うろこに覆われた皮膚や、背中の突起、鋭い爪などが小さな恐竜を思わせるイグアナ。ペットとしても人気がありますが、飼育する前にその生態を知っておくことは必須です。この記事では生態や種類、性格、飼育に必要な知識や環境をわかりやすく解説し、あわせておすすめの関連本もご紹介していきます。ぜひチェックしてみてください。
南米や中米、一部はフィジーやガラパゴス諸島に生息し、昼行性で主に水辺の樹上で生活している生物です。
皮膚は灰緑色で、特徴は全身が細かい鱗で覆われており、背中に刃状の鱗が1列に並んでいること。幼体の体色はきれいな緑で、成体になるにつれて灰色がかり、背中の鱗とあごの下にある喉袋も大きく発達していきます。
丈夫で太い四肢をしており、指は長く、鍵型の爪をもち、走ったり泳いだりすることも得意です。眼は大きな瞼があって視力がよく、色を見分けることも可能です。
体長は頭から尾まで約150~180cmで、平均体重は約5kg、種類によっては20cmほどの小型のものもいます。平均寿命は野生では約20年、飼育下では約10年です。
イグアナ科には約650もの種類がいます。ペットとして人気のある種類や、テレビでもよく見かける有名な種類をいくつかご紹介します。
・グリーンイグアナ
身体は鮮やかな緑色をしており、体長はイグアナのなかでも大型で約150~180cmあります。頭のてっぺんから一列に並ぶとげ状の鱗が特徴です。完全草食で野菜や野草を食べます。
・グリーンバシリスク
身体は明るい青緑色をしており、体長は約60~75cmです。頭部と背中、そして尾の3ヶ所にあるたてがみが特徴ですが、メスは頭部のたてがみがありません。大変臆病な性格なので、静かな環境を好みます。昆虫中心の雑食性です。
・ツナギトゲオイグアナ
幼体はきれいな緑色をしており、成体になると灰色に変わります。体長は約70~100cmで、背中から尾まで途切れることなくつながっているとげ上の鱗が特徴です。葉や果実、昆虫など何でも食べます。
・ウミイグアナ
身体は灰褐色をしており、体長は120~150cmほど。ガラパゴス諸島に生息し、テレビなどでよく見かける種類です。
海に10分ほど潜り続けることができ、海藻を食べる生態が特徴。大きな個体は1時間近く潜ることもできるそうです。食べる海藻によって体の色が黒や赤など異なります。現在は絶滅危惧種として認定されているため、ペットとして飼育することはできません。
見た目のイメージから「怖い」「感情がわからない」など思う方が多いかもしれませんが、実はとてもおとなしくて、飼い主の呼びかけに反応するなどコミュニケーションをとることもできる知能も持っています。
性格は幼体期の育て方によって決まるので、愛情をかけて正しい飼育方法をおこなうことが大切です。
種類によっては、警戒心が強く驚きやすいものもいます。このようなタイプのイグアナは驚いて怪我をしてしまうこともあるので、それぞれに合った環境を整えてあげましょう。
ワイルドな容姿と可愛らしい性格から、ペットとして人気があるイグアナ。
しかし日本のペットショップでは幼体で売られていることが多く、飼育の知識を持たないまま購入して、成体にならないうちに死亡させてしまうことが多いのが実情です。
また、はじめは小さかったイグアナがあっという間に大きくなり、その結果手に負えなくなって飼育を放棄する人が多いのも問題になっています。
こういったことを防ぐために、飼いはじめる前に「大きく成長しても育てることができる環境」「飼育費用の確保」「病気になったときに診てくれる病院」の3点を十分に確認しましょう。また旅行や入院などで自分が家を離れるときに、代わりに世話をしてくれる人がいるかどうかも重要です。
具体的な飼育方法をご紹介します。
大型の爬虫類用の水槽または植物用の温室を用意し、保温するヒーターをサーモスタットに接続したものが必要です。ケージ内の全体を照らすライトと、日光浴の代わりになるスポットライト(バスキングライト)を取り付けましょう。
木登りができるように止まり木を設置して、体が入るくらいの容器に水を入れておくことで、飲み水にしたり水浴びをしたりするようになります。エサ入れはひっくり返らないような安定感のあるものにしましょう。
エサは野菜や野草を主食としてバランスよく与え、栄養を補うために人口飼料やサプリなども利用してください。与えてはいけない野菜や野草の種類を十分に確認することが大切です。
幼体から愛情をかけて育てることで、なついてくれるようになります。嫌がっているのに無理に触ったり、急に上から掴んだりするなどのストレスがかかると攻撃的な性格になってしまうので、ゆっくりイグアナのペースに合わせて正しいコミュニケーション方法をとりましょう。そうすれば安心して心を開いてくれるはずです。
また高い知能をもっているため、ペットシートを用意して排泄物を置いてあげると、トイレの場所を覚えることができます。エサを与える際に顔を見て話しかければ、飼い主の顔を見分けることもでき、呼びかけにも反応してくれるようにもなります。愛情をかければかけるほど、イグアナも応えてくれるのです。
- 著者
- 佐藤 多佳子
- 出版日
- 2007-11-01
主人公の少女は、誕生日をきっかけに、犬でも猫でもなく「生きている恐竜」イグアナを育てることになりました。飼育に奮闘しながら少女は成長し、家族にも変化が表れます。
フィクションのなかにもリアリティがあり、読者も子どもの頃に戻ったような感覚にさせてくれる内容です。イグアナが好きな人も、爬虫類が苦手な人も、夢中になって読むことができるでしょう。
飼育に関する情報も得ることができますので、これからイグアナを飼おうと考えている方にもおすすめです。
- 著者
- 細川 貂々
- 出版日
作者は、『ツレがウツになりまして。』がベストセラーになった細川貂々。彼女が飼っているイグアナの記録を、イラストとエッセイで描いています。
ただ可愛いだけではなく、飼育するうえで大変な部分も多く紹介されており、やさしいイラストに癒されながらも「生き物を飼う覚悟」を問われる一冊です。
特に爬虫類が好きな方や実際に飼育をしている方は、共感する部分が多いのではないでしょうか。日々悪戦苦闘しながらも、イグアナのことがより愛おしくなる作品です。
今回は知る人ぞ知るイグアナの生態をご紹介しました。恐竜のような厳つい見た目とは裏腹に、しっかりとコミュニケーションを取ればちゃんとなついていくれるという可愛らしい一面を持っています。何かペットを飼おうと考えている方は、ぜひ検討してみてください。