『げんしけん』の魅力とキャラを全巻ネタバレ紹介!オタクのコメディ恋愛漫画?

更新:2021.12.4

オタクたちの青春を描いた名作漫画『げんしけん』。今回は「二代目」まで続いた本作の魅力をネタバレ紹介していきます。

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『げんしけん』の魅力をネタバレ紹介!斑目のその後、三代目が気になる…!

 

キャラクターの個性を大切にし、オタクたちの大学生活をリアルに描いた漫画『げんしけん』。2002年から2006年まで「一代目」が、その後2010年から2016年まで「二代目」が連載されました。

オタク文化は万人受けするとは言い難いテーマですが、彼らが抱える悩みはリアリティたっぷり。多くの人が共感でき、また大学生活という一種のモラトリアムでさまざまな経験を重ねる姿は、誰が読んでも楽しめる魅力があります。

今回は、そんな本作の魅力を「一代目」と「二代目」あわせてご紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。

 

著者
木尾 士目
出版日
2017-05-23

 

『げんしけん』一代目、二代目それぞれのあらすじ

『げんしけん』一代目、二代目それぞれのあらすじ
出典:『げんしけん』1巻

 

一代目

大学ではオタク系サークルに入ろうと決めていた主人公の笹原完士(ささはらかんじ)。ふと目に留まった「現代視覚文化研究会」、通称「現視研(げんしけん)」に入会することにします。

個性豊かな先輩と同級生、そして季節がめぐるごとに増えていく新入生と関わりながら、成長していく日々が描かれています。

二代目

笹原もすでに卒業し、新しく荻上千佳(おぎうえちか)が会長となった「現視研」。彼らのもとに、また新たなメンバーが入会しました。

「腐女子」「男の娘」「外国人オタク」……あくの強い面々がそろい、今度はどんな騒がしい日々がくり広げられるのでしょうか。

また、社会人になりながらも自身の気持ちに折り合いがつけられず、いまだにサークルに出入りしている先輩も登場。しっかりけじめをつけることができるのでしょうか。

 

作者の思いが込められたオタク青春漫画だった!

著者
木尾 士目
出版日
2017-06-23

 

オタクサークルの内情をリアリティたっぷりに描いた本作。作者の木尾士目自身も、実際にオタクサークルに所属していたそうです。

登場人物たちの送る大学生活や、彼らがくり広げる独自のこだわりをもった会話の「らしさ」が魅力となっています。

もともとオタク文化には興味のない読者も、共通の趣味について語りあう姿を見ていると、羨ましい気持ちになること間違いなし。多くのファンを魅了する「オタク漫画の金字塔」だといえるでしょう。

 

『げんしけん』一代目の魅力を徹底紹介!【ネタバレ注意】

著者
木尾 士目
出版日
2017-07-21

 

一代目『げんしけん』は、主人公の笹原が「現視研」に入会するところから始まります。ひと足早く入会を済ませていた美形オタクの高坂真琴(こうさかまこと)に先導されて部室に入ると、そこにいたのは個性豊かな先輩たち。

さらに高坂に惚れているためサークルに出入りしている非オタ美少女も登場します。

彼らはそれぞれに悩みを抱えていて、自分のペースでゆっくりと、しかし一所懸命に向き合う姿が魅力的です。

笠原は当初、オタクであることが恥ずかしいと感じていて、積極的に人と関わることができずにいました。しかし「現視研」でオープンにオタク趣味を語りあうメンバーの様子を見て、徐々に自分をさらけ出していきます。

その後は会長に就任し、イベントごとを統括するまでになりました。

また、後輩の荻上との関わりも見どころのひとつです。

荻上は作中でもトップクラスの問題を抱えている女の子なのですが、笹原は彼女に寄り添って問題解決に奔走します。そして「二代目」では彼女が会長として活躍することになります。

メンバーが抱えている事情は些細なものから深刻なものまでさまざまですが、そのような悩みを本人だけで解決するのですはなく、仲間とともに向き合っていくのが魅力でしょう。

もちろんコスプレをしたり同人誌を作成したりと、ばっちりオタク活動もしているので、そちらにも注目してみてください。

 

『げんしけん』一代目の登場人物を徹底紹介!【ネタバレ注意】

著者
木尾 士目
出版日
2017-08-23

 

ここからは、「一代目」の登場人物の設定や魅力を紹介していきます。「二代目」までとおして活躍するキャラクターもいるので、要チェックです!

笹原完士:「一代目」の主人公。良くも悪くも「現視研」内では地味な存在で、オタクとしてはディープになり切れず、かといって一般人に対しても壁を感じているという立ち位置です。

しかしそんな笠原だからこそ、何事に対しても尖った主張をすることなく、中立の振る舞いをすることができます。そしてその存在は、サークル内で徐々にバランサーとして確立されていき、会長を担うまでになるのです。

些細で目立たないながらも堅実な成長ぶりは、多くの読者から共感を得やすいのではないでしょうか。

もっとも大きな功績は、後輩の荻上をトラウマから救い出したことでしょう。精神的な障害を取り除くことに成功し、恋愛関係まで進展させました。「二代目」の会長として活躍する彼女の土台を作った功労者でもあるのです。

斑目晴信(まだらめはるのぶ):笠原の先輩にあたり、まさに「オタクらしいオタク」を突き詰めたキャラクター。芝居がかった喋り方と、皮肉を交えたややうっとおしい絡みが特徴で、クセの強い人物です。しかし強く突っ込まれると、すぐに弱気になってしまうヘタレでもあります。

そんな彼は、本作におけるもうひとりの主人公と言っても過言ではないほどの存在感を示しています。

持ち前の性格からか、人生における重要な決断を踏み切ることができず、恋愛や就職などに消極的。ここぞという時に周りに流されてしまうのです。

密かに恋心を抱いていた後輩の春日部へ想いを告げることができないまま、「一代目」は幕を下ろすことになりました。

高坂真琴:作中屈指の美形男子で、コスプレで女装をした際の完成度は目を見張るものがあります。中身は他のメンバーに引けをとらないオタクっぷり。特に格闘ゲームのセンスが高く、その腕前は全国レベルです。

コミュニケーション能力が高い反面、天然っぷりも相まって周囲を凍り付かせる空気ブレイカー。彼と付き合うことになった春日部は、毎度振り回されています。

春日部咲(かすかべさき):幼馴染の高坂に想いを寄せており、「現視研」に出入りするようになった美少女。オタクではありません。

当初は偏見からかメンバーに対してキツく当たることが多く見られましたが、高坂と付き合いはじめてからは、馴染むようになりました。最終的にはメンバーの精神的な支柱となるほどの重要人物になります。

全編をとおして姉御肌な対応が魅力的です。

田中総市郎(たなかそういちろう):斑目と同期で、コスプレの衣装制作が趣味。オタクですがクセは少な目で、卒業後も服飾関係の仕事に就くなど進路も安定しています。

主役級の活躍はしませんが、常に理性をもった立ち居振る舞いをしてくれるので、安心して見ていられるのではないでしょうか。

久我山光紀(くがやまみつのり):口下手で大柄。わかりやすい陰気なオタクといった風体をしています。

「現視研」内では貴重な絵が描ける人物で、初めて同人誌を作成する際に活躍しました。会長の笹原と衝突してひと悶着を起こす場面などもあり、見どころになっています。

大野加奈子(おおのかなこ):帰国子女のオタクとして「現視研」に入会した女性コスプレイヤー。とても豊満な胸を持っていて、作中でも何度もいじられていました。

田中と恋人になり、「二代目」でも継続して交際しているよう。コスプレにかまけすぎて私生活がおろそかになっている節があり、ダメっぷりを後輩からも指摘されています。

そんな彼女は進路について悩んでいて、この問題は「二代目」まで引きずっています。

朽木学(くちきまなぶ):笠原の後輩で、通称「クッチー」。ややうっとおしい問題児で、一時「現視研」内でも居場所がなくなってしまいました。

たび重なる制裁を受けますが、春日部の許しを得て復帰します。

荻上千佳:初登場時、いきなり漫研の窓から飛び降りようとするほど問題を抱えている人物。その後も周囲の人間に対し攻撃的な振る舞いを続けます。

このような行動は過去のトラウマによるもの。彼女自身が過去に好きな人を傷つけてしまったことがあり、「同性愛」が好きな自分や、女でオタクである自分に嫌悪感を抱いていたのです。ジレンマに苦しみ、打ちのめされる姿は見ていて痛々しいほど。

しかし笠原や他のメンバーと関わることで、オタクである自分を受け入れることができるようになりました。「二代目」では会長としてサークルを取りまとめます。

 

『げんしけん』二代目の魅力を徹底紹介!【ネタバレ注意】

著者
木尾 士目
出版日
2011-05-23

 

「二代目」では、「一代目」で解決しきれなかった問題や、斑目の恋愛に決着をつける展開が見どころ。

新メンバーも加わり、彼らと関わることで「現視研」内にも新たな変化が生じます。

 

『げんしけん』二代目の登場人物を徹底紹介!【ネタバレ注意】

著者
木尾 士目
出版日
2011-12-22

 

斑目晴信:「一代目」に続いて登場。「二代目」の主人公ともいえる人物です。すでに「現視研」を引退している身ですが、春日部への想いを断ち切ることができず、サークルに出入りを続けていました。

持ち前のヘタレ根性は相変わらずで、女性メンバーからはそろって「総受け」であると評価されています。

しかし、積極性がなく無防備で自然体な人柄に魅力を感じる女性は意外にも多かったようで、彼に想いを寄せるメンバーが続々と登場。「現視研」内でハーレム化が進んでいきます。彼自身は自分の気持ちに決着をつけることができるのでしょうか。

荻上千佳:「一代目」での経験を経て、人間的にも成長を遂げた荻上。四苦八苦しながらも、会長の役目をしっかり果たしています。その一方で、「現視研」が婦女子サークル化していることを嘆いている部分もあり、複雑な心境のよう。

「二代目」では彼女のさらなる成長にも注目です。
 

スザンナ・ホプキンス:通称「スー」。「一代目」では大野の友人で海外のオタクとして登場していました。小柄な見た目でロリ要素もあり、可愛らしい少女です。

日本のアニメや漫画が大好きで、以前は聞き取ることしかできなかった日本語も、「二代目」では喋れるようになっています。

いつしか斑目に対して淡い恋心を抱くように。卒業旅行での告白シーンは見どころです。

吉武莉華(よしたけりか):「二代目」から登場する人物。歴史オタクの腐女子として「現視研」に入会しました。常に明るく、物怖じしない積極的なキャラクターで、彼女の行動力がストーリーを進展させていくことがままあります。

彼女自身の恋愛は描かれないものの、斑目のハーレム状態に決着をつける重要な人物です。

矢島美怜(やじまみれい):ぽっちゃり体型で、容姿にコンプレックスを抱いている女の子。基本的にノーメイクで色気が無く、服装にも気を使っていません。「現視研」に入会後は、同じく新しく加入した波戸によってさらに自信が無くなってしまいました。

基本的には常識人としてツッコミ役に回ることが多い人物です。

波戸賢二郎(はとけんじろう):「二代目」のもうひとりの主人公ともいえる人物。男性でありながら女装が趣味という「男の娘」です。

そのあまりにも完成度の高い姿は、どこからどう見ても本物の女性にしか見えません。矢島の容姿コンプレックスを加速させてしまいました。

またBLも大好物で、腐り度合は「現視研」内でも随一でしょう。

そんな彼も、なんと斑目ハーレムの一員。しかも非常に親密な関係にまで発展します。ただ現実世界で男性と恋人になるのは抵抗があるようで、自身の感情に悩む姿が描かれています。

笹原恵子(ささはらけいこ):笹原完士の妹。「一代目」ではイケメンの高坂にアプローチをくり返していましたが、「二代目」ではヘタレの斑目に徐々に異性として惹かれていきます。

彼女自身はオタクではありませんが、持ち前の自由奔放さでメンバーを振り回していくのです。

アンジェラ・バートン:スーとともに来日した、豊満な肉体を有した女性。彼女もBLをこよなく愛しています。

斑目ハーレムの関係をかき乱す行動をとることが多く、トラブルの中心人物だといえるでしょう。

 

一代目、二代目それぞれのテーマが表現された最終回!

著者
木尾 士目
出版日
2006-12-22

 

「二代目」は、「一代目」では先延ばしになっていた問題にしっかりと決着がつきます。それぞれのラストシーンは「現視研」の部室のドアで締めくくられていて、物語がひと区切りし、次へ進んでいく印象を強く受けるカットだといえるでしょう。

登場人物ひとりひとりの人生を考えさせられるストーリーで、「オタク」を題材にしながらも読後感は爽やか。叶うならば、ぜひ「三代目」も読みたい作品です。


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