川島小鳥のおすすめ写真集4選!『未来ちゃん』で一躍有名に

更新:2021.11.12

川島小鳥という名前を聞いたことがありますか?『未来ちゃん』で一躍有名になった話題の写真家です。今回は、彼の作品が作り出す、独特の魅力が溢れた写真集をご紹介します。

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川島小鳥とは

1980年生まれの日本のカメラマン。女性のような可愛らしい名前ですが、男性です。2006年に『BABY BABY』という作品で新風舎・平間至写真賞の大賞を受賞し、その名が知られるようになりました。

彼の名前をさらに世に広めることになったのが、2010年に発表された『未来ちゃん』です。被写体になった3歳の子どもの可愛さや、日本の田舎の風景の美しさに人気が爆発。この写真集は9万部を超える大ヒット作となり、講談社出版文化賞写真賞を受賞しました。

高校2年生の時から写真を撮り続けているという川島は、大学時代には映画監督になりたかったそう。しかし写真スタジオへの就職が決まり、そこから本格的に撮りはじめました。当時は写真というものがよくわからず、なんとなく就職してしまったんだとか。

彼は以前「写真でやりたいのは現実そのものを表すことじゃなくて、ファンタジー。見たいものや見せたいものだけでイメージを作りたいとは思っています。」とインタビューに答えています。彼がファインダー越しに見せる世界はなんとも美しく、多くを語らないのに情緒的で、あるがままなのにファンタジー性に富んでいるのです。

この記事では、川島の代表的な4つの写真集をご紹介していきます。

川島小鳥の代表作

川島を一躍有名にした写真集。友人の子どもであるという「未来ちゃん」を被写体に、日本の田舎で暮らす彼女の日常を切り取りました。

著者
川島小鳥
出版日
2011-03-22

この写真集のなかの未来ちゃんは、まったく飾っていない自然体。アイスクリームで顔をびちゃびちゃに汚していたり、鼻水を垂らして泣いていたり、野原をかけたり、木に登ったり……。

どこにでもいる小さな子どもが、どこにでもあるような日本の田舎の風景にいるだけ、なのになぜか最高に美しく心の琴線に触れる作品です。

なぜこうも心に響くのか、それは、未来ちゃんがこの豊かな世界に一所懸命応えている姿が写真越しに伝わってくるからではないでしょうか。

降り積もる雪に、風に揺れる稲穂に、曇り空の日の涼しさに、夏の強い日差しによって映し出される濃い影に、未来ちゃんは身体いっぱいで応えているように見えます。それらを楽しむことで、悲しむことで、全力で生きている姿が人の心を打つのではないでしょうか。

川島小鳥の写真は、その被写体の世界を受け入れることで生まれる優しさに溢れています。必ず見る人の心に訴えかけてくるメッセージがあるはずです。

何度も見たくなる写真集

3年をかけて台湾で撮影をおこない、美しい風景や被写体の自然体な姿を魅力的に収めた写真集です。

著者
川島小鳥
出版日
2014-12-24

縦長の写真と横長の写真が混在している、他に類を見ないアウトライン。その工夫が、写真の持つユニークさをさらに引き立てています。

本作の被写体は、美しい風景に溶け込むようであり、逆に風景が被写体に溶け込んでいるようでもあり、このかけ算効果によって、彼にしか作れない独特の世界観が表現されているのでしょう。

また被写体の魅力的な表情にも注目です。自然なものもあれば、わざと顔をしかめているものもあり、これらの表情のギャップが作品のコントラストを際立たせていて、メリハリのある雰囲気を作り出しています。

ポップな雰囲気のする可愛らしい写真集で、ファンの期待を裏切らない見応え満点の一冊です。

魂を揺さぶる一冊

本作は、谷川俊太郎の詩27編に、川島小鳥が撮った写真102枚を添えた視覚型詩集です。詩の世界の巨匠と写真会の新星が異色のコラボレーションを果たした、見逃せない内容になっています。

著者
["谷川 俊太郎", "川島 小鳥"]
出版日
2014-10-25

川島のメッセージ性のある写真は、目に飛び込んできた瞬間、温度や漂う匂い、遠くで囁く話し声まで聞こえてくるような圧倒的な存在感があります。

そして谷川俊太郎の魂を揺さぶる言葉の数々。私たちの普段は眠っている魂にそっと風を吹き込んでくれるような、ハッとさせられる言葉が並んでいるのです。

使用している紙の質や、思わぬところに言葉が書いてあるなど、ちょっとした仕掛けも散りばめられて、細部までまるごと楽しめる一冊でしょう。

川島小鳥のデビュー作!

当時の版元が倒産したことにより、ファンの間でも手に入れることが難しい幻の写真集と言われましたが、別の出版社にて復刊しています。

彼が4年にわたってひとりの女性を撮り続けた作品です。
 

著者
出版日
2011-03-02

本書の魅力は、なんといってもナチュラルさ。人に見せることを想定して撮った写真でなく、プライベートの空間のなかで撮影したものが並んでいるので、川島と女性の秘密をのぞいているような感覚になってしまうかもしれません。

女性の視線の行く先に、口元に、指先の動きひとつひとつに詩的な雰囲気がまとわりついていて、そのナチュラルさが非常に情緒的です。また初期の川島作品に現れている、若く荒々しくもまっすぐな気持ちも伝わってくるでしょう。

ホコリをかぶっていた青春の想い出に一瞬で強烈に引き戻されるような写真集。川島の荒削りの才能が眩しい、一読に値する良書でしょう。

いかがでしたでしょうか?今回は川島小鳥のおすすめ写真集を4冊ご紹介しました。どれも違った魅力を持った素晴らしいものですので、気になるものがあった方はぜひ手にとってみてください。最後までお読み頂きありがとうございます。

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