カラフルな体の色と、人になつく性格から、ペットとして人気の高いヒョウモントカゲモドキ。その生態や、飼育の際の注意点などをご紹介していきます。
ヤモリ科トカゲモドキ亜科に分類される、全長20cm前後の爬虫類です。名前には「トカゲ」と付きますが、生物学上は「ヤモリ」に近い種となります。
トカゲのようにまぶたがあり、手足に爪があるため、こう名付けられました。英名は「レオパードゲッコー」で、愛好家の間では「レオパ」という愛称で親しまれています。
体の表面にヒョウ柄の斑点模様があるのが特徴で、その色や目の形状によって細かく種類が分けられ、総数は100を超えています。生息地は幅広く、北米、ユーラシア、アフリカ大陸をはじめ、インドネシアや日本にも。国内では主に沖縄県や鹿児島県に生息していて、クロイワトカゲモドキなど4種類が確認されています。
体は比較的丈夫で、人に慣れやすいため、ペットにしやすいのも特徴。寿命は平均で10年前後、もっとも長く飼育されたケースでは、30年近く生きた個体もいるようです。
体の模様をもとに、「ノーマル」(野生で確認できる種)と「モルフ」(交配により作り出された改良種)に分類されます。ポピュラーなものは4000~5000円前後で購入できますが、珍しい種だと10万円以上になることも。ここでは、特に人気の高い代表的なモルフを紹介していきます。
・ハイイエロー
1970年代に登場した最初のモルフです。後述するさまざまな種のベースとなったため、「ハイイエロー」のことを「ノーマル」と呼ぶブリーダーもいます。名前のとおり明るい黄色の体色が特徴です。
ペットショップでも入手しやすく、価格も5000円前後と購入しやすくなっています。
・タンジェリン
「ハイイエロー」をベースに、体色をオレンジ色に変化させた種が「タンジェリン」です。「タンジェリン」同士を交配させて黒い斑点を減らし、ほぼオレンジ一色に変化させた「ハイポタンジェリン」という種もいます。
1万円前後で販売され、「ハイイエロー」同様に比較的入手しやすいでしょう。黒い斑点がほとんど無いなど、体色に希少性のある個体ほど高額になる傾向があります。
・マックスノー
黄色の発現をおさえて黒と白のモノトーンを基調とした体色に変化させた品種が「マックスノー」です。幼体ほどコントラストが強く、成長すると徐々に黄色くなっていきます。「マックスノー」同士を交配させた「スーパーマックスノー」は、成体になっても白い色をキープしているのが特徴です。
その珍しい体色ゆえに人気が高く、1万~2万円ほどで販売されています。
元々の生息地がパキスタンやアフガニスタン南東部など、砂漠が大部分を占める乾燥帯なため、寒暖差と乾燥に耐えることができる頑丈な体をもっています。また動きが比較的遅く、ヤモリのように垂直の壁を歩くこともできないため、脱走するリスクも低いです。
さらになんといっても性格が温和で、鋭い歯も持っていないため、初心者でも飼育しやすいペットだといえるでしょう。
ではそんなヒョウモントカゲモドキを飼育するために必要なものを紹介していきます。
・飼育ケース
最低でも40cm程度の大きさのものが必要です。
・床材
爬虫類用の砂や人工芝のほか、新聞紙やキッチンペーパーなどの紙類でも代用できます。
・シェルター
彼らが落ち着ける隠れ家を用意しましょう。
・湿度計
適切な湿度は40~60%です。日本では特に意識しなくてもこれくらいの湿度になることが多いですが、乾燥しやすい冬場は注意しましょう。
・水入れ
水分補給のほか、保湿にも役立ちます。2~3日に1度は水を交換してください。倒されないよう底が浅いものが好ましいです。冬場で乾燥している時のために、霧吹きも用意しておくとよいでしょう。
・エサ
主なエサはコオロギやミルワームなど。生きている昆虫だけでなく冷凍品や人工飼料も販売されているので、虫が苦手な人でも安心です。また不足する栄養分を補うためのサプリも販売されています。
幼体は毎日、成体は2~3日に1回エサを与える必要があります。生きている昆虫はそのまま飼育ケースに入れるだけでかまいませんが、冷凍品や人工飼料はピンセットでヒョウモントカゲモドキの前に差し出し、動かしながら食べさせてください。
・パネルヒーター
適温は25~30℃です。自分で体温調節ができないので、飼育ケースの3分の1から半分程度の面積にパネルヒーターを設置し、暖かい場所と涼しい場所を用意して調節できるようにしましょう。飼育ケース内が20℃まで下がると食事を摂らなくなるので、温度管理は特に注意が必要です。
・消毒用アルコール
ヒョウモントカゲモドキにはトイレのしつけをすることができます。糞をしてほしい場所に匂いを残し、それ以外の部分の匂いをアルコールで消していくと、個体差はあるものの徐々にトイレの場所を覚えていきます。1度覚えると忘れないので、掃除がぐっと楽になるでしょう。
基本的には飼育をしやすいヒョウモントカゲモドキですが、注意すべきポイントがいくつかあります。飼育の初日は彼らにとって初めての環境で、特にストレスを感じやすいシチュエーションなので、注意してください。
・レイアウトを事前にしっかり決めておく
頻繁なレイアウト変更はストレスの原因となります。
・飼育ケースをのぞき込んだり、足音などで驚かせたりしないこと
彼らが落ち着いて過ごせる、静かな環境を整えることが大切です。
・初日はエサやりを避ける
ストレスを受けたヒョウモントカゲモドキは拒食することがあります。幼体でも2週間ほどは食事しなくて大丈夫なので、落ち着きが見えるまでは無理してエサを与えないようにしましょう。
ある程度成長すると「ハンドリング」といって直接触ることもできます。慣れると自分から手に乗ってくる個体もいて、とてもカワイイですよ! ただ過度に触られるのはストレスとなるので、やりすぎは禁物です。臆病な幼体の段階でも避けましょう。
触れる時は腹の下に手を入れて、手のひら全体で包みこむように持ちあげてくださいね。
最後に、ヒョウモントカゲモドキは10日~14日間に1回脱皮をします。通常は3日程度で完了しますが、3日以上たっても皮が体に残っている場合は、脱皮不全です。
そのままにしておくと壊死の危険があるので、該当箇所を2〜3分、30℃程度のぬるま湯につけ、皮がふやけてきたら柔らかい綿棒で優しくなでるようしてはがしてください。それでも脱皮が完了しない場合は、すぐに動物病院に行くようにしましょう。
- 著者
- 寺尾 佳之
- 出版日
- 2015-09-30
作者はヒョウモントカゲモドキのブリーダーで、本書では自身の経験を踏まえてわかりやすく飼育ポイントを説明しています。 写真の数も多く、眺めているだけで楽しいでしょう。
成長過程ごとの飼育方法や、かかりやすい病気とその対策の一覧をはじめなど、飼育する際に困るであろうポイントを網羅しています。さらにそれだけでなく、ブリーダーの経験を活かした繁殖方法についても言及しています。これからヒョウモントカゲモドキを飼育してみようと考えている人には、ぜひ読んでもらいたい一冊です。
- 著者
- 海老沼 剛
- 出版日
- 2013-06-19
モルフごとに写真を掲載し、その生態など特徴を解説している一冊。飼育方法についてもしっかりと記されているので、フォトガイドであると同時に指南書だともいえます。
鮮やかな彼らを写真集として楽しんだり、これから飼おうと思っている人は、お気に入りの種を探す参考になりそうな作品です。愛嬌のあるその姿にぜひ夢中になってみてください。
今回は生態や性格などを通じて、ヒョウモントカゲモドキたちがどれほど可愛く、ペットとしても人気があるのか紹介しました。実際に飼育をするのは難しい方も、ぜひおすすめした関連本をお手に取って、その可愛さに夢中になってみてください。