5分でわかるコウモリの謎!羽が無いのになぜ飛べる?種類や駆除方法も紹介

更新:2021.11.13

コウモリと聞くと、どんなことを思い浮かべるでしょうか。西洋では吸血鬼、中国では「福」をもたらす幸運の生き物、そのほか暗闇のなかで飛び回るなどさまざまなイメージがあるでしょう。この記事では、謎の多い彼らの生態の特徴、種類、羽が無いのに飛べる秘密、駆除方法などを解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひご覧ください。

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コウモリは何類?大きさや生息地も

 

私たちが一般的に呼称する「コウモリ」は、脊椎動物亜門哺乳綱コウモリ目に属する動物です。日本には35種類、世界中には約1300種類が確認されています。彼らは南極大陸をのぞくすべての大陸に分布していて、これは哺乳類では人間以外で類を見ない広さです。

種によって大きさは異なりますが、翼を広げると体長よりも5倍ほどの大きさになるのが一般的です。世界最小のブタバナコウモリは体長3cm前後、体重2g以下で、翼開長が16cm。世界最大のジャワオオコウモリは体長40cm前後、体重900gで、翼開長140~170cmになります。

自ら発した超音波の反響を鼻先で察知し、障害物との距離を測りながら飛行するのが特徴。これを「エコーロケーション」といいます。

また11月頃から3月末頃は、主食である昆虫の数が減るため多くの種が冬眠をします。

コウモリは翼に羽が無いのになぜ飛べる?

 

鳥の翼には羽があり、この羽が空気をとらえて柔軟に受け流すことで、揚力を得て飛んでいます。しかしコウモリの翼には羽がありません。彼らはどのような仕組みで飛ぶことができるのでしょうか。

翼には関節が24ヶ所もあり、180度の方向転換や機敏な動きを可能にしています。また「飛膜」という伸縮性のある膜でできていて、そのなかには細い筋肉があり、自在に翼を操っているのです。そうすることで飛行中の昆虫も捕まえることができるほどの俊敏性を手に入れています。

なおモモンガやムササビにも飛膜がありますが、彼らができるのは木から木に飛び移る程度。「飛行」することはできません。哺乳類で、鳥のように自在に飛行することができる生物は、コウモリ以外に存在しません。

日本にいるコウモリの種類と、食べ物

 

日本には35種類のコウモリが生息していますが、もっとも代表的なものは「アブラコウモリ」です。

彼らは民家に巣をつくり、別名「イエコウモリ」とも呼ばれています。性格はおとなしく、また吸血活動をしないため、こちらが攻撃しない限り人間に噛みつくことはありません。主食は昆虫で、蚊やクモ、ゴキブリなどを食べてくれるため、益獣としてみられることもあるようです。

体長は6cm前後、体重は6g程度で、翼開長は20cmです。寿命は雄で約3年、雌で約5年。雌は1年したら出産できる体になり、1度に2~4匹ほどの子を産みます。

ちなみに日本に生息する最大のコウモリは、「クビワオオコウモリ」です。体長は19~25cm。体重は300~500gで、翼開長は90cm程度の大きさです。

コウモリの駆除方法。家に巣をつくってしまったら……

 

日本にいるコウモリが人間に噛みついたり血を吸ったりすることはありませんが、注意したいのは彼らが病原菌の媒体となっている可能性があることです。狂犬病のほか、糞にも多くの雑菌や寄生虫が含まれているため、コウモリが家にいるとわかったらそのままにはせずに駆除することが一般的です。

そこで、彼らの苦手なものを確認しておきましょう。まず夜行性のため、「光」が苦手です。また殺虫剤や蚊取り線香も嫌います。 そのほか「エコーロケーション」をおこなうため、それを遮る「高周波発生装置」なども苦手なものだといえるでしょう。

ただコウモリは鳥獣保護法で守られているため、個人の判断で捕獲や殺傷することはできません。もし自宅に巣を作ってしまったら、専門の業者にお願いするのが安全でしょう。

コウモリの謎を徹底研究

 

著者の2人が初めてコウモリと出会ったのは、1988年の沖縄。そこから魅力に惹き込まれ、20年以上続けていた仕事を辞めて観察や撮影をしています。

そのほか講演会や展示会なども多数おこなう、根っからのコウモリ好きといえるでしょう。

著者
["大沢 啓子", "大沢 夕志"]
出版日
2014-04-15

 

本作は全6章からなっており、生態のなかでも「飛ぶ」ことにスポットを当てています。飛ぶためにどのように進化を遂げたのか、なぜ暗闇のなかでも飛ぶことができるのか、なぜ素早く飛び回る虫を捕まえることができるのかなど、読者の疑問に答えてくれるでしょう。

また実は哺乳類の4分の1近くがコウモリ目であることや、吸血をするのはたった3種類しかいないことなど、さまざまな知識をやさしい語り口で紹介してくれます。

自然に囲まれた大学の日常

 

著者の小林朋道は大学教授も務めている動物行動学者です。「野生動物と3日ふれあわないと体調が悪くなる。」と自身のブログに記すほどの動物好き。

本書は、そんな彼が鳥取県の小さな大学で起きた「日常」を描いたノンフィクションです。

著者
小林 朋道
出版日

 

周辺には森や川があり、キジ、タヌキ、カルガモなどの野生動物と距離が近い鳥取環境大学。そんな自然豊かな学校で起きた「日常」を、動物行動学者ならではの視点で切り取っています。

はたして廊下を飛んでいる巨大なコウモリは、どこから来て、どこに帰るのでしょうか。その意外な結末に驚くはずですよ。

そのほか『先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!』『先生、イソギンチャクが腹痛を起こしています!』などのシリーズがあるので、気になった方はそちらも手にとってみてください。

コウモリのイメージを覆す一冊

 

作者の中島宏章は「全ての生物には必ず何かしらの魅力がある」という信念のもと、北海道を中心に自然生物の撮影をしている写真家です。

根っからの動物好きで、コウモリの謎に対しても自身が納得するまで徹底的に迫りました。

著者
中島宏章
出版日
2017-10-19

 

本書は5章からなっており、衣食住、進化や飛行のメカニズム、エコーロケーションの仕組み、長生きの秘訣などコウモリのことを網羅的に知ることができます。

飛行のメカニズムについては、生物学というよりも物理学。どうやって揚力を得ることができるのか、どうして自在に飛ぶことができるのかという仕組みを徹底的に探究し、「飛ぶ」こと自体に対する好奇心を満たしてくれること間違いなしです。

「暗闇」「洞窟」「吸血鬼」など、どこか薄暗くマイナスなイメージの多いコウモリですが、その実態は不思議と驚きに満ちた、人間と同じ哺乳類です。ぜひ彼らのもつ驚異の能力に魅了されてみてください。

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