エンタメ

家族のカタチ、夫婦のかたち【結城洋平】

更新:2020.12.2 作成:2018.2.19

一つの芝居で世界を変えるんだ。人の人生を変えちゃうような芝居にしてやる。そんな気持ちを思い出させてくれた一冊と、自分が思っている“普通”は思っている以上に普通じゃないんだと気付かされた一冊です。

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家族のカタチ

『本日は、お日柄もよく』は、スピーチライターという知らない世界で主人公が奮闘する物語。冴えない普通のOL、こと葉。会社の友人の結婚式でスピーチを披露したことがきっかけになり、言葉の力の大きさや人の心を動かすスピーチの魅力に引っ張られて、スピーチライターという職に就くことに――。

一つの芝居で世界を変えるんだ。人の人生を変えちゃうような芝居にしてやる。

そんなことを思っていた頃の気持ちを思い出させてくれる物語でした。もちろん今でも思っているけど。作品のジャンルや作風によってはその気持ちが邪魔になったり想いの出し方を間違えると、とんでもなく独りよがりの作品になってしまう。なんて経験もあり、むやみに世界を変えてやるんだ。なんて事は思わなくなりました。でも『本日は、お日柄もよく』の主人公、こと葉や物語のエネルギーに熱い想いを引っ張り出して貰えたような気がしました。

決まった場所で、決まった時間に話すことが決まっているスピーチ。人生で大事な機会にすることが多いスピーチ。苦手です。でもこの作品に出てくるスピーチは、言葉で人を熱くし心を動かすものばかりで、想いが伝わるということはこんなにも素敵なことなんだと教えてもらいました。言葉の力やスピーチの話はもちろんなのですが、見逃せない物語の一つに“家族のカタチ”がありました。本当に困った時、果てしなくどうしようもなくなった時、新しい価値観をくれた一冊に感謝です。

著者
原田マハ
出版日
2013-06-07

夫婦のかたち

“夫のちんぽが入らない”というポップさと猥雑さを兼ね備えたタイトルのこの一冊。「なぜちんぽが入らないの?」という不思議な疑問を持ちながら、読み進めるうちに微笑ましい夫婦のカタチやエピソードにクスッと笑いながら、時に胸が苦しくなるような現実が綴られた文章は、著者のこだまさんの想いがストレートに伝わってきました。普通の夫婦のかたちって無いんだな。陳腐だけれど、夫婦の数だけ夫婦のかたちがある。タイトルのポップさからは想像もできない程のこだまさんの苦悩に、自分は知らないことばかりだと痛感しました

この本はこだまさんの私小説で(著者が実際に体験した事をもとに書いた小説)旦那さんや家族にも小説を書いていることを隠して出版された本だそうです。誰にも喋りたくないけど、自分の声を届けたいという矛盾しているけれど正当なこだまさんの欲求は強いパワーになって読んでいる自分の胸に刺さりました。

こだまさん、声はここまで届きましたよ。

著者
こだま
出版日
2017-01-18