いつの時代も人はラブストーリーが大好きです。日々数多くの恋愛漫画が生み出されていますが、どれが本当に面白い作品なのか、選ぶのに迷ってしまいますよね。ここでは、完結済みの本当に面白い名作恋愛漫画36作をご紹介いたします。甘酸っぱい思いに浸ったり胸きゅんしたりしたくなったら、是非参考にして下さい。年代順にまとめているので、当時読んでいた時のことを思い出しながら再読するのも楽しいかも知れません。
ラブコメ漫画とは、恋愛を物語の主軸とした、コメディ作品です。喜劇要素のある恋愛劇は、時にシリアスな展開を迎えても、物語全体が明るいところが魅力。恋愛漫画特有のドキドキ感に加え、ストーリーやコメディ要素など、たくさんの楽しみが詰め込まれています。
多くの傑作漫画を生み出した高橋留美子の代表作のひとつが『めぞん一刻』。1980年を代表する恋愛漫画です。今ではお馴染みとなったジャンル、ラブコメディ作品の定型を作った作品で、いわばラブコメの元祖。ラブコメ漫画の幅を大いに広げました。
- 著者
- 高橋 留美子
- 出版日
優しい性格ゆえに押しが弱く、トラブルに巻き込まれがちな主人公、五代裕作。浪人生として上京し、住み始めたアパート「一刻館」には風変わりな人物が多く、引っ越しをしようかと画策する日々を送っていました。そんななか、新しい住み込みの管理人として音無響子(おとなしきょうこ)がやってきます。美人でスタイル抜群の響子に一目ぼれした裕作は、そのまま一刻館に住み続けることに。
穏やかで天然気質な響子は、裕作の想いを察しつつも、亡くなった夫、惣一郎への気持ちを整理することができず、気付かないふりをし続けます。しかし、女友達と話す裕作を見てやきもちを焼いてしまうなど、気にはなっている様子。アパートの住人達は2人の恋愛模様を肴に、宴会をするなど、賑やかな日々が過ぎていきます。
物語では裕作と響子の恋愛模様を中心に描きながらも、ラブコメに終始しないところが特徴。裕作が大学を卒業し、紆余曲折しながらも就職をし、響子も惣一郎への想いを消化していく過程が丁寧に描かれます。
天然で可愛いけれど未亡人という、今までにない響子のキャラクターも魅力的。1980年代の世相も反映しており、当時の生活をリアルに感じることができます。感動的な最期のシーンももちろん見どころですが、まずは賑やかな生活の中で描かれる2人の恋愛をお楽しみください。
『めぞん一刻』を紹介した<漫画『めぞん一刻』に低スペックでもヒロインを射止める恋愛術を学ぶ!>の記事もおすすめです。
夏の風物詩といえば、各都道府県の代表校が甲子園という夢の舞台で、白球を追いかける高校野球。野球漫画の多くは高校生を主人公とし、彼らが甲子園を目指しているものです。野球漫画といえば、あだち充。甲子園の季節になると、彼の漫画が読みたくなる人も多いのではないでしょうか。
1981年を代表する恋愛漫画が、あだち充の代表作『タッチ』です。アニメ化されていたこともあり、国民的高校野球漫画として知られている本作ですが、野球と同じくらいに力が入れられているのが、主人公たちの恋愛模様です。
- 著者
- あだち 充
- 出版日
主人公の上杉達也は高校生。双子の弟の和也は、成績優秀、かつ野球部のピッチャーを務めるなど、みんなの人気者です。対する達也は何事にもいい加減な性格。2人は隣の家に住む幼馴染、浅倉南と一緒に過ごすことが多く、上杉兄弟は南にほのかな想いを寄せていました。そんななか、和也が南を甲子園に連れていくと宣言したことで、幼馴染の関係から微妙な三角関係に発展していきます。
双子の兄弟とヒロインの三角関係から始まる恋愛ですが、その関係が長続きしないのは、本作の読者でなくても広く知られていること。なんと和也は交通事故により亡くなってしまい、早々に退場するという衝撃的な展開を迎えるのです。和也の遺志を継ぐ形となった達也が南を甲子園に連れていくと宣言しますが、幼馴染の恋は迷走。
互いに想い合いながらも、煮え切らないモダモダ感の中に、ライバル校の生徒や、慕ってくるマネージャーの後輩などが積極的に絡んできます。もちろん、甲子園を目指す野球部にも次から次へと問題が発生し、一筋縄ではいきません。
ヒロインの南は、理想の幼馴染ヒロインとして君臨し続けるキャラクターです。彼女と幼馴染の間の恋愛や、野球の青春を描いた漫画の代表作といえる本作。1作品でさまざまな要素を楽しむことができる作品です。
不朽の名作『タッチ』の魅力を紹介した<漫画『タッチ』の12の事実!あらすじ、声優、結末、その後などを紹介>の記事もおすすめです。
80年代の少年たちをキュンキュンさせた名作漫画といえば『きまぐれオレンジ★ロード』ではないでしょうか。
SF要素が入っているストーリーではあるものの、醍醐味は三角関係のドキドキや甘酸っぱいストーリー。ツンデレという言葉がまだなかった当時、そのはしりとして登場したヒロインのまどかは、新鮮でつかみどころのない魅力がありました。
恭介は家族そろって超能力が使えるちょっと変わった一家。その秘密が知られそうになるごとに引っ越しをしなければならなくなり、今回で7度目の転校でした。
そんな恭介が新しく住む街で散歩をしていた時、運命の出会いが起こります。彼の目の前に風に飛ばされた麦わら帽子が落ちてくるのです。それをキャッチすると、恭介は持ち主の少女に返すのですが、とても可愛い彼女に一目惚れしてしまいます。そんな出来事があり、新しい街での暮らしも悪くないなと思いはじめるのです。
新生活への期待に胸を膨らませていると、なんと彼女は転校先のクラスメイトでした。しかし、あの時話したイメージとは異なり、彼女は学校でも知られるほどのヤンキーだったのです。
- 著者
- まつもと泉
- 出版日
- 2017-07-18
ラブコメ漫画のなかでも王道のヒロインのひとりとして挙げられるまどか。外面はヤンキーとして知られている彼女は、恐れられてはいるのですが、美少女としては折り紙つき。可愛らしい顔つきはもちろん、素晴らしいプロポーションを誇っているのです。
そんなまどかはどこかミステリアス。恭介に近寄ってきたかと思えば、ふらりと離れてしまいます。しかも時には無邪気に笑い、時には大人びた憂いの表情を見せることもあるなど、とにかくギャップの宝庫なのです。
彼女について知れたと思うとまだまだ知らない一面が出てくる、そんなつかみどころのなさが魅力のまどか。実は実在のモデルがいたのをご存知でしょうか。
そのモデルになったのが、中森明菜でした。
『タッチ』が大人気だった当時、南ちゃんという身近で親しみやすいヒロインが王道でした。しかし逆にアウトローなヒロインを登場させたいという思いがあった作者が、そのイメージどおりだと参考にしたのが中森明菜だったのです。
そしてその狙いは大当たり。甘酸っぱいストーリーとともに、まどかは多くの少年をトリコにしたのです。
80年代に連載されていた漫画にもかかわらず、現在も当時の読者から熱い支持を受けており、2016年にはまどかのフィギュアが発売されたほどです。
『タッチ』とともにヒロインのタイプを見比べながら読むのも楽しい、おすすめの名作漫画です。
『きまぐれオレンジ★ロード』については<『きまぐれオレンジ★ロード』のヒロイン徹底比較!名作青春漫画が面白い!>の記事で紹介しています。
ラブストーリーというと、学生が主人公となっているものが多いでしょう。しかし、単純に学校生活の中で恋愛を描くだけではなく、さまざまな要素を盛り込んでいる作品は多く、メインとなる恋愛がより魅力的に展開されていきます。
1982年、多くの女子を胸キュンさせた池野恋の漫画『ときめきトゥナイト』もそのひとつ。人間世界を舞台にしながらも、ファンタジー的な要素である、吸血鬼や狼男といったキャラクターがメインキャラクターとして登場。魔界の王子探しなども絡み、ストーリーをよりドラマチックに盛りあげていきます。
- 著者
- 池野 恋
- 出版日
江藤蘭世は、父が吸血鬼で母が狼女という、魔界の少女です。彼女は人間界で生まれ育ち、同級生の真壁俊に片想いをしていました。得意の変身能力を使ってアプローチするも、蘭世に一目ぼれした魔界の王子や、俊の幼馴染という邪魔が入ったり、両親に人間との恋を反対されたりとうまくいきません。しかも肝心の俊は、今のところは女に興味がないとつれない様子で、蘭世の恋は前途多難。
両親は魔界の大王から、「腕に星型の痣を持ち、人間界に住む王子を探せ」と命じられていました。実は、その王子こそ俊だったのです。その影響で、蘭世と俊の恋に大きな障害が立ちはだかります。
魔界の事情や俊の出生の秘密、前世なども絡み、物語は当初のコメディ色から、よりシリアスな方向へ。さまざまな障害に立ち向かい、恋を成就させようとする蘭世のパワーに圧倒されます。
本作では序盤で蘭世と俊の恋模様が描かれます。次に登場するのが蘭世の弟で狼男の鈴世と、心臓病を抱えている人間の少女・市橋なるみ。さらに、蘭世と俊の娘で、魔界の第魔女になると予言されている真壁愛良と、魔界人の血を引く水上開陸も登場します。この3組のカップルの恋愛模様がシリーズを通して描かれている超大作です。番外編も含めると作品数はかなり膨大ですが、同じ世界観やキャラクターが登場するので混乱することはありません。
あのキャラクターのその後が知りたい、といった読者の要望にも応えてくれるところも魅力のひとつです。一見不良っぽいものの、照れ屋で意地っ張りな俊、優等生で一途な鈴世、厳しくも優しい水上開陸。それぞれのヒロインへの甘い言葉も堪能できる、少女漫画ならではの要素もお楽しみください。
近年では、際どい露出と性描写を売りとしたラブコメ漫画が少年誌でも人気です。バトル漫画が主流となる少年誌において、その道を切り開いた作品が、桂正和の『電影少女』。読みは「でんえいしょうじょ」が基本ですが、「ビデオガール」とルビを振られることもあります。
1989年に、読み切り作品として掲載され、人気に火が付いた作品です。最大の魅力は、「画面の中から理想の美少女が出てくる」という夢のようなシチュエーションと、リアルかつ美麗な作画。桂正和の描いた絵を、「理想のお尻を持つキャラ」として挙げるファンも多く、女性の身体描写の美しさに定評があります。
また、繊細かつ丁寧な心理描写も見どころのひとつ。裸体を描かずにどこまで過激な描写ができるかを追求した作品であるにもかかわらず、恋愛における心の動きは、多くの女性読者の共感を呼びました。過激でリアルな性描写が注目されがちですが、SF的な要素もあり、丁寧に作り込まれた恋愛物語を楽しむことができる作品です。
- 著者
- 桂 正和
- 出版日
モテたい高校1年生の弄内洋太(もてうちようた)は、美少女の同級生・早川もえみに片想いをしていますが、彼女は洋太の親友に片想い中。ほぼ失恋という虚しさを抱えていた洋太の前に、突然目の前に現れた謎の店「GOKURAKU」。そこは純粋なものの前にしか現れないというレンタルビデオ店でした。年頃の洋太はアダルトコーナーで、彼好みの少女「天野あい」のビデオテープを借ります。
自宅に戻り、ビデオを再生した洋太。すると、画面が突然光り出し、モニターの中からビデオの中にいたはずのビデオガール「天野あい」がなぜか登場します。
ビデオデッキ故障の影響により胸が縮み、男っぽい性格となったあいと、レンタル期間中だけ同居をすることになった洋太。一緒に生活していくなかで、人の長所を探すことが得意なあいに、洋太は徐々に惹かれていきます。
本来であれば、人を愛する心を持たないビデオガールですが、ビデオデッキの故障により、あいは洋太に恋愛感情を抱いていました。恋をしたことにより、洋太は精神面で成長していきます。あいの「おまえのいいとこひとつめーっけ」というセリフに、読者も勇気づけられるでしょう。
本編は洋太とあいの恋愛を描いた「あい編」と、田口広夢と刈川俊騎それぞれの恋愛を応援する「恋編」の2部構成。よりドラマチックなのは「あい編」ですが、「恋編」も心理描写と過激描写に遜色はありません。こんな女の子と恋愛してみたいと思わせてくれる一冊です。
『電影少女』のあい編については<漫画『電影少女』あい編の魅力を最終回までネタバレ紹介!あのお尻は国宝もの>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
少女漫画を原作とした実写ドラマや映画が人気を集めていますが、この少女漫画ほど男女問わず幅広い年齢に支持されている作品もないでしょう。ぶっ飛んでいながら、やりとりに胸キュンし、この恋物語に釘付けになった人も多いはず。
1992年に連載が開始され、一度は完結したものの、番外編や次世代の連載も好評な作品です。お嬢様とお坊ちゃんばかりの学園でくり広げられる物語はコメディ満載。財閥の御曹司で典型的な俺様タイプの道明寺司や、クールでマイペースな花沢類など、キャラクターづけが明確でブレないところが、長い間愛されている理由のひとつといえるでしょう。
- 著者
- 神尾 葉子
- 出版日
主人公は、正義感が強く、雑草のような根性を持っている庶民的な女の子、牧野つくし。親の見栄のせいで富裕層や名家の子どもたちばかりが通う英徳学園高校に入学しますが、目立たず地味に生活していました。学園は、教師にも強い影響力を持つ男子4人、通称「F4」が牛耳っています。皆が彼らを畏れ敬う中、つくしは友人をかばい、やりたい放題の道明寺に花瓶の水をかけたことで目をつけられ、いじめの対象に。
恋愛ものなのにいじめ?と最初の展開から読者はハラハラしますが、つくしは理不尽ないじめに負けない根性の持ち主。真っすぐに立ち向かってくるつくしの存在に、F4のメンバーは少しずつ影響され、人と向き合うことや他者との関係性を学び、成長していきます。
特に成長幅が大きいのが、つくしの恋の相手となる道明寺。最初はわがままで俺様な嫌な奴という印象が強い人物ですが、純粋で真っすぐな信念を持つ部分もあるのです。両親が傍にいないため、甘やかされて育った彼が、真っ直ぐに向き合ってくれるつくしに影響され、徐々に周囲との関わり方をあらためていきます。つくしをいじめていた過去はありながらも、道明寺とつくしの恋を応援したくなるでしょう。
お金持ちキャラクターが多いだけに、少しリアルではない日常での恋愛模様が描かれています。道明寺以外のF4の恋模様なども描かれ、物語は徐々に盛りあがっていきます。
キャラ萌えできる名作少女漫画で、胸キュンな恋を楽しんでみてください。
主人公のシゲカヨは本屋で働く社会人。周りはみんな彼氏がいるのに自分だけどうしていないの?と悩みを抱え、いつも理想の彼氏を探しています。さまざまな男と出会っては運命を感じるものの、枕をともにして捨てられることがほとんど。
しかし、そんなシゲカヨのことを一途に思い続けている男の子がひとりだけいます。その名はタカハシで、本屋でともに働き続けていた大学生。彼は必死にシゲカヨにアプローチをするものの、逆に相手にされず途方に暮れてしまいます……。
まったく噛み合わない2人の恋の行方は、どうなってしまうのでしょうか。
- 著者
- 安野 モヨコ
- 出版日
- 2001-05-25
1998年にドラマ化された人気作。ドラマも原作さながらの人気を誇り、高視聴率を叩き出しました。
主人公のシゲカヨとその親友のフクちゃんはどちらも29歳。シゲカヨはまともな彼氏すら見つけられず、フクちゃんは結婚式場の手配までしたものの振られてしまうという、恋愛に関してはとても不幸な2人です。
30歳までに結婚、というゴールを目指してはいるものの、その気配は残念ながらまったくありません。同じことを考えている女性は現実にも多いようで、焦って空回りしてしまう2人の姿は、多くの方から共感を得たのではないでしょうか。
女性キャラ2人に加えて、主要キャラクターとなるのが本屋で働く大学生のタカハシ。眼鏡をかけ、いかにも優しそうな外見をしている彼はシゲカヨを一途に想い続けています。食事に誘ったり、ディズニーランドに誘ったりと勇気を振り絞って攻めるタカハシですが、なかなか想いは届きません。
はたして彼らは幸せになることはできるのでしょうか?恋愛に一生懸命なキャラクターたちを応援してあげたくなるような作品です。ぜひお手にとってみてください。
『ハッピーマニア』の魅力を紹介した<『ハッピー・マニア』に全女子震撼!共感度抜群の恋愛漫画をネタバレ紹介>の記事もおすすめです。気になる方はあわせてご覧ください。
世の中には男子よりも男らしい女子や、女子よりも女らしい男子という人もいます。しかし、大概はよく見れば本来の性別を間違えるということはほとんどありません。仕草や声、言葉遣いなど、外見以上に性別を語る要素は多く、性別を偽り続けるというのは難しいのです。
- 著者
- 絵夢羅
- 出版日
絵夢羅が描く『Wジュリエット』は、湘南にある桜ヶ丘高校が舞台。主人公、三浦糸はボーイッシュな女子高生です。ショートカットで、性格は裏表なく快活。身長177㎝、空手をやっているため腕っぷしが強く、スカートが嫌で男子の制服で通学しているなど、女子力がほぼ皆無です。
ある日、彼女が所属している演劇部に転入生が入部してきます。天野真琴は、糸とは正反対に女性らしい女の子。意気投合した2人ですが、糸は真琴が隠していた秘密を知ってしまいます。
真琴は、本当は成田真という名前の男性。中国拳法の道場に生まれ、後継ぎとして育てられましたが、役者の夢を捨てきれずに条件付きで桜ヶ丘高校に転入してきたのです。その条件とは、男とバレないように高校生活を送るというもの。糸は真に協力し、女装した男子ということを隠し、学校生活を送ることになります。
学校生活と演劇がメインではあるのですが、糸は空手道場、真は中国拳法の道場の跡取り候補ということもあり、アクション要素が多いところがポイントです。演劇部の演目によっては洋風の衣装で登場することもあり、そのたびに女装した真の美しさを堪能できます。
恋愛の2文字が発生しなさそうに感じられますが、真は糸にべた惚れ。男勝りだった糸が恋をして、意識が女性らしく変化していくところと普段のギャップが見事です。
「糸さんの前では普通の男でありたい……」(『Wジュリエット』より引用)
真はふたりでいるときは男らしさを隠すことなく、糸をより意識させるためのアピールを欠かしません。そのシーンは普段のギャップと、ふたりの秘密という要素でキュンキュンしてしまうものになっています。
恋という名前だけの結びつきではなく、それ以上に互いを信頼している糸と真の関係性が羨ましくなる本作。全14巻の本編に加え、続編では2人が入籍し本格的に役者を目指すなかでの騒動が描かれています。強い絆で結ばれた糸と真のこれからにも目が離せません。
『Wジュリエット』については<漫画『Wジュリエット』が「Ⅱ」まで無料!8巻まで見どころをネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
本作の主人公はファッションとはまったく縁のない、進学校に通う女子高生、早坂紫。頭の良さは関係ない、ファッションの世界をバカにしているようなところも見られます。しかし、両親や学校の期待に応えるため、頑張って勉強をして大学を受験するという事に疑問を感じてもいました。
ある日、紫はプライベートブランド「パラダイス・キス」のメンバーである永瀬嵐から、矢澤芸術学院服飾科で開催するショーのモデルに誘われます。当初はファッションの仕事に否定的だった紫でしたが、夢に向かって努力し、まっすぐに進んでいく仲間の姿に強く惹かれ、考えを改めていきます。
- 著者
- 矢沢 あい
- 出版日
- 2000-04-07
王道というのは安心感を与えてくれます。辛い境遇の少女が、王子様と出会って恋をして、幸せに暮らしました。そういったよくあるお話が広く支持されているのも、幸せになるという安心感を求めてのことなのでしょう。勉強して良い大学に入って、良い企業に就職する。そんな人生における王道の根底にも、安心感を得ようという心理が働いているのではないでしょうか。
今日の社会には、公務員のような安定した職種もあれば、逆に個人の才能が求められる不安定な職種もあります。『Paradise Kiss』の舞台は、個人の才能がものをいうファッション業界。作者矢沢あいの色彩やファッションセンスがいかんなく発揮されるモチーフでもあります
そんな本作ではキャラクターの表情による心理描写が丁寧に描かれており、登場人物の喜びや挫折、苦悩を自分の事のように感じることができるでしょう。紫の恋は衝撃的な結末を迎えますが、心情を丁寧に描いているので、紫の気持ちに添って恋の行方を見守ることができます。
ファッション業界特有の華やかさと、爽やかな青春ラブストーリー。物語とともに、スタイリッシュでオシャレな雰囲気にどっぷりとつかってください。
『Paradise Kiss』については<漫画「パラダイス・キス」を読もう!登場人物の魅力を名言からネタバレ紹介!>の記事で紹介しています。
自分のどこにもコンプレックスを感じていないという、恵まれた人はそういないでしょう。もう少し背が高ければ、目が大きければ、痩せていれば。理想の容姿とかけ離れた自身の外見に、一喜一憂し、それが原因で恋に踏み出せないという人もいるかもしれません。
コンプレックスなんて弾き飛ばしていこう、という明るさと勢いのある漫画が、中原アヤの『ラブ★コン』。2001年に大人気となったラブコメ少女漫画です。本作の特徴は、舞台が大阪であるという点でしょう。関西弁でセリフが飛び交い、シリアスなシーンでも深刻になりすぎません。キャラクターの会話が漫才のようにテンポよく、笑いながら読めるというのも大きな魅力です。
- 著者
- 中原 アヤ
- 出版日
- 2002-03-25
大阪にある舞戸学園に通う小泉リサは、女子ながら身長172㎝を誇る高身長女子。運動も勉強も得意ではないものの、明るくポジティブな性格をしています。一方、入学当初から、リサと口を開けば喧嘩ばかりしている大谷敦士は、身長156.2㎝の低身長の男子。2人は、やり取りの面白さから「学園のオール阪神・巨人」として認知されていました。
喧嘩ばかりしているものの、ともに学級委員を務める2人。関わっていくうちに性格や趣味が合うこと、互いに身長にコンプレックスを抱いていることを知ります。やがてリサは意外と男らしく、さりげない優しさを持つ敦士に惹かれていきますが、コンプレックスが邪魔をしてなかなか前に進むことができません。
犬猿の仲から親友、そして恋人になる過程がコミカルに描かれています。コンプレックスがあるがゆえに、親友ポジションに甘んじようとする、という恋愛あるある的な要素を盛り込みながらも、漫才のようなやり取りで終始笑わせようとする作者の熱意に脱帽。笑っている間に胸キュンポイントがくるという不意打ちもあり、随所で楽しませてくれます。
がんばれ、と笑いながら背中を押してあげたくなる、さっぱりとした明るさのあるラブコメ漫画。コンプレックスなんて恋愛には関係ないと明るく吹き飛ばし、全ての人の恋を応援してくれる一冊です。
音楽大学のピアノ科に所属する千秋真一は、父親も有名なピアニストであるいわゆる音楽のエリートです。しかし千秋の本当の夢はピアニストではなく、指揮者。オーケストラで指揮を振ることを目指しヨーロッパへ行きたいと思っていましたが、過去のトラウマから飛行機にも船にも乗れず、実現できないまま過ごしていました。
何もかもうまくいかない千秋は、ある日、酔っぱらって家の前で眠りこんでしまいます。目を覚ましたとき、千秋が見たのは、ゴミ部屋の中で美しくピアノを奏でる野田恵(通称のだめ)の姿でした。それ以来、変人のだめに付きまとわれ困っていた千秋でしたが、彼女のピアノの才能にいち早く気がつきます。それから2人は関わるようになっていき……。
- 著者
- 二ノ宮 知子
- 出版日
- 2002-01-08
音楽大学や音楽の本場が舞台になっているので、作中には当然たくさんのクラシック音楽が登場します。からといって堅苦しさは一切なく、むしろ常に笑える音楽ラブコメになっています。タイトルにも名前が入っているヒロインののだめは、部屋はゴミ屋敷で風呂にはほとんど入らず、人のお弁当を勝手に盗むという、かなりのレベルの変人。しかし並外れたピアノの才能をもち、千秋と関わることによってその才能を開花させていくのです。
一方、エリートの千秋は俺様な性格で、ピアノや指揮など音楽に関することはもちろん、料理や掃除なども完璧にこなす人物。誰よりも自分に厳しく努力したり、完璧を求めるあまり空回りしたり失敗したりする姿は、ストーリーにハラハラ感を与えてくれて、ページをめくる手が止まらなくなることでしょう。
全25巻で、途中、舞台となる場所が変わります。クラシック音楽を知っている方はもちろんのこと、知らない方でも漫画を何の問題もなく楽しむことができます。笑いながらクラシックの魅力も知っていける漫画です。
2002年に人気となったのが、小畑友紀の『僕等がいた』です。本作は北海道釧路市と東京を舞台とした作品になっており、北海道ならではの広大な自然の描写が魅力となっています。
また、転校や進学にともない上京し、気持ちの変化が生まれるのも特徴のひとつ。雪深い街で育まれたピュアな恋愛が、やがて遠距離恋愛に発展していくのも、リアリティのある展開です。
- 著者
- 小畑 友紀
- 出版日
- 2002-10-26
主人公は明るく無邪気で、少し泣き虫な高橋七美。彼女は釧路市の高校に入学したばかりでした。一方、少し影があるイケメン男子、矢野元晴も登場します。七美は意地悪ばかりしてくる彼にあまりよい印象を持っていませんでした。しかし、接するうちに矢野の持っている優しさに触れ、惹かれていくのです。
学校生活をともにしていくなかで両思いになり、付き合うことになった2人。ですが、高校2年生の時に矢野は東京の学校へと転校することになり、遠距離恋愛になってしまいます。大学進学にともない、上京した七美でしたが、再会する前に矢野は行方不明に。ようやく再会したものの、矢野は以前とは別人のような性格になっていました。
七美は影のない、普通の女の子。一方、矢野は親に望まれて生まれたわけではなく、しまいには母親が自殺してしまうのです。また、過去に矢野は恋人を事故で失っているなど、あまり恵まれた境遇とはいえません。七美と出会って多少なり救われましたが、それ以上に彼は苦しむことになるのです。互いを想い合うがゆえに、過去が邪魔をして傍にいる事を選択できない恋は、まさに後ろ向きといえるでしょう。
そんな2人の恋が進展するきっかけが、矢野の親友であり七美とは一時期付き合うことになる竹内匡史の存在です。この竹内、当て馬キャラなのに2人の幸せを考えて行動する姿には思わず涙してしまいます。
矢野の過去をも絡めた七美との恋は、ドロドロしたものを抱えながらもピュアさが消えることはありません。釧路に降る雪の白さが似合う恋物語となっています。
27歳の藤井ミナミは、広告代理店でCMプランナーとして働くキャリアウーマン。世間からは華やかに見られる職場ではありますが、夜も休日も関係なく働き続け、プライベートな時間はほとんどありません。
ミナミには学生時代から付き合っている彼氏もいましたが、彼氏に「仕事と俺のどっちが大事なんだ?」と言われたことをきっかけに、すれ違いが続き、別れることになってしまいました。
そうして気がつけば、仕事と恋人のためだけに時間を費やしてしまったために友人もおらず、自分に残されたものが仕事だけだと気がついたミナミは虚しさを感じ……。
- 著者
- おかざき 真里
- 出版日
- 2004-06-30
2006年に月9ドラマにもなった漫画で、働くアラサー女性のリアルが描かれていると、同世代の女性をはじめ、多くの人からの共感を得た作品です。
27歳のミナミは、学生時代から付き合ってきた彼氏と別れた途端、自分がそれまで仕事と彼氏という狭い世界で生きていたことに気がつきます。彼氏との別れはミナミ自身も薄々と感じてはいたのですが、いざそれが現実になった時、彼氏と過ごしていた休日に何をしていいのかわからなくなったり、友達がいないことにあらためて気がついたり……。
何かを失った時にあらためて自分のことを知るといった描写は、派手ではありませんがとてもリアル感を醸し出しており、そういった点が多くの人から共感を得た理由のひとつなのでしょう。
ミナミは別れをきっかけに同僚をはじめ人との交流を広げていくようになるのですが、彼女の周りにも、同じように仕事に恋愛にと葛藤をしながらも頑張っている女性は多いです。フリーのコピーライターで、男にも負けない強い女性に見える一方で迷いも抱えている柚木曜子や、才色兼備で優秀ながら口が悪く既婚者であるものの不倫に溺れてしまう田中ミズホ、一般職の仕事に限界を感じ結婚して安定したいと思っている渡辺ユキなどが登場。いずれも、個性的であると同時に読者の周りに1人はいそうな親しみやすいキャラクターです。
男女や年代問わず、そのリアルさにおもしろさを感じるとは思いますが、やはり同年代の女性にオススメしたい漫画。毎日の仕事や恋愛に悩む女性にこそ、ぜひ手に取ってもらいたい作品です。
『サプリ』については<おかざき真里の漫画『サプリ』が沁みる!オトナ女子を優しく癒す名言の数々>の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
高校や大学に入学することをきっかけに、今までとは違う自分になってイメージチェンジを図ることを、「○○デビュー」などと称します。環境が変わることはよいきっかけ。今までの自分にコンプレックスを抱えていることが多いため、前向きな変化であると捉えられています。
2003年、中高生の女子に圧倒的な支持を得た河原和音『高校デビュー』は、まさしく高校入学をきっかけに変わりたい少女が主人公。しかし、その理由が「男子と素敵な恋愛がしたい!」というあたりが、分かりやすくて清々しい気持ちになるでしょう。非モテ女子ではありますが、明るく単純な性格なため、コメディ満載なところも魅力のひとつとなっています。
- 著者
- 河原 和音
- 出版日
- 2004-03-25
中学生時代はソフトボール部の活動に打ち込みすぎて、恋愛の「れ」の字もない生活を送ってきた長嶋晴菜。高校では大好きな少女漫画の世界のように、「素敵な恋愛をするぞ!」と高校デビューを決意するも、方向性が著しく間違っているせいか、男子にモテません。
そんななか、逆ナンされるほどのモテ男子であり、同じ高校の先輩でもある小宮山ヨウに「モテコーチ」を依頼。絶対にヨウを好きにならないことを条件に、引き受けてもらえることになった晴菜は、素敵な恋愛のために奮闘することになります。
晴菜が元々スポーツ系女子であるせいか、ノリとテンションが体育会系なところが、モテ要素とかけ離れていて笑ってしまう物語です。とはいえ、単純で一生懸命なところに周囲は徐々に惹かれていき、多くの男子から想いを寄せられる存在となるなど、晴菜の成長が見られるところがポイントとなっています。
人が付き合うまでには、さまざまな要素をクリアしなければなりませんが、誰かに教えられることでもありません。楽しみながら恋愛に至るまでにはどうするかを学べる、恋の指針を教えてくれる教本のような要素も持っている漫画です。
『高校デビュー』について紹介した<漫画『高校デビュー』最終回までネタバレ紹介!ヨウがかっこよすぎ【無料】>の記事もおすすめです。
子どもであるということは、一見そこから明るい未来が広がっていくように見えますが、自分で人生を選択できない場合も多々あるでしょう。両親の事情に振り回される子どもは現実にも多く、なかにはいらぬ苦労を背負ってしまうことも。
2003年を代表する恋愛漫画で、TVドラマも人気となった芦原妃名子の『砂時計』は、まさしく両親の事情に振り回されることとなった少女が主人公です。子どもであるがゆえに選択肢を提示されなかった彼女は、そのせいで心に傷を負い、一生忘れられない恋を得たのです。
- 著者
- 芦原 妃名子
- 出版日
- 2003-08-23
植草杏は12歳。父親の事業の失敗により、両親が離婚してしまいます。その後、母親の故郷である島根にやってきました。人と人の距離が近く、プライバシーがない田舎の暮らしに慣れない杏。しかし、北村大悟や月島藤と椎香の兄妹と仲良くなったことで、徐々に島根の空気に馴染んでいきます。
そんなとき、精神的に追い詰められていた母親が自殺。杏は大きな悲しみで沈んでいましたが、大悟の支えにより、少しずつ本来の明るさを取り戻していきます。やがて恋仲となった杏と大悟でしたが、杏の父親が迎えに来たことで、遠距離恋愛になってしまうのです。
純愛ものならば、紆余曲折ありながらも、遠距離恋愛で心が離れることはなく、恋心を貫き通すという展開になりますが、本作ではすれ違いが生じたことに、杏は大悟と別れるという選択をします。母親の死が影響している部分もありますが、自立しようとする杏は少女漫画にはあまりいないタイプの主人公。それゆえに、女性読者からの好感度が高いのも特徴です。
杏の抱える事情や、月島兄妹の出生の秘密が絡みあって物語は進んでいきます。杏の自立した部分には危うさがありますが、だからこそ大悟との思い出が心の支え。綺麗な思い出だけを抱える杏の姿に、胸が締めつけられます。砂時計のある島根の風景も美しい本作、強くも脆い、少女の成長と恋を味わってみてください。
現実でも物語でも人の死というのは、必ず誰かしらに大きな影響を与えます。物語では重要な分岐点となる展開が多いです。その人がいないという空虚感、自分に何かできたのではないかという無力感に苛まれ続けることもあるでしょう。
2004年に発表され、多くの女性から支持されているいくえみ綾の『潔く柔く』は、オムニバス形式の恋愛漫画です。登場人物たちは緩くつながっており、根底には1人の人物の死を発端とした物語がありますが、おのおのの恋模様が数話で完結する作りになっています。
- 著者
- いくえみ 綾
- 出版日
- 2017-04-18
主要人物のひとりが瀬戸カンナ。誰もが振り返るような美少女で、幼馴染の春田一恵(はるたかずえ)、通称ハルタとは「猫のキス」と呼んでいる、唇が軽く触れあう程度のキスをする仲です。しかし、互いに想いを打ち明けるわけではなく、淡々と日々を過ごしていました。
そんななか、ハルタが真山稔邦(まやま としくに)、通称マヤと夏祭りに行った日に、交通事故で死亡してしまいます。カンナへのメールを打っている最中の出来事でした。この事故が原因で、マヤに加えて、友達で密かにハルタに好意を抱いていた川口朝美と疎遠になったカンナは、孤独な高校生活を送ることに。ハルタからのメールを消せないまま成長し、大学生になります。
ハルタやカンナに関わりのある人物が登場し、それぞれの恋が展開されていきます。特にハルタに好意を寄せていた朝美や、笹塚一恵(ささづかいちえ)、ハルタが亡くなった時刻にカンナとともにいたマヤには、ハルタの死の影が重くのしかかります。
カンナに関しては、彼女の持っていたハルタへの感情が、恋だったのか、親愛だったのかが争点。とはいえ、ハルタは死という形で、カンナに深いツメ跡を残したという事実は覆しようがありません。人が誰かを想う時の切なさと、もの悲しさの残る作品です。
『潔く柔く』について紹介した<『潔く柔く』が面白い!原作漫画を名言や結末などからネタバレ考察!【無料】>の記事もおすすめです。
それぞれの年代に良さというものがありますが、10代は成長半ばの、未熟であるがゆえの美しさを持っている年代でしょう。思春期真っただ中の繊細な心が紡ぎだす物語は、読者の心を深くえぐる鋭さを持つことも。鋭さも脆さも、美しいものであるというのは、まさしく10代の特権なのです。
濃密な空気の漂う恋物語が話題となった、2004年から連載されたジョージ朝倉の『溺れるナイフ』。東京から遠く離れた田舎の街を舞台にしていますが、のどかな空気と相反した、キャラクターたちの暴力性が読者に強い衝撃を与えました。暴力性の中に内包された繊細な美しさが、読者を虜にした理由でしょう。
- 著者
- ジョージ 朝倉
- 出版日
- 2005-03-11
望月夏芽は、東京で雑誌のモデルをしていた小学6年生。華奢な身体をもち、綺麗な顔立ちをした美少女です。ある日、父の故郷である田舎町、浮雲町に引っ越すことになった夏芽は、地元の元大地主、長谷川家の跡取り息子である航一朗(通称コウ、コウちゃん)と出会い、強く惹かれていきます。
田舎の名家の跡取りというプレッシャーがあり、コウは小さなころから過度な期待をかけられ、そのたびに失望されるなどしていました。生涯忘れることができないほど、彼は母親に酷い扱いをされ、衝動的に暴力を振るってしまう性格になってしまったのです。今までは神秘的な曾祖母の数珠を持つことで押さえられていたものが、突如夏芽が巻き込まれた事件をきっかけに、再び表面に出てきてしまいました。
どんな状態になってもその人を愛し続ける、といった悲劇性や悲壮感があるわけではありません。夏芽は自身の夢やあり方を確立しながらも、コウに向き合っていきます。その心理的な動きに驚かされることは多いですが、コウの繊細さに対して夏芽の芯がどっしりと太くなっていくことを、物語が進むにつれて実感できるのも見どころのひとつ。
友人のような立場で夏芽の恋を心配してしまうことも多々ありますが、皆が幸せになるように祈りたくなる作品です。
誰かとの出会いで、人生が変わるということがあります。それが恋の相手であったとき、壮大なラブストーリーに発展することでしょう。2004年に連載が開始され、長期の連載となった瀬尾公治の『涼風』(すずか)もそんな作品のひとつ。運命の人と出会った少年は、やがて大きな舞台に立つことになります。
広島から東京の高校へ通うために上京した、秋月大和。叔母の綾乃が経営する銭湯兼レディースマンションの「ハイツ旭湯」で暮らしはじめます。入学式直前に学校を訪れた大和は、そこで高跳びをする姿が綺麗だった少女に一目ぼれ。その美しい少女は高跳び選手の朝比奈涼風でした。彼女に近づくために、大和は陸上部へ入部することに決めます。
- 著者
- 瀬尾 公治
- 出版日
- 2009-04-10
彼女に告白するも大和はフラれますが、諦めきれずに好意を伝え続けます。そんな熱意のおかげもあり、涼風は亡くなった先輩に対する想いがありましたが、徐々に大和に惹かれていくのです。
基本は大和と涼風の恋物語ですが、可愛い女子がたくさん出てきて、少年漫画ならではの展開を迎えます。登場する多くの女子から、何らかの想いを寄せられている大和が心底羨ましくなるでしょう。
一途に涼風への想いを貫くのかと思えば、好意を寄せてくる桜井萌果(さくらいほのか)と付き合うなど、大和がふらふらしているところが逆にリアル。しかし、涼風に近づくために入部した陸上部では高跳びに打ち込み、インターハイに出場するほどになっているところを見ると、恋に秘めている人を変えるほどの力をあらためて感じることができます。
大和の少々優柔不断な面も、ハーレムものならではの性格。スポーツに打ち込む高校生たちの爽やかさと、ちょっと下心のある恋物語を同時に楽しめる、一冊で2度も3度も美味しい漫画です。
田宮仁香は、私立大学附属集英高校に通う17歳の女子高生。メイクも服装もばっちりキメたギャルで、カリスマ女子高生とも言われる存在です。そんな仁香ですが、親友の二ノ原涼子しか知らない、誰にも明かせない秘密を持っていました。表ではカリスマ女子高生として輝く仁香は、自宅に帰るとおっさん力全開の自堕落女子高生になってしまうのです。
乾き物などの酒のつまみをこよなく愛し、すっぴんにスウェット上下という完全なるオフの姿。仁香はキラキラした女子である自分と、オフの姿を巧みに使い分けていました。しかしある日、仁香の住むマンションの隣の部屋に引っ越してきた少年・神山新にオフのおっさん姿を見られてしまい……。
- 著者
- あいだ 夏波
- 出版日
バッチリメイクして、お気に入りの服を着て過ごす。女子としての楽しみでもあり、身だしなみとして最低限のことかもしれませんが、たまにはすっぴんにジャージというような、ゆるっとした格好のまま過ごしたいと思うこともあるでしょう。オシャレな服は気分を高揚させますが、同時に気疲れも起こしてしまう面もあります。
普段からオシャレできれいな女性は、日常生活もしっかりとしているだろうという印象を持つことが、誰しも一度はあるでしょう。しかし、誰しも秘密はあるもの。一見しただけでは、私生活まで想像することはできません。『スイッチガール‼』は、まさしく人は見かけによらないということを教えてくれます。
主人公の仁香はオンとオフのギャップが激しい、おっさん化するオフ時にはギャグパートとはいえ、少女漫画の主人公として大丈夫なのか、というほど下品な姿も見せます。しかし性格は裏表なく、正義感の強い少女。敵対している少女との友情や意外な熱さに、ガサツで下品なだけのヒロインではないと認識を改めさせられます。
仁香の二面性やギャグパートがとにかく強烈な印象を残す作品ですが、あくまでも少女漫画。胸キュンできるシーンもありますのでご安心ください。キラキラしているけれど、欠点もあるヒロイン仁香の勢いに振り回されないように要注意です。
『スイッチガール』について紹介した<『スイッチガール』が本当に笑えて泣ける。最終回までネタバレ紹介!【無料】>の記事もおすすめです。
普段から少々目立たない少女の存在に、イケメン男子が気付き、密かに恋心を抱いている。少女漫画の王道設定ですが、女性皆が憧れるシチュエーションです。『君に届け』もそんな王道の恋愛漫画。緑の多い北海道の地で、爽やかな恋愛ドラマが描かれています。
主人公の黒沼爽子(くろぬまさわこ)は、腰くらいまで届く長い黒髪と、青白い肌という容姿のせいか、大ヒットホラー映画に登場する幽霊「貞子」というあだ名が定着。あだ名からのイメージと根拠のない噂により、クラスメイトから恐れられていました。そんな爽子ですが、実は努力家で前向きな性格。そんな爽子の良いところに気が付いていた風早翔太だけは、爽子によく話しかけていました。
- 著者
- 椎名 軽穂
- 出版日
- 2006-05-25
肝試しに爽子がお化け役として参加したことがきっかけで、風早との距離が縮まっていきます。また、クラスメイトと話をした事で、後に親友となる矢野あやねや、吉田千鶴と話をするようになった爽子。独りぼっちだった日常が、少しずつ変化していきます。
とにかく爽やかという一言に尽きる本作、高校生らしいピュアな恋愛模様が展開されます。爽子が恋愛感情に疎いせいか、早くから爽子に想いを寄せていた風早が、まれに振り回されているところにニヤリ。様々なことに心を動かし、瞳を輝かせる爽子のピュアさにほっこりしながら、初々しい恋模様に胸をキュンとさせてしまいます。
本作の舞台は、北幌町という架空の町。モデルとなっているのは、作者椎名軽穂の出身地である北海道苫前郡羽幌町です。作中にも札幌から車で3時間ほどかかると言ったセリフが登場。港や島があり、自然が豊かな土地です。作中では背景場面や、神社、学校などが羽幌町に実在する場所がモデル。本作の雰囲気を味わうことができます。ゆったりとした時の流れる、自然豊かな地だからこそ、ピュアさが際立つ恋愛漫画を堪能してください。
『君に届け』については<漫画『君に届け』の登場人物に蛇足な設定を考えた【28巻ネタバレ注意】>の記事でも紹介しています。
活発で明るい性格の桃園奈々生は高校2年生。母親とは死別し、ギャンブル好きの父親と2人暮らしです。ある日、父親が借金を残したまま蒸発してしまい、家を追い出されることになってしまいました。ホームレス状態となり途方に暮れる奈々生の前に、犬に追われた男、ミカゲが現れます。犬嫌いというミカゲを助けた奈々生は、お礼にと家を譲られます。
しかし、ミカゲの家は寂れた神社。彼の正体は土地神だったのです。ミカゲに家を譲られたことで、奈々生はその神としての責務も自動的に譲渡されてしまい、代わりに神様となってしまったのでした。少々口の悪い神使である元野狐の巴衛の助けも借りながら、神様として成長していきます。
- 著者
- 鈴木 ジュリエッタ
- 出版日
- 2008-09-19
困った時の神頼みというように、神様という存在は実在の有無に関わらず、人々の身近にあります。日本は古来より、八百万の神が存在すると言われている土地。風や大地、水という自然だけではなく、ありとあらゆるものに神様が宿ると考えられてきました。とはいえ、年始と困ったとき以外は、存在を忘れがちなのもまた事実です。
『神様はじめました』は、神様になってしまった少女の物語。本作では、ほのぼのとした日常と人外の存在との恋が語られ、神様をもっと身近に感じることができます。
なりゆきで神様になった奈々生ですが、自分の責任を放棄せず、真摯に向かい合っている姿が印象的。巴衛とのやり取りが、物語が進むにつれて恋へ変化していく様子に、胸がきゅんとしてしまいます。妖怪や神様など、人外の存在が数多く登場する作品で、人と人ならざる者との絆に心が温まります。現代日本が舞台のファンタジー、作り込まれた世界観も見どころです。
『神様はじめました』については<無料で読める『神様はじめました』の魅力をネタバレ紹介!人間×妖怪の恋模様>の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。
堂薗つぐみ(どうぞのつぐみ)は、東京の大手電機メーカーに勤めるキャリアウーマンでしたが、30代も半ばになり、初めて長期休暇を取り、祖母の家でゆっくりと過ごしていました。しかし、入院中だった祖母の容体が急変、そのまま亡くなってしまいます。
つぐみは祖母の家に暮らしながら、在宅で仕事をすることに決めます。そんなある日、彼女の前に海江田醇(かいえだじゅん)という中年の男が現れます。彼は、生前の祖母から離れの鍵を預かっていました。かつて東京の大学で染色を教えていた祖母の元教え子だという海江田ですが、それ以上の祖母との関係はわかりません。疑問に思いながらも、つぐみと海江田は一緒に生活をすることになり……。
- 著者
- 西炯子
- 出版日
- 2009-03-10
コミックス累計発行部数150万部を突破した人気漫画で、2010年には、優れた漫画を紹介するガイド本「このマンガを読め!」では、第5位にランクインしました。2015年には映画化もされています。
ひょんなことから始まった同居生活から男女がしだいに心を開いていくという展開は、少女漫画ではよくある王道ストーリー。しかし、主人公のつぐみと海江田がそれぞれ30代と50代という大人の恋愛なので、高校生が主人公の漫画にはないしっとりと静かに流れていく恋愛ストーリーを落ち着いて楽しむことができます。
つぐみはすでに30代も半ばを過ぎていますが、恋愛には消極的。そうなった理由が過去にあるのですが、そんなつぐみに対して、海江田は年上らしい落ち着きを見せながらも情熱的な言葉で励ましたり、導いたりします。そんな海江田も、やはり過去に傷を抱えていました。こういった過去の経験から生まれる言動は、大人が主人公のストーリーならでは。
50代と30代の年の差恋愛が描かれた本作。設定は好みが分かれるかもしれませんが、受け入れられる方、好む方には落ち着いて読むことのできる恋愛漫画です。コミックスは全4巻で完結しているので、一気読みするのにもちょうどよい長さです。休日の一気読み作品として大人買いするのもいいかもしれません。
桂木桂馬(かつらぎけいま)は、ギャルゲーのヒロイン攻略なら誰にも負けないと自負する17才の男子高校生。自分で好きな物は「ゲーム女子」だけと言い切り、ネット上では「落とし神」との異名を持つ彼の元へは毎日攻略に関するメールが大量に届きます。
ある日、届いたメールの中に1通、不思議なものがありました。妙に挑発的な文章に触発された桂馬は、深く考えることなく、言われた通り返信ボタンを押してしまいます。すると突然、彼の前に不思議な少女が現れるのです。エリュシア・デ・ルート・イーマと名乗る少女は桂馬に向かって、現実(リアル)の女の子の心のスキマを埋めること、つまり彼女達を落とすことを桂馬に依頼してきて……。
- 著者
- 若木 民喜
- 出版日
- 2008-07-11
ゲーマー男子を中心に、いろいろなタイプのヒロインが登場するいわゆるハーレムものの内容のラブコメです。主人公の桂馬は、自分では「ボクが好きなのは ゲーム女子だけさ!! 現実(リアル)なんて クソゲーだ!!」と言い切り、周りからは「オタメガ」「オタメガネ」と呼ばれる、自他ともに認めるオタクです。
苦手な現実(リアル)の女子を相手に四苦八苦しながらも、ギャルゲーで培ってきた知識を活用しながら、女子たちをエリュシア(通称エルシィ)とともに落としていきます。
その過程で描かれる女子に対する萌え要素、たとえば「陸上部女は髪をくくってるんだよ!!」など、ゲームなどでは王道の外せないポイントを的確に描いてある点も、ギャルゲー好きの主人公が活躍する世界観にぴったりとはまっています。ギャルゲー好きなら思わず頷きながら読んでしまう部分もあるでしょう。
また女の子を落としながら、周りとの関わりを自ら拒絶していたオタクであった主人公が、少しずつ成長していく姿も描かれています。主人公の成長が丁寧に描けるのも、全26巻の長編ストーリーだからこそ。ぜひゲームをするような感覚で手に取ってみてください。
『神のみぞ知るセカイ』について紹介した<『神のみぞ知るセカイ』が面白い!ギャルゲー漫画の可愛すぎるキャラを攻略! >の記事もおすすめです。
少女漫画のヒロインというと、明るい性格やどこか柔らかい雰囲気を持った穏やかな少女というのが大半。なかにはギャグ体質だったり、性格がボーイッシュであったりしますが、本作に登場するのは、それまでになかったヒロイン像であることはたしかです。
成績でトップを取ることにしか興味がないため「ドライアイス」とあだ名をつけられる、超クールなヒロイン。『となりの怪物くん』は、上位の成績を取ることだけに興味を示していた勉強大好き女子と、天才ながら人間関係をうまく作れず、友達のいない問題児が織りなす恋の物語です。
- 著者
- ろびこ
- 出版日
水谷雫は高校1年生。髪を2つ縛りにし、オシャレさを微塵も感じさせない少女です。冷静かつ淡白な性格で、トップの成績を取ることだけに執着して生きてきました。雫はある日、不登校になっている隣の席のクラスメイトの家まで、プリントを届けるように担任に頼まれます。そのクラスメイトとは、入学早々事件を起こし、停学処分が解除された後も不登校になっている吉田春。
春はイケメンで天才ですが、変人ゆえに人間関係を形成するのがとにかく下手です。プリントを届けに行ったところで知り合った2人は、春の勘違いも手伝い、友人になることに。今までひとりで生きてきた雫の周囲は少しずつ騒がしくなり、多くの人と関わることになります。
本作では雫と春の恋愛が描かれていますが、同時に他者と関わる事を重視していなかった雫と、人間的に未成熟な春の成長という側面も持った物語。特に雫は、最初の頃は無表情さが目立っていましたが、物語が進むにつれて表情豊かに。泣いたり笑ったりと、年相応の少女の姿を見せてくれます。
雫への春の懐き方が犬のようで可愛らしくもあり、それなのに不意打ちのように胸キュンもさせてくれる本作。当て馬要員の山口賢二の意外なカッコよさや、男嫌いの夏目あさ子と佐々原宗平の恋模様など、メインカップル以外のキャラクターでも読ませてくれます。スタンダードなキャラクターではないけれど、王道の恋物語は、ニヤニヤ必至の展開満載ですのでおすすめです。
『となりの怪物くん』について紹介した<漫画『となりの怪物くん』のキャラ、最終回までの見所を全巻ネタバレ紹介!>の記事もおすすめです。
『恋愛カタログ』で人気の永田正実が描き出すラブストーリーが『好きって言わせる方法』です。「最高の男」をゲットするために、日々自分磨きと「モテ技」磨きに余念がない女子高生・西崎菜乃花を主人公に物語が展開されていきます。
ある日菜乃花は、電車で出会った河合悠人先輩に一目惚れ。早速アタックを開始しますが、この先輩にはなぜかモテ技が通用せず……というストーリーで、菜乃花があの手この手で先輩をゲットしようと奮闘する姿を描いています。
- 著者
- 永田 正実
- 出版日
- 2009-10-23
相手を振り向かせるまでは一生懸命で、別れる時はアッサリの菜乃花は、「最高の男」をゲットして幸せになるという目標のために努力を欠かさない女の子です。一見すると、計算高くぶりっ子に思える菜乃花ですが、しっかりと自分の信念を持っているので共感できます。
また、菜乃花自身、自分のことばかりでなく友人やお年寄りを思いやる気持ちをちゃんと持っています。そのため、電車でお年寄りに席を譲ることや、公共の場で大声を出さないなど、普通にできる人柄の良さも「最高の男」の条件なのです。
そんな彼女で出会ったのが1つ年上の先輩・河合悠人(はると)でした。
先輩を追って料理部に所属することになった菜乃花は、あだ名を付けて親密度をアップさせるとか、袖をちょっと引っ張って控えめな可愛さをアピールなど「モテ技」を駆使して迫っていくのですが、悠人はお菓子作りに夢中で、一向に菜乃花になびく気配がありません。
それどころか、真摯にお菓子作りに向き合う悠人に対して、男女の色恋に百戦錬磨のはずの菜乃花のほうが振り回されてしまうのです。
菜乃花のアピールにも乗ってこない、今までのやり方が通じない、一筋縄ではいかない悠人への恋心。「恋をするとはどういうことか」の意味をあらためて知った菜乃花の恋の行方に注目です。
『好きって言わせる方法』については<『好きって言わせる方法』モテを漫画で学ぶ?最終回までネタバレ紹介【無料】>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
容姿端麗で仕事ができ、女性にもモテるし経験もそれなり……という三十路男・関根圭一郎を主人公にくり広げられる『関根くんの恋』。イケメンエリート関根の人生再建と恋模様を描き出す大人のラブストーリーです。
一見すると、順風満帆に見える彼ですが、「鈍感」「受け身」「器用貧乏」という無自覚の三重苦によって、どこかしっくりとしない人生を送っていることに、ある日突然気がつきます。「これではいけない」と一念発起して、なぜか手芸を始め……という新しすぎる展開で、物語が動き出します。
- 著者
- 河内 遙
- 出版日
何でも普通以上にできてしまうイケメンサラリーマンである関根は、趣味もなく何かに夢中になった覚えもない「受け身の人生」を送ってきたということに今さら気付く、というどこまでも鈍感で非常に残念なキャラクターです。
さらに自己の内面にはかなり無頓着で、30歳になっても本当に好きになった相手に対してどうしていいか分からない、そもそも「好き」という感情が分からないという、心と体がちぐはぐな状態なのです。
自分には何もないと気づいた関根は、何か夢中になれるものを見つけようと手芸店で手芸を教わることになります。そこで出会う手芸店店主の孫・サラとの交流が彼に変化をもたらすことになるのです。
サラに手芸を教わるうちに、だんだんと彼女に惹かれていく関根。恋に不慣れだからこそ、一歩が踏み出せない不器用さに、関根くんらしいいじらしさや可愛らしさを感じます。
ゆっくりとちぐはぐな心と体が繋がりはじめ、人間らしい心になっていく関根とサラのもどかしい恋にも注目です。
『関根くんの恋』については<漫画『関根くんの恋』の受け身イケメン男子の恋を全巻ネタバレ紹介!>の記事をご覧ください。
大手広告代理店で働く江田マキは、28歳のキャリアウーマン。仕事の腕はもちろんのこと、整った容姿も相まって、周りからは一目置かれる存在でした。しかし、その一方で男運は皆無。その日も男にフラれたマキは、バーでヤケ酒に浸っていました。
そこで酔い潰れてしまったマキは、お店に野菜を持ってきていたイケメン・片山渚に助けられ、家まで送り届けられます。マキが眠っている間、彼女の散らかり放題の部屋と乱れ放題の食生活を目の当たりにした渚が取った行動とは……!?
- 著者
- 小林ユミヲ
- 出版日
- 2010-08-12
単行本は本編12巻のほか、番外編として13巻目も発売されており、2016年には映画化もされた作品です。
自他ともに認めるキャリアウーマンのマキは、高校時代に父親が脱サラをして農家を始め苦労したということもあり、野菜が大嫌いです。さらに、「仕事も付き合いも後輩の面倒もカレシも…この社会で生きてくためにはいろいろ大変なのよ。食べ物なんかに気を付けてるヒマなんてないの」と言い切るほど、食生活に無関心。
そんなマキは、ひょんなことから美術教師をやっている渚と同居することになります。渚は菜食主義者で同性愛者でした。料理も掃除も一流の腕前です。
正反対の性格をしたキャラクターとして描かれているマキと渚のにぎやかな会話も本作の見どころのひとつではありますが、この漫画のおもしろいところは、登場する数々の料理です。料理を作る渚が菜食主義者ということもあり、登場する料理はどれも野菜中心というのも、他の料理漫画とは一線を画しています。
もちろん料理や野菜を通してマキと渚の関係も描かれていきますが、恋愛漫画好きだけではなく、料理漫画が好きな方ならさらに作品を楽しむことができるでしょう。両方好きな方にとっては、二度おいしい作品です。
作中でもレシピが紹介されていますが、他にも作中に出てくる料理を再現した公式レシピブックも販売されているので、漫画を読んで食べてみたくなったら、そちらでチェックして作ってみるのも楽しいかもしれません。
大好きな大好きな初恋の相手・サエコのために、彼女の大好きなチョコレートをつくるショコラティエになることを決めた主人公の小動爽太。彼が自身の店「ショコラヴィ」をオープンさせ、ショコラティエとして、また人間として成長していく姿を描いた恋愛漫画です。
サエコ中心に世界が回っている爽太が、バレンタイン前日に付き合っているはずだったサエコに「付き合ってないよね」と、衝撃の台詞を言われてフラれてしまうところから物語はスタートします。
2014年には実写ドラマ化もされて話題を集めました。
- 著者
- 水城 せとな
- 出版日
- 2009-01-09
爽太の行動原理はすべて「サエコさん」です。ショコラティエになると決めたのも、おいしいチョコレート作りに余念がないのも、「二股でいいし!!」と言ってしまえるのも、すべて彼女を愛しているからこそなのです。
しかし、サエコは本命がいながらもキープとして爽太と仲良くする小悪魔なため、爽太の想いはなかなか報われません。
そんな時に出会ったモデルのえれなや、爽太の店「ショコラヴィ」で働くベテランスタッフの薫子、フランスから来たオリヴィエなど個性豊かな登場人物に囲まれ、サエコの言動に一喜一憂しながら、やがて爽太は長い長い片想いに終止符を打つことになるのです。
片想いをこじらせ過ぎた爽太は、ちゃんとサエコへの恋に決着をつけることができるのでしょうか?爽太とサエコ、2人の関係だけでなく、彼らを取り巻く人物たちの恋模様の行方からも目が離せません。
もちろん、美味しそうなチョコレートも見どころのひとつです。
『失恋ショコラティエ』について紹介した<漫画『失恋ショコラティエ』に現実と恋愛の厳しさを学ぶ!【ネタバレ注意】>の記事もおすすめです。
あっちゃんこと浅尾温子は29歳。同じ年齢の恋人岩城晃平と20歳の頃から9年間同棲していました。彼女は仲は良いけれど、結婚は考えていないと公言します。しかし、友人から冷めていると言われ、わずかな不快感を感じながらも少し結婚について意識し始めました。
そんな折、弁理士をしている晃平から、上司の高野と不倫をし妊娠させてしまったと打ち明けられます。当然怒り悩む温子。さらに自身は病気により、妊娠できない体になったことで、さらに悩みが深くなります。距離を置くことになった温子と晃平は、結婚や子どものこと、将来の事について思い悩み迷走します。
- 著者
- 渡辺 ペコ
- 出版日
- 2010-01-22
昔も今も結婚というのは大きな節目のひとつと言えるでしょう。他人だった男女が家族となるのは、簡単なことではありません。軽く考えるか重く考えるかはそれぞれ違いますが、大きな節目だからこそ、一歩踏み出すことに躊躇い、時間だけが過ぎていくというケースも少なくないでしょう。
『にこたま』も、そのケースに当てはまるカップルが登場します。タイトルもかわいらしく、表紙からも穏やかな印象を受ける作品ですが、開幕からかなりヘビー。特にアラサー女子には刺さる内容となっているため、ダメージを負いたくないアラサーは要注意。しかし、自身の気持ちや状況を見直すきっかけを与えてくれる物語でもあります。
不倫して相手を妊娠させた、という重い事実から始まる本作は、恋だけではなく、29歳温子や晃平を取り巻くものがリアルに描かれており、甘さはありません。温子の境遇はかなり辛いもので、思わず晃平に対する悪感情が湧いたりもしますが、そういった関係性も妙に真実味があります。
友人の話を親身になって聞いているような感覚になり、温子の行く末がどうなるのか、読者として気になって仕方がなくなってしまいます。岐路に立たされた女性の行く末を、ぜひ見届けてください。
女性ならば誰しも好みのタイプのイケメンとお付き合いをしたい、と考えたことがあるでしょう。向こうから告白してくれるなら、より一層嬉しいですよね。小林あゆみ『うそつきリリィ』は、美形女装男子と自他ともに認める十人並みの容姿を持った少女の恋をコミカルに描いた作品です。
- 著者
- 小村 あゆみ
- 出版日
誰とも付き合った経験がなく、恋に恋する乙女である早乙女ひなたはとても面食い。高校に入学して数日後、突然好みのタイプの男子から告白をされます。
綺麗な顔立ちをした篠原苑(しのはらえん)は、女装という一風変わった趣味の持ち主。あまり接点がなかったにもかかわらず、自分に向けられる真っすぐすぎる想いと女装趣味に若干引き気味のひなたでしたが、恋人として苑と接するうちに恋心が深まっていきます。
オネエ系男子と普通女子の恋物語も見かけるようになりましたが、苑はオネエではなく、あくまでも女装をしている男子。男ばかりの家庭で育った結果、極度の男嫌いになり、男の格好をした自分が鏡に映っただけでも、鏡を叩き割るほどの激しい拒絶っぷりを見せます。女装の理由も男嫌いに起因しており、本人にとっては深刻な悩みですが、コミカルに描いているせいかちょっと笑えるシーンになる場面もあります。
苑の極端な男子嫌いもそうですが、清々しいほどに「男の格好をした」苑が好きで、男装するとイケメンになってしまうひなたや、ひなたの親友で剣術はかなりの腕前という芦谷小町、侍漫画オタクの天草小次郎、苑の友人で巨乳好きの高梨直太など個性的なキャラクターが魅力です。
特にひなたの弟で、女装した苑に一目ぼれしてしまう早乙女太陽の、平凡であるが故の不憫枠という立ち位置は笑えるもの。ひなたのピンチヒッターで女装をした際は、姉より可愛いと評判だったというエピソードも、不憫さが増してよりキャラクターが引き立ちます。
共感度というよりは、特殊な恋愛状況をコミカルに描き、より創作として楽しめる成分の多い本作。苑とひなたのやり取りはコントのようですが、女性至上主義者である苑の言葉は女性を勇気付けるものも多くあります。
「オシャレが合わない女子がいるか───っ」(『うそつきリリィ』より引用)
こんなに女心をフォローしてくれるなら女装男子でもいいかも!?笑ってときめきも補充できる、良質な恋愛エンタメ作品です。
美しい景色やキャラクターの表情が心に残り、ふとした瞬間に思い出すような、強く印象に残るシーン。『四月は君の嘘』は、そんな印象的で美しい場面が溢れた恋愛漫画です。
その音楽表現の秀逸さとキャラクター、謎の多い物語が支持され、人気となった本作。クラシック音楽に打ち込む中学生たちが主人公です。ピアノやヴァイオリン、演奏される曲や楽器はさまざまですが、そこには確かな熱と勢い、そして音楽が生き生きとしていることを感じられます。
- 著者
- 新川 直司
- 出版日
- 2011-09-16
数多くのコンクールで優勝し、神童と呼ばれたピアニストの有馬公生。些細なきっかけで母親と喧嘩してしまい、その直後に彼女は亡くなってしまいます。公生はショックから、演奏中にピアノの音が聴こえなくなってしまい……。
それからはピアノから遠ざかった日々を送っていた公生ですが、14歳になった春、咲き誇る満開の桜の下でヴァイオリニストの宮園かをりと出会います。
幼馴染の渡亮太に片想いをしているというかをりに協力するため、彼らはともに行動をするようになりました。かをりのもつ才能と表現力に、世界が急速に色づくのを感じる公生。かをりや、かつてのライバルたちの後押しを受け、彼は再びコンクールに出場しようと、ピアノと向かい合うようになります。
公生はかをりにぞんざいに扱われながらも、気遣いを絶やさない彼女に少しずつ惹かれていくのです。かをりは亮太が好きであるという大前提で物語が進むため、随所に漂うもどかしさ。しかし、キャラクターたちにズルさはなく、真っ直ぐでとてもピュアなのです。恋心も演奏も、純粋さがにじみ出ており、心が洗われる気分になるでしょう。
ひとつの嘘からすべてが始まり、その種が明かされることで物語の幕が降ろされます。途中辺りから結末を予想して、頭を抱える人もいるかもしれませんが、知っていてもなお涙腺を直撃する最終回はハンカチを準備して迎えてください。
劇的な始まりには、それに相応しい終わりがあるのだと感じられるほど一瞬一瞬が美しい作品です。
p>吉岡双葉は、ソーイングセットを持ち歩いたり、座る時にはハンカチを敷くなど、女子力高めの女の子。女性らしい性格で男子からは人気でしたが、同じ女子たちからは嫉妬を買い、散々な中学時代を過ごします。同じ過ちは起こすまいと高校では自分を偽り、ガサツな少女を演じることにします。
苦い経験から男子にも苦手意識のある双葉でしたが、恋と無縁というわけではありません。中学生の時に隣のクラスだった田中くんにほのかな恋心をいだいていました。田中くんは突然転校してしまったため、想いを伝えられていませんでしたが高校で再会を果たすことになります。
しかし、照れ屋で爽やかな少年だったはずの田中洸は、馬渕洸へと名前を変えクールで意地悪な性格になっていました。戸惑う双葉でしたが、洸と接するうちに、恋心を深めていきます。
- 著者
- 咲坂 伊緒
- 出版日
- 2011-04-13
「人は私のことをどう見ているのか」
思春期のころ一度は意識したのではないでしょうか。他者との折り合いがつかず、挫折感を味わった人も少なくないでしょう。青春は輝かしい記憶とともに、少し苦い記憶も掘り起こします。
成人しても誰しもが人付き合いを円滑に行えるとは限らないのですから、10代の少年少女ならばなおのことで、様々な不器用さを抱えているものです。『アオハライド』は、高校生を主人公とした青春ラブストーリー。自分を偽ることで円滑な日常を得ようとした少女と、本心のまま動くことができないクールな少年の、不器用な恋模様が描かれます。
双葉は本来の自分を偽っていましたが、洸が現れたことで少しずつ自分の在り方を見直していきます。前に進もうとする双葉に、少々後ろ向きな洸が影響を受け変化していく姿が本作の見どころのひとつ。
また、双葉に恋心を抱く菊池冬馬や、双葉の友人であり恋のライバルでもある悠里の存在が物語を盛り上げます。本音で話せない登場人物たちの、すれ違いと恋の切なさを存分に堪能することができます。
『アオハライド』については<漫画『アオハライド』最終回までの見所をネタバレ紹介!無料で読める!>の記事で紹介しています。
主人公は、「つっつん」こと筒井光という高校生。アニメやゲームが好きで、そのバーチャル世界の女の子がいれば満足というようなオタク男子です。
ひょんなことから一緒にプール掃除をすることになった、ツンとした態度で見た目も派手な、見るからにリア充のギャル・五十嵐色葉からの猛烈アプローチを受けることになって……。オタクが突然リア充と付き合うことになってしまう斬新な設定から物語はスタートします。
- 著者
- 那波 マオ
- 出版日
- 2011-12-13
友人も少なく自分の世界でひっそり生きてきたつっつんは、大胆で奔放で、明るく可愛い色葉に振り回されっぱなしです。体操服姿にときめいてしまったり、手を握るとドキドキしてしまったり、とリアルな恋愛をしたことがないつっつんには戸惑いが大きいのです。
一方の色葉も、つっつんのやさしさや思いやりに触れてどんどん惹かれていきます。しかし色恋沙汰には慣れていそうな彼女も、実はとっても不器用。つっつんが他の女の子としゃべっていても「イヤだ」と言えず、どうしたらいいのか分からないと悩んでしまうところがたまらなく可愛らしいです。
不器用な2人の恋はゆっくりと、着実に加速していきますが、幸せなことばかりではない終盤の衝撃は見逃せませんよ。幸せな生活の中でくり広げられるつっつんと色葉の恋模様に注目してください。
『3D彼女』について紹介した<漫画『3D彼女』を最終巻までネタバレ紹介!ここを押さえればもっと面白い!>の記事もおすすめです。
長野県松本市に住む高校2年生、高宮菜穂の元に手紙が届いたのは、4月の始業式の日でした。差出人は自分。不思議に思いながら開封したその中には10年後、26歳になった菜穂自身からの手紙がしたためられていました。
手紙には、これから起こる出来事が詳細に書かれており、東京からやってくる転校生の成瀬翔を救ってほしいといいます。半信半疑だった菜穂ですが、5月に翔が転校してきたことで、手紙に書かれていることが事実なのだと確信します。17歳の冬に事故死するという翔の未来を回避するため、菜穂と友人たちは行動を開始するのでした。
- 著者
- 高野 苺
- 出版日
未来は誰にも分からないものです。過去を知ることはできても、これから起こることを知ることはできません。自分が将来どうなっているのか、結婚して子供はいるのか、夢を叶えているのか。そんな疑問や不安に答えを与えてくれる手段はなく、未来という明るい言葉に反して不安を感じることもあるでしょう。
もし、未来の自分から手紙が届いたら、あなたはどうしますか?些末なことが書いてあったならば、不思議な出来事くらいで話は済むでしょう。しかし『orange』では、未来からの手紙をきっかけに物語が大きく変化し、外せないキーワードとなっています。
長野が舞台という事もあり、自然が豊かでキャラクターたちもどこかのんびりとしているため、重いテーマに反してほっと肩の力を抜くことができます。未来を変えていくという物語ですが、本質的には青春ドラマでもあるので、心理描写が事細かに描かれていて、無理なく感情移入することができます。
友のために、大切な人のために、まっすぐにぶつかっていく姿に胸打たれる物語、ぜひハンカチを用意してからページを捲ってください。
『orange』については<漫画『orange』(オレンジ)の見所を全巻ネタバレ紹介!切なくて泣ける>の記事で紹介しています。
主人公の柳尚人は大学2年生。柳リゾートの御曹司で文武両道、おまけにイケメンという、完璧を絵に描いたような男の子です。しかし、あらゆる分野において1位を取り続けてきた彼にも、唯一かなわない相手がいました。完璧なはずの柳を凌駕する超ハイスペックな女の子、九条美琴です。
どうしても九条にだけは負けたくないと努力を続ける柳ですが、どんなに頑張っても絶対に勝つことができません。負けず嫌いの彼の頭の中は、気がつくと九条でいっぱいに。あれもしかして、これって恋……?
- 著者
- 天乃 忍
- 出版日
- 2012-01-04
2012年からLaLaで連載されていた人気恋愛漫画。普通の女の子が完璧な男の子に恋をするという設定の漫画は多いものの、本作では完璧な男の子が女の子に恋をします。あらゆる手を使って九条の気を引こうとしますが、彼女が鈍感すぎるあまり、さすがの柳も一筋縄では行きません。
この作品のタイトルである『ラストゲーム』は、大学2年の時に柳が九条に仕掛けたゲームを指していました。2人で食事をした帰り道、柳は「もし俺が勝ったら、左手の薬指に指輪はめてよ」と告白に近いような言葉を投げかけます。しかし、鈍感な九条はもちろんこの言葉の意味には気がつきませんでした。はたして、彼女が柳の想いに気づく日はくるのでしょうか?
幼馴染の学生同士を描いた、超王道恋愛漫画。胸キュンすること間違いなしの名作を、ぜひ読んでみてください。
『ラストゲーム』については<漫画『ラストゲーム』が無料で読める!最終11巻までの見所を全巻ネタバレ!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
人間が結婚に至るまでにはそれなりの過程というものが存在します。大抵は恋愛、もしくは誰かからの紹介や見合いの末に結婚するもの。前者にも後者にも、形は違えど愛情があるからこそ夫婦になったわけで、そこに事務的な関係は存在しないはずです。
2012年に連載が始まり、2016年にドラマ化されて人気に火が付いたのが、海野つなみの『逃げるは恥だが役に立つ』。通称「逃げ恥」の愛称で親しまれている本作は、契約結婚を描いた作品です。とはいえ、そこにドラマチックな要素は存在せず、より現代的にビジネスライクな関係を目指していくところが特徴のひとつ。
- 著者
- 海野 つなみ
- 出版日
- 2013-06-13
就職浪人になるくらいなら、と大学院に進学したものの、結局内定はもらえず派遣社員となった森山みくり。そんな矢先に派遣切りにあい、職を失ってしまいます。意気消沈の娘を見かねたみくりの父は、家事代行サービスを切り替えようとしていた部下、津崎平匡に強引にお願いし、みくりは平匡の家で働き始めます。
適度な距離を保ち、良好な関係を築いていた2人でしたが、みくりの両親が定年を機に田舎暮らしをすると言いだしたため、みくりは新たな居場所を探すことに。そこで、今の場所が気に入っていたみくりは、互いに独身だったこともあり、平匡に「契約としての結婚」を提案するのです。そして事実婚という体で結婚生活を開始しましたが、2人だけの生活や他の人との関わりの中で、互いに惹かれあっていくように……。
建前上は夫婦ですが、雇用主と従業員という関係であるため、賃金や休日設定もされているという、色気も艶もないみくりと平匡。契約内容を決めているシーンや、夫婦らしい空気を作るために、ハグをするという「ハグの日」制定時も、雇用主と従業員的硬さがあるのが面白いところ。しかし、一緒に暮らしていれば情は移るもので、徐々に惹かれていってギクシャクする2人に、不器用な大人同士だからこその甘酸っぱさが漂います。
大人の恋愛であるはずなのに、大人ゆえの不器用さや生きづらさが前面に押し出されている本作。重苦しい雰囲気になるわけでもなく、その不器用さを抱えながらも、人に向き合おうとする姿が愛おしく感じられます。契約から始まった結婚生活の果てに、2人はどんな夫婦になるのか、結末が気になる恋愛漫画です。
今も昔も、さまざまな年代の男女をときめかせてきた恋愛漫画。作品は世相を映すものでもあり、作風も異なりますが、そこには人が誰かに恋をするという、普遍的なことが描かれています。いつ読んでも、色褪せない恋物語ばかりですので、ときめき成分が足りなくなったり、胸きゅんしたいという時に読んでみてはいかがでしょうか。