アクアリストのなかでも特に人気の高いアロワナ。名前を聞いたことのある方は多いと思いますが、その生態はご存知ですか?今回は彼らの生態や歴史、種類、飼い方などをわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、最後までチェックしてみてください。
アロワナ属アロワナ科に分類される大型の淡水魚で、日本では鑑賞用として親しまれています。体長は品種によって異なりますが、大きなものは100cmほどにまで成長するものも。
自然界ではオーストラリア、南アメリカ、東南アジアに生息しており、寿命は約10年です。
水面に浮かんでいる昆虫や小魚を捕食するため、下顎が突き出ているのが特徴。口を大きく開け、周りの水と一緒に一気に餌を吸い込んで食べます。またウロコが非常に大きく、ウロコの色や濃さによって個体の販売価格が変わります。
淡水でしか生きることのできないアロワナですが、なぜ海を越えて南米、オーストラリア、東南アジアなど幅広い地域に生息しているのでしょうか。その理由は、彼らの歴史にあります。
現在この世界に生きている生き物は、恐竜が絶滅したおよそ6500万年前に分岐したとされています。しかし2003年に、アロワナは1億数千年前には今の姿で生存していたことがわかりました。想像もつかないほど大昔から存在し、その後大陸移動が起こって、世界中に分布されたと考えられています。
同じく「生きた化石」と呼ばれているシーラカンスは約4億年前に出現したといわれていることから、アロワナはシーラカンスに次ぐ古代の生物だといえるでしょう。
シルバーアロワナ
観賞魚として飼育されているアロワナのなかで、もっとも一般的な品種です。自然界ではアマゾン川やブラジルなど広い地域に生息しています。
名前のとおり非常に綺麗な銀色のウロコをもっていて、背びれから尾びれまで繋がったように見えることが特徴です。飼育環境下では体長が100cmほどまで成長するので、覚悟が必要でしょう。
ブラックアロワナ
幼魚のころは頭部の一部と腹部が黒く、ひれにも黒色が入っていることから、ブラックアロワナと呼ばれています。成長にともない体色は黒から少し灰色がかった銀色へと変化していきます。
自然界ではネグロ川やブランコ川に生息。飼育環境下では体長が70~80cm程度まで成長し、シルバーアロワナと比較するとやや小型の品種です。
アジアアロワナ
さまざまな体色をもち、その色や濃さによって名前がつけられています。グリーンアロワナ(青龍)・マレーシアゴールデン(過背金龍)、スマトラゴールデン(紅尾金龍)、スーパーレッド(血紅龍)などで、グレードの高い個体は100万円を超えることも珍しくありません。
レッドリストの絶滅危惧、およびワシントン条約の付属書Ⅰに分類されているため、国際取引が規制されており、現在は養殖されたアジアアロワナのみ輸入されています。
ノーザンバラムンディ
背びれや尾びれが繋がっているように見えるシルバーなどに比べて、各ひれが短く、隙間が空いているのがノーザンバラムンディです。
体色は赤褐色や黒褐色で、光沢感があります。またウロコにピンク色の模様が入っているのも大きな特徴です。
価格
シルバーアロワナは、7~8cm程度の赤ちゃんで2000~3000円と、比較的お手頃なので人気の品種ですが、大きく成長するので設備を整える必要があります。
ブラックやノーザンバラムンディは、5000~6000円程度で売られていることが多いです。
アジアアロワナは10cmほどの個体が売られていることが多く、カラーやグレードによって大きく金額が変わります。安ければ1万円程度ですが、高ければ1000万円以上することもあります。予算によって購入できる個体が異なるので、よく考えて決めてください。
設備
大型魚なので、体にあわせた大きな水槽が必要になります。シルバーアロワナであれば水槽の横幅が150cm以上、それ以外の品種であれば120cm以上、奥行き60cm以上、高さ60cm以上の水槽が必要です。
小さい水槽で飼育していると、ストレスがかかり病気になってしまうので、なるべく大きなものを買いましょう。
またアロワナは力が強く、ちょっとした隙間があると飛び出そうとするので、蓋はきっちりと閉まるものを用意し、その上に重しを乗せておくことをおすすめします。
水槽とともに必要なのが、濾過槽と水槽台です。濾過槽は水の環境を保つために必要不可欠。こまめに水替えをできるのであれば上部フィルターを、あまり手間をかけずに飼育したい場合は外部フィルターを使用しましょう。
水替えをすることや、アロワナが暴れた時のことを考えると、日常生活で使う棚などの上に置くことはおすすめできません。横幅150cm、高さ60cm、奥行き60cmの水槽であれば、飼育水を入れるとおよそ500kgの重さになります。大型水槽用の水槽台を用意しましょう。
そのほかヒーターや水温計、ライトなどをご自身の飼育環境に合わせて用意してください。
水面近くを泳ぐ魚なので、水槽の底で泳ぐ魚との混泳をおすすめします。プレコ、ポリプテルス、淡水エイが向いており、実際に混泳させている飼育者も多いです。
真っ赤な体をしてかわいらしい見た目のキングコングパロットとの混泳も人気ですが、実はパロットは気性が荒いものが多く、相性が悪いと喧嘩をすることもあります。同じ水槽に入れる場合はしばらく注意深く観察するようにしましょう。
- 著者
- きらり きら
- 出版日
高級感ただよう表紙の本書。アロワナの写真をふんだんに使用しつつ飼育方法について説明している一冊です。初心者の方にもわかりやすい言葉で書かれている一方、内容的には一歩踏み込んだ情報もあるので、すでに飼育をしている方やマニアの方も満足できるでしょう。
写真も豊富で、滅多に見ることのできない品種も載っているので、写真集として持っていても損はありません。眺めるだけで楽しい作品です。
- 著者
- 出版日
アロワナの飼育をしてみたいけど、何が必要なのか、どうしたらいいのかわからないという初心者の方におすすめの一冊。
シルバー・ブラック・アジア・ノーザンバラムンディの4品種を中心に、品種の紹介と飼育方法をわかりやすく紹介していておすすめです。
大きな水槽で優雅に泳ぐアロワナは、アクアリストにとって憧れの魚です。彼らが家にいるだけで素敵な日常が送れそうですね。ぜひ飼育に挑戦してみてください。