『ヒカルの碁』といえば、埋もれていた囲碁の魅力を再発見し、少年の成長と相棒との繋がりを描いた傑作です。今回はそんな「ヒカ碁」に負けないくらいおもしろい卓上ゲームをテーマとした作品や、相棒モノの作品をご紹介していきます。
主人公の烏丸和歌(からすまわか)は、プロ棋士である祖父に影響されて囲碁を嗜む少女です。まだ13歳にも関わらず、アマチュアの大会に年齢を偽って出場するほど熱中していました。
ある大会で、17歳にして現役プロ棋士の(さぎさかそうじ)と出会います。その気迫を目の当たりにした彼女は、自身の憧れを確固たるものにして、本気でプロへの道を目指しはじめました。
- 著者
- モリエ サトシ
- 出版日
- 2013-02-20
2012年から「花とゆめ」で連載されていたモリエサトシの作品。囲碁漫画といえば『ヒカルの碁』を連想する方も多いと思いますが、本作は少女漫画的なアプローチを取っているところに特徴があります。
幼いころから祖父の影響で囲碁をしていた少女が、天才少年に触発され、プロの世界に飛び込み、そして恋に落ちるのです。個々の関係性や心理描写に重点が置かれているのも魅力のひとつでしょう。
世界的な文化系スポーツ競技として親しまれている麻雀。長野県の清澄高校にも、麻雀部がありました。
プロ級の実力を持ちながらも、麻雀を嫌っている主人公の宮永咲(みやながさき)。ひょんなことから麻雀部の天才プレイヤー原村和(はらむらのどか)と出会い、彼女たちは高校麻雀のインターハイを目指すようになります。
- 著者
- 小林 立
- 出版日
- 2006-12-25
2006年から「ヤングガンガン」で連載されている小林立の作品。精力的にメディアミックスがおこなわれており、実写映画化、テレビアニメ化、スピンオフ作品のテレビドラマ化などもされています。
麻雀漫画ではありますが、詳しい知識は必要ありません。ライバルと競いあう青春部活漫画として読むことができるでしょう。肉体的な衝突こそありませんが、麻雀を打つなかで超能力めいた技が見られることもあり、異能力バトル漫画としても楽しむことができます。
ただ作者によれば各回の牌譜をきちんと設定しているとのことなので、麻雀に詳しい方は打ち筋などからもキャラクターの性格を見てとれるのではないでしょうか。
さらに、原村和をはじめとして同性愛を匂わせるキャラクターが多数登場するので、百合漫画としても楽しめます。
菅田健太郎(すがたけんたろう)はかつてプロ棋士を志していたものの、挫折してしまった青年。将棋以外で生きる術を持っていないため、「賭け将棋」で日銭を稼ぐ「真剣師」として暮らしていました。
ある日、秋葉原で名を馳せているというメイド姿の女真剣師・中静そよ(なかしずそよ)の噂を聞き、対局を申し入れます。
しかし健太郎は完膚なきまでに敗れ、これをきっかけに将棋への情熱を取り戻しました。同時にそよにひと目惚れ。
彼女への想いと将棋の情熱を糧に、成長を遂げていきます。
- 著者
- 柴田 ヨクサル
- 出版日
- 2006-12-19
2006年から「週刊ヤングジャンプ」で連載されていた柴田ヨクサルの作品。将棋で熱い戦いをくり広げる真剣師の物語です。ちなみに真剣師とは、将棋や囲碁、チェス、麻雀などのテーブルゲーム賭博を生業にする人々のこと。
テンポよくストーリーが進み、将棋の詳しいルールを知らなくても問題なく楽しむことができます。インパクトのある激しい打ち合いは、能力バトルものに近いものを感じるでしょう。
実際に途中からは、健太郎がカメハメ波のようなものを出したり、核を扱ったりと本当のバトル展開に。このあたりは格闘漫画『エアマスター』の作者ならではといったところでしょうか。
トンデモ展開も楽しめる将棋漫画です。
高嶺清麿(たかみねきよまろ)は、頭が良すぎるせいで周囲から浮いてしまっている中学生の少年。ある日イギリスにいる彼の父親に助けられたという、金髪の少年ガッシュ・ベルが現れました。
ガッシュは次期魔界の王の候補者だそうで、パートナーとなった清麿は、王座を巡る戦いのなか絆を深めて成長していくことになります。
- 著者
- 雷句 誠
- 出版日
ここからは『ヒカルの碁』のヒカルと佐為を彷彿とさせるような、相棒モノをピックアップしていきます。本作は2001年から「週刊少年サンデー」で連載されていた雷句誠の作品。アニメや映画、ゲームなど多方面のメディアミックスがおこなわれた大ヒット作です。
幼い容姿に反して芯の強いガッシュと、並外れた知性のため居場所のなかった清麿のコンビ。強力なものの制御が難しいガッシュの呪文を、清麿の頭脳でうまく扱うところなど相性抜群です。
少年漫画らしいアツい展開と、敵味方関係なく個性的なキャラクターが多いのが魅力的。何度読んでも飽きのこない作品になっています。
光覇明宗系の寺「芙玄院」のひとり息子、蒼月潮(あおつきうしお)。ある日、自宅の蔵の地下室で1匹の妖怪「とら」と出会います。封印のために刺してあった「獣の槍」を引き抜いたことから、彼らの運命が大きく動き出しました。
周囲には頻繁に妖怪が現れるようになり、1人と1匹は時に反目し、時に協力しながら窮地を切り抜けていきます。
やがて強大な悪「白面の者」が暗躍を始めるのですが、すべては彼らと繋がっていて……。
- 著者
- 藤田 和日郎
- 出版日
1990年から「週刊少年サンデー」で連載されていた藤田和日郎の作品。いまだに絶大な支持を得ており、まさに不朽の名作といえるでしょう。
主人公の潮は不器用なところがあるものの、情に厚いまっすぐな少年です。自分のことより他人を優先し、理屈よりも感情で動く少年漫画の王道をいくキャラクター。
そしてもうひとりの主人公ともいえる「とら」は、虎に似ている大妖怪で、凶暴なのにどこか憎めない性格をしています。潮の良き相棒となって、まさに一心同体の活躍を見せてくれるのです。
「獣の槍」、「白面の者」……主人公と敵方の間で複雑に絡み合うストーリーは珠玉の出来。壮大な物語をぜひ堪能してください。