「半夏生」2019年はいつ?意味や由来、タコや鯖などを食べる理由を紹介!

更新:2021.12.3

日本に古来から伝わる、季節をあらわす雑節のひとつ「半夏生」。どんな由来があり、どんなことをする日なのでしょうか。この記事では、概要やこの日に食べるとされている食べ物などをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本も紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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2019年の半夏生はいつ?

半夏生は、五節句・二十四節気以外の季節の移り変わりの目安となる「雑節」のひとつです。

五節句とは、中国の唐の時代に暦法で決められた5つの季節の映り目のこと。端午の節句などもこのひとつです。二十四節気は、1年を日数あるいは太陽の黄道上の視位置によって24等分し、その分割点に季節を表す名称をつけたもの。

ただこれらだけでは十分に季節の変化を読み取ることができないため、その補助をするために日本独自の暦である「雑節」がつくられました。

半夏生は、同名がついた植物「ハンゲショウ」の葉が半分白くなる時を指し、毎年7月2日頃にあたります。かつては夏至から数えて11日目としていましたが、現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日と定められています。

この時期に降る雨のことを「半夏雨(はんげあめ)」、「半夏水(はんげみず)」ともいい、大雨になることが多いのが特徴です。

2019年の半夏生は7月2日の火曜日です。

半夏生ってそもそもどんな日?名前の由来も紹介

 

「天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日」または「その日から5日間」の期間をいいます。農業の大事な節目となっていて、畑仕事や田植えを終える目安とされていました。地域によっては、この期間は農業を完全に休みにするところもあります。

また天から毒気が降るともいわれていて、井戸に蓋をする習慣もありました。

名前の由来には諸説あり、ひとつは「ハンゲショウ」の花が咲く季節からきているもの。もうひとつは、この時期に生える「烏柄灼(からすびしゃく)」の漢名「半夏」からきているというものです。

日本独自の習慣であるため、どちらの説も日本で生まれたものだと考えられています。

 

半夏生に食べる食べ物1:タコ

 

関西地方には、半夏生にタコを食べる習慣があります。タコの足は四方八方に広がっていることから、植えた稲が四方八方に根付くように、という願いを込めて食べられるようになりました。

またタコの吸盤は1度くっついたら離れないしっかりとしたものなので、稲穂が吸盤と同じようにしっかりと実るようにという願掛けもされています。

 

半夏生に食べる食べ物2:鯖

 

福井県では、鯖の丸焼きを家族で食べる習慣があります。

福井県で獲れる鯖は肉厚で食べごたえのある美味しいもの。そこで江戸時代に、福井県一帯の領地を所有していた大野藩が、田植えをする農民の疲労回復のために鯖を食べることを推奨したそうです。

それを見ていた魚屋が、田植えがひと段落する半夏生の季節に焼いた鯖を売り出したのがこの習慣のはじまりだといわれています。

 

半夏生に食べる食べ物3:うどん

 

香川県では、半夏生の季節にうどんを食べます。かつてその年に収穫された麦でうどんを作り、田植えや農作業を手伝ってくれた人をもてなしていたそう。またその年の収穫物でうどんを作ることで、来年も同じように豊作であるよう願いを込めたそうです。

その名残からか、現在も香川県では半夏生にうどんを食べる習慣が残っています。

 

Twitterで話題になった感動歌集

著者
櫻井 美知彦
出版日
2016-03-11

作者の櫻井美知彦は、1925年生まれの一般男性。本作は、彼が60年間連れ添った妻への想いを綴った歌集で、孫がTwitterに投稿したことをきっかけに話題を集めました。 歌に自分の想いをのせる不器用な夫と、死を覚悟した妻の日々の尊さが伝わる一冊です。

歌は手書きで書かれていて、反対側に挿絵が描かれています。短い歌に込められた想いが文字と文字の間からにじみ出てくるようで、「多くを語らない」ことの豊かさを読者に伝えているようです。

病院で死を待つ妻を見つめる作者の寂しさや、天国で会えるという再会を信じる気持ち、いつまでも妻を想い続けることを誓う決意など、揺れ動く作者の気持ちが見事に一冊に収められています。

半夏生の季節、作者は妻への想いをどんな短歌に込めたのでしょうか。夏の強い日差しが山々の緑に吸い込まれていくさま、夜空の星々が美しさを極める情景を想像しながら読むと、より琴線に触れることでしょう。
 

半夏生など季節を感じながら読みたい一冊

著者
辰巳 浜子
出版日
2002-09-25

料理研究科の辰巳浜子が、雑誌「婦人公論」で連載していたエッセイをまとめたもの。四季折々の食材を使った料理や、それにまつわる思い出が綴られています。

杏、なずな、筍、鮎、かぼすなどの食材を旬の季節ごとに分類。読んでいるだけで心がホッと和むような、丁寧に食を楽しもうとする心意気が文章の端々から伝わってくるでしょう。

半夏生の時期に食べる鯖に関しての記述もあります。
 

「真鯖を使います。三枚におろして血をきれいに洗い、水けをぬぐいます。瀬戸引きのバットに、真白に塩をまぶした鯖をよく並べ、三十分ぐらいおきます。真水で塩を洗い流してから一度酢洗いをして、新しい酢に浸け直します。生姜の皮や茎、ゆずやレモンの薄切りを一緒に漬け込みます。生姜の葉とか茗荷の葉で蓋をするように表面を覆い、器ごとポリエチレンで包んで冷やします。」(『料理歳時記』より引用)

食材本来の良さを引き出す調理法をテーマにしていて、その想いは、季節の変わり目を「半夏生」と名付け、ありのままの自然と向き合うかつての日本人と通じるところがあるかもしれません。

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