貧しい花売りの少女エスターと、エスターの前に突然現れた金の髪・青い瞳の麗しい青年・レオン伯爵。王子様が現れた!と思いきや、彼はとんだ黒伯爵だったのです。丁寧に描かれたエスターとレオンのラブロマンスをご紹介します。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2014-08-20
本作は、ロンドンの下町で暮らす貧しい花売りの少女・エスターと、金の髪と青い瞳の麗しい青年貴族・レオン伯爵の恋を丁寧に描いたラブロマンスです。
物語の舞台は19世紀のロンドンから始まります。エスターは母を亡くし、双子の兄も行方不明となって、孤独な毎日を送っていました。そんなある日、彼女の前に突然、金の髪に青い瞳の麗しい青年伯爵・レオンが現れます。そして彼女にこう告げるのでした。
「あなたは今日から私の花嫁です。」
(『黒伯爵は星を愛でる』1巻より引用)
レオンの屋敷に連れ帰られたエスターは、彼が自分を花嫁に選んだ理由を教えられます。それは彼女の「ある能力」を利用したいというものでした。
実はレオンはヴァンパイアハンターであり、エスターを狩りに同行させ、彼らを見抜く彼女の能力を利用したかったのです。そのために妻にしたものの、表面上貴族の妻に相応しい振舞いを身に付けて立派なレディになってもらう必要があると言います。
一方エスターは、行方不明の兄を探したいという願いがありました。貴族という立場を利用すれば、何かしらの情報が入ってくるかもしれません。
そして、彼女は能力を提供するために立派なレディになると決意し、2人は契約結婚をするのでした。
偽装夫婦として始まった関係ですが、数々の事件を乗り越えてレオンの心に触れるうちに、エスターの気持ちに恋心が芽生え始めます。しかし彼女は天然が入った少女。今感じている気持ちが恋心とはまったく気がつきません。そんな愛らしい性格と気持ちが丁寧に描かれており、つい読み込んでしまいます。
2人の恋に深く関わる、ヴァンパイアを巡る謎にも注目です。
今回の記事では一筋縄ではいかない、2人のラブロマンスをご紹介します。ネタバレを含むのでご注意ください。
吸血鬼が出てくるおすすめの漫画を紹介した<吸血鬼が出てくるおすすめ漫画ランキングベスト6!>もおすすめです。
貧しい花売りの少女・エスターは、亡くなった母の言葉を胸に、いつも笑顔を絶やさず生きています。そんな彼女の前に、見目麗しい青年伯爵・レオンが現れて、彼女に「私の花嫁」だと言うのです。彼は一体何者なのでしょう。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2014-08-20
本巻での見どころは、2人の心の交わりです。
契約結婚から始まった夫婦生活ですが、エスターは、冷たかったり優しかったりするレオンに戸惑いながらも、彼の心に触れるうちに孤独だった心が癒されていくのを感じます。
そして、レオンにも変化が表れます。エスターが来てから彼がよく笑うようになったと、メイド達が言うのです。
丁寧な描写から、2人の心が温かく変化していることがわかります。
そんなある日、2人はオペラ観劇に出かけ、そこでエスターがヴァンパイアに襲われてしまいます。間一髪、レオンに助けられ一安心なのですが、彼は苦しげにこう言うのです。
「頼むからあまり心配を掛けてくれるな」
(『黒伯爵は星を愛でる』1巻より引用)
思ってもみなかった彼の言葉に、エスターは、「私はただの道具ではなかったのですか?」と思いをぶつけます。すると、彼はなんとも甘い愛の告白をするのです。
それを聞いた彼女は、彼が自分のことを大切に想ってくれていたことを知り、感激の涙を流します。
晴れて2人は心までも結ばれた本物の夫婦なりました。と思いきや、エスターの天然で、レオンの想いはまったく伝わっていなかったのでした。ここまで言っても気づかない彼女を見ると、読者も思わず「頑張れレオン」と思ってしまうことでしょう。
レオンの役にたちたいと思うエスターですが、彼は彼女を「可愛い妻よ」と甘い言葉で甘やかすばかりで、ヴァンパイア狩りにあまり使ってくれません。そんなとき、ロイ男爵主催のバザーで事件が起こります。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2015-01-20
本巻の見どころの1つは、エスターの気持ちの変化です。レオンの役にたちたいと自ら危険を冒す彼女ですが、彼はこう言い放ります。
「あなたはそんなことを考えなくていいと言っているだろう。」
(『黒伯爵は星を愛でる』2巻より引用)
この言葉に彼女はショックを受けながらも、こう返すのです。
「たとえ偽物でも私はいま、あなたの妻です。家族です。
そんな寂しいこと言わないでください。」
(『黒伯爵は星を愛でる』2巻より引用)
それを聞いたレオンは、彼女が自ら「妻」と言ってくれたことが嬉しいと、優しく微笑みます。
そしてエスターは、彼と出会って自分が変わり始めたことに気付きます。 2人の心の交わりが丁寧に描かれており、これからの恋の発展に期待が膨らむはずです。
本巻のもう1つの見どころは、2人にとって重要な役割を持つ新キャラクターの登場です。
さらにエスターが契約結婚をした理由の人物、彼女の双子の兄・アルジャーノンが衝撃的な登場をします。
エスターはある夜、黒髪の男性に「いつか君を迎えに行くよ。」と言われる不思議な夢を見ました。
その後、彼女は舞踏会で美しい容姿を持つクリス公爵と出会います。エスターは彼を見ると胸がざわざわして落ち着きません。夢に出てきた男性は、彼なのでしょうか。
舞踏会から屋敷にもどり、ダンスを踊るエスターとレオン。クリスとは平気で踊れたのに、レオンが相手だとドキドキしてうまく踊れないのはなぜ?と胸が締め付けられます。まだ芽生えたばかりの彼への恋心に気付かないエスターが可愛らしいですね。
本巻の見どころは、エスターとレオンのラブラブな姿です。2人の仲睦まじい姿に思わず顔がほころんでしまうことでしょう。
そしてもうひとつの見どころは、レオンの壮絶な過去のお話。彼の過去に、エスターが関わっていることも判明します。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2015-06-19
レオンはヴァンパイアとの戦いで怪我をして、ベッドに伏せてしまいます。そんな彼を心配したエスターは手を握るのです。こんな行動が自然にできることから、2人の仲がずいぶん進展していることが感じられます。
その後、毎年恒例のクリスマスパーティーをおこなうことになったレオン達。 妻としてパーティーを主催したいと申し出るエスターに、レオンは嬉しさを噛みしめます。
そしてパーティーに向けて慌ただしく過ごすなか、エスターにクリス公爵から手紙が届きました。これがもとで彼女とレオンはケンカになってしまい、彼は嫉妬から彼女に強引にキスをしてしまいます。
エスターはその驚きのまま街に買い物に出かけるのですが、なんと殺人事件に遭遇。危ないところを駆け付けたレオンに助けられ、彼が迎えに来てくれたことに胸が詰まるエスター。しかし、怪我が癒えていない彼は再び倒れてしまいます。
エスターはベッドで眠る彼の手を握って、一晩中付き添います。やがて目を覚ましたレオンは、彼女に強引にキスをしたことを謝るのでした。
そして、ここでレオンの過去と、結婚を約束した女の子についてのことが明かされるのです……。
ふたりの仲睦まじい様子、過去を明かすことでさらに絆を深めていくシーンに胸キュンしてしまいます。また、レオンが思い出を語った翌日にさらにドキドキするシーンがあるので、お見逃しなく!
春。レオンの屋敷でイースターイベントが開催されました。エスターが最下位になった場合、彼女からキスをしてもらおうと提案するレオンの必死な姿に笑いを誘われます。また、うさ耳姿の彼を見ることもできるので、そちらも見所です!
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2015-11-20
エスターはレオンへの恋心を自覚し始め、傍にいられる幸せを噛みしめます。しかし、彼との仲を反対する一族の者もおり、彼の許嫁・レベッカが差し向けられました。
そんな本巻では、エスターが恋心と契約結婚の役目との狭間で苦しい思いをします。読者の胸も、思わず締め付けられることでしょう。
彼女はあらためて契約結婚と自分の立場を認識し、その役目を果たすことを決意しました。そして、この役目を果たすためにとレッスンを頼んだ相手は、恋敵になるはずのレオンの許嫁・レベッカだったのです。
そして、華やかな社交界シーズンの幕が開けます。
そんな季節の始まりの中で、別邸に移ったエスターとレオンは、デートに出かけました。はしゃぐエスターに、彼は露店で見つけたガラスの指輪を贈ります。
「もうすぐ本物を渡すから、それまでこれを嵌めておいてくれ。」
(『黒伯爵は星を愛でる』4巻より引用)
そう言いながら彼は、彼女の左手の薬指に指輪をはめるのです。エスターは指輪を見つめながら、幸せと、やがて来るであろう彼との別れに悲しさを覚えていて……。
当初はお互いに目的があり、利用することがふたりを繋いでいましたが、絆を深めた分、エスターはそのことに疑問を持つようになってしまいました。果たして彼女は自分の気持ちとこの役割をどう折り合いつけるのでしょうか?
エスターはレオンのもとを離れ、屋敷を出ます。涙のような雨のなか、彼女はある人物に攫われてしまいます。
そしてレオンの名を呼びながら目覚めたとき、目の前にいたのはクリス公爵でした。彼は彼女に、レオンより私を選べとプロポーズをしてきて……。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2016-02-19
レオンのもとを離れたエスター、彼女に戻ってきてほしいと願うレオン、彼女にプロポーズしたクリスの三角関係の鍵を握るのは、クリスとともに暮らす少女・アリスです。
そんな三角関係が白熱する本巻の見どころは、エスターの出生の秘密と、アリスの活躍、そしてあらためて始める恋です。
エスターはレオンにもう会えない悲しみに打ちひしがれ、苦しいほどの彼への気持ちを抱えながら、クリスのもとで生活を始めます。その様子を見たアリスは、彼女を助けるために何やら行動を開始するのです。
実はアリスの正体は、エスターととても関係の深いあの人物なのでした。
その後、クリス邸で仮面舞踏会が開かれ、エスターは猫の仮面を被ってクリスとともに出席しました。舞踏会の最中、彼女はクリスを慕うヴァンパイアに殺されかけますが、間一髪。救ってくれたのは、仮面を被った金髪の青年でした。
「行こう、仔猫さん。」
(『黒伯爵は星を愛でる』5巻より引用)
この後の美しくも悲しいシーンは必見。エスターもクリスも痛いまでの思いを抱えていながら、この現状をどうにかしようと考えているのが伝わってきます。
エスターは、ギルモア侯爵令嬢として正式に舞踏会デビューをします。そんな彼女の前に現れたのは、愛しいレオン。
彼に会えた嬉しさを必死に隠すエスターに、レオンはダンスを申し込みます。2人の恋はどうなるのでしょうか。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2016-06-20
月夜の庭で、レオンはエスターにあらためてプロポーズをします。彼女は、彼がくれた白薔薇が枯れるまでに返事をしないといけません。
それから2人は毎晩、舞踏会を抜け出して他愛のないおしゃべりをします。そして彼は時折甘い言葉を囁いて彼女をドキドキさせるのです。
出会った時のように、また最初から恋を始めるような2人の姿に読者もドキドキしてしまうことでしょう。
エスターの答えは決まっていました。本当はレオンのもとに帰りたい、ずっと傍にいたい。でも自分がいると彼や皆に迷惑をかけてしまう……。彼女は断ろうと考えていたのです。
そこでまたもやアリスの出番です。エスターにこう言い放ちます。
「本当に欲しいものができたのなら、
余計なことは考えずちゃんと欲しいと言わないとダメだ。」
(『黒伯爵は星を愛でる』6巻より引用)
さらに自分もレオンにプロポーズされていると言って、エスターを焚き付けようとします。
この後の彼女の言葉が、とてもかっこいい。彼女がレオンを心から愛している気持ちが伝わってきます。
そしてついに白薔薇が枯れる約束の日がやってきて……。
レオンと正式に婚約をし、エスターは愛する彼の傍で美しく輝いています。幸せいっぱいの2人ですが、結婚するまでにやることが山ほどあり、大忙し。
そして結婚へ向けての準備に追われるそんなとき、レオンはある人物に会いに行くと言うのでした。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2016-11-18
エスターとレオンは晴れて結ばれて幸せいっぱい、ラブラブな日々を過ごしていました。しかしそんな2人の仲を裂こうとゴドフリーとエリザベスが騒動を起こし、さらにそこにヴァンパイアが関わってきて事態は緊迫した状況に陥ります。
「主」の命令で事件を起こしたと言うヴァンパイア。「主」とはいったい誰なのでしょうか。
本巻の見どころは、心がより強くなったエスターの姿です。今まではレオンや皆に迷惑をかけないように身を引いていましたが、彼の隣にいても恥ずかしくないレディになると頑張ります。そんな健気な彼女の姿に、レオン同様に胸がキュンとなることでしょう。
そしてもう1つの見どころは、謎の青年・アーサーの登場です。 エスターは今まで出会った人々とは違う、危険な雰囲気を漂わせる彼に底知れぬ恐怖を感じます。
果たして2人は、無事にギルモア侯爵に会うことができるのでしょうか。
危険な「狼の根城」に向かうレオンはエスターを帰そうとします。けれど彼女は、真っ直ぐな瞳でこう言うのです。
「鬱陶しがられてもいい。嫌われてもいい。あなたを守りたいんです。」
(『黒伯爵は星を愛でる』8巻より引用)
彼女の一途な想いに、レオンは降参します。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2017-04-20
本巻ではレオンとクリスの出会いや、クリスマスの惨劇の秘密が明かされます。また、レオンが罠に嵌められたりと、秘密と危険がいっぱいです。
辛い過去を打ち明けてくれたレオンを、エスターはますます愛おしく思います。抱き合って眠る2人の姿に、お互いを強く想う気持ちを感じることができます。
そしてようやく出会えたギルモア侯爵は、噂に聞いていた恐ろしいイメージとはかけ離れた、無骨でどこか可愛らしい人でした。そして、彼はエスターの母との出来事を話してくれます。ギルモア侯爵とエスターの母の間で起こったこととは……。
エスターはギルモア侯爵と大事な話があると言うレオンと離れ、アーサーと遭遇します。アーサーがクリスマスの惨劇の「ある噂」を語り始め、不穏な空気に包まれたそのとき、空気を裂くような悲鳴が聞こえてきました。エスター達が駆け付けると、そこにはレオンと血を吐いて倒れたグリモア侯爵の姿があったのです。
レオンが罠に嵌められ、最大のピンチが襲います。2人は一体どうなってしまうのでしょうか?
無実の罪で投獄されてしまったレオン。エスターたちは彼の無実を信じ、刑が執行される前に助けることを誓います。しかし、そんなエスターに対し、アーサーはある話を持ちかけてくるのです。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2017-08-18
本巻での見どころは、エスターのレオンに対する深い愛情と、種族を超えた強い絆ではないでしょうか。
アーサーが持ちかけてきた話は、エスターにとっては受け入れがたいものでした。自分の身とレオンの命、この2つを天秤にかけた彼女が選んだ答えとは……。
彼女がレオンを一心に想っていることを知っていると、なんともいえない悲しみに襲われます。2人の幸せを引き裂かんばかりの状況が続きますが、レオンにとっては1つ、救われるようなことも。
それは、ウィンターソン家襲撃の真犯人を知ることができたこと。もちろん知ったからこそ苦しい思いはするかと思いますが、勘違いをしたままでいるよりはずっといいですよね。
とはいえ、彼が危機的状況にあることには変わりません。そして、ついにレオン処刑の当日がやってきました。仇敵であるウィンターソン家当主の首を斬るとあって、多くのヴァンパイアが集まります。
観衆の目があるなか、エスターたちはどうやって彼を助けるのか。そして瀕死の重傷を負っていたギルモア侯爵はどうなってしまうのでしょうか。
スコットランドでの騒動から数日、穏やかな時間を迎えたレオンとエスター。レオンとともにイングランドに戻らなければと思う一方、エスターにはギルモア侯爵のことが心残りとなっていました。
努めて平静を装う彼女に、レオンはしばらくスコットランドに残るよう提案します。吸血鬼ハンターである彼が、吸血鬼であるギルモア侯爵と一緒にいることを許してくれる、その優しさが何より嬉しいですよね。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2018-01-19
レオンだけ先に戻り、結婚までの1ヶ月をギルモア侯爵とともに過ごすことになったエスター。なんとなくギクシャクしてしまう彼女もかわいいのですが、不器用なギルモア侯爵もとてもかわいいのが本巻の見どころ。ぎこちない感じや照れた雰囲気などがかわいらしく、娘が大好きな父親らしいのが魅力的です。
そんなかわいい2人の1番の見どころは、夜2人で景色を見に出かける場面。エスターにはずっとギルモア侯爵に言いたい言葉があったのですが、なかなか言うタイミングがつかめず、機を逃していました。母との昔話をするギルモア侯爵に、彼女がかけた言葉とは……。
また、レオンとエスターの結婚当日の話も見どころのひとつ。ついに本当のお嫁さんとなった場面は必見ですよ。
レオンの元恋人という人物に偶然出会ったエスター。その出会いがきっかけで、双子の兄・アルの行方を追うことになります。彼はずっと、ある秘密を抱えていて、あまり長く生きられない運命にあったのです。
彼を追い、ダンピールについて研究している博士のもとへやってきたエスターは、そこで彼は死んだと聞かされました。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2018-05-18
たとえ姿は見えなくても、たとえ名を明かさなくても、生きていてくれるならそれでいいと願っていた彼女にとっては、衝撃的なことですよね。しかし彼女が彼の眠る棺桶まで行くと、なんとそこに生きたアルが座っていたのです。
彼は彼女に、「ヴァンパイアになる研究をしていた」と告げました。もともとヴァンパイアの城に住んでいるため不便はあまりないかと思いますが、日中外を歩けないというのはなかなか大変そうですね。
彼女は彼が生きていたことを素直に喜びますが、周りの人間はどこか複雑な表情……。周りの異変に気付かぬまま、彼女は博士のもとで暮らすヴァンパイアの女性と2人きりになります。そこで、その女性から聞かされた話とは……。エスターはいつも過酷な運命のなかにいるのです。
瀕死の重傷を負い、生死を彷徨うエスター。彼女に残された道は、ダンピールの理に乗るか、人として死ぬか、生きるかです。意識を手放した彼女は、昔の夢を見たり、亡くなった母や、レオンの両親と会っていました。
- 著者
- 音久無
- 出版日
- 2018-05-18
走馬灯に死者との対話となると、いよいよ山場という感じがしますね。幼いころのこと、レオンと初めて会ったときのことを思い出しながら、彼女はずっとレオンが好きだったという気持ちに気づかされます。
彼との出会いは、やっと噛み合った歯車なのだと、そう感じさせてくれる展開と、それが壊れようとしていることに胸が締め付けられるようです。
彼と離れたくないと願ったエスターが次に出会ったのが、母とレオンの両親。そこで彼女は、自分がおかれた状況を思い出しました。すべてを思い出した彼女は、再びレオンのもとへと駆け出していきます。
「私だって一生手放してなんてあげませんから
覚悟しやがれ ですっ」
(『黒伯爵は星を愛でる』12巻より引用)
いざというときの彼女は、やっぱ強いですよね。こんな彼女だからこそ、きっとレオンと一緒に生きていけるのでしょう。
意識を取り戻した彼女と、その後のレオンの過保護ぶりは、夫婦というより親子のような印象もして、とてもかわいいですよ。ついに普通に笑い合えるようになった2人の様子に、癒されること間違いなしです。
とても愛らしいエスターとエスターを溺愛するレオンの素敵なラブロマンスの世界にあなたも浸ってみませんか?