】>も是非ご覧ください。