『最終兵器彼女』好きにおすすめの漫画5選!

更新:2021.11.12

目に映る彼と彼女の関係、徐々に深刻化していく世界の状況……『最終兵器彼女』は、決して多くを語らないことが深い魅力となった作品でした。今回は、気分は落ち込んでしまうかもしれないけど、心に刻まれる面白い作品をご紹介していきます。

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近未来、危機に瀕した世界での禁断の関係

十数年前、地球に異星人が襲来し、東京は壊滅的な被害を受けました。それ以来都心部には謎の雨が降り続き、不定期に異星人がやって来ます。

高月かのんはそんな東京でひっそりと暮らしている23歳の女性。ケーキ屋でアルバイトしていると、高校生の頃から想い続けていた先輩・境宗介と再会するのです。彼は「異星生物対策委員会」で活躍しており、いまや有名人。ワイドショーなどでも取り上げられています。

かつて振られた想い人との嬉しい再会ですが、宗介はすでに妻帯者。しかし2人の距離は縮まっていきます……。

著者
米代 恭
出版日
2016-06-10

2015年から「月刊!スピリッツ」で連載している米代恭の作品。人類の危機的状況にあっても、不倫をしてしまう点が本作の唯一無二の魅力でしょう。

登場人物たちもみなどこか奇妙です。かのんは病的なまでのストーカー気質で、宗介の声を録音したり、盗撮した写真をスクラップしたりしています。同じ職場に努めている妻が、自分を守るために研究に精を出しているのに不倫にはしる宗介も不気味です。

SF×不倫という不安定な世界観をぜひお楽しみください。
 

血と雨が降るグロテスクなボーイ・ミーツ・ガール

「ディクロニウス」と呼ばれる2本の角を持つ突然変異体であるルーシーは、危険かつ貴重なサンプルであるため、地下深くの国立研究施設に厳重に封印されていました。しかし彼女は、他の施設に移送される日、警備の目をかいくぐって脱走してしまいます。

そして、鎌倉に引っ越してきたばかりの大学生・コウタが、海辺に流れ着いているひとりの少女を拾います。その少女こそが、脱走したルーシー。コウタは記憶を失っている彼女を「にゅう」と名付け、下宿先へ連れ帰りました。

知らない間に「ディクロニウス」に関わってしまったコウタ。ここから命を狙われていくことになります。

著者
岡本 倫
出版日
2002-10-18

2002年から「週刊ヤングジャンプ」で連載されていた岡本倫の作品。2004年にテレビアニメ化され話題になりました。

キャッチーな美少女とのラブコメハーレムかと思いきや、冒頭からグロ描写がさく裂します。四肢は飛び、血が噴き出て、阿鼻叫喚です。

ルーシーをはじめ「ディクロニウス」たちの見た目は、平常時は普通の人間。ところが交戦状態に入ると、「ベクター」という不可視の腕でたやすく人体を切り裂きます。一見重要そうな人物があっさり死んでしまうこともしばしば。

しかし凄惨な展開と並行してラブコメも共存しており、摩訶不思議な岡本ワールドになっているのです。慣れないうちは頭が混乱してしまうかもしれませんが、1度ハマれば病みつきになってしまうでしょう。
 

幸せだったあの頃……輝かしい季節をすべて、ドブに捨てる

主人公のプン山プンプンは、ごく普通の小学5年生。転校生の田中愛子に一目惚れをして仲良くなりますが、いくつかのすれ違いの結果疎遠になってしまいました。

運命と信じた人と一緒にいることができなくても、日々は続いていきます。なぜか周囲とはズレてしまうプンプンの、波乱万丈な半生です。

著者
浅野 いにお
出版日

2007年から「週刊ヤングサンデー」、「ビッグコミックスピリッツ」で連載されていた浅野いにおの作品。

主人公は平凡な少年とされていますが、その常人離れした名前からもうかがえるように、作中ではヒトとして描かれていません。簡略化された鳥のような姿が基本で、シチュエーションによっては他のカタチにもなっています。とても観念的な存在であり、示唆的でもあるのです。

また、登場人物が話の流れと無関係な奇行にはしったり、プンプンの心の神様が登場したりと、かなりシュールなのも特徴的。

さらに、ストーリーは「重い」のひと言。壮絶な鬱展開で進んでいきます。作者によれば、プンプンの辛い半生は当初から意図されたものだったそう。つまり完全に計算された角度で読者の心をえぐっているのです。

万人受けはしませんが、1度読んでしまえば頭にこびりついて離れない作品になっています。
 

後を引く壮絶さ。星に選ばれた運命の子供達。

玉依シイナは、小学校最後の年の夏休みを利用して、祖父母の住む島へやって来ました。島の海で溺れかけてしまい、星形をした不思議な生き物「ホシ丸」に助けられます。それは、子供と意識を共有して動く「竜の子」と呼ばれる存在でした。

ホシ丸と出会ったことをきっかけに、シイナは竜の子を利用するさまざまな勢力の思惑に巻き込まれていくのです。
 

著者
鬼頭 莫宏
出版日
2017-06-23

1998年から「月刊アフタヌーン」で連載されていた鬼頭莫宏の作品。凄まじく陰鬱な内容で、まったく救いはありません。作者としてはハッピーエンドらしいのですが……。

超能力を秘めたマスコット的生物との出会いや、キャッチコピーになっている「未来に贈るメルヘン」という文言からはとても想像つかない展開。ある意味現実的で、残酷な物語です。

「リンク者」と呼ばれる竜の子の持ち主と、彼らをめぐる出来事がストーリーの中心。全員が小中学生のローティーンで、そんな彼らが大人の暗い思惑と自身の破壊的な衝動で絶望に巻き込まれていきます。

目を覆いたくなるシーンが多々あるので、グロ描写が苦手な方はご注意ください。

未知に挑む勇気と無謀。冒険心が導く残酷なファンタジー。

舞台となるのは、人類未到の大縦穴「アビス」のふちに築かれた、「オース」という街。アビスは特異な生態系をもち、人類の技術をはるかに超えたモノが眠っているといわれていて、人々は危険を承知で探検に向かっていました。

主人公のリコは、オースにある孤児院に住む少女です。彼女の母はアビスに挑んだ伝説の人物とされていて、リコも同様に探検家になるのが夢でした。

訓練を重ねていたある日、アビスの浅い層でロボットの少年レグと出会います。彼は、アビスにいながらアビスの記憶を持たないと言いました。

こうして2人は、大穴の深淵を目指していくのです。
 

著者
つくし あきひと
出版日
2013-07-31

2012年からwebコミックサイト「まんがライフWIN」「WEBコミックガンマ」で連載されているつくしあきひとの作品。作り込まれた壮大な世界観が魅力です。

深い底は謎に包まれていて、人知を越えた危険なアビス。なぜ穴があるのか、いつからあるのか、何があるのか……登場人物だけでなく、読者の冒険心もくすぐられます。

ポップな絵柄から醸し出されるほんわかした雰囲気は、物語が進むにつれて不穏なものへと変貌してきます。アビスの恐ろしさは、まるで無邪気な幼児が笑顔のまま小動物を虐げるかのよう。

また、グロ、ロリ、ショタ、ケモナーなどフェティシズムを喚起させる要素も盛りだくさんなので、いずれかに惹かれる方にはお気に入りの作品となるはずです。
 

メイドインアビスについてはこちらの記事で詳しく解説されています。興味のある方はご覧ください!

『メイドインアビス』5分でわかるこれまでの伏線!深淵の秘密を追う【最新8巻まで、ネタバレあり】

場合によっては読むと深刻に落ち込んでしまうものもありますが、裏を返せばそれだけ読者の感情を左右させられる作品だといえるでしょう。ただ感動的なだけではない、心に刻まれる名作ばかりです。

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