意外だらけのジンベエザメの生態!どんな餌を食べたらあんなに大きくなるのか

更新:2018.6.7

魚とは思えないほど大きな体と、背中の斑点模様が特徴のジンベエザメ。名前は有名ですが、どんな生き物なのか、その生態はよく知らない、いう方も多いのではないでしょうか。この記事では、彼らの意外な生態や、体が大きくなる理由、出産などについてわかりやすく解説していきます。あわせておすすめの関連本もご紹介するので、ぜひご覧ください。

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ジンベエザメの生態

 

テンジクザメ目ジンベエザメ科に1種のみで分類され、体長10~12m、体重12tという世界最大の魚類です。

灰青色の皮膚に、白色の斑点模様があるのが特徴。個々でパターンが異なっていて、研究者たちはこの模様で個体を識別しています。腹部は白く、平たい頭部の先に口がついており、その横には小さな目があります。

目の後ろには、「噴水孔」という水を吸って呼吸できる器官がついていて、泳ぐことをやめて止まっていても死ぬことはありません。

温暖な水を好み、回遊しながら世界中の赤道沿いの水域に生息しています。通常は単独行動をしていますが、サンゴの産卵時期やプランクトンが豊富な地域では大群でいることも。その光景は迫力満点で、見学するためにさまざまなツアーが組まれているほどです。

名前の由来は、背中の斑点模様が夏に着る「甚平」に似ていること。体がクジラのように大きいため、英名は「Whale shark(クジラのようなサメ)」と付けられています。

サメという名前はついていますが、おとなしい性格で人間を襲うことはなく、大きな体で悠然と泳ぐ姿が魅力的。ダイバーたちを魅了しています。一部地域では食用として捕獲され個体数が減ったため、絶滅危惧種に指定されていて、多くの国で保護活動がおこなわれています。

ジンベエザメの餌は?何を食べてあんなに大きくなるのか

 

餌は主にオキアミやプランクトン、イカ、エビ、藻、魚卵、小型の魚などです。その量は体の大きさの割に多くなく、たとえば体重が約1tの個体は1日に10kgほどで充分だそう。同じくらいの体重のシャチが1日に30kg以上食べることを考えると、ジンベエザメがいかに省エネであるかわかるでしょう。

基本的には海面近くで餌を捕りますが、時には水深500m以上の深海に潜ることも。冷たい海底でも長い時間活動するには体に熱を蓄える必要があります。そのため彼らは「白筋」という筋肉で大切な臓器を囲み、体から熱が逃げるのを防いでいます。

そして、より大きな白筋をつくるためにジンベエザメの体はこれほどまでに大きくなったと考えられているのです。

彼らが泳ぐスピードは時速3kmほどとゆっくりで、深海へ潜る際は重力に任せて沈んでいきます。体力の消耗を抑える工夫をして、大きい体でも少ない餌ですむようにしているのです。

ジンベエザメの歯は人間の歯より小さい?

 

口径が1m以上もある巨大な口の中には、米粒ほどの大きさの歯が帯状に約300列並び、総数は1万本にものぼります。物を噛んだり餌を捕るのには一切使っておらず、もともとあった歯が退化したものだと考えられています。

彼らが餌を食べる際は、身体を垂直に傾けてプランクトンやオキアミなどを海水ごと飲みこむ「垂直摂餌」という方法をとります。エラの内側にあるスポンジ状の鰓耙(さいは)という器官で餌をこして、余分な海水はエラから放出される仕組みになっているのです。

口を開けたまま回遊して餌を捕ることもありますが、万が一対象ではない魚などを一緒に飲み込んでしまった場合は、口から吐き出すそう。このような摂餌方法のため、他のサメのように鋭い歯をもっていません。

ジンベエザメの出産は?魚類なのに卵を産まない?

 

かつては卵生だと思われていましたが、1995年に台湾で捕獲された際、約300の胎仔が発見され、「卵胎生」であることがわかりました。

出産周期は数年に1回と推測されています。卵殻が形成され、胎仔はこの中で卵黄のうを吸収して育ち、子宮内で孵化。全長30~50cmになってから生み出されるのですが、子宮内にはさまざまな経過状態の卵や胎児がいて、発育の進んだものから順に外に出てくると考えられています。

繁殖力が非常に低いため1度の妊娠で多くの胎仔を出産しますが、ほとんどが成熟できないそうです。

ただ孵化後の胎仔に栄養を与える方法や、交尾や繁殖期についてなど、詳しいことはまだわかっておらず、日本を含め世界中で研究が進められています。

ジンベエザメの寿命は?

 

寿命についても詳しいことはまだ明らかになっていません。幼魚の時代が非常に長く、25~30年ほどで妊娠ができる成魚になり、最終的には100~150年ほど生きるのではないかといわれています。少なくとも60年以上の寿命があることは確かなようです。

オスは生殖器官の発達や行動パターンから、成熟したかどうか確認することができますが、メスは見た目に変化がないため、見極めるのが難しいとされています。「ジンベエザメ」と聞くと水族館などでも見かける有名な魚ですが、その生態にはまだ多くの謎が残されているのが実情なのです。

余談ですが、サメの年齢を測定する方法はいまだ確立されていません。ジンベエザメのみならず、他の種類の寿命もまだ明らかになっていないのです。

2016年には北大西洋に生息するニシオンデンザメという種類で、400歳を越える個体が発見されました。これからも私たちを驚かせてくれるような発見がありそうです。

見たことのない角度からサメを楽しむ写真集

著者
鍵井 靖章
出版日
2015-05-08

普通では絶対に見ることのできない超至近距離で撮影された写真集。ジンベエザメの大きな体をより引き立てるアングルが魅力です。

紹介されているサメは全部で20種類。その写真はどれも自然で、海の暮らしの一瞬を切り取ったものになっています。迫力に圧倒され、何度も読み返したくなってしまうでしょう。怖いだけでなく、面白い顔やかっこいい顔などさまざまな表情を楽しむことができます。

生態に関するわかりやすい解説もついているので、新しい発見や驚きにも出会えるはずです。

ジンベエザメの迫力を感じる絵本

著者
新宮 晋
出版日
2013-06-07

鮮やかな青い背景とページいっぱいに描かれたジンベエザメのイラスト。絵本でありながらも迫力満点で、読み進めるごとに本の中の世界へと引き込まれていきます。

作者は、自然を生かした動く作品を制作している彫刻家。動物保護にも関心を寄せています。そんな彼だからこそ表現できた、ジンベエザメの動きを感じとれる作品です。

 

短い文章と英文がイラストを引き立てていて、文字を読むというよりも、文章ごと視覚で感じて楽しんでほしい一冊です。

地球上で最大の魚類であるジンベエザメについて紹介しました。巨大な見た目とは裏腹に、温厚で食が細いというギャップに思わず虜にになってしまいそうですね。彼らの魅力がさらにわかる本もあわせて読んでみてください。

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