アパレル業界で働く苦労や、キャラクター達の恋愛模様をコメディータッチで描く名作『テラモリ』。今回はそんな本作の見所を最終10巻までご紹介していきます。ネタバレを含むのでご注意ください。ちなみにスマホアプリで無料で読むこともできるので、そちらからもどうぞ!
初めてのアルバイトとしてスーツ屋で働くことになった女子大生が、仕事を通じて人間的に成長していく過程を描くコメディー漫画『テラモリ』。
作者のikoは本作が初連載作品で、裏サンデー上でデビューしました。女性作者ならではの丁寧な心理描写が魅力で、読み進めるうちにどんどんキャラクター達に感情移入してしまう本作。 今回はその魅力を、最終巻である10巻までご紹介していきます!ネタバレを含むのでご注意ください。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2015-09-11
物語は、日京女子大学2年生の高宮陽(たかみやよう)が、来たる就職活動に備えてアルバイト探しをするところから始まります。人と接するのが苦手で、友人からは「接客は向いてない」と言われていた高宮ですが、思わぬきっかけからスーツ屋「テーラー森」中央店でアルバイトを始めることになります。
アルバイトを始めたはいいものの、接客の難しさに恐れをなして、フロアから逃げ続ける日々を送る高宮。しかし、副店長である平尾宗隆(ひらおむねたか)の思惑によって、戸惑いながらも仕事の経験を積んでいきます。
1巻では、「テーラー森」で働く主要キャラクター、中央店のメンバーが次々に登場します。本作随一の人気キャラクターである平尾にはじまり、正社員の春日原花(かすがばるはな)、学生アルバイトの柳川慎太郎(やながわしんたろう)、店長の徳益寛治郎(とくますかんじろう)、契約社員の朝倉戒道(あさくらかいどう)、他店舗から来たヘルプの大橋穣(おおはしゆたか)など、とても個性豊かな面々が勢揃い。
ストーリーが進むにつれて、おのおののキャラクターの内面が徐々に明らかになっていきます。好きなキャラクターを見つけて、活躍を楽しみにしながら読み進めるのもおすすめです。
そして、1巻最大の見所は、高宮が合コンに参加するエピソードです。恋愛にはあまり興味のなかった高宮ですが、友人の押しに負けて、渋々ながらも合コンに参加します。しかし、「テーラー森」の男衆である平尾、柳川、朝倉の3人が偶然にも会場におり、合コンの一部始終を目撃されてしまうのです。
高宮のナンパ男達に対する辛辣な物言いや、強烈なツッコミは、思わず笑ってしまうこと必至です。スーツ屋のエピソードとは無関係な場面ですが、高宮陽というキャラクターの面白さが際立つ内容となっています。
ありそうで無かったスーツ屋コメディーの名作『テラモリ』。少しでも興味が湧いた方はぜひ1巻だけでも読んでみてください。
2巻でも、まだまだ高宮の苦悩が続きます。合コンでは大活躍した高宮ですが、仕事ではまったく成長できておらず、苦手な接客で足を引っ張ってしまう展開が続きます。
しかし、副店長の平尾は彼女を甘やかすことなく、厳しく接し続けます。平尾が強く当たるのは、鍛えがいがあるからこその愛の鞭なのですが、あまりにも厳しく、高宮がつい心を痛めてしまうのも共感できてしまう面も。
この作品は基本的にはコメディー路線ですが、スーツ屋での接客の難しさや、高宮がそれに苦悩する様子も丁寧に描かれており、そこが本作の魅力といえるでしょう。
また、2巻の後半部分では、中央店の面々で初詣に行くエピソードが描かれていますが、物語の世界観を深められる内容が目白押しとなっています。社員同士の関係性や、中央店が抱える課題など、新しく描かれる要素によって、さらにストーリーに引き込まれることでしょう。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2015-11-12
そんな2巻最大の見所は、高宮が接客のための笑顔を身に付けるシーンです。とにかく接客に苦手意識があった高宮ですが、平尾に顔の無表情さを「ゾンビ」と指摘され、自分から客に声がけしない姿勢についても叱責されてしまいます。
これまでにない強い叱責にあった高宮は、その悔しさと平尾への怒りから、苦手だった接客に真剣に向き合うようになります。その過程で、女仲間の春日原から接客中の笑顔についてアドバイスを受け、平尾も思わずキュンとしてしまうほどの営業スマイルを身に付けるのです。
平尾への怒りを原動力にしてではありますが、高宮の根性のある一面が描かれており、高宮というキャラクターの魅力がますます伝わってくるエピソードです。平尾が高宮に期待していることも分かり、2人の関係に初めて大きな進展が起こったシーンともいえるでしょう。
コメディー展開が多かったこれまでと変わり、シリアスなエピソードがメインの3巻です。高宮と同じアルバイトである柳川が就職活動を始めたことにより、中央店の人材不足に焦点があたることとなります。
ただでさえハードな通常業務に加えて、人材不足という新たな問題に直面し、中央店はとても苦しい状況です。しかし、中央店には新入社員が配属されず、問題を抱えた3年目社員が一人だけ加わります。
不穏な状況が続く中、平尾は焦りもあって高宮に更なる負担を強いてしまいます。大学のテスト勉強や課題が山積みで手が回り切っていない高宮でしたが、無理をしてでも頑張ってしまう性格もあって、平尾から出された宿題を思わず受け取ってしまうのです。しまいには、無理を重ねた高宮はが業務中に倒れてしまうという一大事に発展してしまうのでした。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2016-04-12
そんな3巻の見所ですが、平尾によるスパルタ教育によって倒れる高宮について描かれたシーンです。平尾としては、いつもの調子で高宮の成長のために宿題を与えていたつもりでしたが、平尾自身にも焦りがあったため、多少強引なプレッシャーをかけてしまいました。
加えて、高宮は人員不足に悩む中央店の事情も頭をよぎり、テスト期間中であることを平尾に告げることが出来ませんでした。両者の想いが行き違った結果、一大事となってしまったのです。
しかし、この件をきっかけに2人はお互いの心中を正直に打ち明けられるようになり、一気に距離を縮めることとなります。これまでかすかにしか感じられなかった恋愛ムードが加速する巻でもあり、恋愛要素が大好きな読者の方は必読といえるでしょう。
前巻に引き続き、恋愛要素がどんどん加速していく4巻です。4巻では、3巻の高宮が倒れてしまった一幕をきっかけに、平尾が高宮を異性として強く意識し始めます。
これまでのようにスパルタ教育を続けられず、自分自身の気持ちに整理がつかずに戸惑う平尾。そんな平尾に対し、倒れた一件から精神的な隔たりがなくなったのか、積極的に付きまとうようになった高宮。2人の対極的な言動に笑ってしまう場面が描かれます。
そして、平尾の入社当時のエピソードも描かれており、現在の彼がどのように形成されたのかが垣間見えるのです。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2016-07-12
そんな中、過去に高宮がうまく接客できた客が、高宮に対して個人的なデートのお誘いをしてきます。予想もしていなかった展開に、高宮と平尾が明らかに狼狽する様子がまた一興。
そして巻末では新たに中央店に派遣されることとなった3年目社員の薬院(やくいん)が少しだけ登場します。
そんな4巻最大の見所は、客の誘いを断った高宮が、平尾とラーメン屋へと食事に行く一幕です。このシーンでは、デートを誘ってきたお客様に、2人が歩いているところを偶然にも目撃されてしまいます。酔っぱらっていた高宮を支えていた平尾は思わず手を放してしまいますが、あらためて高宮を異性として認識し、決心して手を繋ぎなおすのです。
2人の異性としての距離感がぐんぐん縮まり、恋愛好きにはたまらないエピソードが満載の巻となっています。それを見た高宮に好意を寄せるお客様との展開をご覧ください。
中央店に新たなメンバーが加入する、5巻。4巻の巻末で登場した3年目社員の薬院が中央店に配属されてくるのですが、彼は過去にトラウマを抱えており、周囲との連携がまったく取れない状態が続いてしまいます。
薬院の自信の無さもあいまって、他の中央店メンバーもやきもきしてしまう日々。そんなとき、平尾と大橋が不在となった中央店で、彼の配置ミスにより、高宮が未経験のスーツの裾上げをしようとしてしまいます。
習っていない接客は御法度でしたが、流されるままに裾を測ろうとしてしまった高宮は店長の徳益から叱責され、薬院も同様に叱責を受けることになります。
そんな調子で問題続きではありましたが、結果として平尾たちが不在でもうまく店舗を回せるようになり、薬院もようやく一人のメンバーとして中央店に馴染めるようになったのでした。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2016-11-11
また、恋愛要素もどんどん加速していきます。高宮と平尾の関係が進展するのはもちろん、朝倉、春日原、徳益についてもエピソードが展開されます。
そんな5巻最大の見所は、なんといっても薬院が中央店に馴染むことが出来た一幕でしょう。失敗続きだった薬院ですが、朝倉に胸の内を吐き出したことで、冷静に周囲を見渡せるようになりました。これにより、平尾、大橋がいない状態でも結果を残すことが出来たのでした。
平尾が薬院のことを認めるシーンは、なんとも感慨深いものがあります。
前巻から波乱が続く6巻です。薬院が中央店のメンバーになって日数も経ち、ようやく安定してきた中央店。しかし、その裏ではまったく平穏とはいえない恋愛事情があったのでした。
社員旅行で海へ行くシーンでは、おのおのの恋愛もいよいよヒートアップし、予断を許さない展開が待っています。特に、春日原に淡い恋心を抱いていた柳川のエピソードは波乱万丈な展開で、読者も衝撃を受けること間違いなしです。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2017-04-12
そんな中、高宮と平尾は順調に関係を進展させ、お互いのことを異性としてはっきり認識するようになっていきます。しかしその反面、高宮が仕事に集中できなくなっていくという、少し可愛らしくも困った問題が起き始めます。
そんな6巻の見所は、高宮が初めてのスーツデビューを果たすシーンでしょう。過去にはスーツの裾上げで失敗してしまった高宮でしたが、正式に教育を受けて、いよいよ初めての裾上げに挑戦します。手つきがおぼつかないながらも、高宮はこれまでの経験を駆使して無事に裾上げを成功させます。
そんな高宮に対し、平尾はドイツ製のメジャーを投げ渡して成果を祝福。高宮の成長が喜ばしく感じられる一幕といえるでしょう。
高宮にとって多くの課題が生まれる7巻です。裾上げ業務を許可された彼女の前に、ある日、女性スタッフをターゲットにした悪質なクレーマーが現れます。
薬院の活躍によって事なきを得ましたが、「テーラー森」全店で接客の質低下を防止するため、スタッフに対応させるサービスの限定化が求められるようになりました。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2017-08-10
そんな中、高宮はいよいよ就職活動に本腰を入れねばならず、平尾も店長になるための試験を受けなくてはならないなど、事態は大きく変わっていきます。高宮はテーラー森で働きたいという思いもあり、勉強のために「テーラー森」西店で数日働くことを決めますが、平尾は高宮が引き抜きにあわないかと気が気でなりません。
しかしそんな平尾の焦りが、2人の恋愛事情をさらに進展させることに繋がります。
そんな7巻の見所は、平尾が高宮の引き抜きを恐れて、焦りから走り出す巻末のシーンでしょう。高宮にはそんなつもりはありませんでしたが、平尾は思わず「行かないでくれ」とつい本音がこぼれてしまいます。平尾ファンにはたまらない胸キュンもののシーンではないでしょうか。
高宮と平尾の関係の進展もいよいよ山場か、という8巻です。しかし、8巻で描かれるのは甘い恋愛だけではなく、朝倉のちょっと切ないエピソードからスタートします。
朝倉は最初から彼女がいることが明らかになっていた人物(不真面目な大橋は除いて)ですが、その関係に陰りが生じてしまうのでした。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2017-12-12
そんなちょっと暗めなエピソードから始まる8巻ですが、後半部分に進むにつれて高宮と平尾の関係が加速していき、2人がドライブデートに行くことになるという、ハッピーな雰囲気に変化していきます。デート当日まで焦りが止まらない高宮が可愛くて仕方ありません。
そしてそのデートをきっかけに、ついに2人はほぼ正式に恋人同士となります!
そんな8巻の見所は、やはりドライブデート当日の様子です。高宮と平尾の様子がとにかく初々しくて仕方なく、読んでいるとこちらまで顔が赤くなってしまいそうなほどです。しかし、素直に応援したくなる2人の関係性が見ていて心地よい展開だといえるでしょう。
順調だった恋愛模様に、ちょっとだけ変化が訪れる9巻です。このままゴールインかと思われるほど好調だった高宮と平尾の関係。しかし、高宮の就職について話したことがきっかけで、少しだけ関係に溝ができてしまいます。
高宮は「テーラー森」で働くことを志望していましたが、業界の過酷さを身にしみて知っていた平尾は、考え直すよう高宮を諭してしまいます。平尾にとっては高宮を気遣っての振る舞いだでしたが、応援してくれると思っていた高宮は悲しくなってしまい、少しだけぎこちない時間が続くのでした。
- 著者
- iko
- 出版日
- 2018-05-11
そんな中、明らかに挙動不審な客が中央店に来店し、万引き犯ではないかとスタッフたちは警戒します。平尾は自分が担当しようと、率先して対応しますが、なんとその人物は高宮の父親だったのでした。彼は高宮が就職するつもりの「テーラー森」がどんな場所なのかを確かめるために来店したのです。
前巻までと変わって、少しだけ恋愛模様が落ち着く8巻ですが、コメディー展開の面白さが減速することはなく、読んでいると思わず笑ってしまう内容となっています。
そんな9巻の見所は、やはり高宮の父親来店のシーンです。コメディー展開が際立っており、それまでの恋愛展開で苦しかった胸が少し和らぐ内容となっています。安心して気軽に読める内容となっており、とてもおすすめです。
高宮の地方新店舗への異動が決まったという衝撃の展開からスタートした10巻。もちろんそれを伝えられた面々。ようやく中央店が整ってきた状況での決断であり、さらにはすでに平尾が着任しており、もう出勤がないということもあって、急な知らせだと口を揃えて抗議します。
しかしそのなかで平尾だけが、このままでも大丈夫だ、と皆の背中を押すのです。後ろめたい理由でここを離れる訳がない、しかも高宮のいない今日だって売り上げ達成できているではないか、と。
「副店長は、中央店は大丈夫だと思ってくれてるので!」
(『テラモリ』10巻)
- 著者
- iko
- 出版日
- 2018-08-09
高宮の言葉が空気を変え、皆もこのメンバーで頑張ろうと再び決意。ついに11月の売り上げを決める最終日がやってきました。ライバルの南店の売り上げを追い越そうとそれぞれが頑張ります。そして何と高宮には初めての接客のお客様がやってくるのです!
ここからの最終日の様子、平尾の登場は胸アツ&胸キュンで、心臓がもたない展開です。高宮の成長と平尾の王子様っぷり、最終巻ということで、ファンとしては感慨が感じられます。
そして最終回は、お正月。クリスマスは商戦だったので、2人は前週に会いましたが、何もなく……。
そしてお正月は高宮の両親に配慮した平尾の大人の対応で、高宮は実家へ。平尾はまさかのぼっち年越しで、寂しそうにしています。そんな時に、高宮から家に行っていいかという連絡が来るのです!初めてのお泊まりです!
これは期待の持てる展開ですよね。高宮自ら今日は紐パンだと平尾に宣言しており、これは確定でしょうか?(フラグでしょうか?)
2人のドキドキな結末は、ぜひ作品で。
『テラモリ』については<6巻発売!人気ラブコメ『テラモリ』の高宮と平尾に胸キュン!ネタバレ注意>でも紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。