「夏至」の日があることを知っている方は多いと思いますが、どんな日なのかきちんと説明できますか?今回は、2019年の夏至がいつなのか、日の出と日の入りの時間や、冬至との差、各地の風習などをわかりやすく解説していきます。おすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
太陰暦を使用していた時代、暦と四季の周期との間にずれが生じるのを不便に思い作られた「二十四節気」というものがあります。1年を24等分し、その区切りに季節を表す名称をつけたもので、代表的なのが「立春」や「春分」などでしょう。
太陽暦が使用されるようになった現在でも、二十四節気は季節の節目を表す目安として用いられています。今回ご紹介する「夏至」もそのひとつです。
太陽が もっとも北に寄り、北半球では昼間の長さが1年で1番長くなる日。北極では太陽が沈まず、南極では太陽が現れません。
2019年、日本の夏至は6月22日、土曜日です。
夏に至ると書きますが、紫陽花や花しょうぶが咲き乱れ、梅雨の風情を感じられる季節でもあります。
国立天文台の「各地の暦」によると、2019年6月22日、
東京の日の出は4時26分、日の入りは19時00分です。
ちなみに冬至である2019年12月22日は、
日の出が7時00分、日の入りは16時52分になっています。
夏至の日照時間が14時間34分なのに対し、冬至の時間は9時間52分なので、4時間42分も差があるのです。日本国内でも夏至と冬至の日照時間の差には違いがあり、沖縄では差が3時間程度なのに対し、北海道では8時間ほどにもなります。
ここで知っておきたいのが、夏至は「昼間の時間が1年間で1番長くなる日」ですが、「日の出が一番早くて日の入りが一番遅い日」ではありません。日の出が1番早いのは夏至のおよそ1週間前で、日の入りが一番遅いのはおよそ1週間後になります。
太陽高度がもっとも高く、日照時間がもっとも長いため、気温も1番高くなると思う方もいるかもしれませんが、それは違います。冷えた部屋で暖房器具をつけた瞬間が温度のピークにならないのと同様で、この日から時間が経過した後のほうが気温の上昇率は高くなります。
気温上昇に時間を要しているためですが、夏至からもっとも暑い8月までおよそ2ヶ月もかかるのは、梅雨が原因。雨が多いため日照時間が短くなり、真夏にかけての気温上昇を緩やかにしているのです。
一般的に地上の蓄熱量が最大になるのは、太陽熱エネルギーが届いてからおよそ1ヶ月後といわれています。日本にもし梅雨がなければ、7月下旬ごろが暑さのピークとなるはずで、実際に内陸国では7月が1番暑くなるところが多いです。
夏至の日の風習は、各地域によって異なります。
関東地方では「小麦餅」を食べるのが一般的。これは小麦ともち米を1対1で混ぜて作った餅で、昔は小麦粉が貴重で高級品だったため、ハレの日に食べる料理とされていました。
当時は神様へのお供えものとしていましたが、現代では小麦餅にきな粉をかけて食す習慣があります。
また京都では「水無月」という和菓子を食べたり、香川県では「半夏生」というのうどんを食べたりもするそうです。
また、三重県でおこなわれる「夏至祭」も有名。夫婦岩のある二見興玉神社で開催され、岩の真ん中から登る朝日を浴びながら禊を執りおこないます。
- 著者
- 出版日
- 2017-04-17
本書は、日本の動植物を七十二侯をもとに分類した図鑑です。
七十二侯とは古代中国で考え出された季節を表す方法で、ひとつの節を3つに分解したもの。たとえば夏至は、「乃東枯(なつかれくさかるる)」、「菖蒲華(あやめはなさく)」、「半夏生(はんげしょうず)」となります。風情に富んだ響きが印象的ですよね。
ページの隅には観察日記を書き込む欄も設けられているので、それぞれの日が実際にどんな日だったのかを書き込むことで七十二侯と実際の様子を比べてみるのもよいでしょう。
季節の移り変わりに耳を澄ませば、日々の生活がきっと少し豊かになるのではないでしょうか。
- 著者
- 永田 和宏
- 出版日
- 2011-05-13
生物学者であり歌人でもある永田和宏のエッセイ集です。
「一日が過ぎれば一日滅つてゆく 君との時間 もうすぐ夏至だ」
タイトルは、癌に侵された妻を想って永田が詠んだ歌からとったもの。一日一日と滅していく妻との時間と、夏至の生命感あふれる太陽の対比はなんとも切なく、作者のどうしようもない気持ちが伝わってきます。
学者として、歌人として、物事を探求する姿勢が静かな感動を呼ぶ良書です。
- 著者
- 長野 まゆみ
- 出版日
- 1994-05-01
小説家でありイラストレーターの長野まゆみの短編集です。表題作の「夏至祭」は、夏になると狂い出す銀時計の謎を主人公が解き明かそうとするファンタジーになっています。
長野の文章は幻想的で、詩のような情緒あふれる表現や絵画のような静かな美しさを秘めた言葉がところどころに散りばめられています。
どちらに転ぶのかわからないような不思議な世界は、まるで主人公の持つ狂った時計のよう。グニャグニャとゆがむ時間の渦に巻き込まれて出れなくなってしまうように、1度読みはじめると読者の心を掴んで離しません。
ぜひ夏至の日の夜に読んでみてください。