吉田基已おすすめ漫画ランキングベスト4!2位は『恋風』。1位は?

更新:2021.11.12

切ないラブストーリーを描かせたら右に出るものはいない漫画家。年の差、兄と妹、才能と恋愛……さまざまな関係性やシチュエーションの作品のなかから、特におすすめの4つをランキング形式でご紹介します。

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吉田基已とは

 

読み方は「よしだもとい」。女性の漫画家です。

1998年に「MANGA OPEN」にてわたせせいぞう賞を受賞し、翌年『水と銀』でデビューしました。切ないラブストーリーを得意としており、かもしだす独特の繊細な雰囲気で読者を魅了しています。

この記事では、そんな彼女の作品をおすすめ順にランキング形式でご紹介していきます!

4位:学生達の感情がまぶしい『水の色 銀の月』

 

芸術大学に通う男子学生の亜藤森(あとうもり)は、すでに6年生。そもそも入学時にも2浪しているため、後がありません。

しかし、それでも彼は焦ることなく、バンド活動に夢中です。

ある日、路上ライブをしているひとりの少女を見かけて……?

著者
吉田 基已
出版日
2006-07-21

 

吉田基已のデビュー作である『水と銀』の登場人物を引き継いだ作品。芸術大学を舞台にくり広げられる学生たちの恋愛物語です。

主人公の森は、よくも悪くも自分に正直な性格。本来であれば将来を考えて焦ってしまうはずなのに、毎日バンド活動に精を出し、アルバイトをクビになっても気にしていない様子です。

そんな彼が出会ったのが、桐生星(きりゅうほし)という女子高生でした。

2人の恋愛を中心に物語は進んでいきますが、森が通う芸術大学の学生たちとの友情も多く描かれています。狭いアパートに集まったり、大学の課題に四苦八苦したりしている様子に、自身の青春時代を思い出す方も多いのではないでしょうか。

モラトリアム真っただ中の彼らは、不器用で、読んでいるこちらがむず痒くなってしまいます。

全体的に性描写が多めなので、苦手な方は少しだけ注意してください。

3位:大人の恋愛漫画なら間違いなくコレ!!『官能先生』

 

夏祭りの日、一夜だけ育んだ愛……。

中年小説家で独身の鳴海六郎は、ある夏の夜に出会った謎の美女と、夢のようなひと時を過ごします。それ以来六郎は、名前も素性もわからない彼女のことを忘れられずにいました。

そんなある日、行きつけの喫茶店を訪れた彼が見たものとは……。

著者
吉田 基已
出版日
2017-06-23

 

40歳の中年小説家と、22才の謎の美女・水川雪乃との恋愛を、色気たっぷりに描いた大人のラブストーリーです。

主人公の六郎は、出版社に勤めながら文芸小説を書いている真面目な男。これまでハメを外したことはほとんどなく、軽率な行動は取りません。しかしそんな彼が、雪乃と再会したことで変わっていくのです。

雪乃はまだ22才ですが、とても艶っぽく美しい女性。夏祭りの夜に六郎と幻想的なひと時を過ごした後、姿を消していましたが、不意に彼の行きつけの喫茶店でウエイトレスとして働きはじめるのです。

しかし再会した当初、雪乃は六郎に対しつれない態度を取ります。喜びのあまりいつになく興奮している彼に対し、雪乃は実にあっさりしていて、まさに塩対応。ただ彼女も心の中では、六郎のことを忘れられずにいたのです。

さて、ここから2人の関係はどう進展していくのでしょうか。

美しい日本語のセリフと、昭和を彷彿とさせる郷愁漂う世界観で、知的でありつつもエロティックな大人の恋愛漫画に仕上がっています。

2位:吉田基已の代表作『恋風』

 

主人公は、結婚相談所に勤務している佐伯耕四郎。彼には子供の頃に親の離婚によって生き別れになっている12歳年下の妹・七夏(なのか)がいます。

ある日ひょんなことから2人は再会するのですが、長い間離れ離れになっていたため、お互いの正体に気付きません。そして耕四郎は、そのまま七夏に惹かれていくのです。

やがて彼女が妹だとわかった時、耕四郎は……。

著者
吉田 基已
出版日
2002-03-19

 

兄と妹の禁断の恋愛を、真正面から真剣に描いた作品です。

偶然にも再会した2人は、七夏の高校進学を機に同居をはじめることにしました。28歳の耕四郎は、不器用だけど優しい性格をしている青年です。一方の七夏は表情豊かな可愛らしい少女。12歳も年の差がある2人がしだいに惹かれあっていき、葛藤に苛立つさまが描かれています。

七夏はわりと幼い顔立ちをしていて、実年齢よりもさらに若く見えるのですが、そんな未熟な彼女も自身の意思ではどうにもならない感情を抱えています。少しずつ成長していく姿は切なくも力強く、そんな彼女に対して止めることのできない想いを募らせる耕四郎の姿も切ないです。

2人がどのような幸せのカタチを選択するのか、ぜひ見届けてください。

1位:吉田基已が描く芸術家の愛『夏の前日』

 

青木哲生(あおきてつお)は、油絵を専攻する芸大生。周囲にも一目置かれる才能を持っていますが、本人は自分の作品に自信を持てずにいました。

そんなある日、哲生はアルバイト先の画材屋で、着物を着た美しい女性と出会います。画廊に勤めているという彼女は、その日を境にたびたび哲生のもとを訪れるようになり……。

著者
吉田 基已
出版日
2010-02-05

 

『水の色 銀の月』の前日譚として描かれた作品です。基本となる世界観や登場人物が共通しているため、同作を読了している方はある程度結末を予想することができてしまいます。

それでも本作が面白いのは、そこに至るまでの過程が丁寧に、そして繊細に描かれているからでしょう。

主人公の哲生は不器用な性格で、人とのコミュニケーションもあまり得意ではありません。そのため、容姿には恵まれているものの、恋愛とは縁のない生活を送っていました。

そんな彼が、年上女性の藍沢晶(あいざわあきら)と出会い、少しずつ変わっていくのです。

2人の関係は、晶のほうが積極的。いきなりキスをしたり、旺盛なスキンシップで誘ったりします。遊んでいる女だと思われないか不安になりつつも、彼を欲しいと思う気持ちが止められない様子が人間味にあふれているのです。

そんな彼らの前に現れたのが、哲生と同じ大学に通う「はなみ」という女の子。しだいに彼女に惹かれていく哲生を見て、晶はどうするのでしょうか……。

切なくも不器用な関係を築く彼らの行く末を、ぜひ見守ってください。
 

いかがでしたか?今回ご紹介した作品は、全体的にしっとりとした大人向けのラブストーリーが多いのが特徴です。きらきらした少女漫画もいいけれど、大人っぽい恋愛漫画を読みたいと思った時は、ぜひ吉田基已作品を手に取ってみてください。

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