初めての林真理子!初心者向け小説おすすめランキングトップ5!

更新:2021.12.13

普段目をそらしがちな女性のドロドロとした感情に真っ向から取り組み、それらを題材にカラフルな物語世界を描く、小説家林真理子。ここでは初心者にもおすすめの5作品をランキングでご紹介します。

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女性の心の深層から普遍性あるテーマを描ききる小説家林真理子

小説家林真理子は女性の感情、特に負の感情と呼ばれる嫉妬やそねみなど、普段我々が目を背けたくなるようなドロドロとしたものに焦点をあて、文学としてそれらを昇華させる手法を得意とする小説家です。

しかしそんな負の感情をテーマに描かれたそれらの小説を読んだ読後感はどこか爽やかな読後感があります。数々の困難の中でひたむきにそれらを乗り越えていくという女性が多く描かれます。勇気と自分を信じる心を分けてもらうことが出来る、そんな読者が前向きに生きることができる実用的な知恵も多く散りばめられた作品が多いと言えるでしょう。まさに人間の善なる心、ひたむきさを描いた作品群となっています。

ここでは、そんな林真理子作品を読んだことがないという人向けに入門編として最適な作品をランキング形式でご紹介していきたいと思います。女性の人生というものを多様な切り口で描かれた読み応えのあるものばかりです。それでは初心者にもピッタリのおすすめ5作品を紹介していきます。
 

5位 キャリア女性の感情渦巻く人間ドラマ 『コスメティック』

題名からわかるように、化粧品業界を舞台としてそこに携わる人々のドロドロとした人間ドラマの現実感あふれる作品です。まるでその場にいるかのようなリアルな筆致で描き切った林真理子の代表作の一つです。

 

著者
林 真理子
出版日


これは彼女の得意とする人間の負の感情を描いた、言わば真骨頂と言っていい作品でしょう。働く女性のリアルな困難が数々物語の中で起こります。それら困難にさらされる女性の内面や行動を精密な視点によって描いた、現在の働く女性必携の書であると言えるでしょう。

主人公沙美は激しいPR戦争が繰り広げられる化粧品業界で働くキャリア女性。嫉妬や裏切り、そして不倫など深く暗い人生の渦に巻き込まれ時にめげながら、それでも真っ向から立ち向かう、まっすぐな働く女性像を描いた作品となっています。

彼女の作品の初心者にもその作風が理解しやすい、独自の作風エッセンスが凝縮された一冊と言えます。入門編としては最適です。
 

4位 大好きな本を携えて、波乱の人生を歩む『本を読む女』

この本は、人生の荒波に翻弄されながらも懸命に生きた女性の生涯を描いた大河小説です。

 

著者
林 真理子
出版日
2015-06-25


舞台は大正時代。裕福な菓子商を営む両親のもとで生まれ、学業優秀であった万亀は女学校に進む。やがて学校を卒業し教師として人生を歩んでいく。進学や就職、そして結婚など数々の人生の試練に晒されながらも、彼女は大好きな本を携えて立ち向かっていく…。

大正時代という今よりも女性の自由が制限されていた時代を舞台に、大好きな本の言葉の数々に助けられ勇気と想像力をもって力強く生きた女性の姿を描いた作品。林真理子初心者の皆さんにもおすすめの一冊です。生きていく勇気をもらえる一冊です。
 

3位 後ろ指さされても貫いた本気の恋 『白蓮れんれん』

大正時代に実際に起きた「白蓮事件」を林真理子の優れた想像力によって物語化した一冊。

天皇の従兄弟であり炭鉱王の旦那の家に嫁ぎ、自身は歌人としても有名であった柳原白蓮。これは彼女の命をかけた情熱的な恋の物語です。

 

著者
林 真理子
出版日
2005-09-16


当時の身分の違いが明らかであった社会背景の中で七歳年下の若いジャーナリストとの道ならぬ恋を描いています。華麗な文章と700通に及ぶ二人の恋文から精緻に構成された第八回柴田錬三郎賞受賞の儚くも美しい物語です。

華族と平民の身分の違いや姦通罪のあった時代背景の中で恋に人生をかけた女性の姿を描ききる彼女の渾身の一作。実際にあったことを小説家の想像力によって物語へと昇華された物語は、熱く豊かな世界へと誘ってくれます。

2位 古典的な恋愛絵巻の現在的解釈 『六条御息所 源氏がたり 一、光の章』

日本の最も有名な古典文学『源氏物語』を林真理子の才能で再構築した物語です。彼女の大胆な新解釈によって新しく創り出された現在的『源氏物語』は圧巻の一冊となっています。

 

著者
林 真理子
出版日
2010-04-01


帝の子供として、生まれながらに恵まれた環境に身を置く主人公光。華やかな宮中の女性たちに囲まれ、見目美しく成長していきます。成人すると源氏性を与えられ様々な女性と浮き名を流すようになります。幼き頃に死別した母親の生き写しともいわれる父親の妻であり継母、藤壺とまで関係を持つに至るが…。

壮大な恋愛絵巻である『源氏物語』を現在恋愛小説の手法で描いた全く新しいスタイルの小説です。他の作品とは少し毛色の違う作品と言えます。彼女はこの作品によって文学史的な流れも忠実に踏まえた上で、しかし新たな物語の可能性を追求します。まさに新しい文学の可能性を指し示す新たなスタイルが垣間見えます。これはある種、今後の文学の道しるべと成りうる偉大な作品です。
 

1位 現在社会の闇を浮き彫りにする 『下流の宴』

この本は林真理子が現在の日本における一つの社会問題を真っ向から描いた、一冊です。新聞連載が単行本化されました。


 

著者
林 真理子
出版日
2013-01-04


至って普通の主婦由美子は20歳になる息子の人生に思い悩みます。彼は定職を持たず、学歴も中学卒業まで。一億総中流家庭と言われた時代は今や昔で、ただ一生懸命に生きてきただけなのに…。いつの間にか下流と言われる社会的な地位に置かれた家族の姿から、現在社会の問題の一つである「格差社会」を浮き彫りにしています。

現在に生きる人はみな、この家族のように成りうるという危機感を抱くようなリアルな物語となっています。切実な日本の社会問題という切り口でも林真理子の独自の世界感が広がっています。現実に誰でも陥ってしまう危険性のある問題を描いたこの物語は、彼女の作品の入門編としてぴったりです。
 

ここまでランキング形式で初心者にもおすすめの作品を紹介してきました。林真理子という人は、実に様々な切り口から物語を創りだす、豊かな想像力を持った小説家です。文学者としても多くの賞を受けた実績もあり、文壇、そして読者から名実ともに評価される日本有数の小説家です。

人々が目を背けるまさに『現実的』な問題が、正しく物事を捉える彼女の視点によって分かりやすく切り取られます。我々は多くの自分の囚われた考え方、そして無駄な執着に気付かされることでしょう。そんな作品群は現在人に自由な生き方を取り戻させる強力な創造性と求心力が備わっていると言っていいのではないでしょうか。彼女の作品世界に、これを機会に飛び込んで見てはいかがでしょうか?

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