美しすぎる転入生の真琴と、男にしか見えない少女の糸。とある秘密を共有したことで、2人の関係が急速に近づいていきます。恋と友情、そして演劇への愛と情熱がたくさんつまった『Wジュリエット』の魅力と見どころを、続編の「Ⅱ」も合わせてご紹介していきましょう。スマホの漫画アプリで無料で読むことができるので、ぜひチェックしてみてください。
桜ヶ丘高校にやってきた美しい転入生の天野真琴は、当初から男子生徒の視線を集める人物。そんな真琴が演劇部に入部して初めて仲良くなったのは、男の子にしか見えない女の子の三浦糸でした。
本作は2人の少女が切磋琢磨する話……ではありません。実は真琴は男の子。夢である役者になるため、女装して高校に通っているのです。
女装をした真琴と、男らしい糸の、恋と家族、そして演劇に対する熱い情熱が描かれた作品です。
『Wジュリエット』は1997年から2002年まで「花とゆめステップ」「花とゆめ」で連載。その後『WジュリエットII』が2004年から「ザ花とゆめ」で連載をしています。
この記事では本作の魅力と「Ⅱ」の最新刊の見どころをご紹介してきます。ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- 絵夢羅
- 出版日
桜ヶ丘高校演劇部に入部したのは、転入当初から注目を集めていた美少女の天野真琴です。見た目もさることながら抜群の演技で、男勝りなイケメン女子の三浦糸をはじめ、部のメンバーとすぐに打ち解けていきました。
物語は、かっこいい糸をヒーロー、美しい真琴をヒロインにして進んでいくのですが、ある日糸は、実は真琴が男であることを知ってしまうのです。
夢である役者になるために、誰にもバレずに女として高校生活を過ごさなければいけないという真琴。糸は協力することを決めます。そしていつしか2人は、異性として惹かれていくようになるのです。
「Ⅱ」では、後に結婚した真琴と糸が芸能界でタレントとして活躍する姿が描かれています。
- 著者
- 絵夢羅
- 出版日
転入当初から美しいと騒がれていた天野真琴。その所作や立ち居振る舞いは名家の令嬢のように麗しく、男子生徒だけでなく女子生徒からも人気を集めていました。しかし実は「天野真琴」は転入するために用意された偽名。本名は成田真という、れっきとした男の子だったのです。
役者になるという夢をどうしても叶えたかった真に対し、厳格な父が提示した条件が「演劇部のある学校で男とバレずに高校生活を送ること」でした。かなり無理な提案に見えますが、彼の実家は中国拳法の道場で、父親はどうしても真に家を継がせたかったのでしょう。
転入してまもなく、同じ演劇部に所属する糸には男だとバレてしまいますが、彼女は黙って協力してくれることになり、真は「天野真琴」としての生活を続けることにしました。
真は出会った当初糸よりも背が低く、見た目も完全に女性そのもの。しかしふとした時に見せる表情は間違いなく男性です。これまで恋愛経験がない糸の無防備さに怒るシーンでは、真の男らしい一面を見ることができます。
演劇に真摯に取りくむ真面目なところも素敵ですが、やはり糸と接している時の彼が1番人間らしく魅力的でしょう。作中では、真と出会ってからどんどん女性らしくなる糸を狙い、さまざまな男が登場しますが、そのたびに面白くなさそうにする表情に注目です。
ちなみに「Ⅱ」では、糸への溺愛っぷりがさらに加速。彼女のためならどんなことでもやってのけます。
- 著者
- 絵夢羅
- 出版日
服を脱ぐまで女性だと気づかれないほど、ボーイッシュでイケメンな三浦糸。下駄箱に女子生徒からのラブレターが大量に入っていることもあります。
似合わないから、という理由で女子の制服ではなく友人からもらった男子の制服を着ていますが、ブラジャーなどの下着は女性物を使用していて、自分が男らしい女性であることを受け入れているようでした。
過保護な父や兄の影響と、子どものころにからかわれたことから、「スカート」や「女らしい」ということに拒否反応は示すものの、女性扱いされて嬉しくなってしまうのが可愛いところです。
実家は空手の道場を営んでいて、腕っぷしがかなり強く、運動神経も抜群。当初は性格も男勝りでしたが、真と出会ってからはどんどん「女の子」として花開いていきます。
演劇部でも男役を演じることが多かったのが、女役もやるようになり、私生活でも演劇でも女性として振る舞うようになりました。そうするとちょっとした表情や内面も変わってくるもので、彼女の変化が本作の見どころのひとつでしょう。
「Ⅱ」になると、もうそれは美しく輝く大人の女性になります。芸能人という立場上、結婚を隠さなければいけない2人は相変わらずドタバタしていますが、糸の精神的な強さがより顕著に表れているので、そちらにも注目してみてください。
- 著者
- 絵夢羅
- 出版日
本作では糸と真の恋模様が見どころですが、もうひとつ注目したいのが、本格的な演劇シーンです。主な舞台が高校の演劇部ということもあり、舞台セットや役者の立ち回りについて詳細に描かれています。またキャラクターたちが舞台に立つ時に見せる、普段とは違う役者としての「顔」もいいですね。
糸と真が劇団のオーディションを受けるシーンでは、基本の設定にもとづいてそれぞれがストーリーを膨らませ、同じシチュエーションで異なる舞台を演出する場面があります。
真は身についた女性らしさを活かし、糸は得意なアクションを活かして、まったく違う演技を披露。役者というのはただ役を演じるのではなく、想像力を膨らませて役になりきることが必要だとわかります。そして自分のイメージしているその状況を見ている人に理解させられる説得力も大切で、そのために役者としての目線や一挙手一投足の演技が必要になるのです。
また、ことあるごとに真を実家に戻そうとする人間が現れるのですが、不利な状況にも嘆かずに奮闘する彼らの姿から演劇に対する真剣な想いが感じられ、胸打たれるものがあります。
「II」では、舞台ではなくテレビドラマの役者として演技をするシーンが増えていきます。ひとつの作品をとおして役を演じる舞台と、1シーン1シーンを繋いで作るドラマの違いなどもわかるので、ぜひこちらにも注目してみてください。
『WジュリエットII』の7巻では、真の所属事務所の先輩俳優・西野翔吾が本格的に登場。事務所内は誰が敵で誰が味方かわからず、真はこれまで西野のことをなかなか信用できずにいました。
しかし彼の役者としての才能や、取り組む姿勢などから、その認識を徐々に変えていきます。
一方の糸も西野を純粋に尊敬しているようで、共演できる時が来るのを楽しみにしていました。しかし真の所属事務所と糸の所属事務所は共演NGで、実現するのは難しいようです。
- 著者
- 絵夢羅
- 出版日
- 2017-03-20
そんな両事務所の事情に風穴を開けたのが、糸の事務所に新しくやってきた新人マネージャーの渡辺です。彼はやや社会常識が欠けているというか、やる気が空回りするタイプのようで、事務所が断ったはずの西野主演のドラマに、なんと糸を出演させてしまうのです。
当然糸は顔がバレないようヘルメットを被り、エンドロールも別の名前で放映。しかしSNS上ですぐに事実が拡散してしまい、事務所の決まりを破ったとして糸が強い風当たりを受けてしまいました。
見どころは、この一件を見事に収束させていく真の手腕。会社の上司であろうとなんでも利用し、結果的に両事務所の共演NGは無くなりました。
しかしこの後、マネージャーの渡辺が新たな爆弾を落とすのです……。今度はどんな失態をしてしまうのか、ぜひ実際に読んで確かめてください。
新人マネージャーのせいで糸がずっと隠していた秘密がバレそうに……。しかし、そこはさすが女優、なんとか平静を装い乗り切りますが、ずっとついてくれていたマネージャーには、嘘で誤魔化したとバレてしまいます。
その後、あることを機に、糸は会社の信頼できる親しい人にだけ秘密を明かすのです。しかし、いつの間にか社長の耳にも入り、真が所属する白鳥の黒田専務も交えて、極秘会談をおこなうことが決まります。
- 著者
- 絵夢羅
- 出版日
- 2018-04-20
芸能界に入る前にしたことを、芸能界に入ってから縛られ続けるというのも、なかなか大変ですよね。会談を控え、周りにバレないようにより慎重になる糸。そんななか、芸能界の友人・栗山はやてたちが実家にやってくることになります。
真の写真だけは見られないようにと卒業アルバムを必死に探す彼女ですが、その努力虚しく、アルバムははやての手に。アルバムの写真。そこに挟まれていたのは、女装をしていない真の写真でした。すべてを見てしまったはやてが取った行動は……。糸とはやての友情に、胸が熱くなりますよ。
また本巻で注目したいのは、白鳥と、糸の所属するシャインズとの会談ですよね。白鳥側が出してきた契約書の内容が酷すぎるので、ここはぜひ注目してみてください。
何事にもまっすぐ取り組む糸は、たとえ真と争うことになっても、その手を緩めることはしません。テレビ番組のなかで、2人の今後をかけて争った糸と真の勝敗は……。かっこいい糸が、もっと好きになるに違いありません。
糸と真の高校時代の姿を描いた『Wジュリエット』と、成人した後役者として活躍する姿を描いた『WジュリエットII』。綺麗な男性とかっこいい女性が好きな人にはとくにおすすめです。ぜひお手にとってみてください。
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