特殊能力・特異体質を題材にした作品は、数多く存在します。例えば、大人気マンガ『ONE PIECE』。悪魔の実を食べると、特殊能力を得ることができます。ゴムのように伸びたり炎を操ったり、はたまた動物に変身したりと様々。どれも魅力的でございます。
海外ドラマでいえば『HEROES』。空を飛んだり相手の心を読んだり、時空を操ることだってできちゃいます。まったくもう。うらやましいったらありゃしない! そんな淡い憧れを抱かせてくれる作品たち。マンガや海外ドラマだけでなく、小説にだってもちろんあります。
ってことで今回は「特殊能力・特異体質を題材にした小説」を紹介していきまーす! はたして、どんな能力者が登場するでしょうか。
あ、ちなみにみなさんはどんな能力が欲しいですか? 私だったら真っ先に「透明人間」を選びます。ぐへへ。
念力放火能力(パイロキネシス)
- 著者
- 宮部 みゆき
- 出版日
- 2011-07-12
SF要素を取り入れたサスペンス小説! 主人公は、特殊な力を持って生まれた女性・青木淳子。彼女の能力は「念力放火能力(パイロキネシス)」。念じるだけですべてを燃やすことができるのです。か……かっけぇっす先輩……!
ある夜のこと、力の「ガス抜き」をするために廃工場を訪れた淳子は、瀕死の男性を運び込んでくる4人の若者を目撃。男性救出のために力を解放し、次々と若者を焼殺。しかし、あと一歩のところで若者の1人を逃がしてしまいます。息絶えてしまった男性に「必ず、仇はとってあげるからね」と誓った淳子は、わずかな手がかりを元に逃走した若者を追うことに。
今作の魅力は、非現実的な題材を取り扱っているにもかかわらず、リアリティが損なわれていないところ。超能力と聞くと、ファンタジックな物語を連想しがちですが、今作は一味違います。現実的な世界観の中に、SF要素が見事に溶け込んでいるのです。そのため、良い意味でフィクション臭さが感じられません。
また、著者・宮部みゆきさんの作品にしては珍しく、恋愛要素が色濃く出ているのも魅力の一つ。これがまた切ないストーリーでしてね……。結末に涙した人も多いはず。グッときますぞ。
ちなみに、今作の前日譚が『鳩笛草 燔祭/朽ちてゆくまで』という作品に収録されています。ぜひそちらもチェックしてみてくださいまし!
反復落とし穴
- 著者
- 西澤 保彦
- 出版日
- 1998-10-07
ミステリー好きにはコチラがおすすめ! SFとミステリーが見事に融合した名作でございます。
今作の主人公は、高校一年生の大庭久太郎。彼は「反復落とし穴」という一風変わった能力をもっています。この能力は、同じ一日を9回繰り返すというもの。これが発動すると、夜0時から翌日の夜0時までの24時間を9回繰り返すことになります(地味に長い)。
ループしている間は、周りの人々は毎回同じ行動をし、毎回同じセリフをしゃべります。もちろん、ループしていると認識できるのは当事者の久太郎だけ。彼の行動や言動が変わると、それにつれ周囲の行動や言動も変化します。そして、24時間が経つとその日がリセットされ、再び同じ一日を過ごすことになります。これを数回繰り返して9周目を迎えると、その最後に過ごした一日が「決定版」となり、何事もなかったかのようにループを抜け出すのです。
……うーむ、なんとも独特な力ですこと。でもこの力、うまく使えば宝くじだって当てることできちゃうわよね。ループしている間に当選番号をチェックして、9周目に当たりを買えばいいんだものね。あぁうらやましい。あぁうらやましい。あぁうらやま………。
だがしかーし!! この能力にも不便な点が一つ。それは「いつ発動するか分からない」ということ。残念なことに、自分では制御ができないのです。何の前触れもなく突然ループし始めるのです。こりゃ厄介! もはや能力というか体質といった方がよさそうな気がします。
ってことで簡単に物語を説明していきますと、この特殊な体質を持つ久太郎がある日、毎度の如くループにとらわれます。
……と思っていたらなんと、その日に祖父が亡くなってしまったではありませんか! なんてこった! しかし、ループが発動していたおかげで祖父が生きている状態から再スタート。ならば! どうにかして祖父の死を食い止めねば……!ってことで、久太郎が原因究明に挑むというお話でございます。
コミカルに描かれているため、暗い作品が苦手な方にもおすすめできる一冊!物語のラストには、まさかのどんでん返しが……。