医療サスペンスのスペシャリスト!帚木蓬生のおすすめ小説3選

医療サスペンスのスペシャリスト!帚木蓬生のおすすめ小説3選

更新:2021.11.30

どうも、わちゅ〜さんです。 今回は、医療サスペンスのスペシャリスト・帚木蓬生(ハハキギ ホウセイ)の小説をご紹介! 精神科医として働く傍ら、執筆活動もされている帚木氏。 現役バリバリの医師が描き出す医療サスペンスの臨場感は、圧巻の一言! それまで医療小説に興味のなかった私ですが、帚木作品との出合いがきっかけで読み漁るようになりました。 ってことで、早速おすすめの作品をズバババッとご紹介していきまーす!

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閉鎖病棟

著者
帚木 蓬生
出版日
1997-04-25

第8回山本周五郎賞受賞作! 迷ったらまずこれを読めば間違いなし!  私が帚木氏にハマるきっかけにもなった一冊です。 『閉鎖病棟』というタイトルだけ見ると、何やらサイコや異常心理系の作品にも思えますがそんなことはありません。 グッと沁みる群像ドラマが描かれています。こりゃ涙なしには読めませんぞ! 

舞台は、九州にある精神科の閉鎖病棟。 そこで生活しているのは、重く辛い過去を背負いながらも賢明に生きようとする患者たち。 重度の精神病患者もいれば、長年の入院治療によりほぼ回復している人もいます。 そんな彼らに共通して言えることは、皆優しい心の持ち主ってこと。 多少のアクシデントはありながらも、協力し合いながら温かな日々を過ごしています。 しかしある日、その平穏な日常を打ち砕く大事件が勃発。 ある悲劇から生まれたその事件とは……。 

今作は、精神病患者に対する世の中のステレオタイプが投影されており、その固定観念を正しく崩してくれます。 これぞ、本物の精神科医である帚木氏だからこそなせる業! 作品としての面白さはもちろんのこと、人生における勉強という意味でも読む価値のある一冊です。ぜひご堪能あれ!

エンブリオ(上)

著者
帚木 蓬生
出版日
2005-10-20

生命倫理を扱った医療サスペンス! イチオシの作品です!  人工授精、顕微授精といった生殖補助医療だけでなく、男性への妊娠実験、胎児を犠牲にしての移植治療など、倫理的な問題を抱えている医療行為がバンバン出てきます。 一見すると「難しそうな話だなぁ」と思われるかもしれませんが、分かりやすい説明も織り交ぜて書かれているのでご安心を。難なく読めますぞ! 

主人公は、"神の手"と慕われる人気産婦人科医・岸川卓也。 彼の働くサンビーチ病院は、贅沢な施設と高度な医療で知られ、全国から不妊に悩む患者が多数訪れます。 天才医師と謳われ、その呼び名に相応しいほどの実績を持つ岸川は、人柄も良く、親身に接してくれると評判。 しかしその裏では、法の盲点を突き、生命倫理を無視した医療行為にも手を染めているのです。 

岸川が行っているのは、意図的に胎児を中絶させて臓器移植に活用する等、露見すれば非難を免れない医療行為の数々。 しかし、生殖医療の無法地帯とも揶揄される日本では、これらの医療行為はグレーゾーン止まり。取り締まる法律はありません。 何より彼は営利目的ではなく、心の底から患者を助けたいという一心で行っています。 患者は誰一人として後悔することなく、みな喜びを感じているのです。 

倫理的な問題をはらみながらも、患者の願いを第一に考えた医療。 うーむ、いろいろ考えさせられます。 フィクションなのに、近い将来本当に実現されそうな内容だからこそ余計に恐ろしい。 生命への倫理観を問う、深ーい物語です。ぜひ一読を!

著者
帚木 蓬生
出版日
1983-01-27

帚木氏のデビュー作にして、直木賞候補にも選ばれた一冊!  ミステリー要素を含んだ医療サスペンスとなっており、刊行から40年近く経った今でも色褪せない名作です。 

物語は、パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議から幕開け。 北東大学教授としてウイルス研究の成果を発表することとなっていた佐伯教授は、ベルナールと名乗る見知らぬ老紳士から声をかけられます。 そこで耳にした"ドクター・クロダ"という名前。 それはかつて、共に机を並べ学び合った学生時代の友人・黒田武彦のことだと思い当たります。 

仙台型肺炎ウイルス(仙台ヴァイラス)の研究をしていた黒田は、米軍にその能力を買われアメリカへ留学。 しかし、その数年後に不慮の事故により死亡。 黒田が亡くなったという事実だけを聞かされていた佐伯教授でしたが、実は事故死なんかではなく、フランスで自殺していたという事実を告げられます。謎に包まれた黒田の死。調べるにつれ明らかになっていく驚愕の真実。 一体彼はアメリカで何を研究していたのか……。

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