黒と白の毛のコントラストが印象的なラーテル。特殊な体のつくりには、「最強生物」と呼ばれる理由がありました。この記事では、彼らの生態の特徴、ギネス世界記録にも認定されている性格、コブラ・ライオン・クズリなど敵と戦った際の勝敗などを解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
イタチ科ラーテル属に分類され、サハラ砂漠以南のアフリカ、西アジア、東アジアなどに生息しています。夜行性で群れをつくらず、基本的には単独行動です。
体長は60~77cm、尾は20~30cm、体重は7~13kgほど。野生での寿命は約20年で、飼育下ではそれより少し長い程度です。
体は黒い体毛で覆われていて、目の上から尾までの背面には白い毛が生えているのが特徴。コントラストのはっきりとした体色は周囲の動物に対する警戒色で、無闇に襲ってこないよう警告しています。
また背面の毛が白い部分の皮膚は、厚いゴム状で緩みがあるため、天敵の爪や牙を通さないようになっているのです。さらに四肢を頑丈で、前肢の大きな爪は穴を掘るのに適しているほか、強力な武器にもなります。
好物はハチミツで、和名は「ミツアナグマ」、英名は「Honey badger」と付けられています。
他の肉食動物に比べると小さめの体をしているラーテルですが、なんと「世界一怖い物知らずの動物」としてギネス世界記録に登録されているのです。
攻撃的な性格をしていて、自分よりもはるかに大きいライオンやバッファローなどにもひるまずに威嚇をします。相手が怒らせるような行動をとっていなくても攻撃することがあるため、アフリカでは「もっとも凶悪な動物」といわれることもあるそうです。
たとえ敵に押さえつけられたとしても、丈夫な皮膚と、亀の甲羅も砕ける協力な噛みつきで逃げ出すことができ、肛門腺からは非常に臭い液体を分泌して相手を撃退します。
コブラは、巨体をもつゾウをも死に至らしめるほどの強力な毒があることで有名です。噛まれると体が麻痺し、その後昏睡状態にさせる「神経毒」をもっています。
ラーテルの背中の皮膚にはコブラの牙も刺さりませんが、顔などを噛まれた場合は体が麻痺してしまいます。しかし彼らは神経毒に対する自然免疫をもっていて、なんと5時間ほどで回復することができるのです。
ヘビやサソリ、ミツバチなどの少量の毒液を定期的に摂取しているため、免疫がついたと考えられています。反対にコブラを捕食することもあるので、仮に両者が戦った場合はラーテルが勝つでしょう。
ただし同じ毒ヘビでも、「出血毒」という血が止まらなくなる毒をもっているものに噛まれると、さすがのラーテルも死んでしまいます。
ラーテルの背中の皮膚は、百獣の王と呼ばれるライオンの牙も刺さりません。押さえつけられたとしても、足などに噛みつき、さらに肛門からは臭い液を出して相手の戦意を喪失させます。
しかし彼らの鉄壁の守りにも、弱点があります。それは「顔」と「お腹」です。この部分は皮膚が薄いため、ひっくり返されて攻撃をされるとどうすることもできません。
こうした状況はほとんどありませんが、コブラの毒などで体が麻痺しているところを、ライオンに襲われるケースがあるようです。
一方のクズリは、ラーテルと同じイタチ科の動物。ユーラシアや北アメリカなどに生息しています。非常に獰猛で、トナカイなど自分よりも体の大きい動物を襲い、頑丈な小臼歯と大きな顎で骨まで噛み砕きます。
しかし小型の哺乳類と戦う場合はえり首に噛みついて仕留めるので、腹面を噛まれない限りは、防御力の高さからラーテルが勝つでしょう。
また戦うことはほとんどありませんが、仮にゾウと戦った場合は、踏みつぶされてしまうとひとたまりもありません。天敵をあげるとすれば、ライオンとゾウだといえそうです。
- 著者
- 村田 真哉、隅田 かずあさ
- 出版日
- 2014-09-05
裏社会で日本経済を支配している4つの財閥「石田」「三門」「八菱」「角供」。彼らは権力をめぐり、人の頭脳と獣の牙をもった「獣闘士」を使って代理で戦わせる「牙闘(キリングバイツ)」をおこなっていました。大学生の野本は、ある事件をきっかけにこの事実を知ります。
主人公の宇崎瞳は、「ラーテル」の能力をもった獣闘士。彼女の牙闘を目撃してしまった野本は、3ヶ月後に開かれる「牙闘獣獄刹(キリングバイツデストロイヤル)」に出資者として参加することを命じられてしまうのです……。
本作の特徴は、実際の動物たちの特性を活かしたバトルがくり広げられること。哺乳類のほかにも、爬虫類や昆虫までさまざまな獣闘士が登場します。鉄壁の防御、鋭い爪の攻撃、毒への耐性などラーテルの生態が表れていて楽しめるでしょう。
「怖い物知らず」の名のとおり、かわいい見た目と正反対の凶暴な性格と、エロカワな衣装にも注目してみてください。
- 著者
- 新宅 広二
- 出版日
- 2014-08-12
地球上に存在する100種類以上の危険生物を、危険度や攻撃力などでデータ化し、写真とイラストでわかりやすく解説した作品です。ラーテルの危険度や防御力の高さなどを見てみてると、他の生物と比べていかに強いかがわかるでしょう。
意外な生物が危険な生態をもっていることや、捕獲する際の道具なども知ることができ、大人も十分満足できる内容です。
生息地が違うため「本来戦うことのない動物同士が戦ったらどっちが勝つのだろう」と、シュミレーションを楽しむこともできます。