漫画『北斗の拳』に関する12の事実!ケンシロウの好物、ヒットの理由、名言

更新:2018.6.22

『北斗の拳』と言えば、ハードボイルドバイオレンスアクションの決定版です。今回は誰もが知るこの名作にまつわる、知られざる意外な事実をご紹介したいと思います。ちなみにこの名作、何とスマホアプリで無料で読むこともできます!

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

ケンシロウはブルース・リー?『AKIRA』から影響された擬音とは?

 

『北斗の拳』は原作が武論尊、作画は原哲夫というコンビによって作られた80年代を代表する漫画作品です。

一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」伝承者ケンシロウが、文明が滅びて不毛の大地と化した世界で、愛する人を取り戻すため数々の死闘をくり広げるハードボイルドアクション。アニメ化もされた本作は大ヒットし、主人公ケンシロウの決め台詞「お前はもう死んでいる」は流行語にもなりました。

そんな『北斗の拳』ですが、作風にはいくつも影響を受けている作品があります。まず終末的な世界観は映画『マッドマックス』や『ブレードランナー』が由来。ケンシロウの服装も『マッドマックス』からですね。

ケンシロウの特徴的な掛け声と北斗神拳は、俳優ブルース・リーと彼が創始したジークンドーから来ています。また彼の性格は日本人俳優、松田優作をイメージしたものだとか。

原哲夫の劇画チックな画風とは少しイメージが異なりますが、作中初期には奇才大友克洋の『AKIRA』に倣って、試行錯誤して擬音や表現の手法を取り込んだそうです。

そんな様々な名作からインスパイアされた本作ですが、スマホアプリで無料で読むこともできますので、そちらからもどうぞ。

 

著者
["原 哲夫", "武論尊"]
出版日
マンガほっとで無料で読んでみる

ケンシロウが着ているのは革ジャン!

主人公ケンシロウは劇中で何度か衣装チェンジしているのですが、素肌にジャケットと長ズボンにブーツというのが多くの人に共通する服装でしょう。

最も広く知られているアニメ版の影響なのですが、ケンシロウの服装のカラーは青ないし紺色というイメージがあります。そのため人によっては、ケンシロウはデニムの上下、いわゆるジージャンとジーパンを着ている、と思われている方も少なくないでしょう。しかし、それは大きな間違いです。

作画の原哲夫曰く、ケンシロウの服装は革ジャンと革パン。上下ともデニムではなく革製品なのです。原作漫画では服装の質感にもこだわりが見られて、注意すればちゃんと革であることがわかります。

ケンシロウの好きな食べ物はビーフカレー?綿菓子?リンゴ?

著者
["原 哲夫", "武論尊"]
出版日

 

連載当時はケンシロウの好物は設定されていませんでした。

皆さんよくご存知の通り『北斗の拳』の舞台は核戦争後、文明が滅んで不毛の大地と化した近未来の地球の話です。世界は暴力によって支配され、強い者は好き放題、弱い者は虐げられてその日暮らし。ただでさえ痩せて枯れた土地は、そのような悪循環の中で作物を実らせることもままなりません。

そんな事情ですから、好き嫌いを言っている余裕もないわけです。

しかし後年、とある番組の調査で「世紀末でなかったら」という前提で、ケンシロウの好物の質問がなされました。すると武論尊は綿菓子、原哲夫はリンゴと答えたのです。作者コンビの意見がまさかの対立。

議論が交わされた末に、ケンシロウの好物はビーフカレー、という答えに行き着きました。いずれにせよ、あの厳めしいケンシロウの好きな食べ物が、実に子供っぽいというのはギャップがあって面白いですね。

 

マンガほっとで無料で読んでみる

ケンシロウは26~30歳?

著者
["原 哲夫", "武論尊"]
出版日
2013-10-19

 

『北斗の拳』の顔たる主人公のケンシロウですが、意外にも実年齢について詳しい描写をされたことがありません。

「連載開始時の年齢は18歳」と、2009年にある番組によって放送されたことがあります。ですが公式にそのような情報はなく、これは眉唾の情報です。おそらく当時インターネット上に流布されていた怪しい情報を、真偽を確かめることなく載せたものと思われます。

1986年に発行された少年ジャンプ公式ブック「北斗の拳SPECIAL」によると、劇中におけるケンシロウの年齢はおよそ26~30歳として描かれているそうです。

同書籍では劇中の年代が西暦2005年ぐらいと言われており、逆算するとケンシロウが生まれたのは1970年代であることがわかります。

 

マンガほっとで無料で読んでみる

出来映えに驚愕!?実写化された『北斗の拳』がすごい

世界的に有名な漫画、アニメ作品として知られる『北斗の拳』。近年、そういった漫画やアニメのビッグタイトルが、相次いで実写化されるという流れがあります。『るろうに剣心』、『デスノート』、『銀魂』、『BLEACH』などがそうです。

ですが、こういった潮流が生まれる遥か以前に、『北斗の拳」の実写化がされていたのをご存知ですか?それも1作ではなく3作もあるのです。

まず台湾版。ストーリーは、はちゃめちゃのオリジナル展開で、不毛の荒野とケンシロウにしか『北斗の拳』要素はありません。光線を放つシン(?)がいたかと思えば、謎のテコンドー集団に、バイク軍団の代わりの低予算スクーター軍団、果てはなぜか自由の女神まで出てきて滅茶苦茶です。

お次は韓国版。原作準拠と言うにはお粗末で、ギャグパロディと言うには真面目過ぎるという中途半端な内容です。そこかしこに見られる低予算の影響が、逆にシュールな笑いとなって楽しめるかも知れません。

何を隠そうこの2作は、無許諾で作られた海賊版なので酷い出来映えなのもうなずけますが……。

最後は本命、アクション映画の本場ハリウッドで作られたハリウッド版『北斗の拳』です。時はまさに世紀末な1995年に製作されたハリウッド版は、CGが使われていないなど派手さにはかけますが、配役とアクションには結構気を遣われていて悪くない出来です。衣装の点は完璧と言ってよいでしょう。

ただし肝心の北斗神拳等の魅力的な技が微妙な仕上がりで、そこは残念。現代のCG技術なら克服出来る問題なので、ハリウッド版のリメイクが作られることを期待しましょう。

前半の2作品は海賊版なので大手を振っておすすめはできませんが、気になった方は実写化作品もご覧になってみては?

原稿用紙を削るほどの、原哲夫の思いが乗った作品!?

著者
["原 哲夫", "武論尊"]
出版日
2013-10-19

 

作画の原哲夫は1982年に『スーパーチャレンジャー』でジャンプ月例賞を受賞し、同年『鉄のドンキホーテ』で本誌デビューを果たした漫画家です。

原は漫画『タイガーマスク』の影響を受け、高校のころから漫画家を目指し始めました。高校卒業後は、漫画家の高橋留美子、ゲームデザイナーの堀井雄二やさくまあきらといった、多数の名クリエイターを輩出した小池一夫の劇画村塾に通って技術を磨いたそうです。

そうして念願叶ったデビュー作『鉄のドンキホーテ』なのですが、人気は伸びず10週で打ち切りとなってしまいました。連載漫画の厳しさを知った原は、次作にして最大のヒット作となる『北斗の拳』に執念を燃やして必死に打ち込んだと言います。

劇画村塾出身というだけあって、原の作風は劇画に通じる荒々しい筆致が魅力です。ページから熱が伝わるほど力強い情熱が込められているのですが、それはひとえに原稿用紙を削るように描いているがゆえのこと。これは比喩でもなんでもなく、原稿に使うケント紙をペン入れで本当に穴が開くほどの力で描いていたそうです。

プロ根性と言ってしまうのは簡単です。しかし、過酷な仕事を長年続けた結果、円錐角膜を煩って片目の視力を悪くしてもなお、もう片方の目だけで漫画に打ち込み続ける原哲夫の怨念じみた姿勢が傑作『北斗の拳』を生み出したと言えるのではないでしょうか。

 

あべし!ひでぶ!独特の擬音は原哲夫のリアリティの追求にあった!

著者
["原 哲夫", "武論尊"]
出版日
2013-11-20

 

『北斗の拳』を特徴付ける要素に、「あべし!」や「ひでぶ!」などの断末魔があります。この断末魔は作品全体に流れるハードボイルドな雰囲気に反して、ともすればコミカルに思えます。しかし、そこにこそ原哲夫こだわりのリアリティがあったのです。

『北斗の拳』は武論尊と原哲夫の二人三脚で作られた作品。表現に直結する擬音などは原哲夫のアイデア。原は以前から、悲鳴や断末魔の台詞に違和感があったそうです。怪我をすれば「痛い」、熱を感じれば「熱い」というのは創作でよくあるリアクションですが、現実にそんな目に遭えば咄嗟の反応でそんな言葉が出ない、というのが原の持論。

それに加えて、北斗神拳は一撃必殺の技です。痛みのリアクションが終わりきる前に絶命してしまって、悲鳴が途中で中断される……。その結果、意味不明の断末魔として編み出されたのが「あべし!」であり「ひでぶ!」なのです。

 

マンガほっとで無料で読んでみる

「お前はもう死んでいる」は読み切りから登場していた!?

著者
原 哲夫
出版日

主人公ケンシロウ、引いては『北斗の拳』の代名詞とも言えるのが「お前はもう死んでいる」という台詞です。言葉のインパクトの強さから一世を風靡し、流行語ともなりました。

アニメ版では決め台詞として多様されていたこの台詞ですが、実は原作では7巻で拳王親衛隊のカシムに言い放ったシーンで1度だけしか使われていません。二人称や語尾が異なるなど、バリエーションまで含めれば全部で5回あるのですが、「お前はもう死んでいる」という言い方はここだけなのです。かなり意外な事実ですよね。

そんな決め台詞ですが、同様の言い回しは本編の前にジャンプへ掲載された読み切り版(『鉄のドンキホーテ』に収録)でも登場しました。しかもそれは原作の武論尊ではなく、作画の原哲夫のアドリブによって生み出されたそうです。読み切りの時点ですでに、後の人気作となるエッセンスは揃っていたんですね。

現代劇から近未来世紀末への変換点は、カンボジアにあり…

著者
["原 哲夫", "武論尊"]
出版日

 

先述したように、『北斗の拳』は読み切り版でほぼ全ての原形が出来上がっていました。本編との違いはケンシロウが若いことと、最大の相違点は現代劇か近未来かという点です。

原作の武論尊は現代劇だとありきたりであると考え、当時上映されていた『マッドマックス』のイメージから舞台を近未来にすることを思い付きました。崩壊した世界ならば、武力に頼る拳法家の活躍が描きやすいと考えたためです。

そしてもう1つ、この崩壊した近未来像を後押しする出来事として、武論尊がカンボジアへ旅行した時の体験がありました。『ドーベルマン刑事』以来ヒットのなかった武論尊は、内戦終結間もないカンボジアで、リアルな終末の世界を垣間見たのです。荒れ果てた土地には無数の骸骨が転がり、危険な地雷がそこかしこにあったと言います。

この時の印象が、『北斗の拳』本編の荒廃した世界に強い影響を与えたのです。

 

ヒットの理由は、アクションと悲しさ?

著者
["原 哲夫", "武論尊"]
出版日

 

『北斗の拳』は超絶技巧を尽くしたアクションが魅力的です。神秘の秘拳、北斗神拳が炸裂すれば、屈強な男が一突きで倒れる。しかしそれだけに終始せず、より強い相手とは骨身を削った一進一退の攻防が描かれます。

そんな魅力的なアクションが単調にならにように、逆により一層輝かせるのが、悲哀の混じったストーリーです。原作の武論尊は激しい流血アクションが売りの残酷な漫画にすることを良しとしませんでした。

決戦のアクションに至る動機として、キャラクターの背景、悲しみや愛、浪花節の物語を描いたのです。

そしてそれがどちらもかっちりとうまくはまり、原哲夫の強烈なアクション描写と、武論尊の浪花節が読者の心を捉えて放さなくなったのです。『北斗の拳』が普遍的に人気の作品であり続けるのは、ここに理由があります。

 

「ラオウの死」以降は作者としても気持ちが動かなかった!?

著者
["原哲夫", "武論尊"]
出版日

先述したように、『北斗の拳』の真骨頂は激闘アクションと悲劇的なストーリーにあります。その精髄というか、最たるものがケンシロウとラオウの決着でした。

ケンシロウとラオウの対決は、北斗4兄弟の宿命であり、同じ人を愛した因縁でもあります。物語を背負う主人公ケンシロウと、最大のライバルとも言えるラオウのバトルは、『北斗の拳』の幕引きにも相応しい熾烈な戦いでした。それは読者だけに限ったことではなく、原作者武論尊にとってもそうだったのです。

武論尊は当時、あまりにもケンシロウとラオウに入れ込んで取り組んでいたため、ある種の燃え尽き症候群にも似た状態となって、その後のストーリーについてはほとんど覚えていないとインタビューで語っています。

ケンシロウとラオウの決着、そしてラオウの死が『北斗の拳』作者にとっても1つのピークになってしまったわけです。

北斗の拳名言ランキングベスト5!

著者
["原哲夫", "武論尊"]
出版日
2014-07-19

 

『北斗の拳』は強烈なキャラクター性が魅力です。苛烈に生き抜いたキャラには後々まで残る名言が数多くありますが、選りすぐりの名言ベスト5をご紹介して終わりに替えたいと思います。なお、巻数はいずれもジャンプコミックス版です。

第5位:

「暖かいでしょう。これが命よ!!
あなたも私もこうやって生まれてきたの……」
(『北斗の拳』15巻より引用)

幼いユリアが、鬼のフドウを心優しい山のフドウへと変えた印象的なシーン。何かと血生臭い描写が多い『北斗の拳』ですが、命の尊さを説く話もあるのです。

第4位:

「こんなに苦しいのなら……こんなに悲しいのなら……
愛などいらぬ!!」
(『北斗の拳』11巻より引用)

最愛の師オウガイを自ら手にかけてしまったサウザーの慟哭です。このエピソードがサウザーの印象をがらりと変えました。

第3位:

「てめえらの血はなに色だ――っ!!」
(『北斗の拳』8巻より引用)

非人道的な行いへの糾弾。クールなレイが激情に駆られる名場面です。

第2位:

「お前はもう死んでいる」
(『北斗の拳』7巻より引用)

主人公ケンシロウを代表する名言です。派生は数回あるのですが、この発言自体は原作では1度しかありません。

第1位:

「わが生涯に一片の悔いなし」
(『北斗の拳』16巻より引用)

これが拳王ラオウ生涯最後の言葉でした。敵ながら全身全霊を尽くした果ての名言として知られています。

 

マンガほっとで無料で読んでみる

いかがでしたか? 今回の記事を踏まえて、あらためて『北斗の拳』を読み返せば、新たな視点で物語を楽しむことが出来るのはないでしょうか。