ウォンバットってどんな動物?かわいすぎる性格と生態、食べ物などをご紹介!

更新:2021.11.13

オーストラリアを代表する動物、ウォンバット。ゆるい雰囲気が注目を集めるようになってはきたものの、コアラに人気を奪われぎみ……。実は陽気で人懐こく、とても可愛いらしい一面を持った動物なんです。今回はそんな彼らの生態や性格などの隠れた魅力を解説し、あわせておすすめの関連本もご紹介します。

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ウォンバットの生態は?

 

【生息地】

オーストラリア南東部や、世界自然遺産にも登録されているタスマニア島などに生息する動物、ウォンバット。

正式な種類として「ヒメウォンバット」「キタケバナウォンバット」「ミナミケバナウォンバット」の3種が認められており、それぞれに亜種がいるとされています。   

【大きさ】

平均体長は70cm~115cm、体重は20~40kg。数字で見てもずんぐりした体形であることがうかがえるでしょう。コアラと同じく、巨大な有袋類であるディメトロドンを祖先に持つと考えらえれていて、大きな鼻やぬいぐるみのような体形など、共通点も多く見られます。   

有袋類の仲間なので育児嚢を持ちますが、カンガルーなどとは異なり袋の口は下に開きます。ウォンバットは穴を堀る習性があるため、育児嚢に砂が入り込まないよう進化しました。

【巣穴】

彼らが地中を住処としたのは、寒さに弱いため外気温に左右されないため、そして外敵から身を隠すためだと考えられています。前肢の鋭い爪を使って1日に1m近く掘り進めることができ、巣穴は長いもので30m近くあるものも確認されました。

穴の中には、乾燥した草を敷き詰めた寝室があったり、餌場まで地上を通らずに行けるルートが作られていたり、他のウォンバットの巣穴と繋がる道があったりと、快適に過ごせる工夫が施されています。

【お尻】

天敵は、タスマニアデビル、ディンゴ、フクロネコなど。襲われた際は頭から巣穴に潜りこみ、自分のお尻で穴に蓋をして身を守る習性があります。

臀部の皮膚は1cm以上あり非常に硬く、痛覚もないため、お尻を噛まれても痛さを感じないそう。オーストラリアに住むほとんどの肉食動物は、分厚い装甲とも呼べる彼らの皮膚に文字どおり歯がたたないのです。

外敵が巣穴に侵入してきた場合は、お尻を入り口に向けて巣穴の途中で待ち構え、敵が近づくと上半身を低くして自らの背中と穴の天井の間に誘い込み、お尻を高くつき上げて相手を叩きつけ追い払うという賢い一面も。防御のみならず、攻撃にも硬いお尻を使うんですね。

彼らの攻撃力は相当なもので、子供のウォンバットを狙って来たと思われるタスマニアデビルやフクロネコの頭蓋骨を砕かれた死骸が、巣穴の前で発見されています。

また意外なことに、単距離であれば時速40km程度で走ることができるほど足が速いのも特徴。これは「人類史上最速のスプリンター」と呼ばれるウサイン・ボルトとほぼ同じスピードなんです。持久力がないため全速力が出せるのは1分~2分程度と短いですが、敵に襲われた際などに全力で走る姿が確認されています。

ウォンバットの性格は?

 

温和で人懐こい性格が特徴。野生のウォンバットでさえ人間に興味を持って近づいてくるなど、警戒心があまりありません。

特に動物園などで飼育されているウォンバットは、構ってもらうのが大好き。犬など人間との暮らしが長い動物以外ではきわめて稀なことで、飼育員に撫でてもらえないことがストレスになり体調を崩した個体がいるほど、人との触れ合いを好む動物なのです。

自然の環境下では5年程度で寿命を迎えますが、動物園では30歳まで生きた個体もいて、人間との暮らしを楽しんでくれていることがうかがえますね。

また母親と子供の絆も強く、生後6ヶ月ほどで母親の袋から出た後も、1歳半くらいまでは母子で行動します。親子でぴったりと寄り添って草を食んだり、子供が母親の背中にもたれかかって眠ったり、仕草をまねてみたりと、人間さながらの関係をみることができます。

ウォンバットは何を食べる?

 

草食動物で、主な食べ物は植物の葉や根、木の実やキノコなど。長い前歯と強靭な顎で地下茎や樹皮も食べます。彼らの前歯はネズミやハムスターと同じように生涯伸び続けるため、樹皮などを齧って歯を削る必要があるのです。

他の動物が食料としないような固いものでも食べることができるため、餌場がなくなることはあまりありません。

しかしキタケバナウォンバットは、人間が放牧した羊や牛に餌場を取られたことから、一時は30頭まで数が減り、絶滅危惧種としてオーストラリア東部の保護区域に全頭保護されることとなりました。

2018年現在、保護区域は2ヶ所に増え、個体数も250頭まで増加。ただ区域内での繁殖となるため近親交配が進み、弱い個体が生まれやすくなっているという問題も抱えています。

ウォンバットはペットにできる?

 

ワシントン条約により国際取引が禁止されているため、日本でペットとして飼うことはできません。オーストラリアでは餌付けをして飼育している家庭もあるようですが、これも州によっては規制がされています。

個人での飼育が規制されている背景には、過去に害獣指定を受けたヒメウォンバットが農業従事者によって駆逐されたことで、数が減りすぎてしまったこと、犬や猫に襲われて命を落とすケースが多いこと、犬や猫のダニから皮膚炎を発症してしまうことなどが挙げられます。

自立していない子供のウォンバットを残して母親が死んでしまうことも少なくないため、オーストラリアには「ケアラー」と呼ばれる野生動物を看護するボランティアがいて、独り立ちできるまで育てるケースもあるのです。

日本ではペットとして迎えることが困難なウォンバットですが、大阪府の五月山動物園、愛知県の東山動物園、長野県の茶臼山動物園の3ヶ所で見ることができます。

なかでも五月山動物園は、オーストラリア以外の国で繁殖に成功した唯一の施設。夜行性のため開園時間内になかなか活発に動かない彼らの生態を紹介するために、ライブカメラで24時間ウォンバット舎を撮影し、公開しています。

甘えん坊の魅力を満喫できる一冊

著者
ゆうき えつこ
出版日

 

かわいらしい表紙の本書は、赤ちゃんウォンバットが母親の袋の中で育ち、独り立ちするまでの過程をたくさんの写真と文章で綴った一冊です。貴重な瞬間を捉えたものも多く、絵本としてだけではなく、写真集としても、生態を知る図鑑としても楽しめるでしょう。

写真に添えられた文章にも、母親を慕う甘えん坊の様子が表れていて、そのひたむきさにキュンとなりますよ。

親から離れることへの不安、戸惑い、新しい世界への期待が描かれているので、入園や入学で自立への1歩を踏み出すお子さんと一緒に読むのがおすすめ。きっと最後のページでは「頑張れ!」と応援したくなるはずです。

ウォンバットさんと仲間たちのゆる~い日常

著者
わうち あやの
出版日
2016-10-26

 

食べることが大好きで、多くは望まず小さな幸せがあればよい……そんな性格のウォンバットさんが、オーストラリア固有種の仲間たちとのんびりとした日常を過ごす脱力系4コマ漫画です。

彼らはもともとぬいぐるみから発生したキャラクターで、ちょっぴり気の抜けた外見が人気を博し、コミカライズされました。

主人公のウォンバットさん以外にも、コアラに憧れてコアラの人形を宝物にしているタスマニアデビルや、ネット依存でいつも睡眠不足のコアラなど、実際の生態と比べると笑ってしまうような設定のキャラクターが数多く登場します。
 

可愛い外見をした彼らがたまにブラックなことを呟くのも魅力的でしょう。セリフもあっさりとしたものが多いので、子供から大人まで楽しめます。

夜行性で穴に住んでいるウォンバット。名前を聞いたことのない方も多かったかもしれませんが、知れば知るほど味があり、1度は生で見てみたいと感じさせてくれる愛すべき存在ですよね。機会があればぜひ動物園にも足を運んでみてください。

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