鳴海章のおすすめ文庫小説5選!航空サスペンスを多く手掛ける作家

更新:2018.3.15

鳴海章という作家をご存知でしょうか?航空サスペンスを中心に、警察小説などエンターテイメント性の高い作品を得意としています。とくに戦闘シーンは緻密で細やかな筆致で読者を引き込み、評価を得ているのです。今回は彼の作品のなかからとくにおすすめの5作をご紹介しましょう。

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鳴海章とは

 

1958年生まれ、北海道出身の小説家です。

会社勤めをしていた1991年に『ナイト・ダンサー』で江戸川乱歩賞を受賞し、一躍脚光を浴びました。ミステリー作家として今後を担う人材となります。

なかでも航空サスペンスを得意としていて、「国連航空軍」シリーズや「ゼロ」シリーズなど人気作を多数発表しています。また2001年には人間ドラマを描いた『風花』が、2006年にはばんえい競走をテーマにした『輓馬』が映画化され、その名を世に広めました。

ではそんな彼のおすすめ作を5つご紹介していきます。

 

日米を揺るがすサスペンス!鳴海章の衝撃デビュー作『ナイト・ダンサー』

 

鳴海章のデビュー作であり、江戸川乱歩賞も受賞した本作。同賞には珍しくミステリーが主軸ではないストーリーで話題を呼びました。

物語は、日本のとある研究室がジェラルミン・アルミを分解する細菌を開発してしまったところから始まります。この技術を軍事に利用できると考えたアメリカは、密かに国内に持ち込もうとするのですが、その際に使用された旅客機がアクシデントに見舞われ、細菌が流れ出してしまいました。

ジェラルミン・アルミを溶かすため、飛行機が徐々に溶けはじめ、機内はパニックに陥ります……。

 

著者
鳴海 章
出版日

見どころは、細菌の存在を知られたくないアメリカと日本の攻防でしょう。そこに謎のジェット機ナイト・ダンサーが登場し、空中戦をくり広げます。
 

一分一秒を争う戦いの様子に息をのみつつ、ページをめくる手が止まらなくなってしまうはず。まるで映像を見ているかのような臨場感が、旅客機が強制着陸をするまで続きます。

果たして旅客機は無事に日本に戻ることができるのでしょうか。そしてナイト・ダンサーの正体は?手に汗握る疾走感あふれるサスペンスです。

パイロット人生の苦悩を描く『マルス・ブルー』

7年前、悪天候のなかで緊急発進した自衛隊の戦闘機がありました。物語は、当時行方不明になったパイロットが履いていたブーツと、同じものを身に着けた遺体が見つかるところから始まります。

もしかしたらパイロットは生きているのではないか……?警視庁公安部が捜査に乗り出します。

著者
鳴海 章
出版日
2012-01-17

本作も戦闘機が絡む航空サスペンス。日本だけでなく北朝鮮・中国・ロシアの謀略が交錯したスケールの大きい作品となっています。

全体をとおして描かれているのは、戦闘機パイロットの苦悩です。日本において自衛隊は、実際に敵と戦った経験があるわけではありません。

さらに各国でミサイル技術の発達が進み、今後は戦闘機もステルス機能が特化され、いずれ無人の戦闘機が常識となる時代が訪れるでしょう。つまりパイロットの数は大幅に減るであろうことが予想され、それは彼らにとって大問題なのです。

パイロットの苦悩が各国の思惑と絡まることで、国を揺るがす大きな事件となっていきます。

元航空自衛官パイロットとシリア空軍エースの戦い『謀略航路』

本作の舞台は、「アラブの春」が起こった中東地域。チュニジアでひとりの青年が亡くなったことをきっかけに、反政府運動が各国に広がっていったことは記憶に新しいでしょう。

なかでも内戦が激化していたシリアに、日本を含め数ヶ国の「和解仲介団」が送りこまれました。

どこまでが現実でどこからが創作か……ドキュメントともエンターテイメントともとれる航空サスペンスです。

著者
鳴海 章
出版日
2016-06-15

シリアに向かった多国籍和解仲介団ですが、当のシリアによって飛行機を乗っ取られ、首都から遠く離れた空港に強制着陸させられてしまいます。

乗員は全員拘束、つまり人質になってしまいました。

そこで救助に乗り出したのが、イギリスの航空自衛隊で戦闘機を飛ばしていた元パイロットたちです。

空中戦の描写は、細かい動作も想像できるほどリアルで、思わず拳を握りしめてしまうほど。また戦いだけでなく、その戦略にも目を見張るものがあります。

果たしてシリアはなぜ仲介団を人質にとったのか、そしてイギリスとの戦いの行方は……?最後はバラバラに思えた登場人物たちのある繋がりもわかり、その構成にも脱帽です。
 

鳴海章を代表するシリーズ『ゼロと呼ばれた男』

 

鳴海章が手掛ける作品のなかでも、とくに人気を博している「ゼロ」シリーズ。本作はそれの第1話にあたります。

ファイターパイロットとして生きる、ジークという青年が主人公。彼は沖縄の上空で、アメリカ軍が秘密裏におこなっている軍事演習の真の目的を探ります。そのうち、国際問題にかかわる重要な計画を知ってしまい……。

 

著者
鳴海 章
出版日
2017-05-19

とくに見どころなのが、ジークの相棒が戦死してしまうシーン。戦闘機のパイロットたちは、お互いに生死の境目ギリギリのところをぬって戦います。それゆえ、相棒に寄せている信頼も並大抵ではないのです。
 

もちろんそれだけでなく、航空機や戦闘に関する描写はかなり緻密で、今回も読み応え抜群。アメリカ・ソ連・イスラエルなどの謀略が絡み、壮大な物語へと発展していきます。
 

第4話まで続くので、ぜひお手元にご用意して読んでください。

鳴海章が描く生きる執念とは『輓馬』

ばんえい競馬をテーマにした小説です。事業に失敗し、借金取りに追われて厩舎に逃げ込んだ男は、そこで黙々と馬の世話をする男たちと出会いました。

真剣に馬を愛し、向き合う姿に心を動かされ、ある決意を固めるのです。
 

著者
鳴海 章
出版日
2005-11-10

ばんえい競馬とは、競走馬が騎手と重量物を載せた鉄製のそりを引き、障害物を乗り越えながらゴールまでの速さを競う競技。馬の体重は800キロから大きいものだと1トンを超え、その力強さを楽しむことができます。

主人公の男は東京で何もかもを失い、地元の北海道で馬と出会いました。生きる希望を失っていた彼が、馬の世話をするうちに徐々に輓馬の魅力に引き込まれていくのです。

鳴海が得意としている航空戦闘シーンと同様、実際に馬が走るシーンは息遣いが直に伝わってくるような鬼気迫るものがあります。全力を出し魂を懸けてレースに挑むその姿は、主人公に生きる力を与えるとともに、読者にも勇気を与えてくれるでしょう。
 

鳴海章の作品は、航空サスペンスものもそうでないものも、手に汗握る緻密な描写が魅力的です。まるで映像を見ているような臨場感が得られるはず。気になったものからお手に取ってみてください。

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