5分でわかる土星の特徴!輪、温度、衛星タイタンなどもわかりやすく解説!

更新:2021.11.13

球体のまわりに輪をもつ惑星として有名な「土星」。指にはめるリングになぞらえて、「太陽系の宝石」ともいわれています。この記事では、そんな他の惑星とは異なる存在感を放っている星の魅力について、特徴や衛星「タイタン」などの情報を交えながらお伝えしていきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

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土星の位置と大きさなどの特徴を解説

 

太陽系の第6惑星で、太陽からは14億294km離れた位置を回っています。公転周期はおよそ29.46年。地球の95倍の質量をもち、755倍もの体積があり、木星に次いで太陽系のなかで2番目に大きい惑星です。

規模は地球とまったく異なりますが、実は興味深い共通点をもっています。実は重力が大差ないのです。かなりの大きさがあるので、その分重力も強いと思われがちですが、仮に人間が土星に降り立ってもほとんど違和感なく過ごすことができます。

では、宇宙船が開発されれば、人類の移住も可能なのでしょうか。

夢は広がるものの、そう簡単にはいきません。そもそも土星は「木星型惑星」に分類される、ガスでできた惑星だからです。中心部には個体の核が存在していますが、地面のようなものがあるわけではないので、人間が行ってもガスの中を浮遊するしかありません。

土星に住むのは、現状ではかなり厳しいと考えたほうがよさそうです。

土星の気温、表面温度はどれくらい?

 

太陽からずいぶんと距離が離れているため、熱がなかなか届きません。そのため表面温度は、平均してマイナス130度ほどと、冷たく厳しい環境になっています。

その一方で、ガスなどが渦巻いている大気中の温度はまったく異なります。そこには強い気圧が発生しているからです。温度は圧力に比例するので、雲の下層部などでは50度を超える高温となっています。

遠く離れた地球から観測すると想像できませんが、実は非常に激しい暴風が吹いています。土星探査機「カッシー二」の調査では、この環境によって温度が激しく変化することもわかっており、一概に気温を断定することはできません。

土星の輪の特徴は?

 

1610年にイタリアの天文学者であるガリレオ・ガリレイが土星を観測した際、その特徴である輪は明確に観測することはできませんでした。3つの星が結合したように見えたそうで、「耳がある」というかわいらしい予想をしたほどです。

輪については、1655年にホイヘンスという天文学者が性能のよい望遠鏡で観測するまで、どのようなものなのかわかりませんでした。

そんな土星の輪ですが、成分は氷のかけらのようなものが集まってできています。よく見ると細かい線状になっていることがわかり、8つの層として分類することが可能です。層ごとにかけらの大きさが異なり、氷のほか、岩石なども浮遊しています。

おそらく、土星が誕生する際に衝突した多くの衛星がかけらとなり、低温のため氷になったのではないかと考えられています。

自転軸が傾いているので観測場所や時間によって輪の大きさが変化し、望遠鏡を覗くたびに違う表情を見せてくれるところが、天文ファンからの人気を集めている理由のひとつでしょう。

土星の衛星「タイタン」とは

 

生命が存在するにはかなり過酷な環境ですが、1655年に発見された土星の衛星「タイタン」は、地球外生命体へのロマンと期待を膨らませることになりました。

タイタンには海や山があることがわかっているのです。ただ海の成分は水ではなく、炭化水素が液体化したものであると考えられていますが、これだけ地球に近い条件が整っている「惑星に近い衛星」はなかなかありません。

大気を分析すると、主成分は窒素。さまざまな条件を照らし合わせると、専門家はまるで地球に酸素ができる前の星のようだと分析しています。

2014年には、「シアン化ビニル」という分子が大量に存在することがわかりました。タイタンにあるメタンやエタンが、シアン化ビニルによって生命が存在するのに必須だといわれている水の代用となる可能性があるといわれているのです。

もし細胞を生成する条件が整っているとしたら、生命が存在する可能性も十分にあるといえるでしょう。

SFの世界がリアリティを増してくる一冊

著者
関根 康人
出版日
2013-12-02

 

小型探査機「ホイヘンス」は2005年にタイタンの地表に着陸し、搭載されたカメラの映像を地球に届けました。それを見た研究者たちは驚愕。そこには、海、山、川、湖……まさに地球と瓜二つの光景が広がっていたのです。

地球外生命体の存在を、机上の空論ではなく現実的な研究対象として追求するべきだと思わせるものでした……。

本書は、タイタンをはじめそのほかの惑星、衛星に生命体がいるのかを科学的に分析している一冊です。宇宙の知識がなくても大丈夫。SFの世界があながち作り物ではないかもしれないと感じるでしょう。

地球以外の星に生命が存在できるかどうかを考えるには、命の構造や存在条件を知らなければなりません。遠い宇宙に想いを馳せながらも、自分というもっとも身近な存在の命についても考えられる作品です。

ホーキング博士による、土星など宇宙の世界へ連れていってくれる物語

著者
["スティーヴン ホーキング", "ルーシー ホーキング"]
出版日
2008-02-09

 

2018年3月に亡くなったホーキング博士が子供向けに執筆した一冊。世界中でベストセラーとなっています。

宇宙の誕生はどのようなものだったのか、地球の未来はどうなっていくのか……難しい言葉は使わずに、物語にして素朴な疑問に答えてくれます。

そのはじまりは、タイトルを見なければ宇宙の本だということを忘れてしまうほど日常的なもの。登場人物たちに感情移入しながら、いつのまにか宇宙空間に連れていってもらえる感覚に陥ります。作中に散りばめられている宇宙の情報はさすがの濃厚さですが、勉強のような堅苦しさはありません。

科学と宇宙への興味をそそられる珠玉の一冊です。

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