重病を患う妹の治療費を稼ぐために、アルバイトを複数掛け持ちをする高校生・真琴。手術まであと1ヶ月というところで、謎のタイムループに巻き込まれ、1日1人殺さないと、手術の日に辿り着けないということが判明しました。 妹のため、血に染まっていく真琴。精神が壊れていく姿に、胸が締め付けられるサイコホラー作品です。繊細な絵柄でリアルに描かれる残虐なシーンが、より一層恐怖を沸き立たせます。 今回は、そんな本作の魅力を全巻分紹介していきます。ネタバレも含まれますので、ご注意ください。スマホの漫画アプリで、無料で読むことができるので、まずはそちらからチェックしてみてください。
妹を救うため、殺人をくり返さなければならなくなった兄の悲劇を描いた『虐殺ハッピーエンド』。そのタイトルどおり、多くの死に彩られたサスペンス作品となっています。
しかし、ただ虐殺のみを描いているわけではありません。心優しい少年が自らの手を血に染めることで、徐々に壊れていくさまにハラハラが止まりません。
この記事では、そんな本作の魅力を全巻分紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 宮月新
- 出版日
- 2017-09-19
本作の主人公は、高校生の真琴(まこと)。大病を患い意識不明になっている妹・詩織(しおり)の治療費を稼ぐため、毎日複数のアルバイトを掛け持ちしています。
ある日、彼が神社に神頼みをしたことをきっかけに、真琴と詩織の2人の時間が、深夜0時を境に1日分巻き戻るという怪異に巻き込まれることになりました。妹の手術日は1ヶ月後。この巻き戻りを解消しない限り、彼女の病気が治る見込みはありません。
そんな時、金をせびりに来たバイト先の知人・脇田を口論の勢いで殺してしまいます。するとその日は時間の巻き戻りが生じず、次の日に進むことができたのです。
殺人をすればループから脱出することができると気付いた真琴は、妹のために、後戻りのできない連続殺人への道を歩みはじめるのでした……。
真琴は、読者が苦しくなるほどの悲痛な暮らしをしている人物。ただでさえ生活は困窮しているのに、妹の治療費を稼ぐために毎日アルバイトをしています。しかも父親はその金で酒を飲み、暴力を振るってくるのです。
さらに、詩織のドナーが見つかり、手術が1ヶ月後と決まったところで時間のループ現象に巻き込まれ、彼にはいよいよ逃げ場がなくなってしまいました。
一体誰が何の目的で、真琴にこんな重荷を課しているのかは、まったくわかりません。
人をひとり殺せば、真琴と妹の2人の時間は巻き戻らずに日付けが進む……条件としてはシンプルですが、彼は本来ふつうの人間。人を殺しても心が痛まないような鬼畜ではありません。
そんな彼が殺人をくり返し、徐々に狂気を秘めていくさまは、ひとりの人間が壊れていく過程を観察するかのよう。悲痛な描写もありますが、目が離せなくなってしまう魅力を持っています。
ストーリーの特性上、血みどろの殺害シーンが多くありますが、その絵柄は非常に繊細。それぞれのシーンが持っている衝撃を鮮烈な印象として残してくれます。
また、真琴は少なくとも1日ひとり殺さなければいけないので、次々と犠牲者が生まれます。おのずとスピーディーな展開になり、また時間の制約もあるため読者にも焦りが生じて、作品全体に常に緊張感がはしっているのでしょう。
彼が犯した殺人事件の痕跡を追い、調査を進める警察とのやり取りも予断を許しません。時間のループを利用して捜査をかく乱しようとする真琴と、そんな彼の不振な行動を怪しむ警察……頭脳戦を駆使した攻防がくり広げられます。
また真琴は、いつしか自身が「殺してもよい人間」と「そうでない人間」を区別していることに気づき、苦悩します。しかしある日、女性を集団で暴行している現場を見つけると、悩むことなく殺人に踏み切るのです。
彼の複雑な心理描写を丁寧に描きながらも、物語は即断即決が求められ、次々と殺人が起きていきます。
- 著者
- 宮月新
- 出版日
- 2017-09-19
真琴による連続殺人が幕を開ける1巻。序盤では、苦労の絶えない彼の高校生活を描いています。そして勢いで脇田を殺してしまうひとつめの殺人を犯してからは、怒涛の展開。作品としての掴みは万全だといえるのではないでしょうか。
見どころは、暴行を受けていた片桐という少女のために、真琴が集団を次々と葬っていくシーン。彼女は今後も物語に影響を与える重要な人物になっていくので要チェックです。
このことがきっかけで、真琴は独自の正義感に基づいて躊躇いなく殺人をくり返していくようになります。人として狂いはじめる瞬間を感じられる場面でもあり、本作の醍醐味だといえるでしょう。
- 著者
- 向浦宏和
- 出版日
- 2018-01-29
引き続き絶望的な展開が続く2巻。片桐を襲っていたクラスメイトを殺害して時間を進めていた真琴ですが、なんと殺人の事実を片桐本人に知られてしまいました。
そしてここから、さらなる苦難に巻き込まれることになるのです。
片桐は真琴に、母親が家に連れ込んだ男を殺す依頼をしてくるなど、とんでもない要求をしてくるようになります。ただでさえ警察に追われている真琴は、どのように動くのでしょうか。予断を許しません。
彼に殺害を依頼する片桐自身も、すでにこの時点で正気ではないのでしょう。一方で、自分を救ってくれて、さらに秘密も共有している真琴に、依存心にも似た好意を抱いています。明らかに狂気を秘めた瞳で彼の関係者を見つめるさまは、まさに恐怖のひと言。
連続殺人を犯している真琴と、彼に好意を寄せ殺人を依頼する片桐。今後2人の関係がどのように発展していくのかにも注目です。
片桐との危険な距離感が続く第3巻です。本巻では、いよいよクラスメイトの片桐の狂気が本領を発揮してきます。真琴に対し、異常なまでの依存心を持つ彼女は、いよいよ真琴の親しい女性である弥生に対し殺意を向けました。
そして、自分の身を傷つけられてもなお真琴を心配する彼女に対し、嫉妬から首を掻き切るという凶行に及ぶのです。
- 著者
- ["宮月新", "向浦宏和"]
- 出版日
- 2018-05-29
真琴が人を殺していない事でループし、彼女が殺される前に戻る事が出来ましたが、これをきっかけに片桐による強制力が上がる事となってしまいます。そんな彼女は、ついに妹の詩織までもその手にかけようとしてくるのです。
堪えきれなくなった真琴は彼女を問い詰めますが、詩織を殺す事をまったく意に介していない様子。彼は激高し、協力関係であった片桐を殺す事となってしまうのでした。そんななか追い打ちをかけるように、詩織の身に危険が迫る事となります。
そんな本巻の見所は、なんといっても真琴が片桐を殺害する場面でしょう。これまでも殺人をおこなってきた彼ですが、曲がりなりにも協力関係として行動をともにしてきた彼女を殺した事で、いよいよ心が崩壊してしまった様子です。
もはや詩織のためにという想いだけで生き続ける殺人鬼と化してしまった事が分かる描写が続き、これまでにない絶望感が漂います。果たしてこの先、彼が救われることはあるのでしょうか。
真琴の家族の秘密が明かされる、衝撃の第4巻!
遂に警察との全面的な攻防を繰り広げることとなった真琴。その最中、衝撃の事実を目の当たりにした彼が選択する未来とは……⁉
- 著者
- 宮月新
- 出版日
- 2018-11-29
警察官・九十九の追手から逃れ、家に帰る真琴は、父と借金取りが口論している場面に遭遇します。その口論の議題は、妹の詩織について。
聞き耳を立てている真琴に気づくことなく、父は最低な言葉を口にします。
詩織は重い病に侵されもう長くない命であり、彼女には生命保険が掛けられている。そして手術は何が何でも受けさせない、と。
父親の発言に対し、怒りに震える真琴。借金取りが消えた後、父に殴りかかります。そして、さらに父の口からは衝撃的な真実を突きつけられるのでした。ずっと明かせなかった秘密を告白した父に対する、真琴の反応とは……?
さらに今巻では、真琴と警察との全面的な攻防が描かれます。
周囲に白い目で見られながらもタイムリープ説を唱え続け、真琴を追い詰める警察官・九十九との正面対決。「タイムリープ」という特殊なルールを駆使して警察を欺いていく真琴の奮闘。手に汗握る頭脳戦に注目です!
第4巻のラストで九十九に捕われてしまった真琴と相沢。
殺人を犯すことができず、時が進まない絶体絶命の状況で……。偶然発覚したタイムリープの新たなルールが、彼らの窮地を救います。
- 著者
- 宮月新
- 出版日
- 2019-03-29
九十九に捕まった真琴と相沢は、手足を縛られコンテナに幽閉されてしまいました。こんな状況では殺人を犯すこともできず、ただただ同じ25日が繰り返されていきます。重病の詩織も同じく25日を繰り返すこととなり、真琴の焦りは募っていきます。
そんな状況の中迎えた5度目の25日。
真琴は4度目につけた相沢の首の傷が消えていないことに気が付きました。そこで真琴は、タイムリープの新たなルールを発見するのです。それは、一度でもタイムリープをした者は、その後もタイムリープをし続けるということ。
この新ルールによって、現在の状況は打破されることとなりました。そのキーパーソンは、真琴の幼馴染である弥生。真琴がコンテナに幽閉されてタイムリープを繰り返す間、弥生もまた同じ様にタイムリープを繰り返していたのです。
異変に気が付いた弥生の手によって救い出され安堵した真琴でしたが、この一件で、弥生を巻き込んでしまうことになってしまいました。
弥生の存在は、この物語にどのような展開をもたらすのでしょうか。
そして、第5巻のラストでは死んだはずのあの人物が……⁉この新展開から、目が離せません。
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