ディズニーの長編アニメ「ライオンキング」に登場するティモンのモデルとなったミーアキャット。2本の後ろ足でピンと立ちあがり、キョロキョロと周囲を見わたしている姿も可愛らしいです。この記事では、彼らの生態、性格、飼育法、そして立つ理由について解説していきます。あわせて最高に可愛い写真集も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
アンゴラ、ナミビア、南アフリカなど、アフリカ大陸南部のサバンナ地帯に生息しています。
体長が25~31cmほどなのに対し、17~25cmほどの長い尾をもっているのが特徴です。体重は約1kg。昼行性で、地中に巣穴を掘り、基本的には群れを形成して生活しています。
群れを構成する数は、最小で2匹のペアのみのこともあれば、いくつかの家族が合体して数十匹になることもあるそうです。
シロアリなどの昆虫のほか、クモやサソリ、爬虫類、鳥類、小型の哺乳類、植物の茎・根・芽・果実などを食べます。寿命は10~15年ほどで、だいたい犬や猫と同じくらいです。
「ミーアキャット」という名前の由来には諸説ありますが、アフリカーンス語で「Mier Kat」が「シロアリのマングース」という意味なので、蟻塚の上で直立することや、シロアリを食べることからきていると考えられています。
2本の後ろ足で立ち上がる姿が印象的ですが、この行動をとる理由は2つあります。
ひとつは、巣穴の周囲を警戒するためです。
彼らは食物連鎖の下位にいる動物で、タカやフクロウ、大型のトカゲ、ヘビなどに狙われています。サバンナ地帯は砂地で隠れる場所が少ないため、群れの仲間が餌を探す際などは、必ず誰かが見晴らしのよい場所に立って周囲を見張っているのです。もしも危険が迫っていることがわかれば、即座に警告を発して群れを退避させます。
もうひとつの理由は、日光浴です。
サバンナ地帯は夜の冷え込みが厳しく、巣穴で眠っている間に体温が低下してしまいます。そのため彼らは、日の出とともに巣穴から出て、太陽に向かって立ち、お腹を温めるのです。日の光で体温を上げてから、彼らの1日が始まります。
その愛らしい姿から、ペットとしても人気があるミーアキャット。購入価格は1匹あたり20~40万円ほどかかります。
基本的にはケージの中で飼育します。地面に穴を掘る習性があるので、ケージ内にトンネル状のものを置いたり、穴掘りすることができる場所を確保してあげると、ストレスを軽減できるでしょう。
餌は、昆虫だけでは栄養が不足するため、小松菜などの野菜やリンゴ、バナナなども一緒にあげるとよいでしょう。また肉食動物なので、ミルワームや冷凍マウス、鶏肉なども必要です。バランスのとれた食事としてドッグフードも推奨されています。
寒さが苦手なので室温を25度以上に保つこと、窓際などで日光浴をさせてあげることも大切です。ケージから出す場合には、目を離さないようにしてください。隙間が好きなので、ちょっとした場所でも潜りこんでしまう場合があります。
また穴を掘ろうと壁や床を傷つけてしまうこともあるので、大切なものにはカバーをつけるなどの対策も必要です。鋭い歯と爪があるため、噛まれたり、引っ掛かれたりすると怪我に繋がりかねません。彼らは知らない人に触れられることや、突然触れられることを嫌うため、客人や小さなお子さんは特に注意が必要です。
本来の生息地であるサバンナでは常に敵から狙われる存在であるため、基本的にはとても用心深い性格をしています。ペットとして飼育をする場合は、なつくまでに時間がかかると考えておいたほうがよいでしょう。
また可愛らしい見た目の一方で、「砂漠のギャング」と呼ばれるほど獰猛な一面も持ち合わせています。
ただ彼らは群れで役割分担をしながら生活をする社会性ももっているので、1度仲間と認識し心を開いてくれれば、とても仲良くなることができます。
ちなみに1匹で生活をするとストレスが溜まってしまうので、できれば多頭飼育がよいとされています。
- 著者
- ["江口 絵理", "内山 晟"]
- 出版日
表紙からも愛らしさが伝わってくる本作。写真を撮ったのは、1年の大半を取材のため海外で過ごすという動物カメラマン、内山晟です。
家族で群れを形成し生活をしているミーアキャットですが、実は家族内には厳しい「おきて」があるそうです。新たな家族をつくるために群れを抜けるのか、群れを守るために家族をつくることを諦めるのか……。
本書を読んでいると、彼ら動物たちも人間と同じように個々の考えをもって生きているのだと感じられます。
可愛らしい写真とともに、ミーアキャットたちが織りなすドラマチックなストーリーを楽しめる1冊です。
- 著者
- 内山 晟
- 出版日
朝起きて日光浴をし、役割分担をしながら餌をとり、コミュニティのなかで子どもを育てる彼らの1日を追った写真集です。厳しい自然環境下で、協力しながら生きていく姿からは力強さを感じます。
手のひらに収まるサイズなので、持ち運んで疲れた時に癒されるのもよいでしょう。プレゼントにも最適の1冊です。
「砂漠のギャング」と聞くと凶暴で獰猛な姿を想像しますが、群れで生活をしたり、後ろ足で立って日光浴をしているさまは、愛らしいのひと言。このギャップが彼らの魅力なのかもしれません。興味はあるもののペットとして飼育するのが難しい方は、ぜひ紹介した本を手にとってみてください。